【IKUO インタビュー】
今回はかつてないぐらい歌に注力した
ベーシストのソロ作品というよりは、
作家としてのキャリアを試したかった
歌詞もそうですが、全体的に前作以上に聴きやすくなっているのも特徴のひとつかなって。
どちらかと言ったらテクニカルなベーシストのソロ作品というよりは、自分の作家としてのキャリアを試したかったし、そこを感じてもらいたかったんです。なので、シンプルできちんと伝わるものにしたくて。とはいえ、技術的なすごさや、“こんなところでこんなことをやってるのか!?”的なものも散りばめていて…もちろんそういうところに気付いてくれるのも嬉しいですけど、幅広くいろいろな人が聴いて、さまざまな想いを重ねたりしてくれたほうが嬉しい作品ではありますね。
あと、IKUOさんは楽曲を最後まで聴かせるのが上手い。各曲聴き進めるごとにガラッと変化したり、最後に起爆やピーク、カタルシスが待っていたりと、初聴の方でも最後まで聴かせてしまう構成力や展開力があります。
その感想は嬉しいですね。これはそれこそ作家的な観点や考え方なんですが、あっさり終わりたくなくて。この辺りは他のアーティストさんのレコーディング等に参加してきて感じた“自分だったらこうするのに”“こうしたほうがこうなるんじゃないかな”を、今回、ここぞとばかりに実践した部分もあります(笑)。
ピアノをフィーチャーしている「Make you free feat.まらしぃ」では、そのピアノが歌メロの役割をしていたのも興味深かったです。
これはかつての『テニスの王子様』のオープニング曲で、僕が作曲した楽曲のセルフカバーなんです。ここでピアノを弾いてくれているのが、ネット界隈では超有名な若手天才ピアニストのまらしぃくんで。実は彼とも一緒に仕事をやったことがあって。いくつか渡した候補の中からこの曲を彼が選び、軽い感じで弾いた音源を送ってきたんです。そこに僕がベースとドラムを付けて。この曲ではあえてベースも弾きまくりました(笑)。僕の専売特許でもあるロータリー奏法を駆使したりもしていて。バラエティーさはもちろん、ラウドでロックっぽい曲が続くんで、この曲をここに入れたことでちょっと口直し的なフックになるかなって。
そして、最後にはThe Knackの「My Sharona」のカバーが。
ふたつの音しか使っていないのに世界を震わせた名リフの曲なので、これを8弦ギターでやりたくて(笑)。この曲ってむちゃくちゃギターソロが長いんですよ。そこをあえてギターソロのあとにベースソロを入れてみました。これはライヴでもやるのがすごく楽しみですね。メンバー各人も映えるでしょうし。
そんな今作を引っ提げてツアー『IKUO 2nd Live Tour ~Easy come,easy core!!~』を行ないますが、歌って弾いてと両行為の両立はかなり困難そう…。
ここまでプレイが高度だと、ぶっちゃけ不安しかないです(笑)。でも、今回のこのツアーに関しては、あえてやれる範囲でやろうと。お客さんもイージーで好きに盛り上がってくれたらいいし…ニコニコとした表情でライヴに参加してほしいな。タイトルの“Easy come,easy core!!”も“Easy come,easy go”から取ってたりもしているので。
取材:池田スカオ和宏