永原真夏、連載2回目です!

こんにちわ!永原真夏です。
今回も、私が各地で出会った華麗なる立ち話を披露いたします。
2回目にしてすでに内容は座り話になっているのですが、立ち話は概念ということで許していただけるとうれしいです。
この1ヶ月はライブが多かったので、打ち上げでのお話を。
それではいってみよう!

目次

島根県松江市「初音寿司」の大将
音の旅crewのpepeちゃんと森心言くん

島根県松江市「初音寿司」の大将

島根にはご縁があり、毎年必ずライブに行きます。音楽を愛する個人イベンターが複数人いるこの場所は、山陰と文化のハブのような働きをしてくれているのです。
今年は、写真家・南阿沙美さんの新作『島根のOL』の発売記念展示にライブゲストとして呼んで頂き、我々はまた、のこのこと松江を訪れました。
『島根のOL』のモデルを務めるひごちゃんが長い友人であることや、南さんの安心感、会場NUのあたたかい雰囲気など全てが相まって、展示写真に囲まれながら行ったライブは終始大盛り上がりで、最終的には盆踊りをするほどとても楽しい時間となりました。
ああ今年も来てよかったなあ、島根はいいところだなあと本来なら感慨に耽りたいところなのですが、バンドマンにそんな暇はありません。撤収即打ち上げです。
今回の打ち上げは「初音寿司」というお寿司屋さん。
「おお、お寿司屋さんで打ち上げとは景気が良いですねェ」と、私はお調子者全開でお座敷に座りました。
そして出てくる出てくる山陰の宝たち。
桜海老のてんぷら、カシラの煮付け、赤貝のガーリック炒め、わさびの巻き寿司etc…

総てが荒々しさを残しながらも上品な味わいで、その場にいた全員が、今日のライブを振り返ったり再会を祝うことなく、「美味い、美味い」のみをただ連呼するのみでした。
その盛り上がりは、しまいには「大将のおまかせ握り争奪戦ジャンケン大会」が開かれるほどに白熱し、店内はサッカーW杯で異様な興奮を覚えた渋谷駅の若者たちくらい熱狂していました。

写真展のオープニングライブで盆踊りを始める人々からしたら、この世の全てが祭りなのであります。しかもその時期は神有月、食べ物は頂き物であり、なにより祝うべきものであり、この一夜で、わたしは人間の営みの真髄を見た気がします。
お店を出る際に、あまりに美味しかったので大将にご挨拶をしたところ、

「次の魚は2月、3月、4月がいい頃だ。また来な。」

と、昭和の東映映画のような表情で私たちを見送って下さいました。
私はさっそく「ねえ、2月、3月、4月あたりにまたライブイベントをしようよ」とイベンターの一人に持ちかけ、こうしてまたひとつ、島根の人々と協定を結んだのでありました。
大将love

音の旅crewのpepeちゃんと森心言くん

先程島根での打ち上げについて書きましたが、次も打ち上げでのお話です。
私は積極的に打ち上げで盛り上がるタイプの人間ではなく、大抵隅っこでいじいじと薄いハイボールを飲み、ちまちまと何か食べながら、良い頃合いでササッと帰る人間なのですが、自分の主催ライブなどでは最後まで残るという、いかにもバンドマンらしい義理堅い一面があります。

その日は私が長年世話になってきたソロバンド、SUPER GOOD BANDの解散ライブで、しかも主催はベースのBambi、そのうえ音の旅crewと森心言くんと3マンという、私からしたら全員にご協力して頂いて、なんだかもうあれですよ、まなっちゃんがんばるしかないってかんじだな!と、激しく息巻いておりました。

皆様のお力添えにより、それは素晴らしい夜となり、打ち上げでは沖縄から来た友人が三線を弾いてくれたりなんかして、「ああ、音楽っていいな…音楽は、ずっとこうして、人と人を繋いできたんだ」と心底感動したものです。私の人生は音楽と共にあり、それは素晴らしいことなのだと骨の髄から思えた瞬間でした。
ぽつぽつと人々が帰宅しはじめ、時刻は午前2時を回る頃、打ち上げは落ち着きを見せ始めます。

そんな時に、珍しい光景が目に入りました。私を含めたボーカルが3人打ち上げに残っているのです。
私の今までの経験のみで語らせて頂くと、打ち上げで最も早く帰宅する率が高いのは、ボーカルなのです。おそらく幾多のボーカルたちには「社交メーター」なるものがあり、そのメーターが0になったらどんな時でも帰宅するのです。
しかしその晩は、「なんとなく帰り損ねたボーカルたちが卓を囲む」という、不思議な夜でした。

ボーカルたちは、集まって話題を探しました。そして出てきた内容は、
「宝くじが1億円当たったら、どうする?」
という、今時誰もこんな話しないだろうというテーマでした。

なにを隠そう出題者は私なのですが、そんなしょうもないテーマにも、「うーむ」と腕を組んで考え込んでくれるpepeちゃんと心言くんは、本当にいいやつらだな、と思いました。
そして、答えを導き出した心言くんは
「半分はスタジオとかおうちとか作って、もう半分は残したいな」と言いました。彼の素直な回答に、みんな、「だよね〜!!!!」と、激しくうなずきました。
ちなみにその裏で、私は「全額ちまちま使う」という最もロックスターからかけ離れた回答を導き出しました。
そしてpepeちゃんは、「長野の実家にピラミッドを建てる」と言っていました。私は、実現したらおそらく長野で一番立派なお墓になるであろうと想像しました。

こうして縁もたけなわ、真夜中の渋谷での時間は過ぎてゆき、素晴らしい解散ライブは打ち上げまで幕を閉じました。
二人ともサンキューな


こんなかんじで過ぎゆく日々を今日も明日も愛でながら、私は新プロジェクトの制作や準備に勤しむ毎日を過ごしています。


永原真夏の華麗なる立ち話2はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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