首振りDolls、
マンスリーインタビュー第5弾では
プロデューサーの戸城憲夫を迎えて
アルバム『アリス』を語る

改めて戸城さんは
ロックンローラーなんだなって

――戸城さん的にはショーンが入ってからの首振りDollsをどう感じていますか? 全体のグルーヴはもちろん、「PSYCHO CLUB」「ホール」などのショーン作曲曲や、ナオとショーンの共作でもある「黒い太陽」は、本当に新しい風を首振りDollsに与えたと思いますが。
戸城:すごく新しい試みだと思うし、本当にすごくいいと思うよ。
ナオ:いままでになかったからね。
ショーン:おぉ。嬉しいです!

――戸城さんが首振りDollsに望む音とはまた違っていたりするとも思いますけど。そこは?
戸城:いやいや、そこは時代時代に合わせて変わっていけばいいことだからさ。
ジョニー:アリス・クーパーだって流行りの感じでやってましたもんね。
戸城:うん。ただ、一応今回の『アリス』は、バンド以外の余計な音は入れないようにして作ろうっていうコンセプトにはしたかったからね。1枚目の『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』のときは、いろんな音を入れて、いろいろとやり過ぎちゃったのもあったから、それはそれで面白くない部分もあったかなってちょっと反省もあってね。

――反省したんですか(笑)!? 反省しないで下さいよ(笑)、『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』は『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』で、素敵な1枚だったと思いますよ。
戸城:まぁね、否定はしないよ。『真夜中の徘徊者〜ミッドナイトランブラー』も、あれはあれで良いと思うからね。あのときは自分のアルバムもそうだったんだけど、今回は自分ブームが、男らしく何も入れない! ってとこでもあったからね。
ナオ:でも、今回のレコーディングのときも、一番他の音を入れたがってたのは戸城さんでしたけどね(笑)! 「シャボン玉」とかもそうでしたもんね。
戸城:そうだな。自分の中でどうしてもバンド以外の音が聴こえてきちゃうんだよ、ストリングスとかが。俺は、オアシスとかビートルズとか中期以降が大好物だから。ジョニーの作った曲とか、兄ちゃんギャラガー(ノエル・ギャラガー)みたいなギターソロ弾くからさ。
ジョニー:うぉ〜! それ最高な褒め言葉っすね!

――「星くずのメロディ」ですね!
戸城:そそそ。だからもうなんか頭の中で鳴っちゃうんだよ、こういうやつ(フィドルを弾く真似)がさ。
ジョニー:うんうん! 聴こえる人には聴こえるでしょうね(笑)。
戸城:そうそう。聴く人各々が脳内アレンジして下さいって感じだよな。

――いいですね。またそれはいつかライヴで再現したらいいですもんね。
戸城:オーケストラ従えて!? すげぇ金かかるぞ!
ジョニー:戸城さんやったことありますか?
戸城:あるわけねぇだろ(笑)!
ナオ:ないんですか?
ジョニー:やってそうなのに!
戸城:そんなお金のかかることレコード会社がやらせてくれるわけないじゃん! だから、もうそこは聴く人たち各自の脳内アレンジで聴いてもらえたらいいなと(笑)。
ジョニー:そしたらお金かかりませんからね(笑)。

――そうだね(笑)。ショーンは戸城さんと一緒にやってみてどうだった?
ショーン:すごく緊張しましたよ!

――特に戸城さんがベーシストだしね。
ショーン:はい。それもあって、すごく細かく見られるんだろなぁっていう緊張感もありましたね、やっぱり。
戸城:いやいやいや、俺、自分がベーシストだなんて思ったことないし、人からもベーシストだって言われたことないからね(笑)。ベースなんか別に興味ないし。
ジョニー:じゃあ何!? ロックンローラー!?
ナオ:そうそうそう! 昨日も一緒に飲んでたんだけど、そのときの話の中に、“悔いのないミュージックライフを”っていう言葉が何回も出てきてたんですけど、その言葉と“第二の人生”って言葉を受けて私が“戸城さんの第二のミュージックライフを”って言ったら、“いや、ナオ、そこはロックンロールライフにしてくれ!”って言い直されて(笑)。あぁ、戸城さんはロックンローラーなんだなって改めて思ったんですよね。
ジョニー:やっぱカッコイイすね!
ショーン:カッコイイです! プロデューサーとしてももちろんなんですけど、でも、やっぱりベーシストとしてもすごく的確なアドバイスを頂いたりもしたんです。「シャボン玉」のベースのリフは戸城さんからヒントをもらったんです。

――「シャボン玉」も新しい首振りDollsを感じる1曲だからね。
ナオ:そう。ミドルでね。
戸城:うん。アルバムとしては、最初聴いたときは地味だと思ったけど、結果すごくいいバランスになったよな。『BURRN!』のレビューも95点だったしな!
一同:そうなんですよ!
ナオ:アルバム的には全体的に余白を残した状態で仕上がった感じがするんですよ。ギター2本で埋めてはいるけど、今、戸城さんが言ったみたいに脳内再生して欲しいという余白を持たせたアルバムだから、それが評価されたのかなと。
戸城:それで良かったんだよ。いろんなものを入れて変にギターをデジタルにしたりしたりするよりは、今回くらいの方がいいんじゃないかって思ったね。

――そうですね。それに、今回ショーン曲が加わったことによって、従来の基盤となっていた「唐紅」や「地獄に堕ちた野郎ども」とかみたいな王道のロックンロールが、また今までとは違った意味で際立ったなとも思ったかな。
ショーン:たしかにそうかもですね。
ナオ:うん。グルーヴィになったから、そういう印象になったんだと思う。
戸城:前回はダブルで音を撮ったりしたりしたけど、今回はそういうのもないしさ。
ジョニー:今回ダブルはほとんどないですね。
戸城:それもあって、個々の音がちゃんと聴こえるから、ロックンロール的な楽曲はより個性が際立って聴こえるんじゃねぇかなって思う。
ナオ:生々しいというかね。

――「地獄に堕ちた野郎ども」は本来首振りDollsが持っていたロックンロールだけど、ショーンのスラップによっていままでにはない首振りのロックンロールが出来上がったなと。
ジョニー:そう。よくもあんなフレーズを持って来てくれましたよ。
ナオ:持って来たというより、曲を作ってる段階で“ベースめちゃくちゃ動いて”って言ったら、もう最初からあのフレーズで弾いてたもんね。
ジョニー:うんうん、そうだったね。
ショーン:手癖です(笑)。
ナオ:一発目からすごくいい感じで入れてくれたから、もうそれで行こう! みたいな感じになって、本当に話が早かった。

――アルバムとしての流れも良いよね。「星くずのメロディ」「ティーンネイジャーアンドロックンロール」という終わり方もすごく良くて。「星くずのメロディ」でキュンとするというか。
戸城:分かる分かる。いい流れだよな。「星くずのメロディ」本当にいい曲なんだけど、作ったの、コイツだぜ(ジョニーを指さして)。
一同:(爆笑)
ジョニー:あははは。いやいや、実はこういう曲調得意なんですよ!

――ジョニーを知れば知るほどに、この曲はジョニーらしいなと。
ジョニー:そう。めっちゃ俺らしい。
ナオ:寅次郎(『男はつらいよ』)を感じるよね(笑)。

――そうね。あとサポートギターのRakuカワサキ曲のダーク目な数え歌「産声」も新しくて。いい曲だよね。
戸城:うん、「産声」いい曲だよな。なかなか首振りには珍しかったんじゃない?

――ですね。でも、最初聴いたとき、カワサキ曲だと思わないくらい歌詞も首振りDollsの今を描いている気がして。
ナオ:うん。すごくマッチしてたよね。すごくいい曲だから入れたかったんだよね。
戸城:うん、いい曲だと思ったね。
ナオ:戸城さんお気に入りとかないですか? もっと褒めて下さい(笑)!
戸城:“やいのやいの”ってなんだっけ?
一同:「カラリカラマワリ」です!
戸城:あ、そうそう、それ! あれいい曲だよな。すごい盛り上がるんじゃない? 俺ね、正直、「カラリカラマワリ」をリード曲にするかな? と思ってたんだよ。この曲でMV作るかな? って。すごくいいと思う。

――あ、私も最初に聴いたとき、「カラリカラマワリ」で行くかもな、って思ったんですよ。すごくキャッチーですよね。
戸城:そう。「カラリカラマワリ」の方がインパクトがあるというか。

――戸城プロデューサー、「カラリカラマワリ」は、どういうところがいいと?
戸城:ホント、キャッチー、キャッチー、キャッチー。

――プロデューサー! ちゃんと答えて下さい(笑)!
ナオ:いや、今日戸城さん、めちゃくちゃ真面目に答えてくれていて、こんな戸城さん見るの初めてなんですよ! 地獄ヘルズ(ナオとジョニーが参加している戸城率いるセッションバンド)のインタビューのときも、とにかくインタビュアーさんを適当に躱すんですよ! “よく分かんないな。適当に良い感じに書いといてよ”とかって(笑)。
ショーン:あ、増田さん(音楽ライターの増田勇一氏)も言ってました、それ! めちゃくちゃ躱すって(笑)。
ナオ:そういう先輩を間近で見ているから、“ほぉ。ロックンローラーってこうやって躱すんや! カッコイイ!”って思ってたという。
戸城:あははは。そう。ロックンローラーはあんまり真剣に話しちゃダメなんだよ(笑)。適当にやるのが良いんだよ。こういう場でやるのは。適当に躱すのが一番。
ジョニー:ほぉ。そういうことかぁ! 見習おう!

――いや、まだ見習うの早いから!
戸城:いいんだよいいだよ、最初からそれでいいの(笑)。だからこそロックンローラーなんだから。
ナオ:昔話題になった記者会見みたいに“別に”って言ってたらいいんですかね(笑)?
戸城:感じ悪くするのとは違うからね。“普通で〜す”って言うのが一番いいと思います(笑)。何を聞かれても、だいたい“普通で〜す”って答えておいたらいいんだよ。それが一番(笑)。
ジョニー:なるほど! 
ナオ&ショーン:なるほど!

――いやいや、プロデューサー、変なこと教えないで下さいよ(笑)。
戸城:いいのいいの〜(笑)。
ナオ:でも、今日は違って、ちゃんと答えてくれてるから、私、今、隣で聞いていて、ずっと愛を感じてます!
戸城:そうそう、自分のバンドのインタビューじゃないからな、ちょっとちゃんとしようかなと思って(笑)。

――と言いながらも、ビーフジャーキー囓りながらビール飲んでますけどね、今も(笑)。
ジョニー:カッコイイ! ロックンローラーや(絶賛)!
ナオ:こうでなくちゃね!

OKMusic編集部

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