モトリー・クルー、復活!【SPICE洋
楽コラム】

Motley Crue(モトリー・クルー)が復活する。
モトリー・クルーは、2014年から2015年12月31日にかけて、バンドとしての最後と宣言されたツアーを敢行している。ここ日本でもその雄姿が見られる最後の機会ということで、最後の来日公演が開催されてもいる。
モトリー・クルーはこのツアーに先駆けて、今後一切、モトリー・クルーの名のもとにライブ活動を行わないという内容の「ツアー活動の停止」の契約書にサインをし、記者会見まで行っていた。この契約は、どのメンバーも今後モトリー・クルーと名乗ってのライブ活動を禁じており、欧米のバンドでよくあるオリジナル・メンバーが揃わずともバンド名を名乗るような再結成を封じる内容となっていた。
その契約に準じて、モトリー・クルーは所謂さよならツアーの最終公演であった2015年12月31日のロサンゼルスでのライブを最後に、一切のライブ活動を行っていない。
バンドは、お互いに基本的には一切のコンタクトを取らずにバラバラな活動をしており、今年の前半にNetflixで公開されたバンドの伝記映画『THE DIRT』での仕事以外に集まることはなかったとのこと。
しかし、モトリー・クルーは再結成するのではないかという噂は絶えることはなく、特に、最近になって再結成を発表したThe Black Crows(ザ・ブラック・クロウズ)のマネージャーがメディアで発した発言が発端となって、大きな騒動となっていた。
そのマネージャーは番組で、「再結成を果たすのはブラック・クロウズだけではなく、モトリー・クルーも含めてもう数組ある」と発言し、この発言は各種ネットメディアを通じてすぐに大きなニュースとして報じられた。
そんな騒動が起きていたさ中の11月18日、突如としてモトリー・クルーのオフィシャルサイトで、「Motley Crue Is Back」と題された動画が公開された。
この動画は、「2014年に「ツアー活動の停止」の契約にサインしたが、全く新しい世代のCruehads(モトリー・クルーはファンのことを、クルーヘッドと呼んでいる)が大規模に増加し、バンドは今までにないほどに人気を拡大させてきており、バンドの復活を要求し続けているため、この契約を破棄することにした」という旨のナレーションと共に、契約書を爆破することによって、モトリー・クルー復活を宣言するものとなっている。
確かに、今年の初めにNetflixで公開されたバンドの伝記映画『THE DIRT』が大ヒットを記録し、この効果によって新たなファンの増加を見たのは事実だろう。たとえるなら、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の太ヒットによって何度目かのQueenブームが巻き起こり、新たなファンが急増するという現象がここ日本でも見られたのは、記憶に新しいところ。
ちなみに、この動画でナレーションを務めているのはColson Baker (aka Machine Gun Kelly)で、この映画『THE DIRT』でドラムのTommy Lee(トミー・リー)を演じた人物。この新しい世代のラッパーが俳優として参加しているというこの映画はアメリカではかなりのインパクトがあっただろうし、デビューから40年近い大ベテランのモトリー・クルーを若い世代に注目させるには十分だったのだろう。
モトリー・クルーのオフィシャル・サイトでは、以下のような声明が出されている。
「『ツアー活動の停止』の契約に署名してからほぼ6年が経ち、全く新しい世代のCrueeheadsがバンドの再結集を容赦なく要求しているため、契約を破棄することにした。 Netflixの伝記映画『THE DIRT』の大成功に続いて、モトリー・クルーは新しいオーディエンスの大規模な急増を目の当りにした。そして、ルールを破ることでよく知られているバンドは、文字通りそれを爆破することにより、真のモトリー・クルー様式での『ツアー契約の停止』を破壊した。
ライブを続けて35年、アルバム『Dr. Feelgood』のリリースから30年後、モトリー・クルーのメンバーは2015年12月31日に行われた最終ショーの後、互いに話すことなく別れた。
ヴィンス、ニッキー、ミック、トミーは2018年の映画『THE DIRT』の制作に参加するために再び集まることはなかった。それは予期せずに彼らを再び近づけ、ヒューズが点灯した。
「『THE DIRT』でトミー・リーを演じてから、多くのファンは、実際のモトリー・クルーのライブを見てみたいと言っている」とコルソン・ベイカー(別名マシンガン・ケリー)は語っている。「これが現実になるとは思わなかったが、しかし、ファンは望み続け、モトリー・クルーはそれに耳を傾けた」
『THE DIRT』は現在、Rotten Tomatoes(アメリカの映画評論サイト)で95%の高スコアを獲得している。そして、この世界的な成功により、モトリー・クルーの人気は新たな高みに突入し、バンドは再び世界のチャートを席巻した。現在、若い18歳から44歳のファンが、バンド全体のファンの64%を占めている。さらに、『THE DIRT』の公開後6か月で、モトリー・クルーの音楽は、すべてのストリーミング・プラットフォームでストリーム再生が350%も増加するという急激な上昇みせた。しかし、ほとんどの新しいファンは、クルーヘッドが40年近くにわたって楽しんでいるという伝説的なライブを見たことはない。」
モトリー・クルーはとにかくお騒がせなバンドとして知られているが、今回も既にいろいろな騒動を巻き起こしている。
ギターのMick Mars(ミック・マーズ)は、2014年の最後のツアーをスタートするゲスト出演した「That Metal Show」で、このツアーがバンドにとって最後のツアーだということを裏付けるために、「free tickets should the band ever tour again(バンドが再びツアーをすることがあったら、無料で招待する」と発言をしていたということが大きくニュースになった。
この騒ぎが大きくなりすぎたからか、ミック・マーズは11月25日に、インスタグラムに声明を投稿し、釈明をする羽目になってしまった。
「That Metal Showで、無料で招待するという話しをしたのはのまったくの冗談だったんだ。でも、その時は、再びツアーをしないと確信していた。新しい世代のファンからプレイが見たいといわれるとは思いもしなかったからだ。モトリー・クルーのツアーは変なタイミングにおこる。俺は長きにわたる曲作りとレコーディングの果てにソロ・アルバムを仕上げるところだった。でも、俺はファンを優先して考える。(無料という)発言は確かにした。俺が間違ってた」
米『ローリング・ストーン』誌によると、モトリー・クルーは2020年にデフ・レパード、ポイズンと共に北米ツアーを行う計画があるという。ただ、これはまだ噂でしかなく、モトリー・クルー側は、復活の詳細をまだ一切明らかにしていない。ここからの詳細は、オフィシャルサイトやSNS、メールを通じてファンにいち早くダイレクトに発表していくということ。
また、モトリー・クルーにとって今年は5thアルバムでバンドの代表作である『Dr.Feelgood』の30周年の年であり、関連アイテムの発売などが予定されている。
自ら活動の終了を宣言していながらそれを破棄し復活するという展開は、洋楽の世界ではよくあることではある。これをありととるか、なしととるかは各々のオーディエンスの判断ではあるが、紆余曲折ありながらも、ライブ・シーンのトップに君臨し続けてきたバンドがまた一つシーンに帰ってきたことを、純粋に喜びたい。
オフィシャルサイトでは、バンドに「MOST NOTORIOUS ROCK BAND」という一節をつけて、このニュースを掲げている。「世界で最も悪名高いバンド」。そんなバンドのすることは、一筋縄でいくわけがない。

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