【八王子P インタビュー】
カラフルにいろんな色の楽曲が
集まった作品にしたかった
ボカロ界の貴公子、八王子Pがデビュー10年目となる記念ミニアルバム『GRAPHIX』を8月28日にリリース。次なる10年への期待を予感させる、盟友である豪華ゲストとコラボレーションした超絶フレッシュな全8曲を要チェック!
過去を振り返ることなく、
先の10年を見据えたサウンドに
ボカロシーンを牽引されてきた八王子Pさんですが、デビュー10年目の記念ミニアルバム『GRAPHIX』が完成されていかがでした? 感想としては、めっちゃフレッシュな作品で、さすが八王子Pだと思いました。
ありがとうございます。まず完成して良かったなってことと、早くみんなの感想を聴きたいですね。今回、10年目なんでお祭り感を出したくて、コラボレーション企画の曲も収録することになりました。で、せっかくコラボするんだったら、今までお世話になった仲の良い人がいいなって。自分にないアイディアなど、新たな発想をもらえて楽しかったです。
2曲目の「Gimme×Gimme feat. 初音ミク・鏡音リン」に参加したGigaさんはReolさんの作品でも人気ですが、独特でクールなセンスをお持ちですよね。
はい。今回共作させていただきましたが、まずはふたりでどんな曲にしようかって話して、それから実際にスタジオに入って、メロディーや展開の話を作業をしながら詰めて。4曲目のゆよゆっぺくんとの曲「MINIMALIST feat. 巡音ルカ」もそうなんですが、一緒に作業する時間をしっかり作って進めていきました。
Gigaさんもゆよゆっぺさんも長い付き合いですよね? 改めて一緒にやってみて発見はありましたか?
そうですね。ゆっぺくん(ゆよゆっぺの愛称)は、それこそよくコラボしてきたので何の心配もしてなかったんですけど、Gigaちゃんは初のコラボだったんですよ。これまでふたりで呑んでいたとしても音楽の話を全然したことがなくて(笑)。Gigaちゃんの曲ってとても良い意味で個性が強いんです。でも、いざ作り始めてみると、展開や音の抜き差しなどで考えていることが結構一緒だったりして、作り始めてからはスムーズでしたね。
1曲目の「ACUTE feat. 初音ミク」もすごく良くて、10年目にして八王子Pのクリエイティブ宣言を感じたナンバーでした。
サウンド感的には、王道な“The 八王子P サウンド”ですよね。この曲に関してはアルバム名が決まったあとに作りました。1曲目はモノクロのイメージで始まって、最後に色鮮やかになるようにしたかったので、アルバム全体のイメージからサウンド感を考えていきました。だから、1曲目と8曲目の「イロドリミライ feat. 初音ミク」はタイトルやコンセプトが固まってから制作に入った感じですね。
確かに、「イロドリミライ feat. 初音ミク」に辿り着くためのアルバムのような感じがしました。
はい。サウンド感や歌詞の内容は、アルバムの最後のピースを埋めることを意識して作りましたね。
全8曲それぞれ、八王子Pらしくポップかつハードコアなダンスミュージックもありますし、主張の強い楽曲が揃いました。今作ならではのキーワードやコンセプトはあったのですか?
全体を通してのコンセプト、ストーリーなどはありませんでした。それこそ、最初の頃にやっていた“一曲一曲を大事に発信して、作りたいものを作っていく”みたいな感じで。10年目というタイミングもあるんだけど、いざ当事者になってみてもそんなに感慨はないし、それに総集編的な考えは前作のベスト盤『Eight -THE BEST OF 八王子P-』でやり切ったんです。だから、今回は過去を振り返ることなく、先の10年を見据えたサウンドになっていると思います。
そこがアルバムを聴いて受けたフレッシュな印象なのでしょうね。
3曲目の「VIRTUAL COMPLEX feat. 初音ミク」、アグレッシブでツボです。攻め攻めなチップチューンかつハードコアなナンバーで。
これは一番衝動的というか、あえて勢いに任せて作ったナンバーです。最近、Twitterを開いたりテレビを観たりすると、いつも誰かが炎上してるじゃないですか。
最近、特に感じますね。
なんかみんな戦っていて、“もういいじゃん”っていう気持ちになって…。そんな想いから生まれた曲ですね。8ビットな感じは、タイトルが決まってからサウンドの要素として思い付きました。
なるほど。そして、ゆっぺさんとコラボした「MINIMALIST feat. 巡音ルカ」は、シリアスかつドラマチックなドラムンベースに仕上がっていますね。
ゆっぺくんって、DJ'TEKINA//SOMETHING名義でDJもしていて、ダンスミュージックも作るんですけど、今回はあくまでゆよゆっぺ名義でのコラボなんです。そうなると、エモスクリーモやバンドサウンドなイメージになると思ったんですけど、いろいろ話すうちにギターも入ったドラムンベースになっていきました。