“愛”をテーマにしたGANG PARADE新
体制初の全国ツアーレポート

11月4日(月)、「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、WACK所属の10人組アイドルグループGANG PARADE(ギャング パレード)による「PARADE GOES ON TOUR」ファイナルが中野サンプラザにて開催された。


Text_Akihiro Aoyama
Photography_外林健太
Edit_Mine.k


2019年は、苦節5年目にしてメジャーデビューを果たし、5月には大阪・大阪城音楽堂と東京・日比谷野外大音楽堂での初野外ワンマンを成功させるなど、大きな飛躍を遂げたGANG PARADE。「PARADE GOES ON TOUR」は、新メンバー・ナルハワールドの加入後初となる大規模な全国ツアーであり、待望のメジャー1stフルアルバム「LOVE PARADE」リリースを控えての開催となった。9月7日横浜Bay Hallを皮切りに、全国10カ所を回ってきたツアーのファイナルだけあって、来場した遊び人(GANG PARADEファンの総称)は興奮を抑えきれない様子で開演の瞬間を待っていた。

サプライズから始まったパレード

客席の照明が落ちると、スクリーンにはマーチングバンドの衣装を着たメンバー達のアニメーション映像が映し出される。横浜・愛知・静岡・福岡・広島・大阪・北海道・宮城・新潟と、「PARADE GOES ON TOUR」で訪れた都市を行進しながら着いた先は、東京・中野。ここで映像が実写に切り替わり、中野駅方面から中野サンプラザへとメンバー全員で入っていく。いよいよステージにGANG PARADE登場……と思いきや、サプライズが。マーチング楽器を持ったメンバーがステージではなく、客席の入口から入場してきたのだ。思いがけない至近距離からのメンバー登場に遊び人たちは騒然となり、会場の熱が一気に急上昇。ゆっくりと時間をかけながら場内を行進しステージに上がったメンバーは、各々のメンバーカラーの旗をかかげ、いよいよライブの幕開けとなった。

「私たち、エンジョイプレイ、みんなの遊び場、GANG PARADEです!」と恒例の挨拶を決めた後、披露された1曲目は「FOUL」。キラキラと降り注ぐエレクトロニクスに合わせて10人が滑らかに舞い、力強い歌声を響かせると、遊び人たちも息の合ったコールと振り付けで応える。「BODY & 10 SOUL」大合唱では、早くも会場が一つになった。
続いての楽曲は、8月にGANG PARADEが出演した舞台「プレイハウス」の作・演出を手掛けた根本宗子が作詞した「Wake up Beat!」。メンバー一人ひとりが一言ずつマイクをリレーしてAメロから一気にサビへと加速していく、その名の通り目が覚めるような鮮烈な一曲だ。その後は2016年にシングルリリースされた「QUEEN OF POP」、インディーズ最後のアルバム「LAST GANG PARADE」収録の「Message」。クルクルと表情をかえる楽曲とメンバーのパフォーマンスに、遊び人たちは手拍子やコールで声援を送っていた。
この日初めてのMCでは、一人ひとりが挨拶した後、キャン・GP・マイカがノリノリで遊び人とコール&レスポンス。勢いそのままに次の「ブランニューパレード」へと突入していった。メジャーデビューシングルとして4月にリリースされたこの楽曲は、今のGANG PARADEの好調を詰め込んだような爽快なロックナンバーだ。サビでは会場中が一つとなって、握り拳を天に向かって振り上げて大合唱。終盤には新メンバーのナルハワールドがメンバーに持ち上げられながら笑顔で手を振るキュートな瞬間も。この曲を皮切りとして、会場の熱量が右肩上がりに上昇していった。
ここからは、ノンストップで5曲をパフォーマンス。メロコア譲りの疾走感で駆け抜ける「BREAKING THE ROAD」から、<全身全霊叫ぶさ 曖昧な未来じゃ意味ない>の絶唱に大きな歓声が巻き起こった「GANG PARADE」で会場を盛り上げた後は、「Are you kidding?」「Plastic Smile」「Beyond the Mountain」と異なるタイプの楽曲を立て続けに披露。攻撃的な表情から憂いに満ちた表情まで、さまざまな顔を見せて遊び人たちを魅了していった。

ナルハワールドの愛が強くしたGANG PA
RADEの絆

2回目のMCタイムは、恒例のコントコーナーに。ナルハワールドが元気いっぱい「盛り上がってますかー?」と呼びかけている最中、ユイ・ガ・ドクソンがテラシマユウカにぶつかったことから小競り合いが始まり、ココ・パーティン・ココも巻き込んでの大喧嘩に発展。止めに入ったカミヤサキも「坊主は引っ込んでろ!」と一蹴されてしまい、ナルハワールドの嘆きの叫びが会場に響き渡る。「誰か助けて!」という願いに、パンストを被ったキャン・GP・マイカが登場し、天の声の指示に従ってナルハワールドへもパンストが手渡された。
ナルハワールドがパンストを被り、次の曲「LOVE COMMUNICATION」へ。ここでは遊び人全員でタオルを振り回し、熱いコール&レスポンスとともに、再び会場が一つになった。最後はナルハワールドが被っていたパンストを客席へと投げて、「私はGANG PARADEを愛しています」と宣言。続いたのは、そんなナルハワールドが作詞を行った「Wonderful World」だ。夢を描いて今年5月にGANG PARADEへと加入した彼女の、心の逡巡をさらけ出した一曲で、ステージ上のメンバーの結束はさらに強まっていった。
続く「ALONE」からは、ギアをトップに入れて駆け抜ける熱狂の時間へと突入。ピアノの旋律からエモーショナルかつダイナミックに展開していく「LAST」では、最後にメンバー全員が横並びで後ろを向き、拳を真っすぐ天に向かって突き上げた。その美しい立ち姿からは、GANG PARADEの絆が垣間見えるようだった。

アンセム連発に会場が揺れたライブ終盤

ゆったりとしたテンポのミドルナンバー「CAR RADIO」を挟んで、ライブはアンセム連発の最終盤へ。「GANG 2」では、遊び人のハンドクラップに乗ってメンバーのエモーションが高まり、最後は会場全体で大合唱。続いて、ハルナ・バッ・チーンが「ラスト3曲! 皆さん、まだまだ足りないですよね!? まだ遊べますか?」と会場に呼びかけ、遊び人からは大きな返事が。その声に応えて、「昨日のこと、明日のこと何も気にせず、最後まで楽しんでいってください」と話すと、次の楽曲「Plastic 2 Mercy」が披露された。

最初期から歌い続けられる、GANG PARADEの代表曲のパフォーマンスに、遊び人たちは息ピッタリのコールで応える。ステージでメンバー全員が肩を組み飛び跳ねて左右に移動すると、客席の遊び人も隣同士肩を組んでジャンプ。会場は揺れに揺れていた。続く「UNIT」でもメンバーと遊び人の一体感は高まり、再び全員で肩を組んで、今度は体を揺らしながら大合唱。会場中が一つになっていた。
月ノウサギが今回のツアーと最新アルバムのテーマになっている「愛」について話した後、本編ラストに披露されたのは「らびゅ」。「LOVE PARADE」のオープニングを飾る、ストレートなGANG PARADE流ラブソングだ。伸びやかな歌唱と繊細なダンスで、メンバーそれぞれが丁寧に「愛」を届けていく。最後は10人全員で作る大きなハートマークがステージ上を温かく飾った。

メンバーそれぞれが危機感を乗り越えた
“愛”のツアー

本編が終わった後、スクリーンにはメンバーのインタビュー映像が映し出された。そこで彼女達から吐露されたのは、勢いに乗っているように見えるGANG PARADEの現状に対して抱く危機感。メンバーそれぞれが時に涙をにじませながら、順調な今だからこそ熱量が薄くなってしまっていることへの切羽詰まった思いを語っていく。

会場がしんみりした空気に包まれる中、メンバーが再びステージに登場。GANG PARADE結成時からのメンバーであるカミヤサキが、大盛況に終わった本ツアーへの感謝と共にグループの逡巡を話し、「人生において越えていけないものはないと、GANG PARADEの活動を持って証明します」と締めくくると、遊び人からは惜しみない拍手が送られた。「これからもみんなで手を取り合って。CAN’T STOP」とカミヤサキがコールして、最後の楽曲「CAN’T STOP」へ。メンバーそれぞれが悩みながらも、止まることなく続いていくGANG PARADEの行進。その姿を支え、見守る遊び人たちの顔には、笑顔と涙があふれていた。

メンバーそれぞれが最後の挨拶を交わした後、GANG PARADEから告知が。「2020年春、初めてのホールツアー開催」の発表に、会場は最後の盛り上がりを見せた。苦節5年の長い「下剋上」の末に、大文字の「LOVE=愛」へと辿り着いたGANG PARADE。彼女達のパレードはこれからも続いていく。その先には、きっと今よりもずっと大きな景色が待っていることだろう。
【GANG PARADE Major 1st Full Album 「LOVE PARADE」】
1.らびゅ
2.ブランニューパレード(AL ver.)
3.Wake up Beat!
4.ALONE
5.Youthful Hero
6.Ready Go!
7.FAKE and FANTASY
8.POISON
9.Plastic Smile
10.Wonderful World
11.LOVE COMMUNICATION
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【GANG PARADE】
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“愛”をテーマにしたGANG PARADE新体制初の全国ツアーレポートはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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