ミュージカル『テニスの王子様』3rd
シーズン、ファイナル! 全国大会 青
学(せいがく)vs立海 後編 ゲネプロ
レポート

2019年12月19日(水)東京・日本青年館ホールにて、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 後編 の幕が開いた。その初日公演直前に行われた公開ゲネプロと会見の様子をレポート。これが、舞台上も客席も一体となって楽しんだ、3rdシーズンのファイナル本公演だ!
全国大会決勝戦。共に2勝2敗と一歩も譲らぬ攻防の中、試合は青学(せいがく)のスーパールーキー・リョーマ(阿久津仁愛)と立海の部長・幸村(立石俊樹)のシングルス1を残すのみとなった。しかし、リョーマは直前の強化自主トレで不慮の事故に遭遇。一時的な記憶喪失となり、まともにテニスができない状態に。試合開始が迫る中、恐る恐る練習コートに立ったリョーマは乾(竹ノ内大輔)、桃城(大久保 樹)、海堂(中島拓人)とボールを打ち合うことで次第に記憶が戻り始め……というところで「to be continued」となった前編。後編1幕はさらにリョーマを“本域”に戻すためにスパートがかかるところからの再開。これまで戦ってきたライバルたちも助っ人参戦し、なにも知らない子どものようなリョーマに次々とボールを打ち込んでいく。
そこで繰り広げられるのは、不動峰・伊武(健人)の“スポット”、聖ルドルフ・不二裕太(大原海輝)の“ライジングショット”、リョーマが“ドライブA”を初披露した山吹・亜久津(川上将大)との戦い、氷帝・日吉(内海啓貴)の“演武テニス”、そして比嘉・田仁志(高田 誠)の“ビッグバン”攻略と、これまでのリョーマ戦の再現! まさに『テニスの王子様』のストーリーを一気に辿っていく怒涛の展開だ。このシーンを実現しているのは、これまでリョーマに敗れた者たちのプライド。リョーマに檄を飛ばしながら自ら名試合をなぞるライバルズの尽きぬ闘争心とリョーマへの思い、そしてテニスへの情熱に溢れる彼らの姿、声を合わせて奏でるハーモニー。場内はライバルズの放つ極上の「愛」に包まれていく。
さらに総仕上げに登場するのは立海・真田(田鶴翔吾)と氷帝・跡部(三浦宏規)。覚醒寸前のリョーマに今までと同じではなくプラスαのパワーを注ぎ込むために、惜しみなく自身の持つ全てをリョーマに叩きつけていく。「こんなに戦ったら決勝戦まで持たない!」という周囲の心配を跳ね返すように、記憶の波を漂いながらじわじわと、そして確実に己を取り戻していくリョーマ。それぞれの学校の枠を超えての共闘、全員でエモーショナルに一丸となっていくステージ上の熱気。1幕にして早くも気持ちはクライマックスだ。
休憩を挟んだ2幕はいよいよ最終戦。舞台中央に君臨する立海・幸村は“神の子”の異名にふさわしい神々しさ。立海カラーの黄色いスポットに照らされ、神話の銅像のような美しさと底知れぬ強さ漂う禍々しさすら感じさせる“絶対王者”のフォルムである。対するリョーマは前半こそ初対戦の強敵にかなりの苦戦を見せるが、“育て直し”“転生”とでも言うべき貴重な時間を糧にした、さらなる自分らしいテニスを会得。「テニスって楽しいじゃん!」とすべてのマイナス要素を吹き飛ばし、前人未踏の領域、天衣無縫の極みへと踏み込んで行き──。
自身のベストテンション、キャップを外した状態で最高の笑顔でゲームを続けるリョーマ。自分を信じ、仲間を信じ勝つことのみを信じて最後までオーラを失わない幸村。この戦いを心から励まし応援するチームメイト、ライバルズ、そして私たち観客の気持ちが「この試合をずっと観ていたい」と一致した瞬間、有無を言わさず湧き上がってくる「テニミュって楽しい!」の思い。そこにポンッと放たれる南次郎(上島雪夫)の優しい一言が、胸の奥まで一気にしみ込んでいく。そう、ここにいる全員がテニスに愛されている青少年! これぞ『テニスの王子様』! これぞハッピーエンド! その先の余韻たっぷりなラスト〜エンディング〜アンコールに到るまで、「テニミュを観続けられて幸せだなぁ」と、しみじみと心が暖かくなるばかりだ。
ライバルズだけではない。タッグを組んでリョーマを支える側に回りながら、要所要所で各々の魅力をきっちり立たせてくる青学レギュラー陣とトリオの愛おしさはもちろん、一枚岩の圧倒的な厚みで立ちはだかる立海メンバー、手に汗握る中程よい緩急をつけてくれる四天宝寺と、キャスト全員が見どころ。これまで培ってきたチームワークで試合やセリフの応酬もテンポよく、物語の集大成を真心いっぱいに届けてくれる。
映像効果も最小限、余計なモノを取り去った素舞台を中心に、シンプルな視覚で役者の躍動を堪能させる演出もいい。今まで以上に「ミュージカルを観ている」満足度を高めてくれているのも心憎く、素晴らしかった。
聴きたかったナンバー、観たかった振り付け、そして3rdシーズンならではのまだ見ぬ新たな名シーンの表現。守るモノは守り、攻めるところはのびのび攻める。2.5次元ミュージカル隆盛にあってなお、地に足をつけて丁寧な作品作りを続けている信頼のテニミュカンパニー。ここに置かれるエンドマークは、必ずまた新たなスタートへと繋がっていくのだろう。ジャンルのパイオニアでありチャレンジャーであるテニミュはやはり、観れるときに観るべき“忘れられない”演目である。
囲み会見コメント
■越前リョーマ 役:阿久津仁愛
僕はテニミュで試合ができるのが約1年半ぶりなんですけど、ゲネプロを終えてみて「あー、ずっと舞台上にいるなぁ」って、すごく嬉しいです。58公演無事に駆け抜けられるかなっていう不安もあるんですけど……でも、リョーマも笑顔で楽しんでテニスをしているので、僕自身も楽しんでいきたいです。見どころは……全部(笑)。まずライバルズは古田(一紀)さんが演じたリョーマと戦った相手もいるので、そこを自分なりにすごく研究して試合を作ってきました。幸村戦は俊くん(立石)が初めての試合なのにここまでオーラもすごくて……「負けてられないぞ」って気持ちでバチバチで挑んでいます。リョーマが苦しんでいる姿も楽しんでる姿も全部が見どころだと思います。テニミュの夏はまだまだ終わりません。冬だけど、夏! なんです! それは本当に伝えたい! 今までの熱量プラス今回の熱量でとにかく全力でしっかりと駆け抜けることが大切。東京凱旋公演まで応援よろしくお願いいたします。
手塚国光 役:青木 瞭
3rdシーズン最後の本公演。僕が目指している青学像はみんなで一人を支える、一人のためにみんなが動く。その努力で個々の力もチーム力も上がっていくのが理想なんです。そこを目指して今まで上がってきたので、今回も変わらずに青学一丸でリョーマを支えていきたいと思います。見どころは……今回青学曲があって明るく楽しくできてるので、この先の公演でもっともっと思いを伝えていきたいです。あと、リョーマが記憶を取り戻していくシーンは大切なシーンがたくさんあるので、その一つひとつにもぜひ注目して欲しいです。最後の頂上決戦、バチバチと楽しく熱い試合を繰り広げます!
幸村精市 役:立石俊樹
意気込みはたくさんあるんですけど、3rdシーズンラストの最終決戦、リョーマと幸村の試合を自分が演じられることがとても嬉しかったので、命がけで向き合って越前リョーマを倒したいと思っています。自分自身初めての試合、関東大会立海公演から約3年目、待ちに待った満を持して試合に臨んでいきます。僕も見どころは全部だと思うんですけど、シングルス1、絶対王者とルーキーの試合は「テニスを楽しむリョーマ バーサス 負けてはならない幸村」。肉体的だけじゃなく精神的にも戦う幸村のドラマティックなところは必見。あと、僕もずっと歌いたかった曲もたくさん詰め込まれていますので……みなさんもお楽しみに。劇場は夏真っ只中という環境をお伝えできるように心にくる熱い試合を繰り広げ、毎公演誠心誠意ぶつかっていきたいです。
■跡部景吾 役:三浦宏規
跡部としてこうやって帰ってこられて本当に嬉しく思います。氷帝は僕と日吉ふたりの出演になりますが、他の氷帝のメンバーの気持ちもしっかり背負って、仁愛を……リョーマを支えていけたらいいなと思います。個人的には関東大会氷帝公演から全国大会立海公演の最後までひとりの俳優が跡部を演じたことが今までなかったので、そうできたことが自分の誇りになるように、最後まで頑張っていきたいと思います。ライバルズが全員集まって歌う、まったく色の違うキャラクターたちが一緒になってリョーマを思い出させるシーン、「うわ、このメンバーたちが集まって同じ振りで歌っている!」ってなるシーンは、やはり見どころですよね。青学や立海の絆の深さはさすがだなぁと感じてますが、ライバルズも結構絆は深いんです。初めて集まったにも関わらずみんなで頑張る僕たちも負けてないかなと思うので。この熱さで最後まで駆け抜けます!
(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト
(c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
写真=オフィシャル提供

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