【ライブレポート】vistlip復活。「
前以上にいいバンドにしていくから。
絶対約束する」

vistlipが七夕であり、結成記念日である7月7日に、<vistlip 12th Anniversary【My Zodiac Sign.】>と銘打ってZepp Tokyoにて結成12周年のライブを開催。降りしきる雨の中、会場には5人が揃う姿を待ち望んでいた約2,000人のファンが集結した。
智(Vo)が2018年11月末に巨大肺のう胞を発症、その後肺気胸となり入退院を繰り返していたため、バンドの活動はストップ。予定されていた最新アルバム『STYLE』のツアーも延期から中止と一時期は先が読めない状態だっただけに12周年のアニバーサリーライブはひときわ特別なものとなった。
この日のライブは初期のシングル収録曲「Legacy」からスタート。vistlipの復活、そして記念日を祝うようにのっけから金テープが降り注ぐオープニング。智の生の歌をvistlipの音を全身に浴びられる幸福感が場内を満たしていく。「楽しもうぜ! 東京!」と智が叫び、キラーチューン「Dead Cherry」ではステージからフロアーに伸びた上手、下手のスロープでYuh(G)と瑠伊(B)がプレイし、スクリーンに青空が映し出された「Recipe」ではファンの歌う声が響き渡る。

ライブのタイトル<My Zodiac sign.>には“私の星座”という意味がこめられているが、12周年にかけて12星座にちなんだ楽曲がセットリストに盛り込まれていたのも謎解きのようでvistlipらしい粋なはからいだ。例えば“サソリ”が出てくる「Prey Shadow」、水瓶座のシンボルがスクリーンに映し出された「aquamarine」、クロヤギが主人公の「THEATER OF ENVY」、獅子座は「LION HEART」といった具合。それでいて、記念日に聴きたい曲がしっかり網羅されていた。
「楽しんでるか? 東京! やっぱり雨は降っちゃったんですけど(七夕ライブは雨の確率が高い)、全国、世界からZepp Tokyoに集まってくれてどうもありがとう! 男もいっぱいいるんだけど、今日は女のつもりで。彦星は俺たちだけなのでよろしく!」_智

メンバーに「もっと言うことあるだろ?」と突っ込まれ、智が「12周年、おめでとう」と言うとTohya(Dr)が「ボーカル、智くん、おかえり」と声をかけ、智と5人のvistlipの「ただいま」に、場内から「お帰り」の祝福の声が飛んだ。
約8ヶ月のブランクがあり、智の体調待ちでリハーサルができない期間が長かったゆえ、見る前は復帰を祝うのが趣旨のアニバーサリーライブになるのかと想像していたが、休止期間に各自が切磋琢磨していたことを証明してみせたのがこの日のライブだった。

スモークが噴射され、海(G)のシャウトが迫力が増していたヘヴィチューン「GLOSTER IMAGE」は凶暴かつソリッドになっていたし、「SINDRA」のような名曲も美しいメロディを活かすコントラストのはっきりしたアプローチで鳴らされた。星がまたたく夜空の下にいるような演出から海の底にいるような錯覚に陥る曲まで、vistlipのヒストリーを紡いできた曲たちが奏でる音と同期するように披露されていく。Tohyaのときに力強くときに繊細なドラミング、曲のフックになるようなメロディアスなベースを弾く瑠伊、テクニカルでハードでありながらエモーショナルなソロでギタリストとして引き出しを増やしているYuh、エッジの効いたカッティングとパフォーマンス、スパイスを与える影のボーカル&ラッパーでもある海。そしてvistlipのミクスチャーロックなストリート性とファンタジーが融合した世界観を体現する智はブランクを感じさせない歌を届けてくれた。
MCでは久しぶりということもあってか、いつも以上に5人がわちゃわちゃトークする場面も多く、12年たっても変わらない仲の良さが全開。緊張していることをメンバーに突っ込まれた瑠伊が「ミーティングもリハも緊張していまに至る」と会場を沸かせたり、智が入院中、クリスマスの日にサンタクロースに「丈夫な身体をください」とお願いしていたことを打ち明けたり、ライブならではのエピソードが盛りだくさん。新しい衣装について海が解説する場面もあり、ひとりだけ真夏仕様のYuhについては本人から“動きやすさ重視”というリクエストがあったこと、瑠伊は真逆で重ねていく傾向があると明かされた。

そして、復活ライブにいかにテンションが上がっていたかを物語るエピソードも。智が「俺とTohyaと瑠伊は実は寝てない。俺は2時間」というと瑠伊が「1時間半か2時間」と答え、Tohyaが「30分も寝てない」と言うと場内から驚きの声が。しかし、智が寝る前にライブのセットリストを予習して興奮してしまったのに対し、Tohyaは毎年、差し入れる手作りのカレーを絶対忘れないようにと考えていたらしく当日、肝心の衣装を忘れそうになるというオチがついたのもさすがTohya。
アルバム『STYLE』からは「And The Beast.」「[glider]」が初披露され、シーケンスとバンドサウンドの混ざりあい、ビート感も含め、躍動感あふれる新たなvistlipを垣間見せてくれたのも印象的。その直後にプレイされた「深海魚の夢は所詮.」もアップデートされ、新鮮に響いてきた。ライブ本編は七夕に欠かせない「-OZONE-」で終了。

アンコールではスクリーンにアルバム『STYLE』を携えた振替公演ツアー<NEW ERA STYLE>が10月からスタートすることが発表され、大歓声の中、久しぶりの「Re:明日晴れたら」を智が腰かけてジャジーなアレンジで歌う。やっと実現するツアーについて5人でうれしそうに話し、うってかわって激しくもクールなヒップホップチューン「FIVE BARKIN ANIMALS」を投下し、「彩」ではスロープをメンバーがフルに使い、暴れ倒すエンディング。興奮マックスになった場内はメンバーが去るやいなやアンコールの大声援。再び登場した智は自身の想いを正直な言葉で伝えた。
「今日を迎えるに当たって未来を信じて待っていたメンバーももちろんいるし、俺も含めて“もう戻れないのかな”って思っちゃった時期もあるんです。不運というか、神様の悪戯でこれだけ長い間、待たせてしまいました。(中略)もう、ホントにイチから頑張っていこうと思ってたんですよ。どうなっちゃうんだろうって。もしvistlipがなくなったら……って考えてた。でも、こうやってみんなが今日、来てくれたおかげで100%そういう想いに区切りがつきました。感謝しかないです。ずっと応援してくれてありがとうございます。前以上にいいバンドにしていくから。絶対約束するんで、これからもよろしくお願いします」
_智

「最後にみんなで天の川を作ろう」と呼びかけ、演奏されたのは周年ライブにしか演奏されない「July VIIth」。フロアーには青いペンライトの光が揺れ、星空の光とあいまってZepp Tokyoは幻想的な空間に。智も語っていたが、七夕の結成記念日に間に合い、vistlipとファンが出会えたことはある種、運命的なことだったのかもしれない。

なお、終演後には復帰第一弾シングル「CRACK&MARBLE CITY」を9月
18日にリリースすることを告知。ひと足早くミュージックビデオのショートヴァージョンがスクリーンに流れ、場内は再び歓声に包まれた。

取材・文◎山本弘子

セットリスト

M01 Legacy
M02 Dead Cherry
M03 Recipe
M04 Hameln
M05 GLOSTER IMAGE
M06 Prey Shadow
M07 Timer
M08 SINDRA
M09 Dr.Teddy
M10 BABEL
M11 STRAWBERRY BUTTERFLY
M12 TELESCOPE CYLINDER
M13 aquamarine
M14 THEATER OF ENVY
M15 浮世グラフィティ
M16 Idea
M17 And The Beast.
M18 [glider]
M19 深海魚の夢は所詮、
M20 HEART ch.
M21 LION HEART
M22 -OZONE-

EN1 Re:明日晴れたら
EN2 FIVE BARKIN ANIMALS
EN3 彩

WEN1 July VIIth

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