12月21日(土)@大阪城ホール photo by 米山三郎、笹森健一

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超特急、大阪城ホール公演で
ひと足早いクリスマスを演出

6人組ダンス&ボーカルグループの超特急が12月21、22日の2日間、大阪城ホールにてワンマンライブ『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020 Revolución viva ~Pastel Shades Christmas~』を開催した。年末に大阪、年が明けて1月に東京を回る今回のアリーナツアーは、東西で全く異なる演出のライブとなることが予告されており、全5公演のチケットは即日完売。“Pastel Shades Christmas"とサブタイトルの付いた大阪公演では“パステル"をテーマに、クリスマスソングメドレーや甘く切ないウィンターソング、さらに超特急と8号車をつなぐRailを具現化した大がかりなステージ演出と盛りだくさんな内容で、2日間で集まった計2万5千人の8号車(超特急ファンの呼称)と一足早いクリスマスを楽しんだ。

サンタが空を飛ぶクリスマス仕様のオーバーチュアに続き、1曲目のイントロでオルゴールの音色が流れたとたん、スタンドてっぺんの立見席までペンライトで埋め尽くされた場内は歓喜の渦に!紗幕が飛ぶと鮮やかなカラースーツに身を包んだメンバーが現れ、パステルカラーのネオンに輝く巨大ステージの前で披露したのは「Fantasy Love Train~君の元までつながるRail~」だ。“シャンシャン"とスレイベルの音が乗ったファンタジックなナンバーは、超特急のライブでも冬にしか歌われない大人気のラブソングで、ドリーミーな空気感が今から始まるスイートな時間への期待をかき立ててくれる。しかし「Pastel Shades Christmas、ほな、いきまっせ!」というリーダー・リョウガの号令からは、特効の火薬を合図に爆アゲ曲「バッタマン」を早くも投下。現在休養中のユースケに代わり、全力シャウトはメンバーが交代で務め、間髪いれずに超特急史上最大級に破天荒な新曲「Don't Stop 恋」がライブ初披露されれば、大阪城ホールは一気にカオスの海と化す。センターを務めるタクヤの靴をタカシが膝に乗せて整える振りを皮切りに、目まぐるしく展開の変わるエキセントリックな曲に乗って、いきなりビームを放ったり、5人で腕を組んだりと、ナンセンスでシュールな踊りは“ダンス"のパブリックイメージを大幅に逸脱して“摩訶不思議"の一言。にもかかわらず熱く沸き立ち、サビになれば“どすこい!どすこい!"と声を合わせてペンライトを突き上げる8号車の高い対応力には、まったく脱帽するほかない。

ドラマの主題歌にもなった最新シングル「Revival Love」をシンクロ率の高いジャンプで魅せ、「皆さん、ただいま!今年も来れて嬉しいです」と、昨年に続き今年も大阪城ホールで年末ライブができることに喜びを表したのは大阪出身のボーカル・タカシ。ちなみに今回の大阪公演の衣装はすべてカイがプロデュースしており、「1着目はパステルのジャケットにしました。メンバーみんなカッコいいんで、このあともカッコいい超特急の姿を見てください」とアピールしてくれた。そして黒ベースのスポーティーな2着目に早着替えして、投げキスとユーキの見事なアクロバットで8号車を悩殺した「Kiss Me Baby」に「We Can Do It!」がセクシーに続くと、なんとステージが2階スタンド席の高さにまで持ち上がり、そのままアリーナ客席の頭上を通って後方へと移動! 向きを変えて挑発的な視線と刺激的なアクションを投げかけながら、どんどん近づいてくる5人に、8号車からは割れんばかりの大歓声が鳴り響く。「One/O Signal」では最後方までたどり着いて、ステージから最も遠かったはずの2階正面スタンド席の目の前で歌い踊り、「Seventh Heaven」では各メンバーがレール上をトロッコで散らばって全方向から8号車を煽動。ムービングステージにレールトロッコと、幕開けに歌われた“君の元までつながるRail"を現実のものにする大がかりな仕掛けは、8号車にとって最高のクリスマスプレゼントとなったに違いない。さらにカイ、リョウガ、タクヤ、ユーキのダンサー陣が、ダンストラックに乗せてイリュージョンのようなパフォーマンスを披露。スモークの中でメンバーが舞台のあちらこちらに現れたり、床の下から突如ポップアップで飛び出したりと、息もつかせぬ展開は“Revolución=革命"と名付けられた今ツアーに対する並々ならぬ意気込みの表れのようでもある。

そして黒から白へと衣替えし、ジャズアレンジされた「Whiteout」からは、魅せて聴かせるブロックがスタート。「DJ Dominator」「Hey Hey Hey」といったソウル~ファンクな大人びた楽曲も余裕の表情でノリ良くこなし、白黒つかないパステルカラーな感情を繊細なグラデーションで、かつ伸びやかに表現するタカシのボーカルも、着実に引き出しが増やされている。そんな彼だからこそ、雪が舞う紗幕を背に叶わぬ恋情を真っ直ぐに歌い上げる「Snow break」の破壊力はすさまじく、リョウガとユーキ、カイとタクヤによるドラマティックなペアダンスでも切ないエモーションが爆発。結局ダイナミックな演出や舞台セットも、すべてはメンバー自身の着実な進化があるからこそ活きるものなのだ。

今、現在の持てる力を最大限に発揮したところで、超特急のクリスマスを切り取った映像がオーディエンスをパーティー会場に迎え入れると、今度は8号車と共に“楽しむ"タームへ。ゴールドの華やかなスタイルに着替えたメンバーがせり上がり、ステージのネオンも赤と緑にきらめいて、「サンタが街にやってくる」から誰もが知るクリスマス曲をハッピーにメドレーしてゆく。しかし「Carol of the Bells」になると、スモークの中に現れたカイとリョウガが巧みな動きでマリオネットのように怪しく蠢き、ポップアップで飛び出したタクヤとユーキも加わって、ダークファンタジーな世界観を構築。「Happy Holiday」では回るミラーボールの光を受けて、ダンサー陣がステッキを手にオシャレな空気を振りまいたり、満天の星空と化した天井の下でタカシが「きよしこの夜」を日本語と英語で清らかに歌唱したりと、さまざまな角度からクリスマスの情景を表現してくれる。「We wish you a Merry Christmas」でも、カラーボールが噴出するアリーナをムービングステージで移動する華やかなショーパフォーマンスを繰り広げ、5人で「メリークリスマス!」と声を合わせてニッコリ。そこに連なった超特急の「Billion Beats」も、ピュアな響きが聖なるクリスマスソングとマッチして、この2日間だけの特別なメニューで特別な時間を堪能させてくれた。MCでは初日のライブ後にタカシが放ったという「ライブはデートだからな」という名言も紹介されたが、そんな言葉が漏れたのも納得の親密さが超特急と8号車の間にはある。

ラストスパートは、8号車との一体感を高めるひと時に。タクヤが「皆さん、コール叫んでください!」と前置いた「Drawイッパツ!」では、ジャケットを脱ぎ捨ててユーキ作の躍動的な振りを踊るメンバーに、8号車から大音量のコールが贈られる。“ファン参加型"という超特急ライブ最大の魅力を限界まで詰め込んだナンバーに8号車も全力で声をあげ、初日から「いや、みんなすごいね!初披露だからできないと思ってた!」とユーキを驚かせたが、その勢いは2日目さらに加速。一糸乱れぬ何万本ものペンライトの動きも圧巻で、続く「超越マイウェイ」でもユーキの指南により“CHOUETSUマイウェイ"ダンスで会場中が一つになった。加えて「みんなに会いに行くよ!」(カイ)とトロッコに乗って、「Burn!」で2階スタンド席の真ん中をぐるりと周回。カラーボールを放りながら8号車とバッテンダンスを勢いよく繰り出し、タカシのボーカルを支えるべく盛んに声を出して8号車を先導するカイの煽りも頼もしい。そして「ラスト、いくぜ!」とリョウガが告げると、鉄板曲「超えてアバンチュール」がクリスマスカラーの銀テープと共に本編を締めくくる。宙高く持ち上がったステージの上で「頭ぶん回してもらうぞ!」(リョウガ)と大きくヘッドバンギングする5人の頭上では、火花が黄金色にスパーク!ペンライトごと大揺れする8号車の興奮も止まらず、すぐに“超特急!"コールで5人を呼び戻した。

ベルの音でアンコールの幕開けを飾ったのは、この大阪公演のテーマソングでもある「Sweet Bell」。あふれ出す愛をポップに歌うタカシをバックに従え、ダンサー陣がキビキビと快活に踊る陣形が“メインダンサー&バックボーカル"という超特急のコンセプトを実感させるものの、美しいファルセットやフェイクで曲を自在に彩るタカシの歌声は、どんなに後ろからでも耳を奪うもの。負けじとダンサーたちも頭の先から爪先まで神経の行き届いた動きで目を奪い、その相乗効果が超特急の強いところなのだと改めて思い知らされる。そして、その原動力が8号車の声援であることを「fanfare」の大コーラスが証明。「みんなの声、もっと聴かせてほしい!2020年に向かって、最高のファンファーレを響かせようぜ!」と懇願するユーキに熱い声が返り、最後は「腹から声出せ!」とカイが煽った「超特急です!!!!!!!!」で再びムービングステージに乗り大移動して、想いの丈を今日一番のアグレッシヴなパフォーマンスで表してゆく。アンコールのMCで「超特急の今、そして成長していく姿というものを感じられるセットリストにしたかった」と総合演出を手掛けたユーキは語っていたが、それを実現できたからこその熱狂だったに違いなく、「今年1年超特急を応援できて良かったな、来年も一緒に走っていきたいなと思っていただけたら」というタクヤの想いも届いたに違いない。

12月25日の結成日には、昨年と同じくユニバーサル・スタジオ・ジャパンで結成8周年記念ライブを行う超特急。年明け早々の1月3 ~5日には、この『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020 Revolución viva』の東京公演を代々木競技場 第一体育館にて3 デイズで開催し、その後も男性限定ライブにファンクラブツアーと、次々予定が決まっている。2日目最後のMCでは「皆さんの想いを背負って2019年を走り切ることができましたし、2020年も突っ走っていきたいです」(カイ)、「またこの景色を今度は6人で見たいし、新しい超特急も見せたい」(タカシ)という言葉もあった。その根本には「魂を燃やすような最高のライブができているのも、超特急を愛してくださってる方々の応援があるからこそ」(リョウガ)という想いがある。日本にとって大事な年となる2020年――それは8号車という大勢の味方を持つ超特急にとってもまた、大きな飛躍の年になるはずだ。

photo by 米山三郎、笹森健一
text by 清水素子

【セットリスト】
M1:Fantasy Love Train
M2:バッタマン
M3:Don't Stop 恋
M4:Revival Love
M5:Kiss Me Baby
M6:We Can Do It!
M7:One/O Signal
M8:Seventh Heaven
M9:P.S.C Rave Track
M10:Whiteout
M11:DJ Dominator
M12:Hey Hey Hey
M13:Snow break
M14:P.S.C Christmas Medley
SANTA CLAUS IS COMIN' TO TOWN / Sleigh Ride / RUDOLPH THE RED NOSED REINDEER / Carol of the Bells / Happy Holiday / きよしこの夜 / We wish you a Merry Christmas / Billion Beats
M15:Drawイッパツ!
M16:超越マイウェイ
M17:Burn!
M18:SAY NO
M19:超えてアバンチュール
EN1:Sweet Bell
EN2:fanfare
EN3:超特急です!!!!!!!!

【ライブ情報】

『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020 Revolución viva ~Shine Bright New Year~』
[2020年]
1月03日(金) 東京・国立代々木競技場 第一体育館
1月04日(土) 東京・国立代々木競技場 第一体育館
1月05日(日) 東京・国立代々木競技場 第一体育館

◎ツアー特設サイト 
http://bullettrain.jp/viva
12月21日(土)@大阪城ホール photo by  米山三郎、笹森健一
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OKMusic編集部

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