【インタビュー】TEE、8組のアーティ
ストがTEEの歌声とキャラクターを最
大限に輝かせるコラボ『Golden 8』

前作『5年後のアイラブユー』から4年ぶりとなるTEEオリジナルアルバム『Golden 8』が完成した。この作品はTEEが尊敬する8組のアーティストがTEEをプロデュースするというもので、SALU、C&K清水翔太、”デモ”リッションメン、Blue Vintage、BES、Micro(from Def Tech)、そして前川真悟(from かりゆし58)が参加。TEEの歌声とキャラクターを最大限に輝かせるコラボレーションが実現している。

■アーティストとしての可能性も広げられたらと思った
■かなり大きな挑戦でしたけどね

――ニューアルバム『Golden 8』が完成しました。オリジナルとしては4年ぶりになりますね。

TEE:はい。自分がやりたかったこと、出したかったものが今回も仕上がりました。2年前にカバーアルバム『MASTERPIECE ~THE WORLD BEST COVERS~』を出したんですが、あの時も自分がやってみたいと思ってああいう企画をやらせてもらったんですね。誰かが作ったものを歌うっていうのは、自分にとってすごく刺激的でした。あと、中居(正広)さんが司会をされているテレビ番組にも出させているんですが、そこでもいろんな曲をカバーさせていただいたりして、自分の新しい挑戦になってきたんです。勉強にもなりましたし、自分のスキルにも繋がったというか。

――なるほど。

TEE:それで、今回どんな作品を作ろうかということになった時に、誰かと一緒にやってみたいということを伝えたんです。そこがスタートでしたね。

――誰かと一緒にという意味では、2015年に『Tee time ~コラボ・ベスト~』という作品もありましたよね。

TEE:そうですね。でも今回はそれとはまた違って、自分の声を誰かにプロデュースしてもらって、そこで生まれる化学反応を見たいっていうものだったんです。ここまで9年やってきて、いろんな形でアウトプットをしてきましたが、それでもちょっと、自分が作るメロディーラインがマンネリしてきたかなという部分もあったりして。そういった意味でも、誰かと一緒に作ることで、自分のアーティストとしての可能性も広げられたらいいなと思ったんです。かなり大きな挑戦でしたけどね。

――その挑戦が、とんでもないレベルで結実したのが新作『Golden 8』。ちょっと話が逸れますが、このアルバムのプロモーションも兼ねて始められたYouTubeの「TEEチャンネル」、めちゃくちゃ面白くて更新が待ち遠しいです(笑)。

TEE:ありがとうございます(笑)。今まで(自分の音楽が)届かなかったような人にも届けばいいなと思い、これまで手を出してこなかったところにも向き合っていこうよということで、じゃあYouTubeをやってみようかと。その「(YouTubeで)何かやってみようか」まではよかったんですが、その続きとして「覚悟しておけよ」って言われた結果がアレなんです(笑)。

――大小さまざまなドッキリや、体を張った企画に挑まれていますよね(笑)。

TEE:ファンの皆さんも友達も喜んでくれているみたいで、よかったですよ。ただあれだけじゃなく、ちゃんと新曲のMVとかも見てもらったら「やっぱりアーティストやったんか」ってみんな思うらしいので、そっちと合わせて見てもらいたいですけどね(笑)。
――失礼ながらTEEさんのいじられっぷり、そして騙されっぷりが最高に面白いのですが、そこまで見せるのも、全てはいいアルバムができたからということですよね。

TEE:もちろんです(笑)。先ほども言いましたけど、一人でも多くの人に届けたいなと思っているので。ちなみにさっき聞いてみたんですが、TEEチャンネルはスタッフが飽きるまで続くそうです(笑)。

――では話を戻しますが、実際に色んな方と作業をされてみていかがでしたか?

TEE:色んな人とやれるっていうことに対してはワクワクする気持ちが大きかったですが、実際は”楽しい”も”大変”もどちらもありましたね。

――たぶん挙げたらキリがないくらいだったんじゃないかと思いますが、ご一緒する相手の方はどうやって決めていったんですか?

TEE:やっぱりこの9年間で繋がりを持った人というのが大前提ですよね。その中でも、TEEじゃないとオファーできなくて、TEEじゃないと作れないアルバムを作ろうというコンセプトにぴったりな人。でも、実際本当にやりたい人、ちゃんと繋がれてなかったりした人には、自分から友達になりに行きましたね。強引に(笑)。翔太君とかはそうです。

――今回「片方の未来」という曲をプロデュースされた清水翔太さんですね。

TEE:プロデュースして欲しいとは思っていたんですが、すごく久しぶりに会うことができて、これは巡り合わせや!と。そこからお酒を飲みに行ったりして、同じ方向を向くことができたので自分からお願いしました。

――ただ一緒に作ることができればいいわけじゃなく、心が繋がっていないとということなんですね。

TEE:自分にも色んなオファーが来ますけど、まず「会わせてください」っていうことを言いますしね。全然知らない人に作るよりも、やっぱり繋がりを持って臨みたいじゃないですか。だから自分が作る時もそこは大事にしたいなと思っていたので。

――今回は8組のアーティストが参加されていますが、どなたから始まったんですか?

TEE:最初に話が進み始めたのは、かりゆし58の(前川)真悟君でした。「高田馬場に、2時半」って言われて行ったら、誰もいない中華料理店のでっかい丸テーブルにひとりで座ってて(笑)。あぁ、これは2時半から飲むんだなと(笑)。結局2人で紹興酒をかなり飲んだんですが、真悟君も分かり合いたかったからって言ってくれて。イベントで会ったりみんなと一緒の時に話したりしたことはあったけど、まずはここが分かり合えないとということで、真悟君と盃を交わしてきました。でもそこでほとんど決まりましたね。方向性も、どんな曲にするかも。
――そうして完成したのが「JUMP UP!」(produced by前川真悟 from かりゆし58)。非常に南国エッセンスの濃い曲です。

TEE:「TEEは広島でしょ、俺は沖縄でしょ?TEEが沖縄に来たいっていう曲にしようよ」と。「沖縄のフェスに来たらみんなが喜んで一緒に歌えるような、沖縄サウンド全開の曲にしよう」ということで2週間後に届いたのがこの音源だったんです。すごくないですか!?<イチャリバチョーデー めんそーれ>ですよ。これは真悟君が「俺なりの曲を、TEEも歌ってくれ」っていうプロデュースの仕方の曲ですね。

――なるほど、話の進め方ややり方にもそれぞれの個性があると。

TEE:それを体験できたのは面白かったですよ。例えばSALUの場合は真悟君とは逆で、「TEE君に歌わせるんだったらこういう曲」っていうものになっていた。

――「Twilight」(produced by SALU)は、イントロでいきなりウクレレの音色が聴こえてきます。

TEE:そう、SALUっぽくない曲が来たなぁって(笑)。だけど、仮歌を入れてくれたものを聴くとやっぱりSALUなんですよね。ばっちり、SALU。

――TEEさんの元に届くデモ音源も、かなり豪華なことになっていたわけですね。

TEE:それが面白かったんですよ。みんな仮歌を入れて来る時に、ちょっと僕のモノマネしているんです(笑)。“デモ”リッションメンのYUTAKAさんは、一番モノマネしてましたね(笑)。あえて酒飲んで、ガラガラにして寄せて歌ったみたいなことを言われてました(笑)。

――「もみまん」(produced by“デモ”リッションメン)ですね。

TEE:“デモ”リッションメンは、RIP SLYMEのRYO-Z君と、Full Of HarmonyのYUTAKAさんとSpontaniaのMassattack君の3人がやっていて。RYO-Z君がイントロと真ん中の部分に声を入れてくれているんですが、僕、RYO-Z君がナレーションをやっているお笑い番組の「ENGEIグランドスラム」のあの声がすごく好きなんですよ。「その声ください!」と言ったら、ブースに入ってやってくれたんです。粋ですよね。結構そうやって、みんな足跡を残してくれています。
■聴いてくれる人に寄り添えるものを歌いたいと思います
■普通の立ち位置と目線で書いたものが誰かに響けば嬉しい

――「SONG 4U feat.BES」(produced by BES)や「I and 愛 feat.Micro from Def Tech」(produced by Micro from Def Tech)は、お互いの声の色を共存させていますね。

TEE:Micro君ともかなりガッツリやらせてもらいました。

――「I and 愛 feat.Micro from Def Tech」の歌詞からは、TEEさんとMicroさんの生き様のような部分も感じられました。

TEE:Micro君はサーフィンで世界を見ていて、自分はボクシングで世界を見ていた。そんな2人が、今誰かの背中を押せるような歌を歌おうと。Micro君は法政大学の先輩でもあるので、「法政魂でしょ!」なんて言いながら作っていきました。作業はMicro君のスタジオで2人きりでやったんですが、僕は歌詞をある程度の文章として考えるんですけど、Micro君は1フレーズごと考えては歌いを繰り返すんですよ。その背中、すごく勉強になりました。フリースタイルで出て来るものをパッと入れて、違ったらまた考えて。変態だと思いました(笑)。

――最高の褒め言葉ですね(笑)。じゃあそういうパッションで作っていくのとは真逆の制作もありました?

TEE:清水翔太君に関してはそうですね。これまで翔太君の色んな恋愛ソングを聴いてきたし、インスパイアされたという話もした上で、清水翔太の世界観を僕にくださいという感じでお願いしていたので。なので、コンプリートしたものが届いて、それを歌いました。

――レコーディング風景も公開されていましたが、清水翔太さんはかなり細かくボーカルのディレクションをされていましたね。

TEE:いやぁ、清水翔太の作る曲は難しい(笑)。歌、そして特にブレス。僕は抑揚をつけるのは得意なほうなんですね。優しく歌ったり、ちょっと土臭く歌ったり、感情をむき出しにしたり。でも翔太君のスキルフルなブレスが本当に難しくて、”翔太ブレス”を習得するためにすごく歌い込みました。これは大変だった(笑)。
――では改めて、その「片方の未来」(produced by 清水翔太)についてですが、楽曲の世界観などはどのように受け取られました?

TEE:切なさって、ラブソングにはすごく大事だなと思っているんですね。でも僕、人々が歩いていく方向は“ハッピーエンド”だと思うんです。「片方の未来」ってタイトルもすごく切ないし、曲も切ないんだけど、未来への希望がしっかりと詰まった歌なんだっていうところがしっかり表現されていたので、これはすごい曲だなと思いました。

――TEEさんご自身は、ラブソングを書く上で何か自分流のスタイルみたいなものをお持ちですか?

TEE:僕は、頭の中でMVを作りますね。いろんな曲がありますけど、ラブソングに関しては結構物語がしっかりあるようなものを作っていると思います。翔太君は、そういうところもTEEらしさみたいな感じで汲んでくれたんじゃないかなと思うんですけど。あとはやっぱり、僕は親身派アーティストだと思うので、できれば聴いてくれる人に寄り添えるものを歌いたいとは思いますね。普通の立ち位置で、普通の目線で書いたものが誰かに響けば嬉しいと思っています。

――だから「ベイビー・アイラブユー」を始め、TEEさんのラブソングは今も多くの人の心を掴んで離さないんですね。

TEE:あの曲は、僕自身のちょっとした失恋を込めているんですよ。でも結婚式で歌う人がいれば、失恋した時に聴く人もいたりして。中には家族との絆を感じると言ってくれる人もいたりして、ひとつの歌でいろんな人がいろんな感情を持ってくれて、歌が成長していっているんですよね。リリースしたのは8年も前ですが、今でもSNSの書き込みがたくさんありますし、色んな方にカバーもしていただいて。本当に嬉しいことだと感じています。

――さて今回はアルバムのリリースに先駆け、5月から収録曲の配信も始まっていましたよね。その第1弾が「UMI」(produced by C&K)。

TEE:この曲は映画「ライフオンザロングボード2nd Wave」の主題歌ということで、色んな方に聴いていただくきっかけにもなったと思います。C&Kとは付き合いも長いんですが、海をテーマに作るといってもただストレートに作るのではなく、C&Kらしいダブルミーニングだったり、ちょっとトンチが効いてるようなものがいいよねっていう話をしました。

――MVは、本当に気持ちいい海の景色が堪能できます。

TEE:この曲って常に海を見ながら歌っているんですが、海は英語で「シー(Sea)」。だけど彼女も「シー(She)」。つまり、彼女に向けて歌っている曲でもあるから、海が舞台になっているんです。

――自然の力だったり、大切に思う人からの愛だったりに向き合った時に教わることってありますよねTEEさん自身も海から感じるものがあったりもしますか?

TEE:すごくありますね。だからサビでも“うれしい たのしい くやしい かなしい くるしいほど ただしいことを教えてくれたのは”って歌っているんです。自分は常に海と寄り添って生きてきたので、海を見て気持ちが浄化されることもすごくあるんです。そういうところも、C&Kはしっかり入れてくれたなって思う曲ですね。
――TEEさんの地元である広島の海はどんな海ですか?

TEE:めっちゃ穏やかなんですよ。サーフィンするとかそういう感じでは全くないんですが、波がなくて穏やかな分、夜になると光を全部写すからすごく幻想的。歌詞を書く時も、あの海を見ていると沸々と言葉が湧き出てきます。悲しい気持ちの時には「海、でかいだろ。お前はちっぽけだよ」って親父が声をかけてくれて、忘れられたこともありました。そんな風に海がそばにありましたから、この曲はまさに自分が書きたかったものでもありますね。アルバムの、いい幕開けになりました。

――そしてアルバムの最後は、「Lifetime Caravan feat. Blue Vintage」 (produced by Blue Vintage)。

TEE:実は今回、全7曲でっていう話だったんです。でもせっかく色んな人と一緒にやるんだから、フックアップといったらおこがましいですが、“こんなヤバいやついるんだよ!”っていうことが自分なりにできたらなと思ったんです。このアルバムの中でね。あとは単純に、僕が彼らのことを自慢したかった(笑)。

――愛ですね(笑)。

TEE:Blue Vintageとは、「ベイビー・アイラブユー」の続きを歌った「5年後のアイラブユー」という曲を一緒にやったりもしてるんですよ。ライブに出てもらったりもしてるし、普通に仲良しでもあるけど、彼らの作る曲ってずっと聴いていられるんですよね。今回のデモもそうでした。ちょっと大きく言うと、僕はこの先日本人でグラミー獲るのこいつらだと思ってますからね。だから、今のうちにというのもあって(笑)。

――(笑)。でもそういう関係性にある2組が、このアルバムの最後で「まだ旅の途中 Let's go we'll see Com'on and ride with me」と歌う。グッときました。

TEE:そうなんですよ。最後の曲が、新たな旅の出発でもあるんです。Blue Vintage、さすがです。ぜひ聴いてもらいたい。

――素晴らしい8組が揃ったということで、タイトルは『Golden 8』に?

TEE:略して「金八」っていう、ノリで考えたところもあるんですけどね(笑)。でもいわゆるキンキラキンのっていうよりも、ここでいう「Golden」は「優れた」とか「貴重な」とか「才能溢れる」っていう意味なんです。9月21日から始まるツアー<TEE LIVE TOUR 2019 VOICE×GOLDEN 8=∞>も本当に楽しみです。リハしているだけでもうワクワクが止まらないんですよ。かなりいい感じに楽しめると思いますから、ぜひアルバムを聴いて遊びに来てもらいたいですね。

取材・文●山田邦子
リリース情報

New Album『Golden 8』
2019年9月18日(水)発売
¥2,592(税込)UMCK-1635
[CD]
1.UMI (produced by C&K)
2.もみまん (produced by ”デモ”リッションメン)
3.SONG 4U fest.BES (produced by BES)
4.片方の未来(produced by 清水翔太)
5.Twilight (produced by SALU)
6.I and 愛 feat.Micro from Def Tech (produced by Micro from Def Tech)
7.JUMP UP! (produced by 前川真悟 from かりゆし58)
8.Lifetime Caravan feat.Blue Vintage (produced by Blue Vintage)

ライブ・イベント情報

<TEE LIVE TOUR 2019 VOICE×GOLDEN 8=∞>
9月21日(土)広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
9月23日(月)高松・DIME
9月28日(土)福岡・DRUM Be-1
9月29日(日) 長崎・DRUM Be-7
10月19日(土)兵庫・ KOBE VARIT.
10月20日(日)京都・KYOTO MUSE
10月26日(土)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
10月27日(日)埼玉・西川口Hearts
11月9日(土)愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
11月10日(日)大阪・BIGCAT
11月23日(土)山口・RISING HALL
11月24日(日)岡山・YEBISU YA PRO
11月30日(土)熊本・B.9 V
12月1日(日)鹿児島・CAPARVO HALL
12月6日(金)宮城・LIVE HOUSE enn2nd
12月7日(土)東京・TSUTAYA O-EAST

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