フレデリック、横浜アリーナへ向かう
ロングツアーの『リリリピート』全国
ツアー編終幕

FREDERHYTHM TOUR 2019~リリリピート編~

2019.7.9 恵比寿LIQUIDROOM
フレデリックが7月9日、東京・LIQUIDROOMでワンマンライブを開催した。現在フレデリックは、来年2月24日に行われる横浜アリーナワンマンに向けてSEASON1~5に分かれたロングツアー『FREDERHYTHEM TOUR 2019-2020』を開催中。本公演は、2015年11~12月に開催された初の全国ワンマンツアーと同じ会場を廻るSEASON2『FREDERHYTHM TOUR 2019~リリリピート編~』のファイナルにあたるもの。途中のMCでは、ステージセットやツアーグッズも当時のリメイクだということ、4年前と同じように車で全国を移動したのだということが明かされ、ファンを驚かせた。
フレデリック
2015年当時をはじめ初期の頃に使用されていたSE「パパマーチ」をバックに三原健司(Vo/Gt)、三原康司(Ba)、赤頭隆児(Gt)、高橋武(Dr)が登場。インディーズの頃から存在する初期の代表曲「SPAM生活」から演奏がスタートした。原曲よりテンポは速め。この曲特有のねっとりとした雰囲気はそのままに一部のフレーズを一新、それによって疾走感を際立たせるアレンジになっている。この曲1曲で、彼らがこの4年間進化を続けてきたのだということ、今回のツアーがあの頃の焼き直しなどではないのだということがはっきりと伝わってきた。「DNAです」、「オドループ」と冒頭3曲は4年前のツアーを踏襲した流れ。レアな展開にフロアがざわつく。
フレデリック

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4~10曲目は、2015年時点で既にライブで演奏されていた曲と2016年以降に発表された曲が混ざり合う構成だ。摩訶不思議な音像で会場もろとも呑み込む「プロレスごっこのフラフープ」を終えると、同曲のアウトロから間髪入れず「ディスコプール」へ。さらに4人一緒に刻むリズムの音程を半音ずつ上げていき、これまたノンストップで「パラレルロール」へと繋げた。ツアーを通してさらに鍛えられた演奏自体には隙がないが、メンバー4人には力が入りすぎている様子もなく、むしろリラックスしている印象。「KITAKU BEATS」のあと一時暗転すると、「ファイナルめっちゃ楽しいやんけ、長く音楽やっててよかったです」(健司)なんて声がステージから漏れ聞こえてきた。直後に演奏されたのは「シンクロック」。時代や国境を越えていける音楽のロマンを歌ったこの曲を、今この瞬間、出会えている人たちと共に分かち合える喜びは測り難い。
フレデリック
康司がメインボーカルをとる「もう帰る汽船」、健司によるボーカル&ギターのみの歌い出しが印象的だった「峠の幽霊」と幽玄の美というべきバラード2曲で前半戦が終了。MCでは健司が今回のツアーについて改めて言及。大きな会場でライブをするようになろうと自分たちの根本にあるものは変わっていないのだということを行動で示すため、アリーナでワンマンをやる前にはライブハウスツアーをまわるようにしているのだと説明し、そのうえで「昔のフレデリックを分かち合ったうえでアリーナへ行きたかったので4年前の公演をそっくりそのまま持ってきました」と語った。
フレデリック
それぞれの視点がこの4年間での変化を振り返るMCを経て、「昔のフレデリックもいいけど今のフレデリックの方がカッコいいって思ってもらいたいじゃないですか」(健司)と後半戦へ。康司、隆児、武によるソロ回しもあった「LIGHT」以降は、今年2月にリリースした2ndアルバム『フレデリズム2』の収録曲が立て続けに演奏された。ライブはクライマックスへと向かうが、バンドの勢いは衰えるどころか増していくばかり。「シンセンス」ではアウトロで健司がスキャットからのロングトーンを披露したほか、武や康司、隆児がアイコンタクトを取りながら楽しそうに音を合わせるなど、あらゆる面から好調っぷりが窺えた。「かなしいうれしい」では観客による一糸乱れぬ手拍子を見て、メンバーが笑みを抑えきれずにいる。「スキライズム」では隆児が上体をグイッと反らしながらギターソロを炸裂させた。
フレデリック

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健司のボーカルと観客のシンガロング、それらの歌声を受けどんどん熱を帯びるバンドサウンドが一体となった「飄々とエモーション」、そして「逃避行」で本編終了。アンコールではまず「夜にロックを聴いてしまったら」を披露。そして健司による「この4年間でたくさんの出会いと別れを経験した」「出会いの数の方が多いはずなのに別れの方が心に刺さることが多かった」「そんななか、一歩一歩活動していくことで別れはゼロじゃないと思うことができた」という話のあと、「対価」を演奏した。曲を作り、4人でアレンジし、ライブで観客を前に演奏し――という過程を通して、出会いと別れをはじめとした人生における経験や、その時々の感情を一つずつ消化(昇華)してきたこのバンドにとって、過去・現在・未来を一繋ぎにする今回のツアーは意義深いものになったのではないだろうか。
「俺たちはこの曲を持って一歩一歩先へ進んでいきます。またどこかで会いましょう。フレデリックでした!」という健司の挨拶で以ってこの日のライブは終了したのだった。『FREDERHYTHEM TOUR 2019-2020』は夏フェスシーズンを挟み、10月の対バンツアーから再開。11~12月のZeppツアーを経て、2020年2月24日の横浜アリーナ公演へと向かっていく。

文=蜂須賀ちなみ 撮影=ハタサトシ
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