【sleepyhead インタビュー】
ダークで上質な音像を描き出す
3rd EP『endroll』
バンド、DJを中心に
いろいろなスタイルでライヴをやりたい
“endroll”というタイトルについては?
これは逆算ですね。“センチメンタルワールズエンド”というタイトルのフルアルバムを作りたいと思ってるんですけど、そのタイトルから連想したのが“endroll”なので。次のアルバムに向かう前に、もう1作リリースしておきたいっていう単純な発想なんです。前回の『meltbeat』(2019年3月発表のEP)も同じ発想で、あのタイミングでは懇親のバラードを出そうと思っていたんですが、SuGの「桜雨」につながるような曲ですね。ライヴを続けている中で“もっと踊れる曲がいい”と思って、『meltbeat』を作って。
今回のEPに収録されている「dark side beach」「bedside」も次のアルバムの布石なんですか?
もともと「bedside」は次のアルバムに入れようと思っていた曲なんです。前回のEP『meltbeat』に入っていた「akubi_girl」の評判が良かったから、あえて同じコード進行を使って、もっとR&Bに寄せて。ラップも多めだし、音楽的な実験も結構やってます。「dark side beach」はまた違っていて、Ittiのトラックの中で“これは自分で曲にしたい”と思ったのがきっかけなんです。ダークなんだけど上品というのかな。闇を描きつつ、でもビジュアル系っぽい泥臭さがない曲をずっとやりたいと思っていて、そのひとつの答えという感じです。1曲目のSE(「doors」)は完全にIttiの好きな世界観ですね。映像に似合う音楽だと思うし、実際CMの音楽などもやっていて。Itti自身も映像を撮れるし、マルチクリエイターなんですよ。いい相棒を見つけました(笑)。この前の上海公演もIttiと一緒に行ったんです。僕とItti、ブランド(武瑠が主催するファッションブランド“million dollar orchestra”)のスタッフと3人で。
ずいぶん少数精鋭ですね!?
面白かったですよ、3人で冒険してるみたいで(笑)。ブランドのスタッフがポップアップを作って、ライヴは僕とIttiでやって。現地のイベンターと知り合ってアジアツアーについても話せたし、次につなげられたのも良かったですね。ブランドを海外に展開したいという気持ちもあるし、ブランドも来年で10周年なんですよ。その足がかかりができたかなと。
素晴らしい。10月から11月にかけて行なわれる全国ツアーはバンドと一緒に回るんですか?
そうですね。今回はバンドですけど、この先はいろんな編成でやるのもいいかなと思っていて。もともとTwo Door Cinema ClubみたいなバンドとDJの音が融合しているものも好きだし、生バンドのライヴとDJと一緒にやる2ウェイがいいのかなと。「dark side beach」なんて、バンドでどうやればいいのか分からないじゃないですか(笑)。
完全にクラブミュージック寄りですからね。音源は打ち込みメイン、ライヴは生のサウンドという分け方も今の潮流かも。
Kendrick Lamarもライヴは生ドラムですしね。確かにドラマーがいるとテンションが上がるし、グルーブも出るので。VJ、DJと一緒にライヴをやるのも目標のひとつなんですけど、いろいろなスタイルでやれるのもソロの強みかなって。今作は打ち込みの要素が増えてるんですけど、来年はさらにその傾向が強まりそうなんですよ。
まずはフルアルバムの制作ですか?
そうですね。ほぼ曲は揃ってきたんですが、“この曲のアレンジはあの人にお願いしたい”とか、作曲家やプロデューサーと一緒に制作したい曲もあって。あと、他のアーティストのプロデュースだったり、MVのディレクションも増えてきて。
sleepyheadがスタートして約1年半ですが、活動の幅はどんどん広がってますね。
思った以上ですね、そこは。活動の規模がミニマムになったことで、ブランディングの精度が上がったというか。あまり焦らず、淡々とやっていきという気持ちもあります。ファッションや映像と融合させながら、自分が得意なことをやっていきたいなって。
取材:森 朋之