リアルvsバーチャル…バーチャルヒュ
ーマンライヴが魅せた新時代の兆し

1月11日(土)、渋谷WOMBで開催された「06S FINAL」に登場し、世界初披露されたYELLOCKによるバーチャルヒューマンライヴをレポート。

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音楽を媒介にした未来を紡ぐパフォーマ
ンス

約19年間に渡って開催されてきた日本ドラムンベースの金字塔「06S」が1月11日(土)に遂にファイナル! そこではSUB FOCUS(サブ・フォーカス)やAUDIO(オーディオ)、Disaszt(ディザスタ)と現行シーンを代表する超強力なゲストを迎えつつ、国内からもレジデントのDJ AKiをはじめ今後の日本を牽引するMAOZONやYASUKIらが出演し、見事に有終の美を飾ったわけだが……そんなひとつの歴史が幕を閉じる一方で、新たな時代を感じさせるパフォーマンスが……。それがYELLOCKによる、近年騒がれるARやバーチャルYouTuber&インフルエンサーのさらに先行く脅威のリアルタイムパフォーマンス「バーチャルヒューマンライヴ」。
来る新時代に向けたプロローグとともに、フロアを埋め尽くす大勢のオーディエンスの前にYELLOCKが颯爽と登場すると、彼の頭上や中空、左右に配置されたモニターには3Dアニメーション化された同じ姿(バーチャルヒューマン)が。それを息を飲み見守る観客に向け、YELLOCKがひとたび手を挙げれば、バーチャルヒューマンも同様に動き出す……そのタイムレスなシンクロニシティがバーチャルヒューマンライヴの醍醐味。演者の一挙手一投足を瞬時にトレースすることで、もうひとりの演者を創出していた。

このキャラクターデザインを手掛けたのは、映画「アバター」などを手掛けたドイツのトッププロダクションMimic。そのクオリティだけでもビックリの代物(もはやドッペルゲンガー!)。
映像(バーチャルヒューマン)だけとって見れば、それは初音ミクなどのバーチャルコンテンツと同じように見えるかもしれないが、大きな違いはそれを構築するのはあくまで1人の人間ということ。映像オンリーの完成された予定調和なストーリーとはひと味違う、現実を生きる人間による音楽を媒介にした未来を紡ぐパフォーマンス。

ステージ上では、YELLOCKがミキシングしたかと思えば、ギターやベースを抱えてかきならし、そしてドラムパッドを叩いたりと既存のライヴと変わらぬパフォーマンスを披露。途中、DJ AKiとMC YUUKiが加わり、さらにはHarukiDという実在するシンガーが熱唱。会場は大いに沸き上がっていたわけだけど、その間もバーチャルヒューマンはYELLOCK本人と同じパフォーマンスを遂行する。もはやオーディエンスは生のYELLOCKを見るか、バーチャルヒューマンを見るべきか……なんて因果性のジレンマも。

ただ、現実社会において今後より一層激化するであろうリアルとバーチャルのせめぎ合いに、このバーチャルヒューマンライヴはリアルが先導しながらバーチャルと共存する、新たなスタイルを提示していたことは確か。
また、興味深かったのは音楽との親和性。今回はYELLOCKの主戦場でもあるドラムンベースというフィールドだったが、これはどんなジャンルに置き換えることができるはず。その普遍的なポテンシャルは今後も楽しみなところだけど、この日のライヴで披露されていた“THE BEGINNING OF A NEW”などエモーショナルな楽曲とバーチャルヒューマンの同期はなかなかに面白く、デジタルの権化と生の感覚の共生をより一層増幅していた。

そのうえ、映像面でも一方向からの描写だけでなく、360度あらゆる角度からバーチャルヒューマンが映し出され、なおかつ様々な映像をオーバーラップさせたりもできるので表現方法は自由自在。しかも、後で聞いたところではバーチャルヒューマンもまた置換可能。それこそ歴史上&架空の人物でも動物でもイケるようなので、エンターテインメント方向にふってもやりようはいくらでもありそうだ。
さらにさらに、今後はバーチャルヒューマンによる空間掌握や5Gの普及とともに本人とは遠く離れた場所でバーチャルライヴ……なんてこともできたりと、無限の可能性を秘めている。

今回が初の試みだっただけに、まだまだ実験的な要素を多分に含んでいたけれど、確実に未来を示すことはできたハズ。テクノロジーと共存し、ともに進化していくバーチャルヒューマンライヴ。今後の展開にも期待大!
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