【ライブレポート】OLDCODEX「クソみ
たいに楽しい時間を過ごそうじゃねー
か!」

10月17日に東京・LIQUIDROOM ebisuにてOLDCODEXの全国ツアー<OLDCODEX“LADDERLESS” Tour 2019>の初日が開催された。

あえて10周年を全面に打ち出さず、集大成ではなく新しいOLDCODEXを提示した最新アルバム『LADDERLESS』をひっさげてのライブは鮮度が高く、一瞬たりとも目も耳も離せない場面の連続。そんな彼らの“リアルタイム”を全身で楽しみ尽くそうとする気合いの入ったオーディエンスのパワーにも圧倒された。

初日ということもあり、曲順や演出の詳しいことを記す楽しみはとっておくことにするが、怒涛の歓声に迎えられて投下されたのはTa_2の超絶シャウトが響く最新アルバムからのヘヴィチューン。前半数曲でTa_2の顔から汗がしたたり落ちるほどアクセル全開だ。照明の当たり方によってステンドグラスのようにも見えるYORKE.の絵が覆い尽くカラフルなセットはLIQUIDROOMを一瞬でOLDCODEXの遊び場に変えてしまう。
「やっと始まったよ!! やっと俺らのワンマンが始められるよ!! さあ、オマエら、今日、楽しむ準備できてるか!? 頭のネジすっ飛ばす覚悟はできてるか!? 誰よりも騒げる? 誰よりも跳べる? じゃあ、みんなで“明日が待ち遠しいな”っていうぐらいクソみたいに楽しい時間を過ごそうじゃねーか!?」_Ta_2

フロアーから上がる声はまるで地響きのよう。強靭なビートとエッジーでヘヴィなギターでTa_2とYORKE.をガッツリ支える楽器陣。マイクを両手で握りしめて激アツなボーカルで揺さぶり、ときには攻めのラップを繰り出すTa_2。上手と下手に置かれたキャンバスに向かい、五感で音を感じながら塗りつぶしては新しい色を加え、マジシャンのようなことをやってのけるペインター、YORKE.。代表曲「カタルリズム」ではTa_2がステップを踏み、YORKE.がフロアーにマイクを向ける中、叫ぶような強力な大合唱が場内に響き、みんなの声を聞いたTa_2が思わず「やばっ」と感想を漏らしたほど。ちなみにOLDCODEXがリキッドでワンマンをするのは実に8年ぶり。それだけでもレア中のレア。Ta_2が伝えた言葉もOLDCODEXチームの男前な在り方を物語っていた。
時計の針がいつもより速く動くような「過ぎ去ってほしくない」時間の中で感じたのは武道館やアリーナクラスの会場で見るOLDCODEXとライブハウスで見るOLDCODEXの距離感が変わらないという驚きの発見だった。もちろん、物理的なサイズや客席との距離は違うのだが、大きな会場であってもどれだけ彼らが近くに感じられるライブをしてきたかを改めて痛感した。親近感というニュアンスではなく、飛んでくるようなスピードとエネルギーで届いてくるアクトという意味で。
そして本ツアーのひとつの見せ場は中盤のクールダウンするセクションだ。『LADDERLESS』に収録されている新しい引き出しを開けたような曲たちには見せ方もアレンジメントも含めて意表を突かれた。キャンバスの前に立ち、YORKE.のほうを向いて歌い始めたTa_2のウィスパーボイスは大人の色気を感じさせ、YORKE.は曲を象徴するパーツを種明かしのように描き出していく。OLDCODEX自らが掲げた“アートロック”を新しい角度から提示した世界はときにメランコリックでもあり、どんどん深い世界にひきずりこまれるような感覚を覚えるものだった。

「どう? だいぶカオスでしょ?」と問いかけるTa_2に「最高だよ!」、「カッコいい!」という声が飛び、バンドのメンバー紹介へ。
YORKE.はペイントするときに使うハシゴ(LADDER)を持ち上げてみせ「見てのとおり俺はセットを作るときとかライブとか、いろんなときにこの人(ハシゴ)がいて。“これがもしなくなったときにどうするか。自分がいつも使っているものがなくなってもやるのかな?”ってアルバムタイトルや歌詞を考えてるときに思ってたけど、今日、ライブ始まってみるとこんなのなくてもできる気がするって」と沸かせ、Ta_2は最近ネガティブにものごとを考えがちだった自分のことを打ち明けた上で「いろんなことを恐る恐るやってた自分がみんなと飛び跳ねたり、声もらったり、一緒になって遊んでるこの時間で俺、勝手にポジティブになってるなと思って。あらためて思ったんだよ。オマエらってすげえな! いつもいつもパワーもらってます!!」と叫んだ。
いちばん大事な遊び仲間の前だからこそ、溢れ出す言葉もOLDCODEXにとっていかにライブがかけがえのないものであるかを物語っていた。

ライブは後半戦に向かって再びギアを入れていく展開になり、Ta_2とYORKE.が台の上に上がってそれぞれマイクを持って歌い、煽ったりと場内は沸騰状態。ラストはTa_2がずっとみんなと歌っていたい曲と心から願っていたナンバーで締められ、大合唱に。Ta_2がフロアーに身を乗り出し、みんなに支えられて歌う場面も飛び出した。
鳴り止まないOCDコールに応えてのアンコールではみんなの声援に耳を傾け、清々しい笑顔で「全員まとめて大好きだ。ありがとうね。だから、新曲やります!」と11月20日にリリースされる新曲「Take On Fever」(OLDCODEX史上もっとも激しいナンバーとのこと)を初披露。暴れ倒した最後の曲ではYORKE.がフロアーに降りて歌ったりとステージもフロアーも完全燃焼にとなった。

全てを出し尽くしたせいか、終演後、Ta_2は「忘れてた!」とあわてて今回のツアーで行けなかった箇所も廻る全国主要都市のZeppツアーを2020年4月25日から廻ることを告知し、サプライズに大歓声。頭のねじを吹き飛ばし、見にきた人たちを最高の笑顔にする本ツアーは12月の横浜公演2デイズまで続いていく。

取材・文●山本弘子

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