L→R 吉田理幹(Pf&Vo)、佐々木陽吾(Gu&Vo)

L→R 吉田理幹(Pf&Vo)、佐々木陽吾(Gu&Vo)

【The Super Ball インタビュー】
ありのままの自分を曝け出した
覚悟の3rdアルバム

自分たちの想いを届けるという
意味ではやりたいことができた

そういう意味ではラストの「It’s my ラプソディ」にも、今のおふたりの嘘偽りのない気持ちが投影されていて、そんな2曲が頭と終わりにあることがアルバムの本質をくっきりと映し出しているようにも感じます。

吉田
あぁ、良かったです。自分は洋楽をたくさん聴いてきた人間なので、そういった要素も取り入れたくて作ったのが「It’s my ラプソディ」なんですね。この曲に関しては音楽的に今までやってこなかったことをやってみたいと、4分の4拍子のスカのリズムに8分の6拍子を混ぜたりしつつ、とにかくストレスも嫌なことも全てライヴで投げ捨ててしまえ!という想いを詰め込みました。

オーケストレーションやクラップも入ってて、ゴスペル的な華やかさがありますよね。そういったリアルな心境やメッセージが目立つ分、ストーリーのある楽曲は空想なのか実話なのかというのが気になるところです。例えば子供目線で歌われている「お願いごと」とか。

佐々木
完全な空想ではないですね。こういったファンタジーな世界観の曲って、実はスパボの中に結構あるんですけど、あんまり音源化したことがないんですよ。そこで、今のふたりが書けるファンタジーを目指したのが「お願いごと」で。歌詞にある玄関で遊びながら親の帰りを待つとか、“ただいま”の声に飛び込んで行くとかっていう場面は自分の実話なんです。そんな日常を無邪気に幸せに感じていた一方で、大人になってから当時の両親が抱えていた苦労を知ったりすると、見え方が変わってくるじゃないですか。子供時代の幸せな状況を大人になった今の目線で書いた曲なので、結構解釈が難しいと思います。
吉田
ショートストーリー風な作品を作るのは昔から好きで、そういう感じでこの曲も書いていたら、陽吾さんが“これ絶対いい。続きが書きたい”って言ってくれたんです。その次の「ヒーロー」も陽吾さんが中心になって歌詞を書いた曲で、これはほんとに陽吾さんらしい! ちょっと陽だまりのような温かさだったり、やさしさがある。

幼い子供の微笑ましい心境を綴った「お願いごと」から小学生男子目線の「ヒーロー」という並びは、何やら連作のようにも感じられました。

佐々木
そこは狙いました。「ヒーロー」はテレビで観るようなヒーローにいつかなりたいと本気で願っていて、小学校の高学年になってもひとりでフィギュア遊びに熱中してた僕の完全実話ですね。そんな自分が、今、歌を歌う人間になって、かたちは違っても目指すヒーロー像を心の中に持っている。そんなところまで全部曝け出した、自分的には恥ずかしい一曲です。そういう意味では「泣かないで」も高校生の時に彼女にフラれた悲しみを女性目線に置き換えた曲で…俺、当時めちゃめちゃ女々しかったんですよ。全然立ち直れなくて、そのへんを反映したエレキのループ感にしろ、締め括りの歌詞にしろ、我ながらゾッとする曲ですね。話してて辛くなってきました…。

いや、リアルな経験を綴ってこそ、嘘偽りのない“プレーンバニラ”ですよ! 一方、軽快なピアノで始まるリード曲の「blue」は、会社員が主人公のようなので実話ではないと思うのですが。

吉田
これは自分たちというよりもファンの歌ですね。曲は2年前くらいからあって、シングルの選曲会になるといいところまでは行くのに、毎回“今のスパボにはお洒落すぎる”と言われて音源化に至らなかったんです。自分としてはこういうファンクっぽい曲をふたりで表現したいとずっと望んでいたところ、ようやく今回オーケーが出たんですね。で、どんな歌詞を書こうかと考えた時、ファンの方から“仕事を辞めたい”とか“仕事がキツいけどスパボがいるから頑張れる”っていう声をいただくことがあって、そこをテーマに前向きな曲を書いてみようかと。だから、メッセージソングであり、単純に一番好きな曲でもあり、周りからも口ずさみやすい曲だという評価もいただけたので、リード曲に決めました。ちなみにMVではバリバリ楽器を弾いてます! そういうMVも初めてで…でも、やってみたかったんですよね。
佐々木
大きなスタジオでバンドメンバーと歌ってるシンプルなものなんですけど、めっちゃカッコ良いです!

そのシンプルさも、ファンへのメッセージを歌った曲をリードにしたのも、“プレーンバニラ”という名のアルバムには相応しいですよね。

吉田
その分、今回は恋愛曲が減ったんですよ。それも自分たちにとっては“プレーンバニラ”であって、ずっと“誰かの背中を自分たちの音楽で押したい”って言ってきましたからね。とにかくメッセージを、自分たちの想いを届けたいという意味では、かなりやりたいことができました。
佐々木
あと、初回限定盤に初のライヴ映像が付くのもめちゃめちゃ嬉しくて。このアルバムに入っていない曲も聴けるからお得ですよ。“ただただライヴで盛り上がりたい曲”っていう仮タイトルだった「Mr.スーパーマン」とか、生音にこだわるべき華やかな曲の多いアルバムになったので、今後はバンドと一緒にやるライヴを増やしていきたいですね。

12月のツアーもバンド編成で?

吉田
はい。フルバンドでやる予定なので、生音感を大切に一音一音表現したいです。どんどん良い音が出せるようになって、どんどん音楽を好きになれているから、もっともっと音と音楽を追求したいんですよ。ツアーのタイトルは“バニラって何色?”ですけど、アルバムにはクールだったり暗めの曲もあれば、熱く盛り上げられる曲もあるので、青と赤が混ざった紫なライヴにできればいいなと。
佐々木
グラデーション感みたいなところは出したいですよね。真っ赤な時もあれば、真っ白な心で聴いてほしいものもあるし、急に真っ青になる曲もあると思う。今の目標がメジャーデビュー4周年になる来年の7月に、1,000人キャパの会場でワンマンライヴをやることなんですよ。そのためにも今回のツアーで曲を育てて、絶対に成功させたいです。

取材:清水素子

アルバム『プレーンバニラ』2019年11月20日発売 徳間ジャパンコミュニケーションズ
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TKCA-74858
    • ¥3,436(税抜)
    • 【通常盤】
    • TKCA-74859
    • ¥2,591(税抜)

『The Super Ball ONE-MAN TOUR 2019 〜バニラって何色?〜』

12/08 (日) 青森・ELMホール
12/15(日) 東京・浅草花劇場
12/21(土) 大阪・RUIDO
12/22(日) 愛知・APOLLO BASE

The Super Ball プロフィール

ザ・スーパーボール:佐々木陽吾(Gu&Vo)と吉田理幹(Pf&Vo)によるツインヴォーカルユニット。略称は“スパボ”。2013年結成。2015年から都内ライヴハウスや路上ライヴ活動を本格化させ、レコード会社数社の争奪戦の末、2016年7月にメジャーデビューを飾る。デビュー以来、数多くの楽曲がTVアニメ主題歌、連続ドラマ主題歌、番組テーマソングに抜擢され、ふたりの奏でるメロディーとハーモニーが大きな注目と人気を集めている。The Super Ball オフィシャルHP

「blue」MV

「花火」MV

アルバム『プレーンバニラ』
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OKMusic編集部

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