K、自身のプロデュースするライブで
Michael Kanekoと共演 「一瞬一瞬が
どこかに繋がっているから大切にした
い」

Special Living Live produced by “K” 2019.6.5 eplus LIVING ROOM CAFE & DINING
Kがプロデュースしているイベント『Special Living Live produced by “K”』。このイベントは、渋谷・eplus LIVING ROOM CAFE & DININGを舞台に、Kが様々なゲストミュージシャンを迎え、自身のパフォーマンスだけでなくここだけでしか見ることのできない一夜限りのセッションを繰り広げるというもの。これまで過去2回開催され、ともに好評を博したこともあり、『Vol.3』となる今年はなんと、計4日間開催! 桑原あい(6月12日)、斎藤誠(6月19日)、NEIGHBORS COMPLAIN(6月26日)が、それぞれ招かれたのだが、このレポートでは6月5日、Michael Kanekoを迎えた初日公演の模様をお届けする。
来場者が食事やお酒を楽しみながら談笑しているところに、Kが登場。大きな拍手と歓声が送られる中、ライブ前日に第2子を授かったことを発表していたこともあり、「おめでとう!」という祝福の声も。「ありがとうございます。(自分のお腹に手を当てながら)いま、ちょっと出てきてるんですけど」と、彼らしいユーモアを交えた感謝の言葉を返しつつ、Michaelを迎えた経緯を話し始めた。
K
KがMichael Kanekoに出会ったのは、昨年のこと。同じイベントに出演した際に、初めてMichaelのステージを観て、「本物の風を浴びた。一度セッションしてみたいと思った」そうで、『Vol.3』の開催が決まったときに、まずMichaelに声をかけたとのことだった。そして、本日のゲストであるMichaelをステージに呼び込み、「まずは2人の好きな曲を」ということで、Michaelはアコースティックギターを、Kはグランドピアノをそれぞれ軽く鳴らし始める。ウォーミングアップの時点からすでに心地よい空気が場内に広がり、オーディエンスも手拍子をし始めた。2人がオープニングナンバーに選んだのは、R&Bのスタンダードである「Just The Two Of Us」。1番はKが、2番はMichaelが主旋律を歌い、間奏ではそれぞれの華麗なソロも飛び出す。1曲目にして、この日のライブは確実にスペシャルなものになるという興奮が湧き上がってきた。
Michael Kaneko
ここで一度Kが舞台袖に戻り、Michael Kanekoのステージが始まった。「改めてよろしくお願いします」と挨拶すると、「Cracks In The Ceiling」へ。彼の楽曲は、サーフミュージックやソフトロック/AORなどの影響を感じさせるが、アコースティックギター1本の弾き語りということもあって、心にすっと入り込んでくるメロディーが、より耳に残る。そして、滑らかで美麗でありながらも、パワーも芯もしっかりとある歌声がとにかく心地よかった。後のMCで、KがMichaelのステージを観たときに感動したこととして「声もそうだけど、ギターのテクニック。“ドヤ!”っていう感じじゃなくてサラっとしているんだけど、心に刺さりまくる」と話していたが、そんな極上のギタープレイをしっかりと聴かせる場面も要所に組み込まれていて、瞬く間に客席を惹きつけていく。
Michael Kaneko
「久しぶりに緊張してます」と笑いながら話しつつも、「Flooded」では柔らかなアルペジオと歌声で爽やかな風を吹かせ、続く「Lost in This City」ではアコースティングギターを躍動的にかき鳴らし始めると、自然とオーディエンスもクラップをし始めた。そしてKを呼び込んで、「絶対にKさんのピアノと合うと思ったので、一緒にやりたいと思った」という「Separate Seasons」をセッションすることに。Michaelが柔らかく爪弾くギターに、音数を極端に抑えて奏でられるKのピアノがそっと寄り添う。また、楽器はもちろんのこと、2人が織りなすハーモニーもとにかく美しく、メロウで心地よい空気に、客席は大いに酔いしれていた。
Michael Kaneko
休憩を挟んだ後はKのステージに。いつも賑やかなトークを繰り広げる彼だが、キーボードを奏でながら「梅雨入りはこれからですかね」と、しっとりしたムードだ。1曲目は「遠雷」。温かながらもどこか儚さのある鍵盤の音色と、美しいファルセットが場内に響き渡る。そこから続けて「Only Human」を披露したのだが、ゲストのMichaelにとって、この曲には深い思い出があるそうだ。
4歳から15歳までアメリカに住んでいたこともあり、帰国してから日本語を覚えることにかなり苦労していたMichael。そんなときに、日本語の勉強のために日本のテレビ番組を観ることを母親から勧められた彼が観ていたのが、「Only Human」が主題歌に起用されていたドラマ『1リットルの涙』だったそうだ。「人の縁はどこから始まって、どこに繋がるかわからない。一瞬一瞬がどこかに繋がっているから大切にしたい」と、感慨深そうに話していたK。そんな彼の気持ちが存分に現れた名演だった。
K
そして、縁を大切にしたいというKの思いは、アーティストにだけでなく、この日の観客にも向けられていた。「せっかく来てくれたんだから、サプライズがないと!」ということで、マイク関係をすべてオフにして、完全な生音で「誓い」を披露することに。客席を見渡しながら、いつも以上に丁寧に歌い掛けるKが、最後にグランドピアノの弦を指ではじき、ウィンドチャイムのようなキラキラとした音を鳴らすと、客席からは大きな歓声があがっていた。
K
この日は比較的スロウナンバーが多かったのだが、その中でもポップな空気を生み出していたのが、「Brand New Map」。軽やかに弾み出したKのピアノとオーディエンスのクラップが重なり合い、ブライトな空気で場内が満たされると、KがMichaelを呼び込む。そして、本編最後の曲として「Beyond the Sea」をセッションすることを告げたのだが、この曲では、Michaelはギターを弾かずにシンガーに徹する形で披露することに。というのも、Kとしては、当初はMichaelにはギターで参加してもらおうと考えていたのだが、ライブ前日のリハーサルでMichaelの「Only Human」にまつわるエピソードを聞いたときに、「だったらこの曲を歌おう」と、急遽ボーカルをお願いしたそうだ。普段は日本語で歌わないこともあってかなり緊張していたMichaelだったが、それを微塵も感じさせない美声で、メロウなラブバラードをじっくりと歌いあげる。海を渡ってアメリカに行き、日本に帰ってきたMichaelと、海を渡って日本にやってきたK。そんな2人による「Beyond the Sea」には、惜しみない拍手と歓声が送られていた。
K / Michael Kaneko
アンコールでは、Michael Kanekoの「It Takes Two」をセッション。「参加してほしいパートがあります!」と、オーディエンスのクラップを求めたのだが、途中で“パン! パン!”と2回手を鳴らすところを、毎回同じタイミングでやるのではなく、2人が表情で合図を出すときにしてほしいということに。曲を始めると、“ここで!”というわかりやすい表情をするMichaelに対し、Kはなぜか変顔で合図を送りつつ(笑)、後半にはピアノを叩きまくる情熱的なプレイを繰り広げた。そして、ラストナンバーは「2人ともこういう系統の曲に影響を受けたと思う」ということで、オリジナル・ラブの「接吻」。軽やかに、それでいてロマンティックに甘い歌声を響かせて、初日公演を締めくくったのだった。
K / Michael Kaneko
この日のライブの冒頭、『Special Living Live』についてKが話していたことがあった。
「このイベントには、とてもいい思い出がたくさんありまして。アーティストは自分の演奏をすること、自分の楽曲を披露することが基本ではあるんですけども、他のアーティストと一緒にセッションをしたり、緊張感やスリルのあるものをやることによって、次の作品に繋がることが多いなと思った」
今年もまたひとつ素晴らしい経験をしたことで、それが彼の中でどう大きくなっていくのか。そして、8月からスタートする全国ツアー『K style 2019』と、9月に東京と大阪で開催される『live K 2019~Anthology Night~』にどんな影響を与えるのか。楽しみにしていたい。

取材・文=山口哲生

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