Kis-My-Ft2、CDセールス20万枚超の背
景 ジャニーズ若手における“実験”
の場に

 今週の第1位はKis-My-Ft2 の『光のシグナル』。デビュー曲『Everybody Go』から10作連続の首位獲得は、同じくジャニーズのKinKi Kids、NEWS、KAT-TUN、Hey!Say!JUMPに続く史上5組目の記録だ。『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』主題歌という大きなタイアップもあり、20万枚を超えるセールスを実現した。

 同シングルの「ドラえもんコラボ盤」では、『ドラえもん』タッチのアニメキャラになったキスマイのメンバー6人がジャケット写真に登場している。ミュージックビデオもドラえもん制作スタッフが6人の登場するアニメを描き下ろした。単なるテーマソングというだけでなく、かなりがっつりとタッグを組んだコラボが実現したわけだ。

 ちなみに、この曲の作詞を担当したのは男女ツインヴォーカルの5人組ロックバンド・東京カランコロンのせんせい(Vo/Key)。前作シングル『SNOW DOMEの約束』ではトライセラトップスの和田唱が作詞を担当しており、ロックバンドのフロントマンを楽曲の作詞として起用する流れもすでにあるのだが、それでも抜擢と言えるだろう。

 昨年12月には中居正広のプロデュースによるグループ内のユニット「舞祭組(ブサイク)」もデビューを果たしている。こういった試みも含めて、メジャーデビュー3年目を迎えたKis-My-Ft2というグループは、ジャニーズの中でも一つの「実験」の場になっている感もある。

 そして、注目したいのは4位の前田敦子のシングル『セブンスコード』。昨年末にロックフェス「COUNTDOWN JAPAN 13/14」に初登場した際に披露した曲だ。その時のレポート原稿にも書いたが(参考:
)、実力派のミュージシャンを従えた編成で鳴らすこの曲は、普段彼女のライヴをあまり観る機会のないだろうフェスの客にも、好意的に受け止められていた。映画『Seventh Code』主題歌となったこの曲はいわゆる「ロック路線」の楽曲で、方向性はオーセンティックなアメリカンロック。4月にはZepp TokyoとZepp Nambaで単独ライヴも予定されており、女優業が本格化するなか、歌手としての方向性も徐々に定まってきているようだ。

 一方、前週に初週売り上げ109.1枚となり1位を獲得したAKB48『前しか向かねえ』は、今週も6位を記録。こちらは先日に卒業を発表した大島優子の最後のセンター曲だ。こちらもいわゆる「ロック路線」なのだが、これはいわゆる「青春パンク」を彷彿とさせる曲調。メジャーコードのシンプルなコード進行にわかりやすいメロディ、8ビートのリズムにストレートなギターが配され、ブルーハーツ「リンダリンダ」やMONGOL800「小さな恋のうた」の系譜に連なるような楽曲になっている。

 同じタイミングで発売された2曲を聴き比べると、同じ8ビートのロックチューンでもかなりテイストの違いが見て取れる。アレンジやミックスの方向性も異なっている。端的に言えば、前田敦子『セブンスコード』のほうが“大人”なイメージ。バックの演奏にも聴かせどころのある「本格派」のテイストだ。ただ、前田敦子の新作のセールスは前作シングル『タイムマシンなんていらない』より約2万枚少なくなっている。代表曲となるべきシングルでのセールスの低下は気になる点でもある。

 本体もさることながら、初期を支えた人気メンバーが次々と卒業し、その後のキャリアを成功させられるかどうかにも注目が集まるAKB48。少なくとも、今年の前田敦子、大島優子の活動はその試金石となると言っても過言ではないだろう。(柴 那典)

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