L→R 星野沙織(Vin)、ISAO(Gu)

L→R 星野沙織(Vin)、ISAO(Gu)

【soLi インタビュー】
ギターとバイオリンによる劇的交響曲

国内の代表的な多弦ギタリストとして知られるISAOと個性的なバイオリニストとして多方面で活躍する星野沙織が、soLiという名の新たなプロジェクトを始動させた。1stアルバム『soLi』で聴けるのは、ゲームミュージックに造詣の深いふたりならではのインストゥルメンタル。斬新な感覚をじっくりと堪能したい。

バイオリンとエレキギターのコンビって
自分の中で最強なんです

国内で多弦ギタリストと言えば、今やISAOさんの名前が真っ先に挙がるほどですが、ギタリストとしてはどのような道を歩んできたのですか?

ISAO
僕は高校に入るちょっと前ぐらいに、友達の影響でギターを始めたんですね。ただ、当時からゲーマーだったからゲームの中で流れるBGMとかが好きで、そういう音楽を楽器で表現できたらいいなと思ってギターにのめり込んでいったんです。とはいえ、RPGだったりそういう音楽って、その頃はMIDIとかの音源で作られていたので、エレキギターのようなサウンドは存在してなかったんですよ。でも、実際にそれをギターとかで耳コピして弾いてみると、すごく合うと思ったんですね。そんなことをやっているうちに、世の中のゲームサントラのクオリティーもどんどん上がってきて、MIDI音源じゃなく生演奏になっていくのを目の当たりにしてたんですよ。自分のやり始めたことは間違いじゃなかったと思いながら、高校の3年間は…例えばDream TheaterのJohn Petrucciだったり、海外の超絶系のギタリストをひたすらコピーして、さらに自分で作曲もしたり。で、その後に上京して、2000年にとあるインストゥルメンタルバンドでデビューすることができたんです。そのうちに六本木 PIT INNなどで大御所のミュージシャンの方々と一緒に演奏する機会にも恵まれて、インストゥルメンタルの世界にたくさんの音楽があることを知るんですね。

PIT INNと言えば、ジャズやフュージョンが中心ですね。

ISAO
そうですね。そういう中で作曲法とかも優れた先輩方を模範にしながら試行錯誤していくうちに、結局、僕はロックとかメタルが好きなんだと気付いて…良い意味でですけどね。で、20代半ばをすぎた辺りに、自分が憧れてた音楽ってどこにあるんだろうと思って渡米して、現地で4年半ぐらい活動してました。帰国してからは、いろんなご縁もあり、今は浜田麻里さんのバンドとか…国内でメタルをやるなら、そこに辿り着けるのが夢じゃないかなってところに来たという流れですね。

バイオリニストの方というのは、たいてい小さな頃から始められますよね。

星野
そうですね。私の場合は2歳の頃、近所の公園に小さいホールが併設されておりまして、そちらでバイオリンの発表会をやっていたのを偶然聴いて、“あれ、やりたい!”って言い出したのがきっかけなんです。ただ、物心が付く前に始めてたので、小学校ぐらいの時にはやるのが当たり前で、本気でこの楽器をずっと弾き続けようといった意識ではなかったんですね。でも、中学生の頃に難病を疑われたことがあって、その病気が進行してしまうと、もうバイオリンは弾けなくなると言われて。検査とかで2カ月ぐらい楽器から離れなければいけない時期があり、その時に楽器が弾けない日常への不安を覚えたり…“バイオリンが側にいてくれないと私の人生は完成しない”と思ったんです。そこから自主的に音楽というものを表現するようになりました」

ひとつの転機があったわけですね。

星野
はい。でも、私は音楽自体、聴くのはそんなに好きじゃなくて。ISAOさんと同じようにゲームも小さい時からやってたんですけど、ゲーム音楽が印象に残っているかと言うとそうでもなかったりして。クラシックに関しても同じで。ただ、私は歌も歌えないですし、文も上手く書けないし、造形物も上手く作れない…だけど、バイオリンは私が思っていることや人間性を伝えることができるものという感覚が一番しっくりくるんですね。音楽大学にも進学したんですけど、クラシック以外の音楽の可能性に触れて、いろんな音楽に興味を持ち始めたのがその頃なんです。作曲学科の方の作品を演奏する機会をいただけたんですけど、その時に変拍子であるとか、今まで知らなかった和声から逸脱したものとか、無音からのものとか、さまざまな譜面の表記とかを見て驚かされたんですね。で、やっていくうちにすごく魅力的だと思ってきて。多分、その時に現代音楽に触れたことで、楽器って決められたこと以外にも、いろいろと新しいことができるようになってるんだと気付いたんですよ。…何でこうなったんだろう?

“何でこうなったんだろう?”って(笑)

星野
(笑)。最初のうちは普通にクラシックのライヴとかをしてたんですけど、だんだんつまらなくなってきたんだと思うんですね。そんな時、ゲームとかボーカロイドとかアニメソングが好きな後輩が“一緒にライヴをやってみませんか”と誘ってくれて。それでやったら、えらい楽しかったんですよ。そんな折、ピアニストの矢吹 卓さんと演奏をご一緒させていただいたことがあって、“多弦のギタリストの方がエレキバイオリンの人を探しているんだけど、誰か紹介してくれない?”って言われたんです。でも、私にはエレキバイオリンをやっている知り合いがいなかったので、“じゃあ、私でいかがでしょう?”と言って(笑)、ISAOさんにも出会ったという感じです。

沙織さんの場合、オーケストラの一員のような演奏家というよりも、そもそもアーティスト志向だったのでしょうね。おふたりがsoLiを始めるきっかけにもなった、そもそもの現場はどういったものだったのですか?

ISAO
まず僕、ドラマーの前田遊野、キーボードを弾きながらトランペットを吹く音楽芸人のこまつの3人が出会ったんですよ。そこでゲームのサントラを完全に再現するバンドをやらないかって話になって。ゲーム音楽をやるに当たって、バイオリンってすごく大事なんですよ。やっぱりRPGの世界観で壮大感を出すには、いい音源や同期を使ったとしても、本物のストリングスのようには再現できないんですよね。だったら、生のバイオリニストを入れようよってことになり、沙織ちゃんを紹介されて一緒に演奏するようになったんです。
星野
それが2016年か、2017年ですね。

そこからsoLiの結成に至った経緯は?

ISAO
僕は海外のミュージシャンとかとソロ作品を出したり、プログレッシブメタルみたいなことをやってはきたんですけど、やっぱり根底にあるのはゲームミュージックなんですよね。そう考えた時、バイオリンとエレキギターのコンビって自分の中で最強なんですよ。たまたま沙織ちゃんと縁があって、僕がやってた舞台とかの演奏にも誘ったりしてたんですけど、“自分が幼い頃から親しんできたゲームの中から聴こえるバイオリンとかエレキギターのサウンドが、今、自分の目の前にある! これだ!”と思ったんですね。でも、実際にやってみるとバイオリンの音に対して、音価や音の伸ばし方だったりとか、減衰していくところの速さだったり…例えばごく一般的なアンプでリア(ピックアップ)の音でギターをバーン!と弾いたら、もう音色として合わないんですよ。すでにあるゲームミュージックとかでもそうなんですが、もっと完全一致できるんじゃないかと思って、音を伸ばす長さとか、ピッキングの強弱とか、ピックアップのセレクトとか、その頃からいろいろと追究するようになって。そのうちに周りからも“ISAOさんと沙織さんがメロディーのユニゾンをしている時の鳥肌感がすごい”とか、“本当に一本の楽器に聴こえる”とかって評価をだんだんいただけるようになってきたんですね。これは頃合いだと思って、今回のプロジェクトに進んでいった感じです
L→R 星野沙織(Vin)、ISAO(Gu)
L→R 星野沙織(Vin)、ISAO(Gu)
星野沙織(Vin)
ISAO(Gu)
アルバム『soLi』

OKMusic編集部

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