BOYS AND MEN インタビュー “新た
なボイメン”を感じさせる最新シング
ル「頭の中のフィルム」を語る

今年の1月にナゴヤドームで単独公演『ボイメン名古屋夢まつり~ツッパリ町おこしお兄さん最強烈伝~』を行なったBOYS AND MENが、5月29日にシングル「頭の中のフィルム」をリリースした。10-FEETのTAKUMAが“卓真”名義で書き下ろした表題曲を筆頭にバラエティに富んだ楽曲が収録された今作について。そしてナゴヤドーム公演を振り返って今思うことを本田、辻本、小林、田村、吉原に語ってもらった。
――1月14日にナゴヤドームでの単独公演『ボイメン名古屋夢まつり~ツッパリ町おこしお兄さん最強烈伝~』を開催し、故郷に錦を飾ったボイメンのみなさん。振り返ってみれば、どんな見つけものがありましたか?
本田:ナゴヤドーム公演には、初めてボイメンのライブに来てくれた方がたくさんいて、さらに「楽しかった!」と言っていただけたので。初めて観る方にもそう感じてもらえるようなショウができた、というのは自分たちにとって大きな収穫だったと思います。ただ、目標にしていた観客動員数には及ばなかったわけで、それは今後の課題だし、もっともっと自分たちのパフォーマンスの精度を上げていかないとナゴヤドームリベンジ、その先のアリーナツアーには手が届かないんだろうな、ということも同時に痛感してはいます。
――大舞台に立っても舞い上がらず、冷静に、シビアにとらえているのですね。
辻本:“超満員”という目標を達成できていないからね。
本田:うん。ちゃんと地に足をつけているし、そうじゃなきゃダメだな、って思っています。……って、あれ!?(隣で今にも浮遊しそうな素振りの田村を見て)
辻本:田村はもとから地に足がついてない(笑)。
本田:出会ったころからブレてないか(笑)。
田村:です!(笑) ナゴヤドームには、これまでずっと応援してくれていたファンの人たち、親兄弟や友だちがみんな来てくれて。「電気屋さんの前で路上ライブをやっていたボイメンがこんな大舞台に立つ日が来るなんて」とか「いい景色を見せてもらったよ」とかって、すごく喜んでくれたんですよ。もちろん、超満員にはできなかったっていう悔しさはあるんですけど、みんなの温かい想いを受け取って、よりいっそう頑張ろう!という気持ちになれました。
――その前向きなとらえ方も、ボイメンらしい。
小林:僕らはファンのみんなのことを“ボイメンファミリー”って呼んでいるんですけど、そのボイメンファミリーたちが本当の家族や友だちを誘って、ナゴヤドームに来てくれて。新しいボイメンファミリーも含めて、みんなですごく温かい場所にできたっていうのは本当に幸せなことだし、僕も前に進む力をもらえました。
吉原:名古屋で生まれて名古屋で育った僕にとっても、名古屋で生まれて名古屋で育ったボイメンにとっても、ナゴヤドームというのは特別な場所。そのステージに立てて、もう感無量でした。みんなが言うように、動員面では悔しさが残ったものの……それでも、“ナゴヤドームに立った”というのは紛れもない実績になるので。ファンの人たちも、「ボイメンのファンなんだよ」って言いやすくなると思うんですよ。
――きっと誇らしいはずです。
吉原:そう、最初のころはボイメンって“色もの”的なとらえられ方をしていたし、ファンの子も「ボイメンのファンです」って言うのは恥ずかしかったと思うんですけど、これからはファンであることを堂々と胸を張って言ってもらえるぞ、っていう。
辻本:それはあるね。あと、個人的にはナゴヤドームで和太鼓を叩かせていただいたことで和太鼓が好きになったし、これからも続けていきたいなと思えたので。それも、大きな収穫です。
――ということも含め、ボイメンはさまざまなチャレンジを重ね、可能性を広げてきたグループ。2019年第1弾シングル「頭の中のフィルム」にしても、ロックバンド・10-FEETのTAKUMAさんが“卓真”名義で書き下ろした表題曲は切なさも漂う胸を熱くするロックナンバーで、また新たな扉を開いたなと。
本田:まさに、僕らがこれまで歌ってきた、いい意味で“暑苦しい”ナンバーとは違うナンバーは、自分たちにとっても新鮮で。
田村:最後には、名古屋弁のセリフが入っていたりしてね。
――あのセリフがまた、エモいんですよね。
田村:そう言ってもらえると嬉しい。
本田:よかった。辻ちゃん、エモいって!
辻本:エモいって……なに? 卍ってこと?
本田:卍は知ってるんかい(笑)。
田村:逆に卍ってなに?
本田:“ヤバい”的な……とくに意味はないんだけど……説明が難しい(笑)。
辻本:で、エモいは?
――感情が動く、高まる、みたいな。
辻本:なるほど! じゃあ、ライブで「エモってますか!?」って使ったらいいんだ。
本田:その言い方は新しいね(笑)。
辻本:広まらんかな(笑)。なにしろ、熱さ全開でいくっていうのがボイメンらしさですけど、「頭の中のフィルム」は中から燃えてくるような曲なので。そういう曲にチャレンジできるっていうのはすごく楽しみだったし、期待感がありました。
吉原:わかる。デモ音源にTAKUMAさんが入れてくれた仮歌もすごくかっこよくて、レコーディング向かうにあたってはいつも以上に楽しみだったんですよ。いっぽうで、ロックはこれまであまり歌ってきていなかったジャンルだし、僕らが歌ってちゃんといいものとして届けられるのか、っていう不安も大きかったんですね。
――その不安は、どう乗り越えたのでしょうか。
辻本:TAKUMAさんの仮歌を参考に、僕はいつもとは違う声の出し方、バンドっぽさを意識しました。
吉原:TAKUMAさんの歌声は、パッションは感じさせつつ、どこか哀愁の漂うような感じだったからね。だから、いつもはあまり息の多くない力強い歌い方をするんですけど、ディレクターの方と相談しながらいつもより息を多めに入れて、ちょうどいいところを探っていったりして。
田村:最後の名古屋弁のセリフのところは、普段“デーラ”とか“ケッタ”とか単体では名古屋弁を使っても、そこまでコテコテにしゃべっているわけではないから、不自然に聴こえないように何度も練習しました。
小林:僕は最初、男っぽい感じで歌ってみたんですけど、ちょっと違うかなと思って。より感情が伝わるように歌ったら、それがこの曲に合っていたみたいです。
本田:ディレクターさんから、「歌うというよりはセリフを言うようなつもりで」っていう指示があったりしてね。気持ちを大事にして歌いました。
――だから、聴いていて心が動きます。
吉原:TAKUMAさんも「いい歌だね」と言ってくださったし……マジ卍です。
本田:その味付けおかしいやろ!(笑)
小林:ふふふ。それから、「頭の中のフィルム」は僕らメンバーが出演するドラマ『ミナミの帝王ZERO』の主題歌として物語とリンクしていたりもして。いろいろなシーンと重なる歌詞も多々あるので、ドラマの撮影をしていても気持ちがwktk(ワクテカ)しました。
本田:今日は若者言葉の日か(笑)。
BOYS AND MEN
――そんな「頭の中のフィルム」のMVは、まるで青春ものの映画やドラマのような仕上がりで。不良たちとのダイナミックでアクロバティックなアクションシーンも、だいぶ見応えがあります。
田村:今回はちゃんと殺陣師の方についていただいて。メンバーそれぞれに合った動きをつけてもらったりもしたんですよ。マットとかもちゃんと用意してもらってね。
辻本:そうそう。マットなんかはアクションでは普通のはずなんだけど……。
本田:これまでいろんなことを低予算でやりすぎて、当たり前のことにも感激してしまうっていう(笑)。
田村:おかげで、派手な動きもたくさんできてね。
小林:つーじー、めっちゃ跳んでたよね。
辻本:うん。ロイターを使うとめちゃめちゃ高く跳んじゃうから、あまりロイターは使わなかったんだけどね。
小林:でもさ、つーじーのシーンを監督と一緒にモニターを観ていたんだけど……本番になると気合いが入りすぎちゃって、画面から見切れちゃってた(笑)。
辻本:それこそ、マットがないところまで跳んでいっちゃって、河川敷の砂利に着地しちゃったりして(笑)。
小林:リハーサルのときにはちゃんとマットの上に落ちてたのに、ホントに謎(笑)。
辻本:いや、喧嘩の相手をしてくれる方をリハから本気で蹴っちゃ悪いなと思って力を抜いていたんだけどさ、本番ではついガッツリいっちゃって(笑)。でも、迫力ある画が撮れたと思うし、すごく楽しい撮影でした。
吉原:で、そういう辻ちゃんだったら筋肉バカとか、今回のMVではそれぞれにキャラづけをしていただいたんですよ。監督に「ボーっとしてるって言われない?」って言われた僕は、闘っているときは無表情・無感情なんだけど、最後は疲れてきちゃうっていう人間味が出るような演出をしていただいて。コントラストをお楽しみいただけるかと思います(笑)。
――ちなみに、小林さん、田村さん、本田さんのキャラづけは?
小林:僕は……。
吉原:雑魚?(笑)
小林:いや、強すぎて……。
辻本:いやいや、めっちゃ弱いやん(笑)。地面這いつくばってるし。
小林:そうなんです、雑魚です!(笑) でもね、ストーリーテラー的な役割ではあるんですよ?
4人:ん?
小林:僕が不良たちに捕まったから、みんなが助けに来るっていうドラマが生まれるわけだからさ。
辻本:……しかしさ、あんなにボコられたくせに最後のシーンで真ん中を堂々と歩くとか、ないわ(笑)。
本田:確かに。なに肩で風を切っとんねんっていう(笑)。
田村:なんなら俺たちのうしろにおらなあかんのにな(笑)。俺はメンタリストなんですけど……。
辻本:はいはい、そうやった(笑)。で、本ちゃん(本田)は?
本田:え、たむたむメンタリストのままでいいの?
田村:うん。この記事を読んだ人が逆に気になっていいかな、と思って(笑)。
本田:マジか。メンタリストっていうことは、映っていないけど心理戦を繰り広げている的な?(笑)
田村:そうそう。敵を味方にするっていうメンタリスト。
本田:いやいや、めっちゃ跳んで不良を殴ってたでしょ(笑)。
田村:あのジャンプシーン、何回も撮ったんですけど、殴らずに本気の空振りをずっとしていると、腕がパンパンになるんですよ。だから、ここに(首を見せながら)できものができちゃいました(笑)。
本田:うん、関係ない!(笑) 僕は監督に「本田くんは身体が小さいからあんまり強そうじゃないよね」って言われたところから、ガっと不良たちにつかまれながらも逆転する、っていうシーンを撮りまして。
小林:あと、辻本と付き合ってる、っていう設定やんね。
本田:いやいや、付き合ってないって、マブなだけだから(笑)。
田村:ホントかぁ? 手を伸ばし合っちゃったりしてさ。
小林:「シータ!」「パズー!」(『天空の城ラピュタ』の一場面を再現)みたいなね。
吉原:絶対好きじゃん、のやつ(笑)。
本田:っていうくらい、辻本&本田が仲良さそうに見えすぎて……。
小林:最初はなかったシーンもあとから追加されてね。
辻本:本田が俺のほうに必死に手を伸ばす姿を画面越しに見て、監督が一番笑ってましたからね。「めっちゃ好きじゃん!」って(笑)。
本田:というところも含め、いつものボイメンのMVとはまた違ったドラマとかっこよさが詰まった映像なので。ぜひ、たくさんの方に観ていただきたいです。

――いっぽう、「ONE WAY」は目覚ましい躍進ぶりで音楽シーンを賑わせているシンガーソングライター・向井太一さんによる作詞・作曲の温かなナンバー。ソウルフルなみなさんの歌声にも、新たな風を感じます。
田村:そう、だいぶ新しいんですよ。
本田:「頭の中のフィルム」よりもさらに、やったことのないことに挑戦した感が強いよね。それに、ボイメンって基本的に2人ずつのパートが多いんですけど、「ONE WAY」では完全にソロでまわしているので。
辻本:ずっとやりたかったことがようやくできて、嬉しいよね。
田村:曲調もすごく素敵だし。
吉原:心地いいテンポでね。ボイメンはオンビート(奇数拍にアクセントを置くリズム)の曲が多いけど、裏でリズムをとるっていうのはボイメンファミリー的にも新鮮だろうし、歌っていて楽しいし。新しい武器を手に入れられたな、っていう気持ちもあります。
田村:メンバーがきれいに想像できますもん、この曲を聴くと(笑)。
本田:うん、清潔感あるイメージ(笑)。
小林:Eテレで放送のアニメ『スポンジ・ボブ』エンディングテーマに起用していただいていたりもするんですけど、『スポンジ・ボブ』好きとしてはそういう意味でも嬉しさがあります。
――それから、「夢Chu☆毒」はメロディやサウンド、歌詞に昭和感漂うキャッチーで情熱的なナンバー。
田村:昭和感はすごく意識したんですよ。
辻本:昭和好きなグループやからね。
本田:ボイメンのシングルの中で、今回のシングルは収録曲それぞれの色が特に際立っているけど、「夢Chu☆毒」は一番落ち着く曲ではあるよね。
吉原:ボイメンファミリーのみんなも、そういう曲はやっぱり大好きだろうし。
小林:「夢Chu☆毒」みたいな曲が、ボイメンの王道だよね。「頭の中のフィルム」とか「ONE WAY」とか、いろいろな作品とのタイアップによって新しいアクセントが加わることで、お互いに引き立て合えているんじゃないかな、と思う。
――今回の3曲は本当にそれぞれの個性と曲力が強いですし、“らしさ”はそのままにどんどん表現の幅を広げ開花していっているのがボイメンだな、とあらためて感じます。さて、2019年にはホールツアー、2020年にはアリーナツアーの開催が決定したボイメンですが、令和元年の決意は?
田村:お、ついにきたね!
辻本:この質問、ずっと待っとったのに全然こなくて……。
本田:この間から待ちかねていたもんね(笑)。
辻本:ようやく聞いてもらえて嬉しいです!
田村:令和元年は記念すべき年ですからね。『NHK 紅白歌合戦』への初出場を果たしたいです!
小林:同じく。令和初の紅白、目指します。
辻本:うん。今年こそはね。
吉原:そして、昭和には昭和の時代を、平成には平成の時代を彩る曲があるように、令和には令和の時代を彩る新しい音楽がどんどん出てくると思うので、僕らもどんどんチャレンジをしていきたいです。
本田:そうだね。令和元年は、10周年を迎えるボイメンにとっては第2章が始まるタイミング。ここからさらに、グループとして成長して、大きく飛翔していきます。

文=杉江優花 撮影=菊池貴裕

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