孤独な惑星間での片思いを描くボカロ曲「惑星ループ」を徹底解剖

孤独な惑星間での片思いを描くボカロ曲「惑星ループ」を徹底解剖

孤独な惑星間での片思いを描くボカロ
曲「惑星ループ」を徹底解剖

モチーフは、孤独な天体「惑星」
惑星という孤独な天体達を知っていますか?
恒星という星の周りをまわる星で、地球も太陽という恒星をまわる惑星だったりします。
他には火星や金星などの星があてはまります。
ぶつからないようにまわっている為、触れ合うことも、出会うこともなく、ただひたすら孤独に恒星の周りをまわっているのです。
そんな切ない距離間の惑星をモチーフにした、ボカロ恋愛ソングをご紹介!
宇宙から届けられる、曲にこめられたメッセージを紐解いていきます!
地球人の為に制作された、宇宙からの恋愛曲!?
▲惑星ループ Eve版MV
『惑星ループ』は2016年10月に公開された、宇宙人ボカロPナユタン星人による恋愛ソングです。
ナユタン星人の8作目にあたる作品であり、歌唱するボカロは初音ミクです。
翌年1月にリリースされた2ndアルバム『ナユタン星からの物体Y』に楽曲収録がされており、ナユタン星人の代表曲の一つとしても数えられている楽曲です。
しかしその本当の正体は、地球の歌い手EveのデビューCD『OFFICIAL NUMBER』の為に制作された楽曲!
地球人の為に書きおろされた“惑星”をモチーフとして綴られる恋愛曲とは……。
次の項目では、制作者であるナユタン星人の正体について迫ってみましょう!
1那由他先からきたボカロP、ナユタン星人
ナユタン星人は、ナユタン星からやってきた宇宙人のボカロPです。
ナユタン星人が言うには、その星は地球から10の60乗光年離れた場所=1那由他と呼ばれる距離の先にある星だそう。
私達、地球人が過去到達したことのある宇宙内の距離の云倍もある距離で、そこから音楽を届けに来ているナユタン星人の凄さを考えると、背筋が凍るものを感じます……。ナユタン星人、おそろしい……。
が、そんなおそろしさに反し、彼の作る曲は地球人の心を一瞬で掴むキャッチーな楽曲が多かったりします。
そんな彼が地球人の為に作った一曲。
それを歌うEveとはどのような人物なのか、次の項目でご紹介しましょう!
注目必須! 歌い手出身シンガーソングライターEve
活動開始は2009年の10月。初投稿曲は『TRAGIC BOY』。
当時は十代の少年だという噂がありましたが、クセの少ないストレートな歌声、と評される歌声はこの時点ですでに完成されており、聴いた者達からは“本当に十代か!?” と驚きの声もあがっていた模様。
なんと恐ろしい地球人なのか……。
2016年にはボカロPとしての活動も開始。初音ミク歌唱の『sister』は、2019年現在では43万越えの再生数を誇る人気曲となっています。
さらについ先日(2019年10月27日)には、AbemaTVオリジナル連続ドラマ『フォローされたら終わり』の主題歌にEve作詞作曲の『ドラマツルギー』が起用される事も決まりました。
▷ドラマツルギー MV
今、熱い注目を浴び出している歌い手育ちのシンガーソングライターです!
巡り続ける、深い深い「あなた」への思い
ここからは楽曲の中身について迫って行きましょう!
1那由他先の星から届けられた惑星がモチーフの恋の歌には、どんなメッセージが詰め込まれているのでしょうか。
惑星ループ 歌詞 「Eve」
https://utaten.com/lyric/ya16102014
どうやら歌の舞台は、銀河の隅にある惑星のようです。
どこの銀河なのかはわかりませんが、ナユタン星と何か関係がある場所なのかも……? と思うとちょっとワクワクしてきますね。
さらに気になるのは出だしの歌詞です。
まるでなにかの擬音のような、呪文のような言葉が並んでいます。妙に頭の中に残るこれは、なにを意味するのか……。
疑問を抱きつつ、続くメッセージを見てみましょう。

惑星ループ 歌詞 「Eve」
https://utaten.com/lyric/ya16102014
はっきりと「恋」という言葉が入ってきました。
「遠くの宇宙で」「届かないこと理解ってるのに」。その切ない距離を示す言葉から、この歌が叶わない恋をしている宇宙人のものである事が判明します。
しかし「逢いたい」という気持ちが彼の中では募り続けているよう。
恋をすると盲目になると言いますが、どうやらそれは地球人も宇宙人も関係ないことみたいですね。
「あたまがどうにかなりそうだ」だなんて、恋する地球人だって言いそうです!

惑星ループ 歌詞 「Eve」
https://utaten.com/lyric/ya16102014
ループという言葉を強調するように、同じ言葉がくり返されるサビが開始。
惑星が恒星の周りをまわる際に、ぐるぐるとするルートを指す「周回軌道」という言葉も入り、恋する気持ちがぐるぐると循環し続けているさまが目に浮かぶようです。
そしてその間に挟まれるまたあの不思議な音。
一体これはなんなのか……。
また次を見てみましょう。

惑星ループ 歌詞 「Eve」
https://utaten.com/lyric/ya16102014
二番に入ってからも彼の「あなた」への思いは強まっていくばかりです。
けれど思いが強まれば強まる程、この恋が叶わないものである事実を突きつけられているよう。
純粋な気持ちだった思いにちょっとずつ矛盾した思いも混じり始め、広大な宇宙に一人取り残されたような悲しさで溢れる言葉になっています。
しかしそれでも最後に残るのはやはり「逢いたい」という気持ちだけ。
どんな苦しい思いも、矛盾した思いも、その根っこにあるのは「あなた」を思う深い気持ち。
それをわかっているからか、Bメロ、サビの最後で「それだけでいいよ」「それ以外想えない」と悟るように綴られています。
さらに、今まで「気持ち」と表現されていた「あなた」に対する思いが「心」「命」とその形に大きな変貌を遂げています。
それは彼自身にとって、この思いがかけがえのない大切なものになっている証拠なのではないでしょうか。

惑星ループ 歌詞 「Eve」
https://utaten.com/lyric/ya16102014
ここからは、最後まで何度も同じ音と言葉だけが繰り返されます。
なんだか一番最初の交信という言葉が脳裏を横切る終わりです。
となると、もしかしたらこの謎の音は、私達地球人では理解ができない宇宙の言語での愛の言葉なのかもしれません。隣の地球語で届く歌詞にも「愛」という言葉が入ってますし。
頭から離れられなくなるような洗脳さがあるのは、宇宙人の深い深い「あなた」に対する思いが我々の中につきささってくるから――。
だとすると、かの宇宙人のの思いの深さがよりいっそう我々の胸に届いてくるような気がしませんか?
キラキラ光る星のように鳴り響くピコピコ音
胸がキュッと切なくなるような歌詞ですが、それでもこの歌が色んな人に好かれているのはきっとそのメロディーにも秘密があると思われます!
この楽曲は、ナユタン星人お得意のデジタルサウンドをふだんに使ったメロディーとなっているのです。
その代表的な音が、うしろで鳴らされ続ける「ピコピコ音」!
可愛らしさを感じる音であると同時に、昔懐かしい哀愁みも感じられるピコピコ音は、惑星ループの歌詞の切なさを損なうことなくとてもよい塩梅で、この曲をキャッチーでとっつきやすい楽曲へと導いてくれているようです。
歌詞の擬音が宇宙言語なら、この音はそれを届ける交信機の音のようなものなのかもしれません。
でも、私にはそれだけではなくまるで夜空の星の輝きにも見えます。
惑星間同士の届かない恋愛を、その周囲でキラキラと輝きながら見守り続けてくれている無数の星達のような、邪魔をすることはなく、そっと寄り添うようにピコピコと鳴り続けている。
そんな惑星間を見守る宇宙の星々の存在に思えて来るのです。
YouTube、ニコニコ動画。2サイトでMV公開中!
惑星の特性を巧みに使った片思い曲。そこに込められたメッセージ、皆様に届きましたでしょうか。
またこの楽曲、Eve版のMVがニコニコ動画とYouTubeで公開されていますが、それぞれに少し異なる演出がされていたりします。
ほんのちょっとの違いですが、その差がまた可愛くって思わず笑いたくなるものなのです!
ぜひ楽曲だけではなく、MVも共に楽しんでくださると嬉しいです!
初音ミク版との聴き比べも、お互いに異なる印象を受けてとても面白いですよ。
最新情報はこちら
▷ナユタン星人 Twitter
▷Eve Twitter
▷ナユタン星からの物体Z(3rdAlbum特設サイト)
▷ナユタン星人 ニコニコ動画
  
▷Eve OFFICIAL SITE
▷Eve Instagram
▷Eve YouTubeチャンネル
▷Eve ニコニコ動画
TEXT 勝哉エイミカ

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