ユリイカ百貨店のたみおが、寺山修司
作品で東京初上演~まゆらう企画『は
だしの恋唄』

mama!milkの楽曲で、独自のテラヤマ・ワールドを紡ぎ出す。
人間の生と死を見つめた優しい物語を、海外の童話のようなビジュアルでファンタジックに見せる、京都の劇団「ユリイカ百貨店」。劇団主宰のたみお(ちなみに女性)の作・演出作品が、演劇活動を始めて18年目にして、初めて東京で上演される。
ユリイカ百貨店[1.block.planet](2018年)より。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』をもとに創作した舞台。
取り上げるのは、寺山修司の『はだしの恋唄』。恋にまつわる様々なストーリーを、戯曲や散文などの多様なスタイルで形にした、初期の作品集だ。学生時代から、この作品の舞台化を夢見ていたというたみおだが、アコーディオン&コントラバスでノスタルジックな音楽を奏でるバンド「mama!milk」、俳優「小倉笑」と出会ったことで、一気に一人芝居の音楽劇という、今回のアイディアがまとまったという。
「自らの片割れを求めて、輪廻転生を繰り返す女性」を主軸に据えることで、すべてが一つの物語に思えるように構成。さらに会場となるアンティーク家具の店を、寺山が活躍した時代のサロンに見立て、客席も含めた空間を丸ごと、デカダンかつ幻想的な雰囲気に仕立て上げたいという。
mama!milk『19本の薔薇』
たみおからは、以下のようなメッセージが届いた。
演者/歌い手はたった一人です。様々な人物(人生)が彼女の身体を通して現れては去っていきます。けれどもどんな人生でも、彼女はたった一人を追い求めているという、そんな危うい一本の糸のような舞台になればと思っています。寺山修司や美輪明宏など、憧れの方々の眼鏡にかなうのはどんな時間か? を自分に問いながら、観客が“今はどんな時間軸の中にいるのか”と、この世を見失うような空間を作ろうと思っています。
そのビジュアルセンスと世界観を高く評価されながらも、出産&育児での長期活動休止もあって、なかなか関西以外での作品上演がかなわなかったたみおワールド。役者の肉体と音楽と劇空間が、彼女の強固な美学によって三位一体となることで、いっそう寺山の詩的な言葉が輝きを増す、という舞台になるはず。遅まきながら東京初上陸を果たすその才能を、特に宮沢賢治や稲垣足穂が描くような宇宙的な世界に惹かれる人には、ぜひ体感してほしい。
まゆらう企画『はだしの恋唄』公演チラシビジュアル。 [イラスト]岸本敬子

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