【奥華子 インタビュー】
デビュー15周年記念だし、
このタイミングで
全部出し切りたかった
今回は自己満足的な
自分のためのベストアルバム
今回の収録曲の中で思い入れ深いのはどの曲ですか?
いろいろありますけど、「シンデレラ」は自分の中でのターニングポイントですね。それまでって“もっと売れたい”とか“もっと多くの人に知ってほしい”って戦っている感じがあって、この曲の時には今までの奥華子と違うものを提示した…曲調もポップにしたりして。
この時の眼鏡はトレードマークの赤ぶちではなく、黒ぶちでした。
そうそう。スカートを履いたり。でも、そういうことをやったわりには、特に反響もなくて(笑)。なので、そういうことじゃないんだって思ったんですよ。それがきっかけで、もう気負わなくなったというか、そういうことを追うことをやめて、“奥華子のいいところは何か”というところからリスタートした気がしますね。
なるほど。では、そんな本作を作ってみてどんなことを思いましたか?
ベストアルバムって普通はシングル曲や誰もが知ってる有名な曲が入ってるものだと思うんで、これはかなり自己満足的なもの…前回はファンのみんなと一緒に作ったこともあって外に向いているんですけど、今回は自分に向いているベストだなって。自分が残したいもの、納得しているものを収録した、自分のためのベストアルバムみたいな感じがすごくします。でも、奥華子の存在自体がそうなのかなって思ったりもして。周りのみんなが好きだから自分も好きっていうんじゃないし…それこそジングル曲よりもアルバムの曲が好きっていう感じで、ファンの方たちも思ってくれているんじゃないかと思います。
あぁ、確かに。シングル曲よりも「素顔」や「しわくちゃ」が入ってないことが残念だったりしました(笑)。
候補ではあったんですけど、“花”“空”“月”というテーマを設けたことで外れたものもあるし、曲順を決める時に抜き差ししたものもありますしね。そういうことを言い出すときりがないので、私が思うベストアルバムになったと思います。で、全部ピアノだなって(笑)。ピアノが入ってない曲はないですからね。
それはピアノが奥華子とイコールのものでもあるからですよ。
そうですけどね。歌声はデビュー当時とは相当違うんですけど、楽曲に対しては年代を感じないというのも思いましたね。
それこそピアノが中心にあるからでしょうね。ビートやグルーブは時代によって変わるけど、ピアノはそういうものに左右されないので。
うんうん。弾き語りがベースにあるから、そういうところはあるでしょうね。あと、一番思ったのは“頑張って一生懸命作ってきたな”ってことで。すぐに曲ができるタイプではないので、アルバムを作る時は毎回死にそうになってるし、“今回は無理かな”って思うことが何回もあったけど、それを乗り越えてきたんだなって実感しました。締め切りがないとできないのは事実なんですけど、だからって自分の納得がいかないもの、あとで恥ずかしくなるようなものは作っていないっていうのは、このベストアルバムを聴き直して思ったことですね。