ユナイト 全国ツアーを経てバンドと
ファンが見つけた“みんなのおと”

8月23日(金)に東京・渋谷WWWXで開催された『ユナイト 2019 SUMMER ONEMAN TOUR 「みんなのおと」』ファイナル公演のオフィシャルレポートが到着した。

ユナイトの全国ツアー『ユナイト 2019 SUMMER ONEMAN TOUR 「みんなのおと」』が、8月23日(金)に東京・渋谷WWWXでファイナルを迎えた。同ツアーは、7月10日にリリースされたダブルAサイドシングル「シトラス/Eyes_Tea_Bitter_Brown」を引っ提げて、全国16会場を巡り開催されたもの。ツアーファイナルでは、ユナイトらしい温かさに溢れる内容になったのはもちろんのこと、ライブの最後に観客もあっと驚く情報が解禁されたのだった。
オープニングSE「funky!!!」に合わせてステージに登場したメンバー。その堂々とした姿からは、今回のツアーが実りあるものになったことがうかがえる。そのまま「ビリブオアノ」を1曲目に持ってくると、明るい雰囲気が会場一帯を包んでいく。曲の途中で「LiNくん、決めちゃって!」と結(Vo)が声を掛けると、ギターソロを弾くLiN(G)に向かってU's(ユナイトファンの総称)は指でハートマークを作って歓声を投げかける。こうした愛のある様子を見ながら「東京、会いたかったよ~」と結も嬉しそう。
レトロポップな「-ハロミュジック-」では、「さぁ、一緒にジャンプしてみようか!」との後で、「始まりました〈みんなのおと〉ツアーファイナル。今日もみんなで一緒に最高の音を作っていきましょう、よろしく」と、これから面白いことが始まるぞという合図を出す。結の歌唱力が以前に比べて上がったことにより、ユナイトのポテンシャルが最大限に引き出された楽曲となった。だからこそ、この後のMCで結が放った「ユナイト、パワーアップして帰ってきました!」という言葉も一層力強く聞こえる。
今回のツアーは“みんなのおと”というタイトルを掲げているだけに、いつも以上にU'sとユナイトで作り上げている感じが強く見られた。次の「silence dreamer」では曲調に合わせてフロアを右に左にモッシュするU'sの元気いっぱいな様子に、メンバーからも思わず笑みがこぼれる。天井にあるミラーボールが回り出した「Romantic☆Trampoline」は、歌詞に出てくる言葉遊びの楽しさを噛みしめるようにU'sは思い思いに体を揺らしながら曲の世界観にひたっていく。
続いてもアルバム『NEW CLASSIC』より、「ubique」。結が元気よく「さぁ皆さん、タオルの準備はいいですか?」とフロアに向かって声を掛けると、U'sは持っていたタオルをそのまま頭上に動かしていく。LiNは定位置から上手側へと移動するとそのままお立ち台にサッと上がりギターを振りながらU'sを盛り上げていった。
その後、暗転を挟むと、ミディアムナンバーの「ジャスミン」と「クオリア」が立て続けに披露された。「ナユタの秘密」に入る前には、猫耳の髪型を作った椎名未緒(G)が「お前らいくぞ!」と見た目の可愛らしさとは裏腹に男っぽいノリを見せる。手拍子と掛け声で盛り上がっていくU’ sに対して、安定した演奏力で魅せる莎奈(Dr)。
こうしたライブノリが抜群な楽曲も、スローなテンポの楽曲も、莎奈の手にかかれば大丈夫という絶対的な安心感がある。そのことをユナイトのメンバーが理解しているからこそ、歌詞や楽曲で存分に遊ぶことができるのだろう。それはLiNが作曲した「Cocky-discuS」などが良い例で、譜割り的に難解とも取れる楽曲をここまで楽しく演奏できるのは、ユナイトの特権ではないだろうか。「すごい、ステージが揺れてる」との驚きと共に、「まだまだ感情を振り上げていける? OK、輪っか作って!」という結の呼び掛けでU’ sは一斉に親指と人指し指で輪を作ってみせた。
ユナイト
そのまま「ノゾキアナ?」に入ると、ユナイトのダークネスな部分が顔をのぞかせる。ハク(B)は水を得た魚のように優雅な動きを見せながらベースを奏でると、結が「ねぇ、東京! 僕は最高な気持ちなんだけど、 みんなは楽しんでる?」と、フロアに向かって盛り上がりを再度確認していく。
テンションが最高潮になったところで、「嘘つきのプレイリスト」を。ここでは未緒がギターを背中越しにクルリと回すという得意技を披露してU'sを湧かせる。その後も激しい曲調の楽曲を並べると「それでは渋谷の皆様~、イタダキマス!」と言って「ice」へ。波のように繰り返すフロアのヘッドバンギングを見て、結がポツリと「もう何年もこの景色見てるけど、何年経ってもこの姿が愛しいね」とつぶやく。また、本編後半では、LINE LIVEでこの日の様子を配信するなど積極的な試みも見られた。
「ファイナル東京、楽しんでる? ほんと幸せなんだけどさ、こんな幸せでいいのかな。こんな気持ちにさせてくれてありがとう。この夏、U’ sとユナイトでとことん“みんなのおと”を作り上げてきたわけじゃん。で、僕らはパワーアップしたと思ってるの。だから、このパワーアップしたU'sとユナイトを画面の向こう側に届けたいと思っているんだけど、まだ付き合ってくれる? ユナイトすげぇんだってさ、外に思い切り発信していこうよ!」と「Eyes_Tea_Bitter_Brown」を筆頭に、爽やかな「starting over」まで一気に駆け抜けた。
「いつもいつも幸せな気持ちをありがとう。君たちと出会えたことが本当に幸せで嬉しいです。今日も素敵な音をありがとう!」と感謝の気持ちを述べると、ラストの「シトラス」へと繋げていった。歌っている結にちょっかいを出しに行く未緒の姿も微笑ましく、何よりも、このツアー1番ともいえる大きな声でU'sがこの曲に合わせて歌っていたのが見ていて本当に気持ち良かった。「全国廻って、みんなと一緒に“みんなのおと”が作れて幸せでした。ユナイト、来年の3月で9周年だけどみんなと歩いてきて本当に良かったと思えました。ここが僕らにとっても君たちにとっても、僕らの居場所だ。最高の時間をありがとう!」と、盛大に締め括ったのだった。
ライブ終演後には、結が10月5日から開催される予定であった『ユナイト 2019 AUTUMN ONEMAN TOUR 「アンコール」』の全出演を取り止めることを発表した。とまどうフロアに突如流れる謝罪の映像。そこには、ユナイトの代打として黒ユナイトが出演するという告知が。
黒ユナイトとはユナイトが期間限定で活動するプロジェクトなのだが、ポップで明るい世界観を提示するユナイトとは違い、ダークな世界観で往年のヴィジュアル系バンドを彷彿とさせる見た目で人気を博している。2年振りの復活、さらには初のワンマンツアーとして秋のツアータイトルを『アンコール』から『アンコーク(暗黒) 』へと変えるという。しかも、10月2日にはミニアルバム『黒ノ彷徨』をリリースすることも同時発表されたのだから、U'sはその場で歓喜の声を上げた。
『ユナイト 2019 SUMMER ONEMAN TOUR 「みんなのおと」』を経てU’ sとユナイトが見つけたもの、それは“ライブがみんなにとっての生き甲斐であり、たくさんの幸せをくれる場所”だということ。それだけに、これからのユナイトの活動からも目が離せない。
取材・文=水谷エリ 撮影=nishinaga "saicho" isao
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