【速レポ】<京都大作戦2019>ACIDM
AN「みなさんと10-FEETに捧げます」

雨が上がって、晴れ間が見えてきた太陽が丘。源氏ノ舞台に登場したのは、ACIDMANだ。
「晴れたね!<京都大作戦>盛り上がっていくぞ」と大木伸夫(Vo、G)が声を上げると、浦山一悟(Dr)が大きな地声で「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントをとり、ソリッドな3人のアンサンブルで1曲目の「新世界」へ。力強くスピードを上げるドラムが響き、佐藤雅俊(B)はアグレッシヴに全身でベースを奏でて観客の熱を上げ、大木はボルテージを上げ続けその歌をアンセミックに聴かせていく。

頭から強烈なパワーで、この源氏ノ舞台は瞬時にACIDMANの世界になった。そこに投下するのは「波、白く」。多彩な要素を咀嚼したアレンジによるプログレッシヴな曲であり、まさにこの3人でのアンサンブルの妙味で聴かせる曲だ。ドラム、ベース、ギターがポリリズム的に絡み合っている構築性と、パンキッシュな爆発感が衝突したサウンドで観客を掌握。その爆音に痺れる。
「改めてこんにちは、ACIDMANです。雨上がって良かったですね。“WANIMAが雨を止めて、ACIDMANが太陽を出した”ってSNSでつぶやいておいて。昨年は楽しみにしていたけど中止になってしまって。今日も雨でイヤな思いしてる人もいると思うけど、開催されてよかったです。今日開催されなかったら、10-FEET解散しなきゃいけなくなっちゃう(笑)」と大木はMCする。10-FEETとは同期と言える間柄だからこその言葉だ。

そして「音楽は自由です。自由に楽しんで最高の1日にしましょう」と添えると、「リピート」のイントロを静かに爪弾く。心地よく跳ねたドラムとベースに、ギターとジェントルな歌声を響かせると、観客はリズムをとりながらその歌に耳を寄せる。淡々とした静けさから徐々に鼓動を大きく響かせていき感情をバーストさせるような、ラストに向けてのアンサンブルは劇的だ。観客もまた気持ちを爆発させ、3人が向かい合って音を掛け合わせる姿に歓喜のコブシと歓声をあげた。そこで生まれた熱を急上昇させていくスケール感の大きな「MEMORIES」も、美しく力強い。生命の長い長いドラマと普遍的な営みとを映していく曲は、さまざまな感情の機微を内包した音で、うねりを帯びながら丹念に編み込まれていく。エンディングを迎えるときには、鮮やかで緻密なタペストリーとなっているサウンドは、圧倒的だ。

ミニマムな3人編成で、彼らにしか描けないサウンドと世界観とを更新し続けるACIDMANという、とても尖ったオルタナティヴなバンドは、それでいて人間臭く多くの人の感情の琴線に触れ、心に寄り添う音楽を紡ぐ。ラストの「ある証明」はその真骨頂で、重厚でエネルギーが迸るサウンドで観客の大合唱を生み出し、最高潮を迎えた。これでエンディングかと思いきや、大木が語り出す。
「10-FEETとはもう15年以上の付き合いで。本当にいいやつらで、歌っているメッセージも“人間”なんです。仲間思いで音楽に熱くて情に厚くて、だからこれだけのフェスが続いているんだと思う。2年前に、ACIDMANは僕らの地元さいたまスーパーアリーナでフェスをやったんです。そのときの僕らの曲をサプライズで歌ってくれて。そのときのお礼がまだできてなくて。あまり人の歌を歌うタイプのバンドじゃなくて、クールな振りをしているんですけど…みなさんと10-FEETに捧げます」(大木)

そして演奏したのは、ACIDMANアレンジによる10-FEETの「RIVER」。舞台袖にいたTAKUMAが嬉しそうに一節歌いに出てきたりと、最後の最後はこの京都大作戦ならではのアーティスト同士の関係性が色濃く見える最高のエンディングとなった。
ラストにドラムから立ち上がった浦山が、着ていたTシャツをめくり頭にかぶると、そこにはKOUICHIの顔がプリントされている小ネタまで披露(ロバート秋山の体モノマネTシャツのような感じ)。なんでも1年前から仕込んでいたということで、今年開催できて本当によかった。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN/みやざきまゆみ

【ACIDMAN セットリスト】
1.新世界
2.波、白く
3.リピート
4.MEMORIES
5.ある証明
6.RIVER


■<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->

6月29日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
6月30日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月06日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月07日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
開場 9:30 / 開演 11:00 / 終演 20:00予定

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