Kra × StudioZ コラボレーションの
魅力とその先に広がる未来の夢

Kraの景夕(Vo)と結良(Ba)がゲームスタジオ・StudioZのスマホ向けパズルRPG『エレメンタルストーリー』の大ファンだったことがきっかけとなり、ゲームのサウンドプロデュースや楽曲制作、さらにメンバー監修のコスチュームコラボキャラクターの構想にまで発展。そんな、楽しいコトに垣根はないことを実現しているKraの景夕と結良、『エレメンタルストーリー』のプロデューサーであるStudioZの松島智之氏とディレクターの加藤拓真氏を迎え、コラボレーションのいきさつから、ゲーム制作の裏側やプレイヤー目線でのゲームの魅力、そして今回のコラボレーションの先に広がる夢まで語ってもらった。
――Kraとゲームスタジオ・StudioZという、今回の鼎談はなかなか異色な顔合わせとなりますが。まずは、何がきっかけとなって両者がつながる御縁になっていったのかを教えていただけますか。
景夕:もともと、僕はStudioZさんの『エレメンタルストーリー』というゲームをリリース当時からやっていまして、twitterにもガチャの結果なんかをよく載せていたりしたんですね。そうしたら、加藤さんが前からKraのことを知ってくれていたそうで、僕のアカウントにリプライをくださったのが最初のきっかけになりました。
加藤:実は僕、昔ちょっとだけバンドをやっていたことがあるんですよ(笑)。昔はL'Arc-en-CielとかDIR EN GREYをよく聴いていたし、その後に出て来たthe GazettEとかアリス九號.も凄く大好きで、いわゆる平成のネオ・ヴィジュアル系バンドはいろいろ聴いていたんですね。だから、もちろんKraさんのことも聴いていましたし、それこそ10年くらい前にKraさんが日比谷野音でやったライブにも行ったことがあるんです。
――なるほど。加藤さんは、そこそこ筋金入りのギャ男さんでもあられたのですね(笑)。(注:ギャ男=バンギャル男の略で、ヴィジュアル系バンドが好きな男性のこと)
加藤:あはは(笑)。だから、twitterで景夕さんがエレストをやっているのを知った時は嬉しかったですね。その時は確か、ガチャガチャで新しいレアなモンスターを引いたっていうことを書かれていたんで、「おめでとうございます!」ってリプを送ったら「ありがとうございます!」って返ってきました。
――この時代ならではの出会い方ですねぇ。景夕さんからすると『エレメンタルストーリー』の魅力とは?
景夕:基本的にはパズルゲームなんですけど、そこにRPGの要素も合わさっていて、ゲームの進行状況によって技を自分で任意に作って行けるところですね。落ちてくるものでコンボを決めて行くところも面白いし、リリースしたばっかりの初期からやってきただけに、アップデートのたびにどんどんいろんな要素が加わって来て、時には新しい武器が出て来たりもするから、そういう過程もずっと楽しんできたところがありますね。ユーザーからすると、「ここでこういうキャラがいたらなぁー」とか、「ここを武器で埋められたら良いのに」って思っていたことが本当に実現されたりもするので、どんどん便利になっているのもありがたいです。逆に、ゲームが進んで行くと越えなきゃいけない壁も出て来たりして、ほんと面白いんですよ(笑)。
松島:ありがとうございます。まさに、その武器が出てくるあたりは自分がディレクターをさせていただいていたので、僕らが考えていたことが景夕さんに刺さった、というのは非常にありがたいです(笑)。
景夕:こちらこそ、何時も楽しませていただいてます!
――と同時に、どうやら結良さんもゲームへの造詣は深くていらっしゃるようですね。
結良:やりますね。1回ハマると、固定のタイトルだけに集中してしまうタイプです。
松島:エレストの次のタイトルとしてStudioZがリリースした『ホップステップジャンパーズ』に関しては、作っている僕の方が途中で結良さんにランクを抜かれました(笑)。
結良:そうなんですよ。今ちょうどログイン140日目で、僕はジャンパーズのプレイヤーとしてはまだ日が浅い方なんですけど、今はトップランカーの方に入ってます。毎月2回くらいイベントがあるんですけど、このあいだはそこで13位まで行けました(笑)。
景夕:へぇー!!
加藤:それは凄い(笑)。
Kra/景夕(Vo)
いちユーザーとして、自分の好きなゲームにこういうかたちで関われるっていうのは純粋に楽しいですね。
――おふたりとも、そもそもゲームはこどもの頃からお好きだったのですか?
結良:やってました、やってました。
景夕:好きでしたね。
結良:ただ、僕と景夕では楽しみ方がそれぞれ違うタイプですよ。たとえば、僕はRPGでいうとレベル上げをひたすらやる感じなんですね。
景夕:俺は、そこよりもストーリーを楽しんでいくタイプです。
加藤:あぁ、全然違いますねぇ。僕は、バグを探しちゃうタイプです(笑)。
――そこは職業柄、ついそうなりがちなのでしょうか(笑)。
加藤:なんかどっかに穴があって悪さできないかな?って、あちこち気になってしょうがないんですよ。
景夕:さすがですね!
松島:自分の場合は、1位の人にはなかなかドストレートでは勝てないので、なんとか脇道の方で勝とうとするタイプです(苦笑)。
加藤:つまり、性格悪いタイプですね(笑)。
――ゲームとひとくちに言っても、臨むスタンスは千差万別なんですね。そして、ここでは話は少し前後しますが、先ほどのtwitterを介して景夕さんと加藤さんが運命的な出合いを果たされた後、そこから話はどのように拡がって行ったのでしょうか。
加藤:twitterでやりとりをしていく中で、「Kraはもともとよく聴いてました!」っていうことをお伝えしたら、そこからさらに話が盛り上がって、今度は景夕さんからDMも来て「良かったら、今度ライブに来てください」っていうお誘いをいただいたんですね。最近は仕事が忙しくてちょっと音楽の世界から離れていたのもあったので、「ぜひぜひ!」っていうことでお返事をさせていただいたんですけど、そこから今度はKraのマネージャーさんから、うちの会社の公式サイト経由でメールをいただいたんですよ。
――そこにはなんと?
加藤:「このたびは、うちの景夕と連絡をとってくださってありがとうございます。今度、もしよろしければ打合せをさせてください」みたいなことが書いてありました。
――その“よろしければ打合せを”……とは、何の打合せを指していたのでしょう。
景夕:いや、その段階では誰も何もわかってなかったです(笑)。何か具体的なプランがあって、というのでは全然なかったですね。
加藤:マネージャーさんからのお話では、「まずはこれも何かの縁なので、今のKraのことを知ってください」っていうことでした。それで、その後すぐに会社まで来てくださって話をさせてもらって、「じゃあ、何か一緒にやりましょう!」と意気投合して現在に至る、っていう感じなんですよ。
StudioZ 松島智之氏
今回の取り組みをKraさんとStudioZとの第一歩とさせていただいたうえで、ここから今後につなげていきたいということなんです。
――なんでも、具体的には『ホップステップジャンパーズ』というゲームにKraが関わって行くという話が持ち上がったそうですね。
松島:実は、『ホップステップジャンパーズ』に関しては1月20日にクローズすることを発表させていただいているんですが、当初は1周年を迎えるタイミングでゲームに登場するキャラクターたちがバンドをやっている、という設定を新しく追加するプランが出て来て、そこにKraさんにからんでいただくという話があったんですよ。
加藤:カケルとガンマというふたりのキャラクターが、Kraさんの衣装コスプレをするということで、こういうデザイン画もあがっていたんです。
景夕:ほんとにこれ、うちらの衣装そのまんまですもんね。
――持っている楽器の木目まで、見事に再現されているではないですか。
結良:超リアルですよ。まんま過ぎて、見せてもらった時はびっくりしちゃった(笑)。

『ホップステップジャンパーズ』ガンマ(左)、カケル(右)
Kraアーティスト写真
――ちなみに、景夕さんと結良さんはそれぞれゲームキャラに対して何を特に求めたいですか? これは特定のタイトルに限らない質問として、お答えいただきたいです。
結良:人によってはデザインを重視するっていうのもあると思うんですけど、僕は外見とかよりも何より性能ですね。
景夕:僕も性能です。
松島:そういえば、このデザイン画を初めてお見せした時におふたりから出た第一声も、「このキャラの性能は?」でした(笑)。
加藤:デザインの話より、そっちが先なんだ!?って思いましたよ(笑)。
――参考までに、このKraコラボキャラデザインのカケルくんとガンマくんの性能というのは、いかほどのものなのでしょうか。
松島:5段階評価だと4.8くらいですね。
加藤:めっちゃ強いじゃないですか!
景夕:やったー!(笑)。
結良:ソーシャルゲームにおける3次元とのコラボキャラって、コレクターズアイテムみたいな感じで倉庫番になっちゃうことが多いですからね。そうじゃないのは凄いと思う。
――デザインも良くて性能も高いなら、言うことなしですね。
加藤:やっぱり、ユーザーさんの中には「このキャラクターが可愛くて好きだから使う」っていう人もけっこういるし、作り手側としてはユーザーさんを増やすためのひとつの間口としても、「いい絵だな」って思ってもらう為に見た目としてのデザインに細かくこだわったりするんですよ。もちろん、おふたりみたいにガチでゲームそのものにハマってくださっていると、いかにプレイを円滑に進めて行けるかというところがより大事になってくることも多いと思うんですけど、デザインと性能そのどちらもがゲームを作っていくうえでは重要だということですね。
――そういう意味では、ゲームの世界とヴィジュアル系の世界はどこかで相通ずるところがあるかもしれません。まずはインパクトのある見た目や凝った演出方法で興味を惹きつつも、最終的には説得力のある音楽性や歌の良さで聴き手の心をしっかりとつかむ、というところが。
景夕:確かにそうですね。似てるかも。
加藤:音楽とゲームに、そういう共通点があったんですね。
――音楽とゲームといえば、『ホップステップジャンパーズ』では音楽の面でもKraが制作に参加するという話があったそうですね。
結良:最初はKraとしてではなく、まずは僕が1周年記念用のBGMを作ることになって、実際に途中までは作ってたんですよ。
Kra/結良(Ba)
ゲーム音楽ってずっとサビなんですよ。それをループさせたうえで成立させるように作らなきゃいけない、っていうことを常に意識しながら作ってました。
――普段はバンドサウンドを作っていらっしゃる結良さんからすると、ゲーム音楽の制作にあたって心がけていらしたのは?
結良:ゲーム音楽って、ずっとサビなんですよ。しかも、尺としては短いですからね。それをループさせたうえで成立させるように作らなきゃいけない、っていうことを常に意識しながら作ってました。
――『ホップステップジャンパーズ』の制作側から、結良さんへの曲調の雰囲気などに関するオーダーは何かしらあったんですか?
松島:カッコ良いけれど明るい感じにして欲しい、ということは伝えましたね。Kraさんの音楽って、カッコ良いけれどヴィジュアル系バンドとしては明るくて聴きやすい音楽だと僕は認識していたので、そこの持ち味をぜひ活かして欲しかったんです。
結良:これからメロディを乗せようかな、という段階でクローズのご連絡をいただくことになったので、ちょっと残念なんですよね。
松島:僕としては、今回のキャラデザインも結良さんが作ってくださっている曲も、できればエレストの方で引き継いで移植させていただければな、とは思っているんですよ。せっかくなので、ちゃんとした完成形になった曲を聴きたいんです。
――そのお気持ちはよくわかります。
松島:考え方としては、今回の取り組みをKraさんとStudioZとの第一歩とさせていただいたうえで、ここから今後につなげていきたいということなんですよ。これまでだとゲームはゲーム、音楽は音楽、という感じで別の世界のエンタテインメントとして存在していたと思うんですけど、両者が新しいかたちでのコラボレーションをするというのはあまりに他に例がないことで、曲だけタイアップするみたいなのとは違って、Kraさんとのプロジェクトが実現すれば、これはきっと初めてのことになるはずですからね。
――それはもう、間違いないことでしょう。
松島:Kraさんとは今後も他にはないものを発信するべく、今後も一緒にあらたなエンタメの世界を作っていくことができたらいいなと、僕個人としてはもちろん、会社の姿勢としてもそのように考えております。
加藤:これも全ては、あのとき景夕さんが僕とtwitterでコンタクトを取ってくれたからこそ始まったことですね。今、景夕さんとはまた別の新しく作りだしたコンテンツの方でもBGM制作をお願いしていますし、ほんとにここからどんなことが一緒にできるだろう?って楽しみなんですよ。
StudioZ 加藤拓真氏
日常では体験できないことを楽しむ、っていう意味ではゲームと音楽は近いものがありますね。
――その新しいコンテンツについても、少し解説をしていただいてよろしいですか?
加藤:景夕さんとゲームの話をしたり、お食事に一緒に行かせていただいている中で、半ばノリもあって「うちで月2回ペースでやっている、生放送に出てみませんか?」という話になったんですよ。
――YouTubeにも動画がアップされている、あの番組ですね。
景夕:いやー。凄い緊張しながら出たんですよ、アレ(苦笑)。
加藤:なんか、「手が震える……」とか言ってビビってましたよね(笑)。
景夕:ゲームファンの人たちにボコられたらどうしよう!?って凄い心配で。正直、かなり怖かったです(苦笑)。
加藤:でも、やってみたらリアルタイムで視聴してくれていた方たちに温かく迎え入れられてましたもんね。「景夕さん、イケメン!」みたいな感じで。プロフィール紹介をしたら、「あぁ、Kra知ってる!」とか「『遊戯王5D's』のオープニングやってた人だ!」っていう人たちもいて、すっかり公認プレイヤーとして認知されました。
景夕:ちょっと安心しました(笑)。
加藤:あれ以来、最近はうちの公式twitterの方でも、景夕さんにはユーザーの方とよくからんだりしてもらってます。それに、さっきのBGMの件もその番組内から始まった話なんですよ。Kraさんのファンの方から「景夕さん、何かエレストの音楽を作ってください」というコメントが来て、それが直接的な切っ掛けでしたっけ?
景夕:そうですね。そういうかたちでも協力させていただけたらなと思って、「作ります」って言いました。
――その企画について、現段階で既に決まっていることがあれば教えてください。
加藤:来年の春先に追加するエレストの常設コンテンツのBGMをお願いすることになったので、詳しいことはこれから詰めて行くことになるという状況ですね。
――景夕さんとしては、なにかしらプロットはできていらっしゃいます?
景夕:根本的にはインストとして作るんですけど、必要であれば効果音的なコーラスとかは自分で入れる可能性もありますね。あと、もちろんベースは結良さんに任せた方が絶対いいので、曲ができたら「ちょっと入れて」って頼むと思います。
結良:了解(笑)。
景夕:いちユーザーとして、自分の好きなゲームにこういうかたちで関われるっていうのは純粋に楽しいですね。
加藤:本来はゲームが好きな人とバンドが好きな人って全く違うユーザー層だと思うんですよ。でも、Kraさんを切っ掛けにしてゲームの世界に触れてもらったり、逆にゲームのファンの人がこういうことを切っ掛けにKraさんの世界に触れてもらうことになったり、っていう良い相互作用がここから拡がって行くといいなと思ってます。
――そうした一方、来たる1月22日には渋谷Mt.RAINIER HALLでの2デイズ公演『Kra WINTER LIVE 2020【 続・花の青春18切符 】FINAL』も控えていますね。
景夕:今回のツアーは原点回帰という意味で10年くらい前にやったツアーと同じタイトルで、当時の曲を軸に新旧の曲もやっている感じなんですが、その集大成をファイナルではお見せできるんじゃないかと思ってます。
結良:ふたりになった節目でもあるし、当時いたギタリストの舞っちょが今回はサポートとして入っているので、今回はその頃の雰囲気も出しつつ皆と楽しみたいですね。
加藤:僕も今から楽しみにしてます! ツアー初日にもうかがったんで、ファイナルがどうなっているのか期待してます!!
松島:僕も初日に初めてKraさんのライブを体験しまして……というか、ヴィジュアル系のライブというもの自体が初めてで、行く前はなんか怖そうだなってちょっと不安だったんですけど(笑)、「こんなに凄い世界があるのか!」と凄く新鮮でした。自分の知らなかった、非日常空間を教えてもらえたんですよ。
加藤:帰り道もずっと、「あれはヤベぇ!」ってテンション上がってましたもんね(笑)。
――非日常的な異空間を生み出すことができるもの、という点でも音楽とゲームはどこか似ていそうです。
結良:あぁ、なるほど。
加藤:日常では体験できないことを楽しむ、っていう意味では近いものがありますね。
松島:ライブであそこまで人を熱狂させる、夢中にさせるって本当に凄いことだなと思うんです。ここからは僕らとしても音楽とゲームを上手く融合させていくことで、新しいエンタメのかたちを目指して行きたいです。
景夕:何時もお話をさせていただくたびに、「こんなこともできそうだな」とか「あんなこともやってみたいな」っていろいろと妄想や空想も膨らむので(笑)、ひとつずつ叶えていきたいですね。楽しみだな!
取材・文=杉江由紀 撮影=大塚秀美

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