DracoVirgoインタビュー 始動から2
年、唯一無二の世界観を誇るバンドプ
ロジェクトが放つ待望の1stシングル
への想い

HIGH and MIGHTY COLORMAAKIII(Vo)、mACKAz(Ba)、SASSY(Dr)からなるバンドプロジェクト・DracoVirgoが、9月4日(水)にTVアニメ『ありふれた職業で世界最強』の主題歌となった1stシングル「ハジメノウタ」をリリース。始動から2年、唯一無二の世界観を誇る彼女らが世に放った最初のシングルに込めた想いとは。
ーー2017年にプロジェクトを始動されわけですが、現時点の手応えや感想はいかがでしょうか。
MAAKIII:ドラヴァゴ(DracoVirgo)は、「とにかく表現すること伝えることをやめたくない」という私の想いだけで始めたものだったんですよね。「こういうバンドになりたい」とかを考える以前に、私のそういう気持ちだけがあって。ただ、いまってなんでもひとりで作れる人もいますけど、私はそういう器用な人ではないから、同じ温度感でやってくれる仲間はやっぱり必要だなとは思っていたんですよ。だから、一緒に音を出したことのある2人が関わってくれることになったのは本当に心強いし、そこからいろんなご縁があって、ライブも何本か重ねて、オリジナル曲も増えていくことで、ちゃんと形になってきたんだなという喜びを、最近はひしひしと感じていて。今日「ハジメノウタ」の盤を初めて手に取ったんですけど、やっぱりこうやって形になると、それこそ確かな手応えというか、重みを感じています。
ーーmACKAzさんとSASSYさんは、どういう経緯で参加されることになったんですか?
mACKAz:久しぶりにMAAKIIIと会ったんですよ。7、8年ぶりぐらい?
SASSY:たぶんそれぐらいだと思う。MAAKIIIがソロで活動し始めたときに、「応援してるよ」ってSNSで連絡したんですよ。
MAAKIII:そのときに「会いたいね」っていう話もしてたんですけど、なかなかタイミングが合わなかったんですよね。
SASSY:僕も別のバンドとかサポートとかをしていたし、MAAKIIIも忙しくしていたので。で、僕らが前にやっていたバンドが止まったときに、MAAKIIIが心配してくれて連絡をくれたんですよ。そのときに、もう莫大な時間ができたので、いつでも会えるよって(笑)。その話をmACKAzにしたら、おもしろそうじゃん!って言ってくれて、3人に会うことになって。
mACKAz:そのときは一緒にやろうっていう話は全然なかったですけどね。普通にご飯にいって、飲んで、みたいな感じだったんですけど。
MAAKIII:でもまあ、私はちょっと下心あったかもしんないですね(笑)。
ーー(笑)。MAAKIIIさんとしては、もしかしたら2人が協力してくれるんじゃないかと。
MAAKIII:そうです。もちろん最初は本当に心配だったんですよ? でも、密会を重ねていくうちに(笑)、これって何か一緒にできるんじゃない……?って。
SASSY:あと、ハイカラ(HIGH and MIGHTY COLOR)の音を一緒に作ってくれていたスタッフの方も心配してくれていたんですよ。
MAAKIII:山内(真治)さんっていう、もうハイカラの産みの親みたいな方なんですけど。
SASSY:で、この3人と、あとはギターのMEGもいたんですけど、会を設けてくれたりして。ただ、そのときにはもう3人でデモを作っていたんですけど、そういう中で、『Fate/Grand Order』のお話をそれぞれにもらったんですよ。それが毛蟹さん作曲の「清廉なるHeretics」という曲で、演奏はリズム隊、歌唱はMAAKIIIにっていう依頼だったんですけど、その曲のコンセプトがEvanescence的なものを考えていたらしくて。
MAAKIII:ハイカラのデビューシングルのカップリングに「all alone」という曲があって、そういう感じの曲にしたかったみたいなんですよね。それで「オリジナルを歌っている人、知ってますよ」っていう流れになったらしく(笑)。それで山内さんから「やってみない?」って言われたときに、実は3人で計画しているものがあるっていう話をしたら、「それは話が早い」っていうことになり(笑)。だから、自分たちのオリジナル曲ができる前に「清廉なるHeretics」に取り掛かることになったんです。
SASSY:その曲をレコーディングするときに……当時はMAAKIIIがまだ10代で、僕らが20代だった頃にやっていた等身大の音を、いまやってもすごくしっくりきたんですよね。自分はそこの畑の人なんだというのをまた理解させてもらって。そのあとにmACKAzが(“1st Original Song”の)「KAIBUTSU」を作ってきたんです。
mACKAz:どうせやるんだったら新しいこともやってみたいなと思いながら、いろんな曲を試行錯誤しながら作っていたんですよ。そこに「清廉なるHeretics」のお話が来て、やらせてもらったときに、やっぱり自分たちがやってきたことの核にあるものだから得意でもあるし、これは大事なところなんだろうなと思って、そこに寄せてみたというか。素直に作ってみようっていうところからできたのが「KAIBUTSU」ですね。
SASSY:それを聴いたときに、これは始まるなって思いました(笑)。
MAAKIII:うん、始まっちゃえる!って(笑)。3人でやろうと言っても、曲ができなかったらそこまでじゃないですか。だけど、この3人でやる意味というか、ゴーサインをもらったような感じがあって。なんていうか、やっぱり活動していく上で、ジャンルとかコンセプトの説明って必要だと思うんですよ。
ーー何かしらのキャッチフレーズになるようなものとか。
MAAKIII:そういうものって聞かれがちだし、自分たちも持っていなきゃいけない焦りみたいなものがあったんですけど、やっぱり自分たちから出てきたものに素直に反応して、それを信じていくスタンスでいたいし、3人で音を出したらそれがドラヴァゴなんだっていうことに自信が出たというか、それでいいんじゃない?って(笑)。そうやって日々過ごしていく中で、ドラヴァゴを作っていった2年間という感じですね。マイペースではあるけど、自分たちの純粋な部分から生み出せている感覚はあります。
DracoVirgo
ーーちなみに、曲はいつもどうやって作っていくんですか?
mACKAz:デモの段階で6、7割ぐらいはできてる……?
MAAKIII・SASSY:…………。
mACKAz:もうちょっとできてないか?(笑)
MAAKIII:はははははは(笑)。確かに、言われてみるとどうやって作ってるんだろうって思っちゃった。なんか……垢(あか)みたいなのが出るんですよ。
ーー垢、ですか……?
MAAKIII:「あかたろう」って知ってます? おじいさんとおばあさんが子供が欲しくて自分の身体をこすって出た垢で人形を作るんですけど、それが本物の子供になるっていう昔話があるんですけど。なんか、そんな感じです(笑)。
ーーはははは(笑)。こすって出た垢をみんなで固めていく?
MAAKIII:本当にそんな感じ。だからドラヴァゴの曲は3人の垢ですよ。垢なんだけど、めっちゃ輝くっていう(笑)。
mACKAz:でもまあ、デモからガチガチに作り込んでいく感じでもないですね。ある程度余白があって、そこにみんなの意見を取り入れていくっていう。それは音色だったり、メロディーだったり。
SASSY:あとは世界観だったりね。
MAAKIII:でも、絶対に「この3人だけで」というわけでもないんですよ。時間的にちょっとこれはやばくない……?ってなったときに(笑)、助けを求める人たちもいるので。それも含めてのチームというか、その人たちがいるからこそ、逆に私たちも遊べるところもあります。
ーー今回リリースされる1stシングル「ハジメノウタ」は、アニメ『ありふれた職業で世界最強』のエンディングテーマになっていますが、MAAKIIIさんが作詞作曲をされていて。柔らかくて優しいミディアムバラードになっていますけど、曲を作るにあたって、アニメの制作サイドからオーダーはありましたか?
MAAKIII:メンバーそれぞれ曲を作っていたんですけど、私がイメージしていたのは……(登場人物の)ハジメとユエが出会って、恋心がありながらも共に戦っていくんだけど、その日常にはオフタイムもあるんだろうなと思ったんです。戦って帰ってきたときに、部屋があって、そこで休む準備をしたりするんだろうなって。そういうことを、自分が髪の毛を乾かしているときに思ったんですよね。ユエもお風呂に入ったり、戦いに疲れた体を癒したりする時間を持ったりするんだろうなって。そしたら最初の〈おはようおやすみ あたりまえのこと〉っていうフレーズが出てきて。そこから形にしていきました。
ーーそれこそMAAKIIIさんの日常の中で出てきたものを膨らませていったと。
MAAKIII:そうです。もちろん直接会ったことはないけど、ユエが語りかけてきたような実感があったんですよね。そういう温度感みたいなものをそのまま曲にできたと思います。
SASSY:この楽曲をよりドラマティックにするためにどうするかこだわったし、やっぱり歌詞がすごく刺さるので、そこはフィーチャーしたいなと思って、歌を聴きながら叩きました。そういうところもありつつ、途中で出てくるブリッジのところは手数多めにやっていたりするんですけど、そこも自分のエゴを入れるというよりは、エゴを排除しても必要だと思ったものを曲に詰めていった感じですね。
mACKAz:全体的にシンプルでメロディーがすっと入ってくる曲だったので、ベースはとにかくシンプルにしつつ、音色で我を出すというか(笑)。おとなしい音色だと普通のポップスになってしまうので、ちょっと歪ませてロックさというか、ドラヴァゴらしさを出そうかなと思ってました。
ーーこの曲に限らずですけど、お二方とも歌を大事にはしているけど、それがなくなった瞬間に飛び出してくることが多いですよね。そこがすごく気持ちいいなと思って。
mACKAz:我慢できないんすよ(笑)。
SASSY:ちゃんとポジションを見つつやる感じですね。楽曲の邪魔をせずに、ちゃんとプレイヤーが嬉しいようなものも入れるっていう。
MAAKIII:いろいろ気を遣って大変だねえ(笑)。
mACKAz:いやいや(笑)。やっぱバランスが大事だからね。
DracoVirgo
ーーカップリングの「ABRACADABRA」は、かなりアッパーで破壊力のある曲ですが、この曲にはユウスケ(ex.HIGH and MIGHTY COLOR)さんが参加されていますね。
SASSY:4つ打ちでEDMっぽい要素を含んだロックで、サビは突き抜けるような感じの曲が作りたいなと思って、デモを温めていたんですよ。それにMAAKIIIが引っかかってくれたんですけど、「ユウスケのイメージが見える」って言われたんですよね。俺もハイカラのときから曲は作ってきたんですけど、全然器用なタイプじゃないから、それこそ「あかたろう」じゃないけど、どんなデモを作っても自分らしさが残っちゃうんですよ、良くも悪くも。たぶん、MAAKIIIはそういう癖の部分を「垢」って表現したと思うんですけど(笑)。
MAAKIII:ははははは(笑)。
SASSY:だから「ユウスケだったらこういうアプローチをするだろうな」っていうのは、確かに自分でもよく見えましたね。あとは、そのときのMAAKIIIのトレンドだった、ちょっとアラビアンな感じの響きを取り入れつつ、この世界観を作っていきました。
MAAKIII:聴いたときに、これは私ひとりじゃなさそうだなと思ったんですよね。そのほうがメッセージも強力になるし、これはアラジンに出てくるランプの精みたいな人が必要だなって。
ーーでも、なぜオリエンタルなものに惹かれていたんですか?
MAAKIII:その時期にそういう曲を聴いていたわけでもないんですけど、なんかこう、曲の背後にある気配というか。この曲を聴いたときに、カーテンが揺れる映像が出てきたんですよね。その奥に何かがあるんだけど、それはなんだろうと思って見ていたら、なんか、エジプシャンな感じがあるなと思って。それと同じタイミングで「“KALMA”」も作ったんですけど、なんか、私の中でシルクロードが見えたんです。
ーー「“KALMA”」もオリエンタルな雰囲気のある曲ですね。
MAAKIII:私はシルクロードがどこまで重要なものなのかをちゃんと把握してはいないけど、とにかくすごいものだっていうのはわかってるんですよ(笑)。それがあっての文化や生命だったりするのかなって。曲を聴いたときにそういうものを感じたので、そこを音的な部分で結びつけたいなと思ってました。
ーー「“KALMA”」はmACKAzさんが大元を作られたそうですが。
mACKAz:僕は「ABRACADABRA」と逆で、そこまでバンドサウンドが強くない曲を作ろうと思ってましたね。ギターも一瞬しか出てこなくて、それも自分が弾いていたりするんですけど、もう本当にそれぐらいの感じのものにしたいなって。ただ、デモの段階ではそこまでエジプシャンというか、中東な感じではなかったんですけど、MAAKIIIから「もうちょっとそういう感じの風がほしい」と。それでシタールとかガムランとかを入れて、この世界観に仕上がったっていう。
ーー歌詞は曲の世界観にあわせて出てきたものですか?
MAAKIII:完全にそうですね。こういう色味がほしいなと思って書いていく感じではあるんですけど、自分の中で忘れられない感情とか思いとか伝えたいことは、ベーシックには絶対にあるんですよ。そこにあるエネルギーは変わらないんだけど、曲によってその表現方法が変わっていくというか。
ーーMAAKIIIさんが歌詞を書く上で、変わらずに根底にあるものというと?
MAAKIII:なんだろう……やっぱり生きるっていうことなのかな。その原動力になるようなものというか、日々サバイバルするために必要なエネルギーを込めるというか。やっぱり音楽はそういうものであってほしいというか、自分がそうだったんですよね。音楽を聴くときって、その曲のメッセージじゃなくても、音だけでも、何かしらそのときの自分に合うものをチョイスするじゃないですか。それを聴いて頑張ったり、頑張るまではいかなくても、いまはこれが心地いいなって思ったり。自分たちの音楽が何かそういう一滴になれたらいいなと思っているんですよ。私たちは音や音楽を通して、何かしらみんなのエッセンスになりたいなと思っているので。
ーーなるほど。ちなみに、エスニックなサウンドというのは、ドラヴァゴのトレードマークみたいなものになっていきそうな感じもあるんですか?
MAAKIII:なんか、そういうものが好きというか、心地いい感覚みたいなものはありますけどね。それは、もしかしたら私たちが沖縄にいたことが関係あるのかな。やっぱり沖縄はいろんな国のエッセンスがある場所だから、そういうものが自分たちのDNAにあるのかどうかはわからないですけど、でも、「あんまり意識はしていなかったけどやっぱり好き」みたいな感覚はあって。だから、ドラヴァゴというバンドで、それこそシルクロードみたいなものが思い浮かぶと楽しいのかなって思いますけどね。いろんな場所を結んでいけるような、世界のどこかを思い浮かべられるようなカラフルな曲を作れたらいいなと思ってます。
mACKAz:まだドラヴァゴを始めて2年で、僕らも手探りといったらアレですけど、やりたいジャンルがいっぱいあるんですよね。ただ、ジャンルレスでやりたいと言っても、どういうものがドラヴァゴのカラーなのか?っていう。そのときに、こういうエスニックなものもドラヴァゴのカラーにあると言ってもらえる作品ができたのは、ひとつの強みになったかなと思います。
ーーその音源を持って、9月19日には渋谷WWWでワンマンライブを開催されますが、どんなライブにしたいですか?
MAAKIII:初のレコ発ライブなので、自分たちも楽しみたいですし、ライブは私たちが作った曲のエネルギーをダイレクトに伝えられる場所なので、自分たちでもドキドキしているところはあるんですけど。でも、やっぱり聴いてくれる人たちと直接会える喜びは絶対にあるので、余計なお世話かもしれないけど(笑)、何かしてあげたくなるというか。ちょっと驚かせたいなという気持ちもあるし……どうなるんだろうね?
SASSY:ドラヴァゴのライブは映像のアプローチとかもあって、ライブハウスっぽくない空間が作れているんですよ。ライブハウスという空間から出る熱さとは、またちょっと違う空間が広がるというか。
mACKAz:うん。音を届けることが一番大事ではあるんだけど、それこそ映像とかオブジェみたいな、目で観ても楽しめるようなエンターテイメントにしたいし、非日常な空間を味わってもらうというのは、ドラヴァゴのライブにおいてはちょっとしたコンセプトなのかなって思ってますね。
MAAKIII:やっぱり曲をライブという空間に持っていくことは、私たちにとっては結構チャレンジではあるんですよ。だから、こんな不器用な私たちでもこういうものが作れたよっていう、ちょっとした勇気みたいなものをどこかから感じてもらえるようなものにしたいなって。帰りがけに「なんか勇気もらっちゃったな」って、クスっと笑ってもらえると嬉しいです。
取材・文=山口哲生
DracoVirgo

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着