ハンバートハンバート 初のライブ音
源バラードベスト『WORK』ーーふたり
が思うライブ盤とは

初のライブ音源によるバラードベスト『WORK』をリリースしたハンバートハンバート。改めて、ライブ盤というものについて、昔から二人がどう考えていたかを聞いて、そして今回どのようなライブ盤になったかを話してもらった。そして、初回限定盤特典CDであるMC盤。ハンバートのライブで今やMCを楽しみにしてる人もいるくらいだが、そんなMCの変化についても聞いている。そんな何気ない話から、最後は何故か自意識過剰論になったインタビュー。気軽に気楽に読んで頂きたい。
――Twitterに以前、ラジオでエレキコミックのやついいちろうさんと昔はライブ盤が苦手だったという話をしてた事を、スタッフの方がつぶやかれていて面白かったんです。
良成:ライブ盤って、あんまり好きじゃないと言ってて。
遊穂:うん、うん、前にも言ってた。
良成:そんなに前から言ってたの?
遊穂:言ってたよ。
良成:へぇ~忘れてた。やついさんとのラジオの話も「そんな話してたっけな?」という感じで忘れてたし(笑)。
――1番最初に買ったライブ盤って覚えてますか?
良成:最初に買ったのは、ボブ・ディラン30周年の時のですかね。92年とかの。少ない小遣いで買って、錚々たる人が参加してたんですけど、音が粗くて遠いし、観客の「フゥ~!」みたいな声もうるさいし、曲の前のMCも毎回聞かないといけないのが嫌で。だから、あんま好きじゃなくて、なので自分たちがライブ盤を作るんだったら、こういうふうにしたいというのがあったし、そこはウチの事務所の社長とも思惑が一致したので、逆にライブ盤っぽくない何回でも聴けるようなものを作りたいなと思いましたね。
ハンバートハンバート
――ライブ盤が苦手な人が作ったライブ盤って信じられますね(笑)。今も、あまりライブ盤は聴かれないですか?
良成:今は結構、聴きます。大人になると聴きますね。まぁ、ライブ盤まで買うというのは、よっぽど好きな人ですしね。
――遊穂さんはライブ盤の思い出は、いかがですか?
遊穂:そもそも私はCDを買わないんで、ライブ盤も自分で買った事は無いです。
――じゃあ、良成さんの話も、そんなにピンとこない感じですか?!
遊穂:「ふんふん」という感じです(笑)。
良成:(ライブ盤に)想い入れ無し(笑)。
遊穂:うん(笑)
――ハハハ(笑)。初回限定盤にMCだけの盤が付いてるのも良いですよね。
良成:MCを聴きたい人は、そっちを聴けば良いかなと思って、別にしちゃいました。僕らがお客さんに向かって言う「ありがとう!」もちょっとくらいはいいけど、毎回あるとうるさいからカットしてますね。「ありがとう!」を言ってるから、カットとかボツもありましたし。拍手もいいタイミングだといいんですけど、妙に多くてうるさすぎると余韻が邪魔されて嫌なんで、カットしていますね。
――確かに拍手や「ありがとう!」って現場にいたら楽しくて興奮しますが、ライブ盤だけで聴く場合は必要ないかもですね。
良成:(ライブ盤を聴く人が)その場にいない事は間違いないですからね。そういうわけで、今年頭の6本のライブを上手く使ったら出来るかなと。
――実際、作業はいかがでしたか?
良成・遊穂:これがね~。
良成:やってみたら、どうだった?
遊穂:だいぶムラはありましたね。
――1本のライブ全てを使うのではなく、6本から選ぶのであれば、そんなに大変な事は無いかなと勝手に思っていたのですが、その日によって出来にムラがあったんですね。
良成:必ずしも同じ場所じゃなくて良くて、6本のどこのでも良いのに、ほとんど大阪のが多かったです。理由は何ですかね?
ハンバートハンバート
――東名阪2本ずつの6本やって、一番最初の大阪が多かったんですね。
遊穂:後の方になっていくと、後が無くなってくるというか。
良成:だから、このツアー終わっての次のライブの伸び伸び感は凄かった!
遊穂:「終わったんだ!」ってなったね。
――やはり録音しているとなるとプレッシャーかかるんですね。
良成:普段のライブも手持ちの機材で録音しているんですけど、それは、あくまで記録だから伸び伸びやっているんですよ。でも、今回はライブ盤にするつもりでツアーにレコーディングエンジニアも一緒に回ってもらって、「完璧なライブを録るぞ!」と気合を入れ過ぎたのかもですね。生々しさが無くて何回も聴けるライブ盤を作ろうとして、簡単に言うと緊張しちゃいました。
――普段の録音素材では無く、ライブ盤前提で、いつものスタッフ編成とは違う状態でツアーに臨まれたのですね。
遊穂:そうなんです。
――いつ頃からライブ盤のお話はあったのですか?
良成:去年の秋くらいから、来年どうしようかという話はあって、何かアルバム作りたいけど、オリジナルならば、無理やり作るより、もう少し時間をかけたいなと思いまして。で、色々と社長と考えて、今までやってきてないという事でライブ盤になりましたね。
――どの楽曲を入れるのかは、みんなで決めた感じですよね?
遊穂:みんなで投票しましたけど、少ないのは3カ所でしかしてない曲もありましたね。
良成:大体同じだったよね。
遊穂:私と良成は同じだったね。
良成:ちょっと違うやつは何を良しとしてるか、理由がそれぞれありまして、こっちは声の調子とか、ギターのミスとか、リズムとかテンポとか気になるポイントは違うんですけど、その日の空気感を大事にしているスタッフもいて、そういう話し合いをしながら決めましたね。まぁ、意見が違って揉めるというか、ぶつかるのは普通の事だし、しょっちゅうありますから、お互いに慣れていますね。やり合う事で、それも含めて、最終的にはスムーズになれる感じですね。
ハンバートハンバート
――逆にMC盤は、おふたりノータッチで、社長が決められた感じですよね?
良成:そうですね、全部丸投げです。自分たちの話の何が面白くて、どういう風に編集していいかはわからないですから。それがわかっていたら、もっと面白いでしょうし、作為は無いので(笑)。社長は去年の全公演を聴いて、「使えない……」とボヤいてました。その場では面白くても、意外とジェスチャーがあった上で面白かったりしますしね。そういう意味ではライブ盤と一緒ですよね、選ぶポイントは。
遊穂:良いとこだけを全部編集してもらってから、私は聴いてるので、普通に笑ってました(笑)。
――MC盤って、さだまさしさんとかしか、やっている人を聴かないですよね(笑)。
遊穂:大それた事をやってますよね(笑)。
良成:後、ゴンチチ先生とかね(笑)。
――ライブでのMCは最初から、こんなノリだったのですか?
良成:全然、最初は違いますよ。一番最初のライブは1999年とかの学生の時で、6人編成のバンドだったんです。当時は、ベースが喋ってましたね。僕は話が下手だから、曲だけ作ってましたし、ベースに「俺と遊穂が喋るから、お前は喋るな」と言われたのは覚えてます。でも、こっちも喋りたくないし、未だに喋るのは苦手ですから。
遊穂:あんま覚えていない。何を話していたんだろう? 今みたいに、ここで喋ろうとかも決めてなかったし、曲紹介するかも決めてなかったですから。
良成:その場その場で決めてたよね。
遊穂:いきあたりばったり。
良成:時間を持て余してたよね。ライブを録音してた昔のMDとか聴くと、ふたりともつまらない。腹立つくらいつまらない(笑)。でも、チューニングを直したり、色々と間を持たせないといけないから喋ってたよね。ちゃんとMCを意識し出したのは、今の社長が2005年くらいについてからです。一番後ろで観てましたけど、「これはマズい……。何か喋った方がいい」というのはあったと思います。お客さんも緊張してるから、無言で曲紹介するよりは、お客さんをほぐす意味で「何か喋ろう」は言われました。もしかしたら、僕のソロライブの時だったかも知れないですけど。でも、何も喋る事ないぞとなって、喋るのも苦手だからメモするようになりましたね。でも、オチを作ったり、転結を作る事は出来ないので、とにかく変なものを見たとか、変な人がいたとか、日々あった面白かった話をメモする事以上の方法は見つかってないです。だって、これオチついてたらつまんないですよ、だって僕らはプロじゃないから。
遊穂:私もお喋りですけど、ダラダラ喋るだけなので、人前で笑わせるとかではないですしね。
良成:ずっと事故だよ、放送事故!
遊穂:いつも、ちゃんとしようとは思うけど、いつも事故だよね(笑)。
良成:アカペラで北海道の誰も知らないラジオCMを歌い出したりして、ひとりで20分やり続けていたよね。
遊穂:良成も知らないようなラジオCMでね(笑)。自分だけノッてきて、楽しくて!
良成:そういう時っていいんですよ。アーティストっぽいよね(笑)。常識から外れてるというか、まぁ、そういうのって大事だから。お客さんもポカンとしながらも楽しんでくれていたし。最近はフェスに出る事も多くて、特にフェスは時間を押すとダメなんですよ。だから、時間を気にしながら喋っていると、体感というか、腹時計で大体の時間もわかってくるようになったんです。でも、その頃は、まだそういうのがわかんなくて、気が付いたら20分も喋っていましたね。遊穂は未だに体感の腹時計感覚が無いから、話が弾まないと、すぐに次の曲にいこうとするんですが、短いのもまずいから……。かといって、長くてオーバーも駄目なんで、そこのプラスマイナスを本当に気にしていますね。(遊穂のMCが)ノッていて、ちょっと時間オーバーはいい事なので、そこはオーバーさせといて、後で、曲で調整するという感じですね。
遊穂:泳がせといてね(笑)。
ハンバートハンバート
――その場で聴く分に関しては、自分が知らない事でも、楽しそうに喋ってくれてたら、何かこっちも楽しくなってきますよね、意味はわかってなくても。
良成:そうそう、ひとりで笑って、ひとりでどんどん歌ってるから、楽しい飲み会というかね。だから、実際、(MC盤としては)使えないんですよ。
――MCが楽しいと、お客さんの中でも話題になったのって、いつくらいなんですかね??
マネージャー:10年くらい前の時点で、「ハンバート、MCが面白いらしいよ」と話題にはあがってましたね。
良成:あぁ~、だから2005年くらいからテコ入れして、面白いと言われるまでに4年くらいかかったんですね。
――スタッフのテコ入れダメ出しとかは、終わってすぐだったりするのですか?
良成:今やった事のダメ出しをすぐすると、互いに客観的じゃないから、すぐではないですね。録音したやつを後から聴いて、話したりする感じですね。一時、クアトロ2デイズ3カ所とかだったら、終わってホテル行く前にビデオカメラを渡されて、「明日までに観といてね!」というのはありました。「え~!!」とか言いながら、2時間見ているとMCの長さや間とか色々見えてくるんですよ。照明との連動も考えられるし。照明と合わさってこそショーですから。
遊穂:照明はMCの時ではなくて?
良成:いやいやMCの時の照明タイミングも、あんまり急にいくとあれだなとか考えてるよ。
――たまにTwitterに遊穂さんのMCお題が書かれたメモがアップされてますよね。あれを見る度に、歌以外でも考える事があるなんて、プレッシャーじゃないかなと思うんですよ。
遊穂:プレッシャーですよ!
良成:プレッシャーだよね! 本番5分前でもメモが空白の時もあって、こっちも不安になる。出たとこ勝負と言うけど、それが出来ないからメモしている訳で、その時は「じゃあ僕が……」みたいな。喋らないといけないみたいな話は無くて、楽しかったらいいやという感じですね。ただただ曲が静かで暗いので、こればっか続くとというのはあります。
遊穂:お客さんが緊張していると、こちらも緊張してしまうので。
良成:MCが入ると余韻が壊れる曲もあるので、これも10年くらいかけてバランスを考えて、場がほぐれて繋ぎになるようにしていきましたね。まぁまぁ喋ったから、重めの曲が続いても大丈夫かなとかもありますし、最後に明るく終われば良いかなと思ってます。
――”夫婦漫才師のようだ“というお客さんもいますし、今回も敢えて資料にも、そう書いてありましたよね。
良成:(書いたのは)僕らではないですから(笑)。僕らはオチも無いけど、もし何かしら例えて言うなら、そう書くしかないのかなって。芸人なら腕に覚えあるから、喋り上手と言われても良いですけど、僕らがあまりにも、そう言われるのも嫌ですし、だからと言って、歌が上手いと言われるのも嫌で。他の人は良いですけど、ちょっとでも遊穂が歌上手い風になると感じ悪いので、「止めて!」と言いますね。
遊穂:そんな事あったけ?? ディーバ感が出るという事??
良成:本当に上手い人なら何の問題もないし、それ良いんだけど、僕らがそうなると感じ悪いし、嫌味になるから。
遊穂:リアルディーバなら良いんだよね(笑)。私は歌うだけで一生懸命になるし、歌う時も必死だけど、それを隠す余裕もないから、必死さがバレてもいいやって思ってるけどね。
良成:必死で歌ってるのはわかるけど、お客さんからはそう見えなくて、ドヤっと見える時もあるから。僕もアンケートに目が怖いと書かれている時があって、そんなつもりはないんだけど、そう書かれた時点でアウトだから、笑うようにしています。例えば、目をつぶっていると陶酔してるように見えるかも知れないけど、それも一生懸命やっているだけで。そういう自分への厳しい目は自分を苦しめるし、自意識過剰かも知れないけど、それが無くなるのも嫌なんですよ。
ハンバートハンバート
――他人からしたら、そんなに気にしてない事でも、当の本人はストイックに気にし過ぎている事ってありますよね。そういう第三者目線がハンバートにあるのが、僕はハンバートが好きな理由のひとつなんですよね。
良成:まぁ、単なる自意識過剰なんですけど。でも、そういう自分への厳しさは遊穂には無いし、遊穂は別に何も気にしてないですからね!
遊穂:気にしてるよ!
良成:あはは!(笑)
――凄く良い〆をもらえました! 今日も本当にありがとうございました。
取材・文=鈴木淳史 撮影=渡邉一生

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