ゼリ→

ゼリ→

【ゼリ→ インタビュー】
“ゼリ→とは何だ?”というのを
本当に追求した

今の俺の気持ちとフィットしたのが
BPM180以上の8ビート

って精神論ばかり話しててもね(笑)。そんなゼリ→を復活させて、まずはオールタイムベスト『BAD PHILOSOPHY』のリリースがあって、EMI時代の楽曲を新たに録り直したわけですが、久々のゼリ→の曲はどうでした? PUNK BACK OCEANの時は鍵盤がいたけど、4ピースで鳴らすシンプルなパンクロックというのは。

気楽だったな〜(笑)。鍵盤って音程が狂わないから、それとのせめぎ合いがあるんですよ。だから、“意識せずともすごい考えながら歌ってるんだな、俺”って思いましたね。そして、“何も変わってないな”って。

そのあとに控えていた復活ライヴへの自信にもつながった?

パフォーマンス的な不安はなかったですね。

実際、その日のライヴはどうでした?

台風が来てて、開催できるかどうかってのがあったから…来れなかった人が200人以上いたみたいだし。でも、ちゃんと自分の中での想いは定まってステージに立てた気がしますね。立ってしまうと、あっと言う間なんだけど。あと、サポートメンバーにも気を使ってたところはあったかな。やっぱりサポートだから、あんまり観てもらえなかったりするだろうから、つまんなく思ってないかなって気にしてた(笑)。まぁ、MCかな。新曲ってことで「キミのヒビ」をやったんですけど、なぜ新曲をやるのかってこととか、話さなければならないこともあったし…でも、その場に立って話すと感情があふれてきて。あの日、コーヘイも観に来てたし。でも、良かったですね。って、映像を観て思ったんですど。自分が何をしゃべったかなんて覚えてないから(笑)。

新曲の中でも「キミのヒビ」をやったってのが意味深い。

そうっすね。それに新しいことをやらなければ、復活した意味がないんで。

新曲の話はのちほどするとして、お客さんはどうでした? “みんなが棒立ちで観てたらどうしよう”という不安もあったわけだけど(笑)。

でもね、やっぱり途中までは様子見な空気はありましたよ。それがやっていくうちに、だんだん曲を思い出して、俺がやっていることだったり、サポートメンバーのことも受け入れてくれて…っていうのを感じましたね。

ちゃんとお客さんを巻き込めた?

う〜ん、初めての経験なんで、こればかりは分からないです。でもね、そのあとに急遽、デビュー日(11月10日)にShinjuku Live House Marbleでライヴをやったんですけど、あの時は最初から爆発してましたよ(笑)。

会場がMarbleだし、時間も深夜だし(笑)。

もう爆裂するしかない(笑)。でも、あのライヴをやったことで、やっぱりマイナビBLITZは様子見だったって感じましたね。

なるほどね。では、新作の『+×』についても訊きたいと思います。ストレートなパンクロックで、リフと8ビート、ギターのダビングも必要最小限で小細工なし!というサウンドだったのですが、それをやりたかった?

最初はね、もっといろんな曲があったんですよ。「STAY DREAM」や「風よ教えて」って最初のほうに作っていた曲で、『FIRE ARROW』(2008年4月発表の7thアルバム)の延長というか、マイナーキーでちょっと陰のあって、テンポもそんなに速くないものが多かったんです。でも、それだと今の俺が歌いたいことが乗らなくて。「STAY DREAM」はヒッポホップ調だし、言葉数を多くしたから問題なかったんだけど、他はなんか違ったんですよ。それでいろんなトラックを作っていった中、今の俺の気持ちとフィットしたのがBPM(1分間deの拍数)が180以上で、メジャーキーの8ビートだった。やっぱりビートと言葉が持つ空気って伴ってるんですよね。

最初に作った曲が「STAY DREAM」?

そうです。

それを軸に他の曲ができていった?

そのはずだったんですけど、軸にならずに陸の孤島になってしまった(笑)。で、次にできたのが「風よ教えて」だったんですけど、サウンド的に毛色も違うし、入れるのはやめておこうと思ってたんですよ。だから、俺の感覚で言えば、陸の孤島への橋渡し的な感じかな。そういった曲が他にも10曲くらいあったから、8ビートの曲も作ろうと思って作ったのが「キミのヒビ」だったんです。

1曲目の「世界と自分の本当の距離」は?

その3曲ができて…というか、「STAY DREAM」と「キミのヒビ」が軸になりそうだったんで、そこからどの方向に向かって行くのかを考えた時に、やっぱり「キミのヒビ」で歌っている感情が俺が出したいものに近かったから、それに寄せて「世界と自分の本当の距離」のトラックを作ったんですよ。で、まだ歌詞も何もない段階でヴォーカルブースに入って、そのトラックを聴きながら思うことを言ってみようと思って言ってみたのが、出だしの部分なんです。《おい、聞こえないふりしてんじゃねーよ そーだよ! おまえだよ》って(笑)。このトラックで言いたいことをまずしゃべって、それを聴き返してみたら“これ、今の俺を表してるな”って思ったんで、そのまま採用して、そこから歌詞を書いていって。だから、この曲を1曲目にせざるを得なかった。

その最初の言葉が《あの日突然消えてしまったものを俺は確かめにいくんだ》だから、この新作の幕開けを飾るにはこれしかないですよね。それこそ宣誓のような感じがあるし、高らかで痛快なパンクサウンドだし。その曲に続くのが「キミのヒビ」なのですが、これはかつてのロッカー、パンクスだった“キミ”に向けて歌っているようで。

あぁ、そういう感じがありますか。

ありましたよ。“今のおまえはどうなんだ?”って問い掛けられてるような。それはYAKUMIくんが自分と向き合って書いた歌詞だから、聴き手にもそう響くというか…要はゼリ→が復活するっていうことは、当時のファンの心も復活するわけですよ。

そうなんですよね。ロックバンドはファンと一緒に成長していくところがあるじゃないですか。ビジネスだけを考えると、やっぱり十代の奴らを取り込みたいわけですよ。でも、十代の奴らの気持ちなんて分かるはずもなく、分かる必要もなく、俺は今の俺が思うことを全力で歌いたい…って、思うんです。“こういうことを歌えば、十代の子らに共感してもらえるかな”って思ってた時期もあるけど(笑)、そんなのは無理だし、そんなことは必要ないって。

OKMusic編集部

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