【Kitri インタビュー】
歌声とピアノっていう、
これこそKitriの作品に仕上がった
自分たちの想いや音楽を
アウトプットできた
2曲目の「目醒」は規則や決まりにとらわれて自分自身を見失ってしまう社会を歌っているようにも受け取れて。
Mona
私も集団の中で個としての気持ちが薄れていってしまう経験があったので、その時に自分が感じたことと、社会のひとつの側面をいろいろな視点から聴いてもらえたらなと。今まで奇数の拍子に挑戦したことがなかったんですけど、規則正しいがゆえの不気味さを出したかったので、この曲は7拍子で始まって、キリが悪いのに規則正しく進んでいく感じを表現しました。歌とピアノが分かれていて、いろいろな歌詞が詰め込まれているのに、サビらしいところではピアノだけに集中して何も言わないとか、独特な構成にしてみました。
Hina
この曲は他にもいろいろな拍子が混ざっていて、リズムを自分の身体に入れ込むのが難しかったです。特にピアノはどうやって弾いたら上手くはまるのかとか、ふたりで合わせる時もかなり練習しました。
この2曲では個性を提示していて、曲調的にも張り詰めた空気がありますが、3曲目の「Dear」で緊張が解けていく感覚も心地良いです。
Mona
最初の2曲は真剣に聴かないと何を歌っているのかが伝わりにくく、何回も楽しんでいただきたいという想いもあったので、3曲目では私たちの特徴でもある歌のハーモニーとピアノでシンプルに、楽な気持ちで聴いてもらいたいなと。
前作でもおふたりの共作でできた歌詞がありましたが、この曲はHinaさんが作詞されていて、誰かを想って歌っている印象がありました。
Hina
この曲は初めてひとりで作詞をしました。歌詞を書く時にどうやって書くのか悩み、姉に相談したら“歌詞を書こうって意気込まずに、誰かに手紙を書こうというイメージでやってみたら？”とアドバイスをもらったんです。自分の体験してきた出会いとか別れを想像してみたり、今まで読んできた小説や映画からもインスピレーションを受けて、さまざまなシチュエーションに当てはまる漠然とした想いを書きました。
そして、4曲目の「終わりのつづき」は、このEPを物語るようなタイトルも素敵で。
Mona
自分たちの中では“サビでプチハッピーになれる曲”ってテーマがありまして（笑）。小さいことで喜べるのも幸せだと思っていて《きっと花開く前の日にいる》という部分も、断定はできないけど期待を込めていると言いますか。EPとしても最後にみなさんに希望を感じていただきたくて収録しました。
心に穴が空いたような気持ちがありつつ、やっぱり前向きに歩んでいくのがKitriらしいですよね。
Mona
私自身、自分に足りないものがあるという感覚がすごくあって。中高時代は周りの人ばかりが素敵に見えてしまい、私が家でピアノを弾いている中、みんなは部活で青春していて“私が今やっていることって何になるのかな”と思っていたんです。その頃から“自分は何か足りない”という想いがあったので、もしかしたらKitriの曲には希望を込めて“いい未来に進んでいきたい”っていう気持ちがいつもどこかに入っているのかもしれないです。
Hinaさんもそういう想いがあったりするんですか？
Hina
似ているところもあるけど、姉に比べると落ち込むことは少ないような気がします（笑）。私は心配事があっても大丈夫って思いたいというか、そう思うようにしています。でも、あんまり人に想いを伝えられないところは似ていて、面と向かって伝えられない分、それが曲になっているのかもしれないです。
今作でよりKitriを知れたような感覚があります。ご自身ではどんな手応えがありますか？
Hina
歌詞にしても音楽にしても自由度が高く、好きなように作って、自分たちの想いや音楽をアウトプットできたと思います。各曲が色とりどりになったので、楽しんで聴いてほしいです。
Mona
それぞれの世界観がバラバラなので、気分によって選んで聴いていただけるのも嬉しいですし、一枚を通して順番に物語を味わってもらうのもいいと思います。挑戦もふんだんに取り入れつつ、歌声とピアノっていう、これこそKitriの作品に仕上がりました。
取材：千々和香苗
「矛盾律 」MV
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