ゼリ→

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【ゼリ→ インタビュー】
“ゼリ→とは何だ?”というのを
本当に追求した

ゼリ→の旗をひとりで振ってることへの
後ろめたさはまったくない

今回の『+×』はまさに決意表明だと思うんですけど、覚悟というか、ひとりでゼリ→を背負う想いが「STAY DREAM」には表れていましたからね。そういう意味では、4人で復活して作った作品と、ひとりで復活しての作品とでは全然違うものになるでしょうね。

俺もそう思うんですよ。やっぱり“ひとりだからこうでなければいけない”っていうところで研ぎ澄まされる部分があって…4人だと何をやってもゼリ→になるけど、ひとりだとそういうわけにはいかないから、“ゼリ→とは何だ?”というのを本当に追求したし。じゃないと“はぁ? それ、やる意味あるの?”ってものになってしまう。

“俺たちが信じていたゼリ→はこんなのじゃないぞ!”って?

そう! ほんとにそう! だから、そこは真剣に考えたし、復活ライヴのちょっと前とかは本当に怖かったんですよ。“みんなが棒立ちで観てたらどうしよう”って。そういう意味では、『+×』には研ぎ澄まされたものが…まぁ、良い悪いは俺が決めることじゃないけど。

ちゃんと聴く者の胸を射抜く作品になってますよ。かつて「SISSY DUCK」や「光を放つように」を聴いて勇気をもらっていたファンが聴いたら、今のゼリ→にも共感すると思う。

そうじゃないと作る意味がないし、それがないとゼリ→をやる意味がない。今回の取材を受けたのは、こういう話を石田さんとしたかったからなんですよ。デビューの時からずっと見てくれている人だから。なので、俺が20年続けてきたことにどんな意味があるのか…まさかこんなに長くロックバンドをやるとは思っていなかったけど、それに何の意味があったのかって。それを見せたいってのはありましたね。結局は“パンクロックとは?”ってのを考え続けた20年なんですよ、俺の音楽人生って。1970年代当時の不況に対する反発や反体制から生まれた音楽に、1970年代に生まれた俺が憧れて始めた反抗の音楽が、その憧れ以上のところに辿り着けるのか、その先に何があるのか…LAID BACK OCEANでその続きをやっているつもりだけど、成り立ちがパンクバンドじゃないから、音楽性的にも掘っていくところが違うんですよね。そんなずっとパンクロックとの距離を測っていた男が、このタイミングでパンクロックをやることで何を歌えるのか、反抗って何のかって。反抗って何かがあってこその反抗なので、何に反抗しているのか、どんな生き方をしたいのか。…って自分に問い掛けまくってますね。

『+×』の曲ってほぼそんな感じだった(笑)。

あはは。そうですね。

そういう意味では最初にゼリ→を始めた時の反抗と、今のゼリ→の反抗の違いは?

ゼリ→を始めた頃の反抗というのは、ただ単に憧れていたもののコピーでしたね。何か対して反抗してるんじゃなくて、反抗しているスタイルに憧れていただけ。本質的な中身がなかった。

でも、最初はポーズだったのかもしれないけど、そんなゼリ→に勇気付けられたファンもいたわけで。で、そこからゼリ→は変わっていきましたよね。そういうファンに向けて発信するようになった。

そう! 最初は“お前らのことなんて知らねぇ。関係ないよ”って思ってた。だから、ほんとにそこは変わっていきましたね。

論点がずれるけど、そこでゼリ→のサウンドもパンクだけじゃなくて、いろいろ広がって、パンクバンドからロックバンドになっていって、何を歌うべきか、それをどんなサウンドで発するのかって考えるようになったと思うんですよ。

そうっすね。そこで整合性が取れてくるから…思想とアウトプットするものがね。それはそれでやってて楽しんだけど、満遍ないものになってくるというか。そうなるとつまんなくなってくるんですよ。そこに今の反抗があるのかな」

だから、今のゼリ→の反抗は、そんな自分への反抗なのかなと。

それ、面白いですね(笑)。本質が何なのかってことですよね。70年代のイギリスには70年代のイギリスの空気があって、2020年の日本には2020年の日本の空気があるわけだから、“お前らは何に反抗してんだ?”ってのを問いたいってのはありますね。“俺たちが反抗したかったものは何だった? あの頃は先生だったけど、それが上司になって、30歳の後半になってくると政治家?”みたいな。そういうステレオタイプじゃない話をしっかりとしたいというのはあるかも。だから、石田さんが言ったみたいに、それは過去の自分なのかもしれないし。

反抗の対象もだけど、“なぜ自分は反抗したいのか”ってところが大事だと思うんですよ。

あぁ、そうですね。そういう話を20年経った今、もう1度できるっていうのは素敵なことだと思う。ゼリ→というひとつの思想に集まった人たちが…もちろん離れた人もいるだろうけど、あの時、バカ騒ぎして、いろんなものに反抗してたけど、そのあとは自分の道を見つけて、20年生きてきた。そこでもう1度集まって、あの時のことを考えた時、あれはただの空洞だったのか、間違ってないと思えるものだったのか、そこは話し合いたいと思いますね。

“今の自分はどうなんだ?”とかね。

そうそう。今後の自分を占うことにもなるし。そこで掲げるゼリ→という旗は、俺にとってはとても大事なものだし、その旗を何の後ろめたさもなく振れる自分を褒めてやりたいとも思いますね。4人でやれなかった申し訳さはあるんだけど、この旗をひとりで振ってることへの後ろめたさはまったくない。

ひとりで振ってるけど、他の3人の想いも背負ってるわけだから。

うん。俺はそう思ってる。

OKMusic編集部

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