全集中の気合いがこもる2時間強! 
初の舞台化『鬼滅の刃』ゲネプロレポ
ート&出演者コメント

天王洲 銀河劇場にて、舞台『鬼滅の刃』のゲネプロ公演が行われた。
近年、爆発的な人気を誇る『鬼滅の刃』は、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)による漫画作品。2016年より「週刊少年ジャンプ」にて連載がスタートし、シリーズ累計発行部数は2,500万部を突破。2019年4月にはTVアニメ化を果たし、劇場版アニメーションの製作も決定するなど、今最も注目を集めている作品だ。
待望の舞台化にあたり、脚本・演出を務めるのは、舞台『K』や舞台『刀剣乱舞』などの人気作品を手がける末満健一。音楽を、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー‼』や、『僕のヒーローアカデミア』The “Ultra” Stageを手がける和田俊輔が担当する。己を鼓舞し続ける、キャストの熱意が感じられる会場より、ゲネプロ公演の模様をお伝えしよう。
<あらすじ>
時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。さらに唯一生き残った妹の禰豆子は、鬼に変貌してしまった。
絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”へ進む決意をする。人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる——!

思わずエールを送りたくなる、懸命でひたむきな炭治郎
本作は、作中の独特な台詞回しや世界観を舞台上で再現しつつも、歌やダンス、アクションシーンを交えながら、テンポよく物語が展開していく。特に、キャラクターの台詞やモノローグ、あらすじの一部を用いた歌の数々は、各シーンの見せ場を強調していた。
舞台前半では、主人公の竈門炭治郎(小林亮太)が、鬼になった竈門禰豆子(髙石あかり)を人間に戻す方法を求めて旅立ち、宿敵・鬼舞辻無惨(佐々木喜英)と邂逅するまでを描く。
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020
ひたむきな努力を重ねる炭治郎の姿に心を打たれるが、舞台上で、歌とアクションを同時にこなしつつ、圧倒的な台詞量を消化する小林の姿にもまた、胸を打たれる。一つひとつの芝居を懸命に積み上げていく小林演じる主人公には、自然と心の中で「がんばれ、負けるな炭治郎」とエールを送りたくなってしまう。
原作の魅力を存分に引き出す、多彩なキャラクターたち
華奢な身体から、力強い蹴りを炸裂させていたのは、髙石演じる禰豆子。鬼になったばかりの彼女が、激しい咆哮をあげるシーンは、鳥肌の立つような迫力があった。一方で、普段のあどけない表情は愛らしい。
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020

(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020

凛とした声に、しなやかな殺陣を披露していたのは、本田礼生演じる冨岡義勇。自らの台詞を活かした歌唱シーンにも注目したい。スピーディーで緊張感のあるアクションをみせた錆兎(星璃)と、やわらかな笑顔が印象的な真菰(其原有沙)に、抜群の歌唱力を発揮していたのが、佐々木演じる鬼舞辻無惨と、舞羽美海演じる珠世だ。
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020
炭治郎の師匠・鱗滝左近次(高木トモユキ)と刀鍛冶の鋼鐵塚(はがねづか)とのユーモラスな掛け合いや、珠世を慕う愈史郎(佐藤永典)の一途さなど、シリアスな展開の中でも、思わず頰がゆるむ一面も。舞台後半では、炭治郎の同期である我妻善逸(植田圭輔)の一挙一動が、チャーミングな存在感を放つ。さらに、身体能力の高さを活かした、佐藤祐吾演じる嘴平伊之助の活躍も見逃せない。
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020

(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020

映像と小道具を巧みに組み合わせた、迫力満点のアクションシーン
鬼との戦闘や、鱗滝のもとで修業する場面では、プロジェクションマッピングと、小道具の両方を駆使したアクショシーンが目を引く。特に、珠世と愈史郎と共に、炭治郎と禰豆子が朱紗丸(すさまる)と矢琶羽(やはば)と戦うシーンや、部屋を回転させる響凱(きょうがい)との戦闘は、見どころのひとつ。
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020
ほかにも、炭治郎や善逸が、‶呼吸″を使って、それぞれの必殺技を繰り出すシーンには、映像や音楽が効果的に用いられて、華やかな演出になっている。また、異形の鬼との戦闘は、仰々しい外見にも圧倒されるが、アクションシーンもダイナミックで見応えがあった。情が移ってしまいそうな切ないラストシーンでは、観客の涙を誘う一幕も。
舞台を盛り上げる、壮大な音楽にも注目!
鬼殺隊に入るための‶最終選別″がおこなわれる藤襲山(ふじかさねやま)では、妖しい雰囲気の曲。炭治郎が無惨と遭遇する浅草では、仲見世通りのにぎわいをミュージカル調に仕立てた曲など、場面転換の際に用いられる数々の音楽もまた、舞台の世界観を盛り上げていた。和風らしさと悲壮感を漂わせる、壮大なメインテーマは、物語の冒頭や終盤に使われることで、強く印象に残る一曲になっている。
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020

(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020

舞台『鬼滅の刃』は、2020年1月18日(土)より26日(日)まで天王洲 銀河劇場で公演。その後は、1月31日(金)から2月2日(日)まで、兵庫のAiiA 2.5 Theater Kobeにて上演予定。兄妹の絆によってはじまった物語序盤のストーリーが濃縮された本作は、原作ファンにも、はじめて観劇する人にとっても、楽しめる作品になっていた。
なお、2020年2月2日(日)には、大千秋楽公演のライブ・ビューイングが全国の映画館で上映されることが決定している。『鬼滅の刃』の新たな魅力に触れられる機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
脚本家・演出家、出演者コメント
■脚本・演出: 末満健一
稽古中は「これをどう表現すればよいのか?」と難問の連続でした。
竈門炭治郎の戦いは、そのまま座組の戦いでもありました。
すべてのピースが出揃い、通し稽古を重ねるにつれて、「早くこの作品をお客さんにお届けしたい」という思い
が募るばかりでした。
舞台『鬼滅の刃』、小林亮太座長率いる座組の熱量と共に、ようやくお届けできることを嬉しく思います。
■竈門炭治郎 役: 小林亮太
この物語の中で生きる人たちが死と隣り合わせにあるように、一人ひとりが抱く想いを果たそうと必死に闘ってい
ます。
舞台『鬼滅の刃』ならではの生々しく力強さのある世界を。
劇場へお越しくださる皆さんの愛も合わせて、ひとつの作品に。
頑張れ炭治郎頑張れ!!座組み一丸、己を鼓舞して。応援よろしくお願いいたします。
■鬼舞辻無惨 役: 佐々木喜英
今回登場する鬼舞辻無惨は「氷山の一角」だと思っています。
長い戦いの序章となる今回の舞台では、ベールに包まれながらも垣間見える底知れない彼の恐ろしさを、要所
要所で皆さまに感じていただければ嬉しいです。
舞台「鬼滅の刃」を、末永く応援のほどよろしくお願いします。
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会 2020
取材・文=田中未来

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