【LEO今井 インタビュー】
6曲のカバーに際立つLEO今井らしさ
自分が通ってきたジャンルに寄せるのが
説得力が一番ある
アレンジは曲ごとにだとは思うのですが、全6曲のカバーに共通のテーマはあるのでしょうか?
5曲目の前野健太の「ファックミー」と6曲目のペトロールズの「雨」は歌モノっぽい感じになっているけど、全体的にオルタナで、グルービーなメタル感にサウンドが寄っているっていうのはありますね。そういうふうにするのが私らしいというか、自分が通ってきたジャンルに寄せるのが一番説得力があるし、やりやすいと思いました。
ZAZEN BOYSの「ポテトサラダ」は、まさにそういうアレンジになっていますね。
気に入ってます。ベースのシゲクニの選曲ですが。最初は「はあとぶれいく」がいいかなと考えてたんですけど、“「ポテサラ」でしょ!”“あっ、そうだよね”となりました。シゲクニにはプロデューサーっぽいところがあって、たまにそういういいディレクションをするんですよ。変拍子が多い複雑な曲なので難しかったですけどね(笑)。
呂布カルマさんのことをLEOさんは“新たなアイドル的、ヒーロー的存在”とコメントしていますが、どんなところに惹かれたんですか?
初めてライヴを観た時、まずビジュアルがカッコ良いと思いました。関西のおばちゃんが着ているようなトラ柄の様なセーターを着ていたんですけど、それも似合ってましたね(笑)。もちろんどんよりとしているトラックも素晴らしいと思ったし。映画を観て“うわっ、この俳優、カッコ良い〜”ってファンになるみたいな感覚でしたね。年齢を重ねてくるとそういうことってあまりないじゃないですか。残念なことに感性がどんどん乾いてきますから(笑)。だから、そんなふうに“うわっ、カッコ良い! 何これ!? アルバム買う!”ってなれたのは嬉しかったです。
ところで、映画『プリズン 13』の主題歌に起用されたボーナストラックの「Fandom (Remix For A Film)」は、ボーナストラックと言ってしまうのがもったいないくらい聴き応えがあるのですが、昨年にリリースしたアルバム『VLP』のダークな世界観に通じるところがあるんじゃないでしょうか?
そうですね。まさに渡辺謙作監督が『VLP』を聴いて、主題歌を作ってほしいとオファーしてくださったんです。
なるほど。じゃあ、書き下ろしの新曲なんですね?
書き下ろしと言えば、書き下ろしなんですけど、トラックは今回の呂布カルマの「ヤングたかじん」のカバーをリミックスしたものを使って、そこに新しい歌を乗せてるんです。
えっ、そうなんですか!? 言われるまで全然気付かなかったです。
新曲をゼロから作る時間がスケジュール的に全然なかったのですが、名指しでオファーしていただいたんだから、なんとかその熱意に応えたかったんです。カバーではあるけど、トラックは私が作ったものだったので、全然違うものに聴こえる新曲として作れると思いました。なので、“Remix For A Film”とサブタイトルで謳っているんですけど、もともとのトラックをかなりカットアップしているとはいえ、新しい歌を乗っけてるから厳密にはリミックスと呼べるか分かりませんが(笑)。最初は収録するつもりはなかったんですけど、映画の公開が『大都会ツアー』が始まる8月30日というタイミングや作り方を考えると、今作と無関係とは言えないので、ボーナストラックとして入れることにしたんです。
歌詞は執着をテーマにしているようですね。
はい。過剰なファン心理は映画のテーマにもつながるんですけど、今作でカバーしたバンドやアーティストに対する自分のマインドともつながって。
そして、おっしゃったように8月30日の大阪公演から『大都会ツアー』が始まるわけですが、最後に意気込みを聞かせてください。
バンドとしての限界をさらに広げて、もっとヘヴィにしたいと思っています。呂布カルマとやった前回の『大都会』では、『VLP』に入っている「Tiffany」にカルマが即興でラップを加えたんですけど、そういう『大都会』だからこその対バンとの絡み合いもあるので楽しみにしてほしいですね。その日限りの貴重なものになると思います。
対バンが強敵ばかりですからね。
ねぇ。もう大変です(笑)。
LEOさんたちも限界を思いっ切り超えないと。
そんなにしょぼくないですけどね、最近の我々も(笑)。
それはもちろんもちろん(笑)。
でも、確かに我々にとっては、いいトレーニングと刺激になると思います。
取材:山口智男
「どだればち (Ningen Isu Cover)」
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