三阪咲インタビュー 『第98回全国高
校サッカー選手権大会』応援歌&みん
なのアンセムを担当する、今、最も注
目の高校生シンガーに迫る

今年の『第98回全国高校サッカー選手権大会』の「応援歌」と今大会は「みんなのアンセム」の2曲を、現役高校1年生の作詞/歌唱楽曲が起用され、いま大きな話題となっている。その高校生シンガーこそ三阪咲(みさかさき)。同大会史上最年少の16歳で現役の高校1年生による楽曲起用は初だという。

幼少時よりダンスやピアノ、ギター等を習得。合わせて11歳の時に元々大好きだった歌のボーカルコンテストで入賞。以後、路上やライブハウス等でも音楽活動を行ってきた彼女。その持ち前のパワフルで生命力のある歌声にて話題/人気を上げてきた。そんななか2019年1月にはテレビ番組に出演し歌唱。その驚異的な歌声は人々の心を撃ち大きな話題となった。そしてこの12月には、その第98回全国高校サッカー選手権大会の応援歌「繋げ!」、みんなのアンセム「We are on your side」を含む自身初の全国流通盤EP『Every day, Every night』もリリースした。
EDMやロック、ポップス、ミディアムなナンバー等幅広い音楽性を持ち前のパワフルさと繊細な歌唱で歌い分けている今作品は、今後の成長や進化にも大きな期待が持てる1枚となっている。そんな大注目の彼女にSPICEは直撃。三阪咲の誕生~成長を追い、今回起用となったテーマ曲類に込めた気持ちや想い、それらも収まった最新EPについてを今後のビジョンを交え詳しく訊いた。
――まずはSPICE初登場でもあるので、三阪さんのここまでの経緯から教えて下さい。元々は歌よりも先にダンスをやっていたとか?
そうなんです。ダンスは小学1年生ぐらいから習い始めました。だけど、そこが小学4年生までのコースしかなくて。そんな中、その後に通った教室では、合わせてボーカルのコースも取得するとレッスン料が半額になるらしいと聞き(笑)、ダンスに加えそこから歌も習い始めたんです。
――つい半額に釣られてしまったと(笑)。
はい!(笑) でも歌うこと自体は元々大好きだったんです。で、その教室に入って3ヵ月後ぐらいに行われたコンテストで賞をいただきまして……そこからですね、「私、歌をやりたい!」と思ったのは。やっていくうちに段々と「そんなに甘いものじゃなかった……」と何度も感じましたが(笑)。
――人前で歌い始めたのはいつ頃からだったんですか?
中1の頃からです。その頃からライブハウスに出始めました。
――中1!? 早いですね。それにしても三阪さんの歌声は非常にパワフルで力強く、生命力があります。正直16歳と聞き驚きました。その辺りのパワフルさもダンスから入った経緯によるものなのかな?って。その歌声のパワフルさや歌唱英語からどことなくブラックミュージックの要素も伺えたもので。
ダンスをやっていたこともあり、昔からヒップホップやR&B等をよく聴いてました。もちろんJ-POP等も聴いてはいましたが、どちらかというと洋楽の方を好んで聴いていました。歌に関しては、その辺りの影響もあるとは思います。
――あとは伸びやかなハイトーンも魅力的です。
レッスンを経て、身につけようとしました。元々J-POPでもSuperflyさんをよく聴いていて、憧れているので。私自身、パワフルな女性ボーカリストにも憧れて、目指している面はあります。
――その歌手としての目標やビジョンがあったら教えて下さい。
色々なタイプの曲調が歌える歌手になりたいです。パワフルな曲も歌えば、しっとりとした曲も歌う。「これ!」と特定のジャンルを決めて活動するのではなく、幅広い歌を歌いたいと思ってます。
――ところで、「先日、全国モールツアーを大成功に終えた」とお聞きしました。各地初めて行かれる土地や初見の方も多かったのではないですか?
全国7箇所に行かせていただきましたが、すごく楽しかったです。雰囲気も各地で違っていて今後の勉強にもなりました。
――その「勉強になった」点とは?
場所によって曲への反応が違う印象がありました。例えば、温かい地方だとわりとノリの良い熱い曲が人気で。寒い地方ではしっとりと聴き浸れる曲の人気が高いようにも感じました。次に行く際には、もっと地域の特性を加味した歌や歌い方、接し方を心掛けたいです。やはりライブはお客さんと一緒に作り上げていくもので、自分が歌えているのも聴いて下さるみなさんが居てこそなので。一緒にひとつになり、ステージを作っていく。そんな気持ちで毎回臨んでいます。
――実際、各地に行ってみてお客さんの歓迎ぶりはいかがでしたか?
SNSを通し情報を知って来て下さった方も多くて。私もようやく応援して下さってる方々の顔が見れて嬉しかったです。初めての方もたくさんいらっしゃったと思いますが、精一杯自分の歌を伝えることを心掛けて歌いました。気持ち的には、私のことを知っている方、知らない方問わず、「初めまして。三阪咲です。よろしくお願いします!」、そんな気持ちで各所歌わせてもらいました。
――特に初見の方は実際の歌声のパワフルさに驚いたのでは?
そう思ってくださってたら嬉しいですね。ステージに出たら、私の170cmの身長に驚かれている方も多そうでした(笑)。
――言われてみると日本人のパワフルな歌声の方は低身長の方が案外多く、三阪さんぐらいの身長の方はあまり見ないかも。
人間の声帯は小さいほど高い声が出やすく、大きいほど低い声が出やすいと言われていますもんね。でも、私はそれらにとらわれず、高い声も低い声もしっかり出せるようにもっと歌を勉強したいと思ってます。
――では、次はライブで全国の方に再び会いたいですね。
はい! ゆくゆくは全県制覇したいです(笑)。
――47都道府県!? ロックバンドのツアーみたいですね(笑)。
同世代の女性シンガーでそこまでやっている方は少ないと思うので、チャレンジしたいです。私も好きなアーティストが自分の街まで来てくれたらやはり嬉しいので。
三阪咲
――では、ここからは初の全国流通盤『Every day, Every night』の話に。今回の4曲はタイプ様々ですが、歌っている一貫性として、どこか「一緒に」や「繋がり」みたいなものが伺えました。
たくさんの方々の力を借りて、色々な音楽性に挑戦できた1枚になりました。それこそ今回のEPでは、自分が今、挑戦してみたい音楽を周りの人たちと一緒に作り上げていけたと思ってます。今後も様々なことに挑戦していきたいと思ってますし、その第一弾がこの作品です。内容も、「今だけは好きなものを好きでいたい」はアップテンポなポップロックナンバーで、「繋げ!」はバラードの要素もあるけど、最後には背中を押せる応援歌、「We are on your side」は今まで私が歌って来なかったような新しいEDMで、「Say Good Night」もミディアムさが混じった違ったタイプの切ないEDMで。是非この作品を通して様々な角度の三阪咲を感じて貰えたら嬉しいです。
――それから各曲充実したサウンドですが歌ってみていかがでしたか?
今回はたくさんの楽器を使った楽曲が多いですが、逆にいずれは音数の少ない楽曲にも挑戦したいです。
――先程と重複しますが、今回のEPはどれも、「一人じゃない」や「繋がっている」、そんなテーマ性の共通項を感じました。
その辺りは統一感を持たせたく、意識して選曲しました。やはり、今回高校サッカーの2曲それぞれのお話をいただき、それを軸にした作品にしたいと思ったので。
――歌詞の内容の統一感的にはいかがでしたか?
私と同世代の高校生と同じ目線で書かせて貰ったものが多いです。自分の気持ちだけでなく、実際に同世代の高校生たちに向けて書きたくて。なので、その同世代の目線や気持ちを一番大切にして書きました。
――中でも高校サッカーの2曲はわりと対照的ですね。スタンドやベンチからフィールドの選手に向けての想いが綴られている「We are on your side」、一方「繋げ!」ではフィールドで戦っている選手たちの気持ちや目線で綴られていて。「みんなのアンセム」に選ばれた「We are on your side」のコーラス部分ではスタジアム等でみんなで一緒に大合唱している光景が思い浮かびました。
そうなんです。この曲を作る前に地区予選の神奈川大会の試合を観させてもらったんです。その時に想ったことや感じたことを歌にしました。
――それは?
もちろんフィールドでの選手のプレイや白熱や熱気もすごかったんですけど、それを支える人たちの熱量もすごくて。監督さんやマネージャーさん、応援席にいる同じサッカー部員たちや同級生、親の方々……。その人たちが一緒に応援したり、心で戦っている光景を見て、そんなみなさんの目線でも書きたいなって。みんなが一体となってスタジアムで一緒に歌える曲になってもらえたら嬉しいです。
――では、気持ち的には12人目のメンバー的な視点で作詞や歌を?
おこがましいですが、そんな気持ちです!
――サウンドもEDMで、歌っていても高揚感があったり、かなり気持ちが良かったのでは?
いやー、興奮しながら歌っていました(笑)。おかげさまでみなさんと一緒に歌える部分も含め、一体感溢れる曲になってればいいなと。メロディ自体は意外と起伏は激しくない楽曲なので、あえて声色を変えて歌ったり。パワフルさをメインに、静かに低く歌う部分を交えたり、抑揚をつける意識をしたりとドラマ性を出すことも意識しています。この曲を通してみなさんを歌声で支えられたらいいですね。
――実際に三阪さん的にはどのような光景を思い浮かべながら歌っていましたか?
準決勝の埼玉スタジアム2○○2で歌わせていただけることになったので、そこでみなさんが一丸となって選手の方々を応援する光景を思い浮かべながら歌いました。
――スタジアムで歌うってすごいことですよね。
そうですね。約5万人収容みたいなので、その光景を想像すると今から緊張してきます(笑)。もうパワー全開で一生懸命、歌で選手の皆さんを応援します。会場中に、歌に込めた気持ちも届けられたら嬉しいです。
三阪咲
――対して応援歌でもある「繋げ!」はミディアムテンポで、「We are on your side」とは対照的にフィールドでの選手たちの姿や気持ちや想いが聴いていて手に取るように伝わってきます。
先ほどの地区予選を見させていただいた際に、私が最も年下になってはしまいますが、同じ高校生ということで、高校生にしか書けない歌詞を書こうと挑みました。なのであえて歌詞はストレートに、“この気持ちよ伝われ!”と想いを込めて書いて歌いました。
――この歌の根底には、「仲間と一緒に!!」とのチームプレイならではの一丸性や連帯感もですが、もう一つ、「努力や苦労は絶対に報われる」的な信念も感じ、その辺りが私には三阪さん自身とリンクしました。
重なった部分は多くありました。スポーツも歌も別々のジャンルではありますが、同じく「目標に向かって突き進む」意識としては一緒だと思います。その目標にしても優勝や一番、多くの人に届けたいとかそれぞれ違ってはいますが、気持ちや姿勢は一緒というか。そういった面では共通する部分はあったと思ってます。
――こちらはテンポもミディアムですが、実際に歌ってみていかがでしたか?
意外と息継ぎの部分が少なかったりと、一見簡単そうに見えて実はかなり難しくて(苦笑)。歌ではけっこう苦労しましたし、表現にも悩みました。勢いやノリだけでは表し切れないですし、そう歌っちゃうと大事なところが失われてしまいそうで。しっかりと感情移入もしなくてはいけない曲だと思ってます。高校サッカーを通じて私や曲を知ってくださる方もたくさんいらっしゃるでしょうし。今の私の最大限を沢山伝えられるよう工夫して歌いました。
――同盤に収録されている「今だけは好きなものを好きでいたい」と「Say Good Night」はいかがですか?
「今だけは好きなものを好きでいたい」は、ライブでも一緒に盛り上がれる曲になっていて、私自身も歌っていてすごく楽しいです。この曲も「Say Good Night」も、お客さんが参加できる掛け声もふんだんに入っているので、是非ライブ等で一緒に声を出してもらいたいです。
――そうそう。「一緒に歌う」といえば2020年の2月からは東阪のワンマンライブも控えてますね。
そうなんです。前回のワンマンは春だったので、間がだいぶ空きましたが、久しぶりのライブハウスなので今からとても楽しみです。そこでは以前よりも成長した私の姿をお見せ出来るように頑張りたいなと。前回のワンマンはカバーが中心でしたが、今回は初の全国流通盤EPを出させていただいてオリジナル曲も増えたので、それをみなさんの前で歌えることが今からとても楽しみです。最初から最後まで多くの方に楽しんでもらえるライブを目指します!
――最後に今後や将来へのビジョンをお聞かせ下さい。
元気になったり、心に寄り添えたり、気持ちを重ねられる歌を届けられる歌手を目指します。ポップスも、ロックも、クラブミュージックも、ラップやR&B等々、特定のジャンルにとらわれずに、今後も様々な音楽に積極的に挑戦していきたいと思います。

取材・文=池田スカオ和宏 撮影=菊池貴裕

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