L→R YORKE.(Painter)、Ta_2(Vo)

L→R YORKE.(Painter)、Ta_2(Vo)

【OLDCODEX インタビュー】
OLDCODEXが魅せる新たな進化と牙

L→R YORKE.(Painter)、Ta_2(Vo)
シングル「Take On Fever」【初回限定盤(DVD付)】
シングル「Take On Fever」【通常盤】

音の面でも映像の上でも
切り裂くようなシングルになった

さらに今回のMVも観どころ満載で。YORKE.さんが作る箱庭の中でTa_2さんが歌ったり、人形たちが演奏しているという手法が非常に斬新でした!

YORKE.
激しい楽曲で映像の中に入り込んでもっと遊びたかったんですよね。
Ta_2
“人形を使いたい”っていう話をずっとしてたんです。それで監督から“箱庭の中で何かが行なわれる”っていうアイディアをもらって、あとは俺と監督との独壇場! “これやりたい”“あれやりたい”って俺と監督の頭の中を上手く擦り合わせてて、俺のシーンの撮影はほんと早かったです。2時間も掛からずに終わっちゃった。
YORKE.
過去イチの早さだったよなぁ。俺は監督の中にある絵の通り、もう言われたままにやるだけだったけど(笑)。
Ta_2
美術セットもすごくきれいだったなぁ。ゴシックに寄りすぎないスチームパンクなホラー感が欲しかったんですよ。で、撮影したものを現場で出力して、切って、撮影して。それって結局アニメを作る工程と変わらなくて、“これって実写で作るアニメーションじゃん!”と思えたのが最高に良かった。自分たちが今までタイアップしてきたのもアニメがほとんどだし、俺の隣にはこうやって絵描きもいるし、これはOLDCODEXにとっていい答えになったなと。音の面でも映像の上でも力の強い、本当に切り裂くようなシングルになった。

ヴォーカリストとペインターからなるユニットという要素を上手く活かし切っていますよね。OLDCODEXらしさが凝縮されていて、そこがまた新しい。

Ta_2
前回の「Follow the Graph」(アルバム『LADDERLESS』リード曲)で、初めてふたりだけで完結するMVを作ってみたのが、すごく面白かったんですよ。わざわざバンドの姿を観せなくてもバンドとしての説得力はもう確立できたから、映像美の中でのアートというものと、自分たちのロックをしっかり組み合わせたかたちを今後は観せていきたい。つまり、ここから先は、全てを名刺にしてやりたいんです。
YORKE.
不思議なことに、ふたりで出てるほうが世界が大きく見える時があるよね。逆にOLDCODEXにしかできないこともいっぱいあるのかなって。

ふたりが揃いさえすればOLDCODEXとして成り立つ。だから、枠を取っ払おうという姿勢は『LADDERLESS』の時点ですでにテーマになっていましたが、それが今回の「Take On Fever」で華開いた感があります。

Ta_2
ロックバンドというところに固執すると、どうしても作る楽曲が偏ってくるというか、似通ってきちゃうんですよ。だから、次のレベルに行くために、それを打ち崩して、良い意味で“外れた大人”になりたいと思っていたんです。もっと遊び心を出していきたいし、そこでもっとビートを使い切れるバンドになりたい。そんな野心的な気持ちで作ったのが、カップリングの「Nasty」ですね。おかげでレコーディングも楽しくて、裏で鳴ってるドラみたいな大きな音とか、あれバスドラのケースを叩いた音だったりするんですよ(笑)。

ライヴでは一斉にクラップして楽しめそうな曲ですよね。

Ta_2
そうですね。気持ち良いくらい横揺れで聴いてくれるのもありです。
YORKE.
そういう曲で爽快な歌詞を書いても当たり前だから、むしろ気持ちの悪いことを言葉に入れていって。どこか鬱々としてるっていうか…酒呑んで“上手くいかねーな!”みたいな感じ。特に男子は共感してくれると思う。

《擦り切れたジーンズの裾》というワードが妙にリアルで、個人的には線路脇のアパートに住んでいる男の映像が浮かびました。

Ta_2
8ミリ映画のぐうたら主人公みたいな(笑)。映画チックでいいですね…って、ダメダメ! すぐまた“映像でこんなことやりたい”とか言い始めるから。
YORKE.
その主人公、絶対僕のイメージだね。しかも、絶対に撮影が長くなるパターン。なのに、Ta_2は引いて歌ってるだけなんでしょ?
Ta_2
たぶんね、歌ってもいない。登場すらしないかも。部屋にあるテレビの中で歌ってるくらい(笑)。

ぜひ観てみたいです。対して3曲目の「painting of sorrow」は、またまったく異なるタイプの曲で、“雨”が主題の悲しみが滲む歌ではあるものの、とても美しくて清々しい印象を受けました。しとしと降る雨というよりも、雨が上がったあとのさわやかさを感じさせるというか。

Ta_2
この曲に関しては、このタイミングで吐き出さないとキツいと思う事柄があって、自分の感情や理解を超えて制御できない心の動きを、そのまま手紙を書き連ねるようにメロディーにしました。ただ、もともと曲が切ないところに、切なさの押し売りはしたくなかったんで、アレンジではあえてさわやかに聴こえるようなシンセを入れたり、サビには抜けるような力強さを加えたんです。悲しかったり切ない時こそ、それをグッと我慢していたり笑っているほうが、受け取り手にとっては救いになったり、より悲しさが伝わることもありますからね。これを聴いて涙してほしいわけではなく、それを乗り越えて前を向けるような楽曲にしたかったんです。
YORKE.
僕は僕で対象を決めて、その彼に向かって言葉を伝えようというところから書き始めた感じかな。伝えられなかったことを伝えるのが一番だったから、この曲は作品で完結して、ライヴでやらなくてもいいのかもと思うよ。ほんとにバーッと手紙を書くように歌詞を書いたし…ものを作るっていうのは、時々すごく残酷なことでもあるけど救われることもある。それでも僕は諦めずに作っていくから、とにかく“感謝してるよ”っていう気持ちを、今、ここに出しておきたかったんだ。タイトルに“painting”って付けたのはそういうことで、もしかしたらTa_2も絵を描くように声帯に色を付けて歌っているかもしれないし。ただ、歌自体は意外とクールだったよね。それが逆に良かった。
Ta_2
そうだね。意外とね、エモーショナルなところは抜いた。
YORKE.
仮歌で僕が歌ったもののほうが、よっぽど激情的だったよ。だから、ちょっと悲しいことを想像した時に寄り添えるものになれば…聴いた時に“なんだか分かるような気がする”と思う程度で、この曲は十分なのかなって。

現在のアルバムツアーは12月15日まで続きますが手応えは感じてます?

YORKE.
やっぱり手応えはありますね。『LADDERLESS』というテーマを掲げてる分、そこにどんどんフォーカスしていくから、また曲が動き出してる感じもあるし。セットリストもいい感じで凝縮してるから、スタートから集中してできてます。
Ta_2
久しぶりに小箱を回るツアーというのもあって、自分たちがパワーをもらったり、勇気付けられることも多いから楽しいんですよ。最近はライヴハウスでやってなかったのがもったいなかったとも思うし、何年経ってもうちらってこういうバンドだったなぁって、自分たちの足元を思い出させてくれるような泥臭いツアーになってる。来年4月からのZeppツアーは会場も全然大きいし、セットだったり世界観の構築の仕方みたいなものも変わっていくので、今、得ているものと混在させていけたら、もっと楽しいツアーになると思いますね。

取材:清水素子

シングル「Take On Fever」2019年11月20日発売 Lantis
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • LACM-34945
    • ¥1,800(税抜)
    • 【通常盤】
    • LACM-14945
    • ¥1,300(税抜)

ライヴ情報

『OLDCODEX “LADDERLESS” Tour 2019』
11/30(土) 香川・高松festhalle
12/01(日) 広島・BLUE LIVE
12/14(土) 神奈川・横浜BayHall
12/15(日) 神奈川・横浜BayHall

『OLDCODEX Tour 2020』
4/25(土) 北海道・Zepp Sapporo
5/08(金) 東京・Zepp DiverCityTokyo
5/09(土) 東京・Zepp DiverCityTokyo
5/23(土) 大阪・Zepp Osaka Bayside
5/24(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside
5/30(土) 福岡・Zepp Fukuoka
6/03(水) 愛知・Zepp Nagoya

OLDCODEX プロフィール

オルドコデックス:2009年、発足。VocalとPainterという異色の組合せの特性を生かし、ロックを基盤にしながらラウド、ダンス、パンク、メタル、プログレ、R&Bなどの要素を混ぜ込んだミクスチャーサウンドを主としつつ、ライヴアートを織り交ぜた視覚をも楽しませる作品群をパッケージ物、ライブ、グッズ等、メンバーが関わる全ての場所で打ち出している。2021年12月に、『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編 メインテーマをもって解散となることを発表。22年4月27日発売の『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編オリジナルサウンドトラック「Never Ending Blue」にOLDCODEXが担当する同タイトル メインテーマが収録。『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編オリジナルサウンドトラック 商品情報
OLDCODEX オフィシャルHP

OKMusic編集部

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