Suara

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【Suara インタビュー】
新たな物語の始まりに、
間口を広げたニューシングル

プロデューサーからのリクエストは
“島唄のような歌い方”

そして、今回はカップリングも印象に残りやすい曲揃いで、まず「わが身捧げて」は『うたわれるもの ロストフラグ』の挿入歌ですが、バックの音が最小限でとにかく歌が命。

なので、歌で空間を埋めるという難しさは感じました。テンポもかなりゆっくりなので、たっぷりブレスして歌っていって。プロデューサーからは“島唄のような歌い方にチャレンジしてほしい”というリクエストがあったので、そこは意識しながら節回しを工夫したりしましたね。

それで少しエキゾチックなヴォーカルになっているんですね。

島唄は聴いたことはあっても歌ったことはなかったので、正直言って不安はあったんです。でも、プロデューサーに“最初は真似事でも必ずSuaraのカラーが出てくるから”と言われて、おかげで気持ち良く歌うことができました。とにかく相手のことを癒したい、今は離れていても輪廻の中で常に寄り添いたいという無償の愛が表れた曲なので、私は子守歌のような位置付けでとらえたんですけど、『うたわれるもの』の歌詞って本当にとらえ方が難しいんですよ! いくらでも解釈のしようがあるから、そこで散らばっている点と点を結び付けて“この曲はあのシーンのことを歌ってるんだ”って掘り下げてくれるのはファンのみなさんなんですね。だから、私もあまり決め付けず、この曲も自分なりの視点は持ちながら、語り部としてフラットに歌うことを意識しました。

対して、3曲目の「無情」は韻を踏んでいるサビの言葉遊びが印象的でした。

まさに、そこをリクエストして作っていただいた曲なんですよ。昔から自分が好きで聴いていた楽曲に浮遊感のあるものが多かったというのもありますし、やっぱり言葉遊びには興味があって。まったくジャンルは違いますけど、最近『フリースタイルダンジョン』みたいな番組を観ることもあって、日本語の面白さを表現してみたくなったんです。それで韻を踏んでいる歌詞だったり、日本語なのに英語っぽく聴こえるようなものを歌ってみたいと、半田麻里子さんにリクエストさせていただきました。

ある意味、ヒップホップのSuara流解釈かもしれませんね。私も音だけ聴いていて“愛か”と思ったワードが、実は歌詞を見たら“哀歌”だったり。

そういう面白さはありますよね。想像しながら聴くのと、歌詞カードを見て答え合わせするのとで、何度も楽しめる。他にも“哀号”とか、なかなか普段は使わない言葉が入っていたりしてさすがだなと。

リズミカルで軽快な曲なのにタイトルが“無情”というのも、ある意味トリッキーだし、切なさがより深く胸に染みました。

歌詞のテーマを半田さんにお任せしたところ、『うたわれるもの』の世界に通じるような内容にしてくださって。儚く消えゆくものを感じさせる世界観は私もすごく好きなので、そこに自分も溶け込むために、あまり歌そのものには色付けをせず、無機質な感じを目指して歌いました。

“雨”とか“水面”とか透明感の強いワードも多いので、“無機質”というのは納得です。さて、来年の9月にはいよいよデビュー15周年を迎えますね。

なので、どこかで15周年的なイベントはやりたいと考えています。そこで実現できるかは分からないんですけど、昔からいつかZeppツアーをしてみたいっていう大きな夢はあるんですよ。もちろんホールにも憧れはあるんですけど、ライヴハウスとして最大規模と言えばZeppがすぐに思い浮かぶし。自分が立ちたいっていうのはもちろん、いつも支えてくれているSuaraバンドのメンバーも立たせてあげたい、連れて行ってあげたいっていう想いがあるんです。

しかもZeppは全国にありますからね。ライヴハウスツアーとしても、確かに最大規模になるかと。

昨日たまたま『うたわれるもの』のコラボカフェに行ったら、2016年にCLUB CITTA'川崎で開催した『うたわれるもの SUPER LIVE』の映像が、ずっと店内に流れていたんですよ。その映像を久しぶりに観て、『うたわれるもの』という壮大な作品を支える音楽の一部を背負って歌っている自分を改めて誇らしく感じたんですね。当時、正直言ってこれでシリーズも完結という頭だったから、それまでに『うたわれるもの』で歌ってきた曲を全部やり切ってやろうという想いでライヴをしましたし、その“次”というのはなかなか考えられなかったんです。でも、改めて映像を観て、またいつか『うたわれるもの』縛りでライヴをやりたくなりました。

だって2016年のあと、かなり曲も増えてますからね。

1日じゃ終わらないかもしれない(笑)。なので、しっかり体力とパワーを付けて。今はまだ想像できないんですけど、またそのステージに立てる自分になりたいですね。

取材:清水素子

シングル「天命の傀儡」2019年11月27日発売 F.I.X. RECORDS/KING RECORDS
    • KICM-4040
    • ¥1,300(税抜)
Suara プロフィール

スアラ:学生時代からバンド/ユニットを組み、精力的にライヴ活動を行なう。2005年9月に「睡蓮-あまねく花-」でデビュー。TVアニメ『ToHeart2』のエンディングテーマ「トモシビ」、同じくTVアニメ『うたわれるもの』のオープニングテーマ「夢想歌」を歌うなど、その歌声がアニメ・ゲームファンをはじめとする広い層に届き、注目を集める。10年から香港・韓国などでライヴを行ない、韓国や台湾でもCDを発売するなど、ワールドワイドな広がりをみせている。“Suara”とはインドネシア語で“声”を意味する。Suara オフィシャルHP

「天命の傀儡」MV

OKMusic編集部

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