YURiKA「アニメと共に歌が歌えて幸せ
」さらに『弱ペダ』『高木さん』『君
の名は。』も! TOHOアニメ初のレー
ベルライブレポート

TVアニメ『弱虫ペダル』に『からかい上手の高木さん』、そして『BEASTARS』、2020年1月から放送開始の『ドロヘドロ』、そして映画『君の名は。』など、数多くの名作・話題作がタイトルを連ねるTOHO animation。その各アニメのテーマ曲などをフィーチャーした初のレーベルライブイベント『TOHO animation RECORDS the Live 2019 winter』が、2019年12月27日に開催された。会場は、冬のイルミネーション輝くロマンチックなスポットにある、恵比寿 ザ・ガーデンホール。その空間が、寒さを打ち消すようなアニメファンの熱気に包まれた。そのアツい一夜のビッグイベントの模様をレポートする。

「最高過ぎるわ」とNIKIIE、先陣を切った(K)NoW_NAMEが新曲お披露目!
今回のライブ全体をサポートするバンドメンバーは、ギター・大内慶、キーボード・荒幡亮平、ドラムス・一ノ瀬久、ベース・川島弘光の4名。最初のアーティストには、(K)NoW_NAMEから立花綾香とAIJがステージに登場した。1曲目はTVアニメ『Fairy gone』より、ロック全開のアッパーチューン「KNOCK on the CORE」を披露。アニメの映像をバックに、立花の力強い歌声とAIJの畳みかけるようなラップが会場に響きわたり、早くも観客はオールスタンディングとなった。続く2曲目ではもう1人のメンバー・NIKIIEをステージに迎え、同じく『Fairy gone』から「STILL STANDING」を2ボーカル&1MCで熱唱。ますます会場はヒートアップする。
(K)NoW_NAME
3曲目にはガラリと雰囲気を変え、NIKIIEがピアノ弾き語りでTVアニメ『サクラクエスト』主題歌「Morning Glory」を披露。明るい歌声に、客席からは手拍子が起こる。演奏後、NIKIIEの口からこぼれた「最高過ぎるわ」の一言には会場が沸いた。4曲目もNIKIIEの歌声で、TVアニメ『灰と幻想のグリムガル』から「Harvest」を披露。しっとりとしたバラード曲で会場を包み込む。
ロック、ポップス、バラードと、多様な音楽にすっかり魅了されたファンたち。続くMCにて早くも立花が「(K)NoW_NAMEとしては次が最後の曲になるんですけれども……」と言うと、観客一同「えーっ!」と声を揃えた。それに立花が照れて「バカヤロウ!」と返し、どっと笑いが起きる場面も。
ラストの5曲目には、2020年1月12日から放送開始の『ドロヘドロ』の主題歌「Welcome トゥ混沌(カオス)」をお届け。激しいバンドサウンドに立花の鬼気迫る歌声が乗る。フルにて初披露ということで、まだ聴き慣れていないハズの曲にもファンたちは体を揺らす。激しい曲や優しい音楽、そして新曲まで、先陣を切るのに相応しくバラエティに富んだ(K)NoW_NAMEのステージは、最後まで大盛り上がりで幕を閉じた。

『BEASTARS』のジュノを意識した鮮やかなドレス姿でYURiKA登場!
2組目のアーティストにはYURiKAが、鮮やかな赤いドレスをまとって登場。1曲目TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』主題歌「MIND CONDUCTOR」のイントロと共に「みなさんこんばんは、YURiKAです! 一緒に楽しんでいこうね!」と元気よく叫ぶ。観客もそれに応えるように、激しくジャンプ、ジャンプ! 歌う前から盛り上がり全開だ。歌が始まり、最初のサビでも再び観客たちがジャンプ! また2番目のサビでYURiKAが手を挙げれば、ファンも一斉にバッと手を挙げた。
続く2曲目は、『はねバド!』から「ふたりの羽根」。YURiKAがマイクを握って歌いながら、もう片手の手で振り付けを入れると、その動きを完全にコピーして盛り上がるファンも複数名見られた。まさにファンと一体になったステージ。「右と左、順番で」の歌詞のところでは、YURiKAがステージを右へ左へと行き来しながらファンたちに向かって歌い、最後はラケットを手に取りバドミントンのシャトルを打って客席へプレゼント!
YURiKA
MCでは、「初のレーベルライブということで、『自分はアニソンシンガーじゃないと意味がない』と言い切って活動しているので、関わらせていただいた作品の映像と共に歌えるっていうのは、本当に幸せだなと思っています」と話すYURiKA。今回の衣装も、自身がエンディングテーマを歌ったTVアニメ『BEASTARS』から、登場キャラクターのジュノが最終回でまとっていたドレスをイメージしたそう。またヒロインのハルを意識してウサギのピアスや指輪を身に付け、少しでも作品に寄り添うという彼女なりのこだわりを語った。
そして3、4曲目には、もちろん『BEASTARS』のエンディングテーマである2曲「眠れる本能」と「Le zoo」が披露された。「Le zoo」では、曲の終盤で観客全員と「オワーオ、オワーオ」の大合唱。さらにラストはマイクをハーモニカに持ち替え、爽やかな楽器の音色とファン大勢によるコーラスとのコラボレーションで、YURiKAのソロステージは終わりを迎えた。
コラボコーナーでは美女3人の「なんでもないや」や佐伯ユウスケのダンスも!
「ここからは、コラボコーナーを始めたいと思います」進行は一旦YURiKAのまま、再び(K)NoW_NAMEの3名を壇上へ迎え、観客は「ヒューッ」という声援と共に大きな拍手を送る。最初の曲紹介ではYURiKAとNIKIIEによる「入れ替わってるー!?」という寸劇を交えつつ、映画『君の名は。』より、「前前前世」を4名でカヴァー。
2曲目では立花綾香とNIKIIEの2名がステージに残り、新たに大原ゆい子を迎えて「なんでもないや」が披露された。歌い出しは3名のアカペラ、伴奏はピアノのみという構成で、女声3部の美しいハーモニーが、耳に心地よいだけでなく、客席で聴く我々一人一人の心にもじんわりと訴えかけてくる。
3曲目は大原だけが残り、「佐伯お兄さーん」と呼びかけ、新たに佐伯ユウスケを迎える。「男性と歌うの、初めてなんですよ」と言う大原に、佐伯は「えっ、知らなかったんだけど。奪っちゃっていいの? 責任重大な……」とキワどいトークで、再び「ヒューッ」という歓声が客席から沸く。歌われたのは、映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』より「打上花火」。まさに大空に咲いては散りゆく花火のような儚さのある大原のハスキーボイスを、安定感のある佐伯のテノールが支え、原曲とはまた違う新たな楽曲の魅力を感じさせてくれる。
4曲目は、ステージに残った佐伯が披露……するかと思いきや、YURiKAを壇上に迎えてバトンタッチ。衣装も赤いドレスからピンクのドレスに着替えたYURiKAが、「どうしてもやりたい」と自ら懇願してセットリストに加わったというTVアニメ『弱虫ペダル』の挿入歌「恋のヒメヒメぺったんこ」を披露した。オケには原曲を歌う田村ゆかりの声も吹き込まれており、まるで本人とコラボしているような贅沢なステージ。加えて、直前にステージから退場したはずの佐伯ユウスケが、曲の途中に自転車のハンドルを手に持って再び現れた。自転車を漕ぐような動きでYURiKAの周囲を回り、会場を楽しませる。サビでは「ヒメ!!(ヒメ!!)」のコールアンドレスポンスにも佐伯が参加。ほかにも観客に背を向け腰ふりダンスを披露したり、ラストのサビではハンドルをサイリウムに見立ててオタ芸ダンスまで見せたりと、サービス精神旺盛……と言うより、やりたい放題! 感動あり・笑いありのコラボステージに、演奏後は客席からもより一層大きな拍手と声援が送られた。
「あれ、すごい楽しいなぁ!!」『弱ペダ』シンガー・佐伯ユウスケ、オンステージ!
3組目のアーティストには、コラボコーナーでダンスを踊ったばかりの佐伯ユウスケが再び登場。観客からも笑いと共に迎えられるが、曲が始まると雰囲気はガラリと一転。1曲目にTVアニメ『弱虫ペダル GLORY LINE』から「ダンシング」を歌うと、観客も拳を天に掲げて踊り出す。激しいビートに早口の歌声を乗せる佐伯は、間奏でもロボットダンスを披露するなど、まったく疲れるということを知らないようなエネルギッシュなステージで観客を魅了する。
佐伯ユウスケ
歌い終えて観客の歓声も一層高まりをみせたところで、そのまま2曲目には『弱虫ペダル NEW GENERATION』から「タカイトコロ」を熱唱。まだまだ盛り上がるザ・ガーデンホール。まだまだ力強い歌声を響かす佐伯。3曲目、「ナウオアネバー」では、歌詞の「あれ、すごい楽しいなぁ」を自分の素直な気持ちを表すように言葉のまま叫んで、会場を沸かせた。続くMCでは歌い終わった興奮のまま、「ヤバイじゃん、熱気が!」と語る。
いつもは1人で活動をしており、レーベルの仲間と共にライブを行うという機会も無かったという佐伯。今回の舞台を嬉しく思うと共に、観客も普段見るファンたちとは違う様子に熱い気持ちになったそう。最後の4曲目には、『Dr. STONE』からバラード曲「夢のような」を披露。高音域も美しいファルセットで歌い上げ、ムーディにソロステージを締めくくった。
ギター弾き語りも! ラスト・大原ゆい子のステージで観客も一斉に飛び跳ねる!
4組目、トリをかざるアーティストには、大原ゆい子が登場。アコースティックギターの弾き語りで、『からかい上手の高木さん 2』から「ゼロセンチメートル」を歌った。1曲目からしっとりとした出だしながら、曲が終わると大きな拍手とともに男性ファンたちの熱い声援が会場を満たす。
大原ゆい子
2曲目では楽器をエレキギターに持ち替え、『はねバド!』からロックな楽曲「ハイステッパー」を歌い出すと、たくさんの観客が大きくジャンプ、ジャンプ! この日最後とばかりに高く高く跳ねる。ステージの上も、そして観客席も興奮冷めやらぬ中、3曲目では大原は楽器を置き、歌に集中して『からかい上手の高木さん 2』挿入歌「君と光」を披露。舞台のスクリーンには「神回」である、最終話の夏祭りのシーンが映し出され、温かく、切なく、優しい時間が流れていった。
続くMCでは、レーベル所属のアーティストでは1番活動が長いのではと自身について述べる大原。デビュー直後は周りにレーベルメイトもおらず寂しかったが、今はたくさんのアーティストやスタッフを迎えてライブできることを奇跡のように思うと語った。「2020年はもっともっとレーベルを盛り上げていけたらいいなと思っていますので、2020年もよろしくお願いします」と言い、観客もそれに応えて大きな拍手を送った。
最後の楽曲には、再びアコースティックギターを持って『からかい上手の高木さん』から「言わないけどね。」を弾き語りで披露。ノリのよい曲に、観客も一斉に手拍子し出す。曲の締めには、「せーの!」という掛け声と共にステージ上でジャンプをきめ、拍手喝采の中ソロステージが終わった。
爽やかなあの名曲で、爽やかに締め! アーティスト全員合唱のアンコール
大原と共にバンドメンバーらも舞台を去った後も、続く観客の拍手。やがて響き渡る「アンコール! アンコール!」の声で、出演アーティスト全員が舞台に戻ってきた。佐伯ユウスケは、コラボコーナーで見せた自転車のハンドルまで「一心同体だから」と手に持ち、再び観客を笑わせる。
4組それぞれ2020年のライブの告知を行ったあとで、アンコール曲にはTVアニメ『血界戦線』から、「シュガーソングとビターステップ」を全員で披露。爽やかなロックナンバーに、最後はアーティスト、観客も全員でジャンプして、ライブの幕が閉じた。
約2時間半、一気に駆け上がるようにあっという間に感じられた今回の初レーベルライブ。数々の名作の映像と共にアーティスト本人たちによる歌が聴けるというだけで贅沢な時間だった。
最後に印象的だったのは、大原ゆい子の「もう一生無いと思ったので、命をかけて歌わせていただきました。来年もみんな、命をかけて音楽を続けていくと思いますので、ぜひ応援してもらえたらなと思います」という言葉だ。「命をかけて」なんて大袈裟に聞こえるかもしれないが、彼女自身の演奏や、MCを聞いた後では、本当にこの日、こんな場が実現できたことは奇跡であり、命をかけるに値するステージだったことはハッキリとわかる。

2019年までに生み出されたさまざまな作品、そのすべての締めくくりであり、また2020年に向けての新たな気持ちを沸かせてくれる、感動と熱気に包まれた素晴らしいステージだった。これから生まれるTOHOアニメの新作や、その楽曲たちが、今から楽しみで仕方ない。

(取材・文:平原 学)

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