【インタビュー】宮川愛李、『名探偵
コナン』エンディング曲とSNS世代の
リアルを語る「秘めた内なる強さ」

2019年1月、“妹子”改め、本名でアーティスト活動を開始した宮川愛李。6月リリースのデビューミニアルバム『スマホ映えの向こうの世界』では、ダンスポップからロックナンバーまでさまざまな音楽を消化し、SNS世代らしい軽やかなスタンスで、既存の枠に捉われないアーティスト像を提示してみせた。そして、早くも11月にリリースされる1stシングルが「Sissy Sky」だ。
シングル表題曲は、TVアニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマに抜擢。疾走感溢れるポップソングをまっさらな感性で歌いこなし、表題曲を含めた3曲すべての作詞を自ら手掛けるなど、さらなる進化を刻んでいる。10代のリアルな想いと揺らぎを抱いたまま、あらゆる可能性を手に新たな一歩を踏み出した彼女に、その核にある想いを訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■最初のライブで歌った時よりも
■自分の声で、心で歌えている

──6月のデビューからまだ半年足らずですけども、振り返ってみていかがですか?

宮川:とても濃い半年だったんですけど、その反面、一瞬で過ぎ去ったような感じがします。初めての経験ばかりだったので、緊張もあって、全部のイベントとかがもうヒュンって一瞬で終わっちゃうような(笑)。でも楽しい毎日でした。
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──1月に
して、まず
がありましたね。

宮川:あの時は、アーティスト活動を始めていくっていう気持ちだけで、とにかくがむしゃらに動いていました。まだ、どういうことをどんなふうに表現して歌っていけばいいかみたいな、明確な目標がちゃんとなくて。何もわからないまま、とにかく声を出して歌うっていう全力感だけでしたね。アーティストとしてのライブのクオリティ的には、ほんとに最低レベルくらいのものをお見せしてしまったかなっていう悔しい気持ちもあったんですけど、でも、私の新たな人生のスタートとしてはいい思い出になったかなっていう気持ちはあります。

──そして6月26日に
がリリースされたわけですけど、その楽曲制作はライブと並行して?

宮川:そうですね、ライブの前後にレコーディングもやっていました。なのであの時期がいちばん、戸惑うことばかりでした(笑)。でも作曲してくださった方や、スタッフさんのいろんなサポートもあって、素敵なアルバムができたなって気持ちはあります。初めて完成した音源を聴いた時、自分の声だって感じが全然しなくて。“私、こんなに歌えたんだ!”みたいな達成感が強かったんです。すごく嬉しかったですね。
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──『スマホ映えの向こうの世界』は曲調もさまざまで、いろんなことに挑戦している愛李さんの姿が詰まったミニアルバムだなあと思いました。

宮川:やっぱり、自分がいちばん大きく伝えたいことっていうのがまだ見つかってなかったっていうのもあって、いろんなことにチャレンジしてみたんです。でも、今後も何かひとつにこだわりたいわけではなくて。楽しい歌だったり、悲しい歌だったり、好きな歌を歌っていきたいし、表現も自由にいろんなところに手を伸ばしていきたいなと気持ちはあるので、そういう意思表示も兼ねたアルバムになったかなって思っています。

──イベントなどでお客さんの前で披露してみての印象はいかがでしたか?

宮川:初めのほうはやっぱり緊張しましたね。むしろもう硬直してたというか(笑)。何度も重ねるうちに、最近はお客さんの表情を見たり、ちゃんと目を見たりしながら歌えるようになってきたという。歌っている最中にファンの方のほうを見てみると、すごく一生懸命、私の目をみて“うんうん”って頷きながら聴いてくれていて。歌詞のひと言ひと言にも、ちゃんと自分なりに意味を汲み取って聴いてくれているのかなって考えたりすると、嬉しくなりますね。あと、イベントでお客さんと直接触れ合うようになってから、私の考えることも広がりました。応援してくれる人たちのおかげで、これからもどんどん歌っていこうって気持ちが強くなっていったし、歌にも心がこもるようになっていると思います。最初のライブで歌った時よりも、自分なりに、自分の声で、心で歌えている──ってちょっとそれっぽいこと言っちゃって恥ずかしいですけど(笑)。“私の歌ですよ”って自信を持って表現できるようになったかな。
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──その段階を経て、今回の1stシングル『Sissy Sky』では、王道のポップソングにまっすぐ挑んだ印象だったんですが、レコーディングの手応えはいかがでした?

宮川:「Sissy Sky」は、TVアニメ『名探偵コナン』のエンディングとして起用していただくというのもあって、王道な感じもありつつ。さらに、エンディングのアニメーションが、灰原さんとコナンくんのちょっと切ない、考察したくなってしまうようなイメージになるっていうお話も伺っていたので。なので、そういう気持ちをうまく爽やかに、あまり暗すぎないように表現できたらなって思ったんです。叶わない恋だとしても、決して暗いイメージじゃなく、爽やかに風で吹き飛ぶような、楽しい明るい、でも切なさが残るような曲調にできたらなって。ちょっと難しかったんですけど、歌詞とメロディと、歌い方も気をつけました。歌う時は、アニメーションのイメージメインで、灰原さんの気持ちに寄り添って歌えたかなっていう感じもありますね。それはアニメのキャラクターにというより、人として、少女の中にある孤独感とか、寂しいけど強く生きていこうとする、秘めた内なる強さみたいなところが私と合っているんじゃないかなって気づいたところがあったので。

──内なる強さとか、そういう感じは愛李さんの中にもありました?

宮川:あると思っております、私は。なんか性格上、あんまり塞ぎ込むことはなくて。落ち込んだりした時は「わー!!」って感情に任せてしまうタイプなので、「だめだ、ひとりぼっちだ」みたいにはならないんですけど。やっぱり私くらいの年って、いろいろ考え込んだり、友情とか恋愛とか、ほかの悩み事とか、そういう小さな悩みが積もりに積もって、塞ぎ込んでしまう要因になったりすると思うんですよ。そういうのを、私の歌声と爽やかなメロディでバーっと、さらっていけるようなイメージで作れたらなと思いました。
■今回の1stシングルは3曲とも
■空をテーマにした曲なんです

──歌詞にある“もうダメかも…”って言ってる人に対して、手を引っ張ってあげる側なんですね。

宮川:そうですね、私が会いにいこうとしています! 結構TwitterなどSNSを通じて、ファンの方との交流を大事にしているんですけど、やっぱりみんなさまざまなことに悩んでいて。ほんとに一瞬の青春を一生懸命生きてるなって思うんです。だから、その中にぽっかり空いちゃう孤独感とか、そういうものに立ち止まらないで、楽しんで強く生きてほしいっていう気持ちがあって。背中を押し出せるような曲にできたらなと思って作りました。

──その視点は、この曲に限らず、愛李さんが表現をしていく中で大事にしてる部分ですか?

宮川:背中を押したいって気持ちも、私の中でみんなに伝えたい気持ちのひとつ、という感じですね。これから伝えたいことはどんどん増えていくと思うんですけど、今こうやってアーティスト活動をちょっとずつ進めていく中で、成長した自分なりの想いとか、今、私はここまで歩いてきて、こういうことを伝えたいってことがわかりました!みたいな。そういうちょっとした発見を、今回は届けられるかなと思っています。
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──アーティスト活動を始めた時から、明確に“歌を誰かに届けたい”と思っていたというより、活動していく中でそういう気持ちが自然と芽生えてきたんですね。

宮川:はい。やっぱり私自身が、初めてやったワンマンライブからずーっと、私を応援してくれているファンの方々の声にすごく助けられているので。初めは不安なことだらけで、“ほんとに大丈夫かな、私、歌えるのかな”って、暗い気持ちしかなかったんですよ。でも、そういうのを気にしなくなれたのは、ファンの方の応援の声とか、SNSでのメッセージや手紙など、ひとつひとつがどんどん私の支えになっていることに気づいたからで。その時、すごく感謝したのと同時に、今度は私も歌でお返しできたらなって気持ちが出てきました。

──そうですよね。『スマホ映えの向こうの世界』の時は、「“身の程知らず”なんて言葉 上等だ」とか「私くらい私に期待したいんだよ」とか、結構ファイティングポーズをとっていて。

宮川:はい(笑)。でも、まわりを見てみたら、そうやって支えてくれるファンの方がいっぱいいて、家族、兄弟の応援とか、そばから見守ってくれていることに気づいて、ちょっと安心して前に進めるかなって思えるようになりましたね。
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──今回、3曲とも作詞は“aireen”名義ですが、愛李さんの作詞ってことでいいんですよね。

宮川:はい。私が作詞しました。ただ、いろいろ手伝っていただいているスタッフさんも含めての総称で“aireen”にしています。

──3曲すべて作詞してみた感触はいかがですか?

宮川:作詞すること自体はすごく楽しめているかなと思いますね。暗い曲調の曲でも、明るい曲調の曲でも、作っている時のテンションってあんまり変わらなくて。歌うのが好きで、こんな気持ちを伝えられたら楽しいな、嬉しいなって気持ちが前に出ているので、結構明るい気持ちで作っているんです。あんまり、曲を聴いてテンションを下げてほしいわけではないし。あとは私の、大きく言えば願望とか夢、こうだったらいいなあって気持ちが入っていたりします。
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──全体的に、前回の『スマホ映えの向こうの世界』とは違う世界観ですよね。

宮川:違いますね。カップリングはファーストライブでも歌った2曲で、ちょっとアレンジを加えて、歌詞も少し書き直したんですが、両方恋を連想させるような曲なので。私にこんなロマンチックな経験があったわけではないんですけど(笑)。なんか恥ずかしいな、“孤独を分かち合った夜”とか……ダメですね、冷静になって歌詞を解釈したら(笑)。あと、今回は3曲とも、空をテーマにした曲になっているんです。基本的に私が空好きっていうのもあるんですけど。海に囲まれて育ったのに、空が好きなんですよね。3曲共、聴きながら、ふと空を見上げた時に曲と雲の動きがマッチしてしっくりくるような、それでさらに気持ちが入りやすくなったりしたら楽しいかなって思っています。

──シングルを出すということで、「Sissy Sky」に合わせてこの2曲を選んだ感じですか?

宮川:そうですね。“そういえば空繋がりでいいじゃん!”みたいな。こういう、テーマを持った制作ってカッコよくないですか(笑)? 私の勝手なイメージなんですけど。デビューミニアルバムの『スマホ映えの向こうの世界』の時は大きいテーマがあったわけじゃなくて、自分の好きなものを書き出しましたみたいなアルバムになったから。今回はちょっとアーティストっぽく、気持ちを込めてやれたかなって。カッコつけちゃいました(笑)。
■温かく見守っていただければ
■私のこの自由奔放さを(笑)

──前作ではお兄さんのみやかわくん作詞の「欠落カレンドラ」を歌っていましたけど、自分との違いを感じたりしますか?

宮川:やっぱり、兄と私じゃ表現の仕方とか考えていることが違うなって感じました。今回ちゃんと腰を据えて歌詞を書いてみて、兄の、ちょっとダークでロックな表現とかは“私の心ではなかなか出てこないところからの切り口だなあ”と思いますし。改めてお互いが書いた歌詞を見返してみると、発見することはあります。あと、深読みしようとしちゃいますね。“どういう気持ちで書いたんだろ”みたいな。ほんと単純に兄弟としての興味的なところもあり。“これ、あの人どんな顔で書いたんだろ”ってなっちゃったりするんですけど(笑)。
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──それはきっとみやかわくん側からもありますよね。

宮川:ね! 鼻で笑われてそうですね(笑)。ちょっと恥ずかしいですけど……そう考えたら、デビューした当初は、結構表現することに対して恥じらいの気持ちとかもあったんですよ。でも今は、“これが私なので”って自信を持って進めているかな。後々気持ちが変わっていくとしても、今思っていることを、今作ってる曲に乗せて表現できたらっていう気持ちになれているので。今伝えたい気持ちをひとつひとつファンの方々に届けることで、振り返って見た時に、“ああ、私、こんなに歩いてきて、手元にこんな気持ちが残っていたんだな”っていうのが見つけられればいいなと思って、今は歩いていますね。

──逆に変わらない、ここは大事にしたいって部分はありますか?

宮川:単純なんですけど、やっぱり歌うことが純粋に好きで始めたことなので、嫌いにはなりたくないですよね。なるつもりは全然ないですけど。うまくいかないこともあると思うけど、暗い気持ちにはなりたくないので、楽しくこれからも歌っていけたら、それがみんなに届くんじゃないかなって思うし、そうなってくれれば嬉しいです。自分でひとり歩きしてなきゃいいけど(笑)。そういうところも温かく見守っていただければなと思っています。私のこの自由奔放さを……って、自分で言っちゃう(笑)。
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──ははは。それを聞くと、12月のワンマンツアーの<あったまっていきなよ~!!!>っていうタイトルは、まさにですね。

宮川:そのまんまですよね(笑)。もうちょっとカッコいい名前にすれば良かったとも思ったけど、もう衝動でつけてしまったので。“冬だし、<あったまっていきなよ>でいいじゃないですか”って、ちょっとテンション高かったんでしょうね(笑)。でも、ほんとに題名のとおり、ライブ会場を温めて、ぽかぽかにして帰りたいっていう気持ちがあります。今の自分の思いとかも歌に乗せて全力で歌って、それを届けて、みんなでひとつになれるようなライブにできたら、また一歩成長できるかなと思っております!

──一「“身の程知らず”なんて言葉 上等だ」みたいな気持ちも、まだ根底にはあります?

宮川:そうですね、時には出ますね。“ついてこい!”みたいな強気な自分もいます。やっぱりまだひとつの言葉にできるものがなくて、いろんな感情がまじりまじりなんです。“楽しくやろうよ”ってみんなを引っ張っていったり、“私はひとりで強くいくわ!”って気持ちもあったり。そういうのをいつかひとつに確立していくのかなって思うけど、そうなったらなったでちょっと悲しい気持ちもするし。“やっぱり歌うことが好きで、とにかく好きな歌を歌っています!”って感じなので。どんな曲でも、“大きく括って私!”ってまとめていただいて(笑)。このまま何にでも興味を持って、何にでも手を伸ばしていく気持ちで、ずっと続けられたらなって思っています。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎野村雄治
■1stシングル「Sissy Sky」

2019年11月6日発売
※アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマ
【初回限定盤】JBCN-4001 ¥1,800(+tax)
・グッズ:アクリルスタンド / 宮川愛李書き下ろしキャラクター(3種)
▼CD収録曲
01. Sissy Sky
02. アマイロ
03. 夕立ち
【通常盤】JBCN-6001 ¥1,000(+tax)
▼CD収録曲
01. Sissy Sky
02. アマイロ
【名探偵コナン盤】JBCN-6002 ¥1,800(+tax)
・グッズ:アクリルスタンド / 江戸川コナン、灰原哀書き下ろしキャラクター(2種)
▼CD収録曲
01. Sissy Sky
02. アマイロ
03. Sissy Sky (TV_Edit)


■『宮川愛李1st Single「Sissy Sky」全国リリースイベント』

※終了したイベントは割愛
▼東京
日時:2019年11月6日(水)18:00〜
会場:タワーレコード渋谷店 5Fイベントスペース
▼愛知
日時:2019年11月9日(土)18:00〜
会場:名古屋パルコ 西館 1Fイベントスペース
▼関西
日時:2019年11月10日(日)17:00〜
会場:ららぽーと甲子園 1階パークウォークコート
▼広島
日時:2019年11月16日(土)14:00〜
会場:タワーレコード広島店 店内イベントスペース
▼福岡
日時:2019年11月17日(日)14:00〜
会場:タワーレコード福岡パルコ店 店内イベントスペース
▼宮城
日時:2019年11月23日(土)14:00~
会場:仙台駅前イービーンズ 4階杜のガーデンテラス
▼宮崎
日時:2019年11月24日(日)17:00〜
会場:カリーノ宮崎前 T-テラス
▼北海道
日時:2019年11月30日(土)13:00〜
会場:タワーレコード札幌ピヴォ店 イベントスペース


■<宮川愛李ワンマンツアー「あったまっていきなよ~!!!」>

2019年12月14日(土) 名古屋E.L.L.
open16:00 / start17:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2019年12月15日(日) 大阪バナナホール
open16:00 / start17:00
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
2019年12月20日(金) 渋谷ストリームホール
open17:30 / start18:30
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
▼チケット
前売:スタンディング ¥4,500(込)
※入場時別途ドリンク代必要
※4才以上チケット必要(3才以下入場不可)
一般発売日:2019年10月26日(土)

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