安蘭けい×平方元基が舞台扮装姿で爆
笑トーク&歌唱披露! ミュージカル
『サンセット大通り』スペシャルイベ
ントレポート

2020年3月に待望の再々演を迎えるミュージカル『サンセット大通り』のスペシャルイベントが、2020年1月19日(日)に第一ホテル東京にて開催された。イベントには、サイレント時代の栄光が忘れられない大女優ノーマ・デズモンド役の安蘭けいと、売れない若き脚本家ジョー・ギリス役の平方元基が舞台扮装姿で登場。200名近い一般オーディエンスの前で、共演経験がある二人ならではのトークをはじめ、質問コーナー、クイズ、抽選会、さらに歌唱披露など、様々なコンテンツが詰まった充実の1時間となった。
2012年の日本初演時、ノーマとジョーはシングルキャストで安蘭けい✕田代万里生によって上演されたが、2015年の再演時からはダブルキャストかつ、組み合わせを固定して上演されている。2015年は安蘭けい✕平方元基と濱田めぐみ✕柿澤勇人、そして2020年の再々演では安蘭けい✕松下優也、濱田めぐみ✕平方元基というこれまでにない組み合わせが誕生する。今回のイベントにおける安蘭と平方という並びは、再々演では決して舞台上で観ることができない貴重な組み合わせだったと言えるだろう。
きらびやかなシャンデリア、高級感溢れる絨毯、グランドピアノ……会場と作品との調和が取れ、まるでサンセット大通りにある大女優の豪邸のような空間でイベントは開催された。ステージ上にはピアノと伴奏者のみという状態で「Sunset Boulevard」の前奏が流れ始める。すると、客席後方から平方ジョーが歌いながら現れるというサプライズが。平方の歌声と共に、客席からは歓声と拍手が沸き起こっていた。平方はオーディエンスが座るテーブルの周りを練り歩きながら、颯爽とステージへと上がる。
平方元基
平方ジョーの歌唱が終わると「お待たせいたしました。私がノーマ・デズモンドです」と、先程とは別の入り口から安蘭ノーマが登場。艶やかな衣装に身を包み、ゆっくりとステージへ向かいながら「ノーマです。トーコ(瞳子)じゃありません、ノーマです」(瞳子は安蘭さんの本名)と、早速会場中に笑いを巻き起こしていた。
安蘭がステージ前に来ると「(安蘭)あら……あなたはもしかして……ジョー?」「(平方)あ、平方です」と寸劇が繰り広げられる場面も。前回公演で共演した二人ならではの息の合ったトークで、最後まで笑いが絶えないイベントとなった。
司会者から作品に臨むにあたっての心境を問われた安蘭は「私は3回目の出演になるので、今までと違ったノーマが出来上がるんだろうなと思っています。ノーマの年齢にも近づいてまいりましたので、より人として、女性として、深くノーマを理解して演じることができるのではないかな」と意気込みを語った。
続けて安蘭が2020年公演で松下と組むという点に触れると、隣で聞いていた平方があからさまに拗ね始め、客席からはクスクスと笑い声が聞こえた。平方は「最初にそれ(ノーマ✕ジョーの組み合わせが変わること)を聞いたとき、嫉妬に狂うノーマみたいな気持ちになった!」と笑いを誘いつつ、「でも違うチームでやってもそれぞれリスペクトを持って観ることができそうだし、正面から瞳子さんの芝居を観ることができるのは嬉しい」とコメント。それに対して安蘭は「観ないで」と冷たく平方をあしらいつつも、「違う組み合わせでできるのは、お客様にとっても新鮮な感じで観てもらえるかな」と返した。
安蘭けい
この辺りから、ダブルキャストに関する話題へと移っていく。2020年公演からジョー役で初参加となる松下とプライベートで食事に行ったという平方は、「フラットさがあって、非常にいろんな見方ができる人なんだなと思った。多面性があって面白い方です」と初対面時の印象を振り返る。本作のビジュアル撮影時に初めて松下に会ったという安蘭は、「彼の舞台は観たことがないので、どんなお芝居をするのか楽しみです」と、共演を心待ちにしているようだ。
前回公演で安蘭と組み、今回は濱田と共演することになる平方は「前回公演時は、稽古場の時点でお互いの組み合わせをあまり見ないようにしていたんです。なので、めぐさん(濱田)のノーマのイメージはほとんど僕の中で存在していない。全く知らないめぐさんのノーマを目の当たりにするのは、ドキドキだし新鮮」と新たなノーマとの舞台に想いを馳せつつ、「(平方)でもやっぱり瞳子さんのノーマの片鱗を思い出しちゃうわけじゃないですか。忘れることはないですから」「(安蘭)怖いねえ〜、私のノーマ」「(平方)あなたのノーマ、本当に怖かったですよ!」「(安蘭)怖くないでしょ、かわいいでしょ」と小気味良い掛け合いも展開された。
司会者から「今回の公演では、作曲家のアンドリュー・ロイド=ウェバーによって手を加えられた部分があるようですが……」と振られると、安蘭は「これまでセリフだったところが一部曲に乗せて語られるようになったり、物語の流れも少々変わったり、微妙な違いがあるんです」と明かす。作曲家本人による変更について、平方は「世界で愛されている作品だから、ブラッシュアップが行われるということですよね。それが日本で行われるということもすごく良いことだと思います」と笑顔を見せた。
平方元基
続けて平方は、自身が出演した5年前の再演を振り返りながら「原作の映画、台本、自分自身が演じたとき、それぞれ感じたものが違っていた」と言い、「演出の鈴木裕美さんがそれぞれの役者から出てきたものを絶妙に調理して返してくれたんです。僕の原作のイメージだと、ノーマはノーマの道を生きていて、ジョーは夢に生きつつ翻弄されている感じ。でも自分が演じた舞台上では、ノーマとジョーどちらもすごく翻弄されながら物語が進んでいって……観たことがない『サンセット大通り』になったのが面白かった」と独自の視点で作品の魅力を語った。
それを聞いた安蘭が「それはもしかしたら私と元基の組み合わせだったからであって。私と優也くん(松下)でやるときは(←ここでまた平方さんは拗ねた顔に)もしかしたらまた違ったものになるかもしれないよね。だから元基もめぐちゃん(濱田)とやると……?」と返すと、平方は「そうなんですよ!何が起きるかわからないのがこの作品の面白いところなんです!」と熱っぽく答えた。

トークが続いた後は、オーディエンスからの質問コーナーへ。事前に集められた質問箱から安蘭と平方が1枚ずつ紙を取り出して読み上げる、という形式で行われた。
質問1. お互いから見て、安蘭さんが演じるノーマ、平方さんが演じるジョーの魅力を教えてください。
平方:翻弄された先の物語の最後の居方っていうのがすごく斬新で、僕は納得がいく終わらせ方でした。ネタバレになるからあまり言えないけれど、あの物語の終わり方というのはすごく挑戦だったんじゃないですか。瞳子さんの少女性がある可愛らしいノーマが、僕はすごく好きでした。
あと、瞳子さんはいつ見ても決して無理をしていないんです。舞台袖と舞台上の差がそんなにないというか。女優をやるべくしてやっているんだろうなという感じ。楽しんでいる余裕がノーマと重なるんです。そんな瞳子さんとノーマをいつも側で見れて良かったなと思います。
安蘭:元基のジョーはベティという想い人がいながらも、ノーマのことを結構愛してくれていて。こっちの独りよがりかもしれないけど、その愛を感じるから自分も愛を返す。私が愛しているから、愛される。そんな風に通ってる感じがあったからこそ、ノーマは少女になれたんです。そこが元基が作ったジョーの良いところだと思う。
そして、元基は役者として作品に新しい考えを持ち込んでくれた。再演って下手したら前回公演をなぞるようなパターンもあるじゃないですか。でもなぞらずに意見を率先して言ってくれたので、稽古していてすごく楽しかった。そこは元基が役を作っていく稽古中のスタンスで、とても素敵なところだなと思いました。
左から 安蘭けい、平方元基
質問2. ここだけは絶対に見てほしい、ぜひここに注目してほしいポイントがあれば教えてください。
平方:ここだけ、とはうまく言えないのですが……歌っていることや台本に書いてあることよりも、何で今動いたのか、なぜそう思ったのかというところに注目して見ていただければな、と。前回公演を観た人には、微妙な変化を楽しんでもらえたら嬉しい。知らない人には、それが鮮烈に入っていくように届けられたら良いなと思います。
安蘭:物語のクライマックスのノーマは、優也くんとやるときは変わるかもしれないから、そこは前回観てくださった方には観てほしいですね。これから初めてご覧になる方には、お芝居として観ていただいてもすごく面白いと思います。もちろんアンドリュー・ロイド=ウェバーの素晴らしい音楽もあるんですけど、芝居要素が強いミュージカルだと思うので。

質問コーナー後には、「これであなたも『サンセット大通り』博士!超マニアッククイズ」と名付けられた3択クイズコーナーが開催された。クイズでは「ノーマとジョーが訪れる撮影場所はどの映画会社の撮影所?」「ノーマが一緒に暮らしていた動物は?」「ノーマの執事マックスが屋敷で演奏する楽器は何?」「ノーマとジョーが一緒に観る映画はどれ?」「ノーマが発砲するシーンがありますが、打ったのは何発?」といった作品に関する超マニアックなクイズが5問出題された。
出題中に安蘭と平方が繰り返し茶々を入れて進行が妨げられたため、「ちょっと黙ってくださいね」「大丈夫ですかそこのお二人」と司会者が二人を手厳しく制する一幕も(もちろん会場は爆笑でした)。全問正解者には、安蘭と平方から景品が手渡された。続けて豪華賞品が当たる抽選会も開催され、安蘭と平方のサイン入り特製ミニポスターや、同じくサイン入りの公演プログラム引換券などが景品として挙がった。
抽選会で会場が盛り上がる中、終わりの時間が近づいてきた。いよいよ安蘭ノーマの歌唱披露の時間だ。ステージの準備のために、平方に手を引かれて舞台袖へと消える安蘭。二人の様子はまるでノーマとジョーそのものだ。
先程とは打って変わって静まり返った会場に、安蘭がノーマとして現れる。披露されたのは大曲「As If We Never Say Goodbye」。決して派手な動きがある曲ではないのだが、その立ち居振る舞いからは孤高の大女優のオーラが滲み出ていた。
安蘭けい
最後に改めて平方と安蘭からオーディエンスに向けてメッセージが送られ、スペシャルイベントは締めくくられた。
平方:短い時間ではございましたが、『サンセット大通り』の魅力をお伝えできたかなと思っております。この作品は5年前にやらせていただいて、またやりたいと願い続けてやっと叶った作品です。ぜひぜひ、1公演でも多く観ていただくことをおすすめします。毎回違うものが生まれる劇場に足を運んでくださる皆様には、本当に感謝しています。その目に、心に残るものをお届けしようと思って全身全霊で丁寧に頑張っていきますので、ぜひ劇場へ。
安蘭:私にとっては3回目の挑戦です。また気持ちを新たに取り組んで、素敵な『サンセット大通り』を作り上げたいと思います。私と松下くんバージョン、濱田めぐみちゃんと元基くんバージョンの2バージョンがありますが、どちらも観ることをおすすめします。作品の良さも確認できると思いますし、我々の良さも確認してもらえるかな、と。いろんな『サンセット大通り』が生まれると思いますので、ぜひたくさん見ていただきたいです。短い時間でしたけれども、皆様と『サンセット大通り』を思い出し、ここで一つスイッチが入ってお稽古に取り組めるかなと思います。本日はありがとうございました!

『サンセット大通り』は2020年3月14日(土)〜3月29日(日)に東京国際フォーラムホールCで上演される。アンドリュー・ロイド=ウェバーが生み出す魅惑の音楽、それに負けない深みのある芝居、そして本作ならではの“狂気と緊張”を味わいに劇場へ足を運んでみてはいかがだろうか。
取材・文 = 松村 蘭(らんねえ)

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