【インタビュー 前編】SUGIZO & 真矢
、LUNA SEA30周年を語る「ロックバン
ドという形態で最高かつ唯一無二」

LUNA SEAが5月29日、約3年ぶりのシングル「宇宙の詩 ~Higher and Higher~ / 悲壮美」をリリースする。同作はNHK総合テレビで放送中のアニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』の第1弾および第2弾のオープニングテーマとして制作されたもの。サウンド、プレイ、アレンジのすべてにメンバー個々の強烈な持ち味が発揮され、5人の音が重なる瞬間に大きなうねりを上げる、まさにLUNA SEAそのものを描いたような仕上がりだ。
リリース日となる5月29日は結成記念日であり、結成30周年アニバーサリーの幕開けとしてSLAVE限定無料ライヴ<LUNA SEA The 30th Anniversary SLAVE限定GIG>がZepp Tokyoで行われることをはじめ、5月31日および6月1日には結成30周年を記念したスペシャルライブ<LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days->を日本武道館2daysの規模で開催。この夜、LUNA SEAという巨大なグルーヴが“30年=約10,000日”の物語を刻み込む。

BARKSは、SUGIZOと真矢の2人にロングインタビューを試みた。その前編は“30周年”。結成秘話はもとより、学生当時の思い出やインディーズ時代、終幕とREBOOT、そして現在が赤裸々に語られた10000字のテキストをお届けしたい。なお、後編となる“シングル「宇宙の詩 ~Higher and Higher~ / 悲壮美」”インタビューも間もなく公開する予定だ。

   ◆   ◆   ◆

■“なにか出来る”って想いがあった18歳──真矢
■真矢と俺はすごく笑ってた思い出がある──SUGIZO

──30年前にバンドを組んだとき、今のことは想像しがたかったとは思いますが、当時のことを踏まえて、どんな気持ちで迎える結成30年ですか?

真矢:今の結果がわかってて30年前にバンド組んでたらすごいよね(笑)。

SUGIZO:そうしたら予知能力者だよね。

真矢:そうだね。で、なんだっけ、質問?

──ははは。30年前はLUNA SEAを続けていくことを考えていたかどうかわからないですけど、未来についてどう思ってたんですか?

真矢:いい意味でバカだったよね。信じて止まなかったというか不安要素が一切なくて、“なにか出来る”って想いがあった18歳とか19歳だったと思うよ。

SUGIZO:まったく同感です。
──東京・町田のライヴハウス (The Play House / 通称:町田プレイハウス)を拠点に活動していたインディーズ時代はどんな夢や野心を持っていたんですか? シーンの中でこうありたいとか?

SUGIZO:誰もやってないことやりたいと思ってたよね。新しいことをやってやろうとか、ただただ人をビックリさせてやろうとか。“こんなこと誰も想像しないだろう”っていうことをやりたかった。音楽だけじゃなくて存在自体、行動ひとつとっても予測不可能なところに行きたいっていう闘争心がありましたね。

真矢:うん、そうだったね。

──活動の仕方ひとつとっても?

SUGIZO:細かい表現方法までどれをとっても人とは違って特別だっていう。唯一無二だっていう自覚もあったし、そうなりたいという欲望があったと思います。

──今、振り返ってもめちゃめちゃギラギラしていたというか。

真矢:RYUICHIなんか、初めて会ったとき、緑の髪の毛で眉毛がないみたいな(笑)。

SUGIZO:実はRYUICHIに初めて会ったとき、髪、紫だったんだよ。

真矢:紫だったっけ?

SUGIZO:緑は1989年の途中から。

真矢:よく覚えてるね?

SUGIZO:覚えてる(笑)。

──眉毛はなかったんですね?

真矢:なかった。センセーショナルだったもん、“眉毛ってなくしていいんだ!?”って(笑)。それぐらい私生活から奇抜というか、人と違ったものを求めていたのかもしれないね。

──眉はあったにしても全員、そんな感じだったんじゃないんですか?

SUGIZO:真矢は髪が真っ赤っ赤だったよね。

真矢:そうそう。

SUGIZO:とにかく人と違うことがやりたかった。もしくはシーンの中でいちばん奇抜になってやりたかった。RYUが眉毛がない時代はINORANはまわりの中でいちばん髪の毛を立ててて、髪の毛のデカさで勝負みたいな(笑)。Jは尖ってたし。ギターで言えば、いかに速く弾けるかとか、すべてにおいて競争する対象がいて、ソイツらを抜かしてギャフンと言わせてやろうとかね。今思うと低レベルな話ですよね。

真矢:はははは!
──バンドがいっぱいいる中、飛び抜けた存在になってやるっていう。学生時代、2人はお互いの家を行き来して泊まったりしていて、夢とか宇宙について語り合っていたんですよね。

SUGIZO:パンツ一丁でね(笑)。

真矢:そう! 語り合うわけですよ。

──新しい世代のファンは、2人のそんな青春時代、知らないと思うんですよ。

真矢:じゃあ、今度、ファンクラブの旅行か何かで、2人で再現しようか(笑)。パンツ一丁で夢を語り合っているところを。

SUGIZO:そうしたらファンクラブの会員が今の5倍ぐらいに増えるかもしれないね(笑)。まぁ、今ならTバックですけど(笑)。

真矢:わはははは!

──……30年前はそんな会話してなかったですよね。

真矢:してないしてない(笑)。まぁ、バカバカしいことは言ってたけどね。

SUGIZO:特に真矢と俺はすっごく笑ってた思い出がありますね。真矢が泊まりに来るとうちの母親が真矢のジャージとか着てたし(笑)。

──どっちのジャージかわからなくなっちゃって?

真矢:そうそう(笑)。「肉マン食おう」っていうことになったんだけど、温め過ぎてすげえ小っちゃくなっちゃったり(笑)。

SUGIZO:肉マンが宇宙人みたいになっちゃってね(笑)。

──そんな思い出も原点ですね。

SUGIZO:肉マンがですか(笑)?

──違います違います。パンツ一丁で夢を語り合うところです。

SUGIZO:星を見ながらね。
■“やっとここから始まる”っていう
■感触を持ったのが30年前の今頃──SUGIZO

真矢:だって、もともと「プロになろう」って誘ってくれたのはSUGIZOだから。

SUGIZO:17歳のときだった。

真矢:あの日がなかったら、今の俺はここにいなかったかもしれない。

SUGIZO:でも、逆に言うと真矢がLUNACYに誘われたとき、「SUGIZOが一緒じゃないとやらない」と言ったっていうのがあったから。だから真矢がいなかったら、俺はLUNA SEAをやってない。

真矢:だから面白いよね。
──その頃に「プロになろう」っていう話をしたんでしたっけ?

SUGIZO:それより遥か前ですね。真矢のことはドラムを始める前から知ってるんだけど、ドラムを始めて1ヵ月ぐらいして、たまたま何かのタイミングで叩いているのを見たときに“コイツはすごい!”と。高校1年のときにバンドに誘って、数ヵ月後には「プロになるぞ!」って家まで説得しに行ったんですよ。

真矢:そうそう。

──バンド始めたばっかりで「プロになるぞ!」って言われても、“コイツ、どうしたんだ?”とか思いませんでした?

真矢:思った思った(笑)。“なに考えてんだよ?”と思ったんだけど、“もしコケたとしても、一回それに賭けてみようか”って感じだったね。

SUGIZO:真矢も最初は「バカ言ってるんじゃねーよ。なれるわけねーだろ」って言ってたんだよね。あと、よくこのメンバーが地元で集まったよね。

真矢:集まったねー。

SUGIZO:客観的に見てもLUNA SEAって各メンバーのスキルとか存在感が特別だと思うんですよ。そうなる素養は10代のやんちゃなガキんちょの頃からすでに持っていたと思う。例えば、学校の中でも異彩を放っているというか、目立っていたり、街にいてもなぜか注目されたり。たまたま、そういうヤツらが集まったんですよね。最初はINORANとJがLUNACYっていうバンドをやっていて、真矢と俺は違うバンドを組んでいたんです。この2バンドはよく対バンするような関係だったんだけど、大学に進学するとか社会人になるからっていう理由でバンドをやめていくヤツが多い中、音楽に賭けていたのが俺たちだけだった。で、真矢と俺がLUNACYに入って、当時、RYUICHIはまだ加入していなくて違うヴォーカルだったんだけど、彼がやめて本気のRYUICHIが入って、今の5人になった瞬間に、俺は初めてゼロ地点に立ったような気がしたんですよ。“やっとここから始まる”っていう感触を持ったのが30年前の今頃。

真矢:初めて音を出したときのインパクトはすごかったね。

SUGIZO:不思議なんだけど、その前のヴォーカルのときは音合わせてみたら、「ダメだ。こりゃ」って真矢と言ってたんです。

真矢:うん。言ってた。手応えが全くなかった。

SUGIZO:バンドの音はぐしゃぐしゃだし、歌が全然飛び込んでこない。前任ヴォーカリストは普通のバンド好きの10代というか、半分遊びみたいな音楽への接し方だったので、真矢と「一回ライヴをやったらやめよう」って言ってたぐらいだったんだけど。RYUICHIが合体した途端に豹変して「これが運命の組み合わせだ!」って。

真矢:本当にそう! これ読んでるみんなに、今、あの衝撃を感じてほしいぐらいにピタッときたんだよね。

SUGIZO:ちなみに当時、リハーサルは俺の家でやってたんですよ。自分の部屋を改造したんだけど、3分の2は真矢のドラムが占めてたもんね(笑)。

真矢:はっはは。デカいからね、ドラムセットは。

SUGIZO:そこで5人で合わせて“これだ!”って思ったのが、ちょうど30年前の5月の頭ぐらい。
──そもそもLUNACYのライヴをRYUICHIくんが町田プレイハウスへ観に来たんでしたっけ? たしかドーナツの差し入れを持ってきたんですよね?

真矢:あったね。

SUGIZO:当時、RYUICHIはRYUICHIで別のバンドをやってて、お互いライヴは観てたんですよ。で、お互いに一緒にやっているメンバーの音楽に対する姿勢に不満を持っていたんだと思う。さっき真矢も言ってたけど、“どこまでバカになれるか”だと思うの、“自分にはこれしかない”、“自分たちは絶対にやり遂げられる”って。普通の人から見たら「バカじゃね?」って言われるレベルかもしれないけど、そういう人間じゃないと頂点には立てないし、30年もやってないと思う。

──そうかもしれないですね。

SUGIZO:だからあの頃、30年後のことは想像してなかったけど、あの気迫とか狂ってるんじゃないか?ぐらいの思い入れがあって、そのまま30年が通過したんじゃないかと思う。

──なるほど。RYUICHIくんのヴォーカルや存在感も、“コイツ、ちょっとおかしいんじゃない?”ぐらいのレベルだったわけですね。

真矢:そうだね。RYUの前のバンド、見たことあったっけ?

SUGIZO:あるある。真矢、見てなかったっけ?

真矢:俺はビデオで見た。

SUGIZO:だから、さっき話した前任ヴォーカルみたいに趣味でバンドやってるメンバーがいたり、RYUのところのギターも半分暴走族みたいだったしさ(笑)。音楽に賭ける情熱っていうところで似た者同士だった5人がLUNACYになったわけですよ。

──そういう5人が奇跡的に地元・神奈川で集まったと。まわりのバンドはLUNACYを見て“すごい連中が出てきたな”って?

SUGIZO:たぶん、そう見てたと思いますよ。だって町田界隈の連中が音も見た目もやり方もウチらのマネし始めたもんね。もちろん狭いエリアなんだけど、それから数ヵ月後には目黒のライヴハウス(目黒鹿鳴館や目黒ライブステーション)に出るようになって。D’ERLANGERとかZi:Killとか先輩がいて、でも、ウチらはそのどこにも属さない新しい何かを持っていたと思う。LUNACYが結成した時期ってXが『BLUE BLOOD』でデビューした時期なんだけど、Xとも違っていたし、先輩たちとは違うことをやりたいって。
■結局、人のエナジーであったり真剣度が
■すごいものを生むんじゃない?──真矢

──とは言え、5人の音楽の趣味もバラバラだったんですよね?

真矢:バラバラですね。

──違うことをやりたいという以外に、何か共通のキーワードみたいなものはあったんですか?

真矢:なかったよね。

SUGIZO:いつも言ってることなんだけど、若い頃ってメンバーの性格の違いとか趣味趣向の違いって関係ないんだよ。

真矢:そう。それは建前の理由であって、結局、人のエナジーであったり真剣度がすごいものを生むんじゃない?

SUGIZO:その通り。同じところを見ているというか、同じぐらい強力なアティテュードを持っていること。ウチらだったら5人がバラバラでも、“のし上がってやるぜ!”とか“シーンの頂点に立ってやろうぜ!”とか、そういう超漠然とした目標が最も大事で。そこで5人が結びついてるっていう。細かい音楽性の違いとかあんまり関係ないよね。

真矢:関係ないない。だって年を重ねたら好きな音楽もやりたい表現方法も変わってくるからさ。車は乗り換えるけどドライバーは変わらないみたいなものですよ。

SUGIZO:うん。
真矢:そういえば、さっきRYUICHIが楽屋にドーナツを持ってきた話が出たじゃない? Twitterに面白いことが書いてあったの。

──なんですか?

真矢:RYUICHIは「ドーナツをメンバー分、5つ持って行った」と言ってるんだけど、俺はずっと4つだと思ってたの。

SUGIZO:俺は2つだと思ってた。

真矢:で、JかINORANは1つって言ってたよね。つまり最初は5つあったんだけど、俺にわたってくるまでに誰かが1個食って4つになってて、そこで俺が2個食べちゃったから、残りが2個になって、結果、1個足りなくなったらしい……っていう小噺でした(笑)。

──ははははは。そういう都市伝説が語り継がれてる。

SUGIZO:あの時代は写メも動画もないしさ。証拠がないから真実はわかんないよ(笑)。

──でも、“真矢が2つ食べちゃった”説は妙に信ぴょう性がある(笑)。

真矢:わはははは!

SUGIZO:当時はみんな、いつも腹減ってたからね(笑)。

──さっき、“のし上がっていくって野心があった”という話をしてくれましたが、実際にLUNA SEAはメジャーデビュー以降もどんどんライヴの動員を増やして、チャート1位を獲得していく。その後、2000年の終幕を経て、2010年5月29日にオフィシャルサイトで、“REBOOT”というメッセージを発表しますよね。初期に思い描いていたLUNA SEAの形と今のLUNA SEAの形に違いはありますか?

真矢:想像というのは明確にはできないものじゃないですか。でも、1個だけ証拠があるんですよ。

──というと?

真矢:30年後の今も続いているという証拠。それがさっき言った本気度なの。その灯火が消えなかったんじゃないかと思う。誰かひとりでも、「もう音楽はいいよ」となって灯火が小さくなったり、消えたりしたら、今のLUNA SEAはないんじゃないかな。今も5人には強い灯火がある。だから将来のことはうっすらかもしれないけど予測はつくよね。
──メンバー全員に情熱という炎があるのはわかるんですが、終幕以降は全員がソロ活動をしたり、サポートをしたり、各自で道を切り開いてきましたよね。LUNA SEAとして再び集まらなきゃならなかった理由というのは?

真矢:集まらなきゃいけないとは思ってないの。集まりたくなかったらそれでいい。ただ、昔と変わらず、集まるのが好きなんじゃない?

──はははは。子供か。

真矢:そうそう、そういうことなんだよ。俺はよく言ってるんだけどLUNA SEAって“名字”みたいなものなのね。だから、集まらなきゃいけないっていうんじゃなくて、普通に帰ってくるっていう。

──ファミリーということですね?

真矢:しかも真剣に遊んでいるファミリーだからね。家族だから“なぁなぁでいいか”、っていうのは全然ない。

──本気度の炎が強すぎたからこそ、終幕したんでしょうかね。再び集まるために約10年の期間を費やしたけど、復活を待っていたもののREBOOT以降のLUNA SEAがこんなにコンスタントに作品をリリースして、自身主催の<LUNATIC FEST.>まで主催するとは想像してませんでした。

SUGIZO:終幕後の期間、バンドがより強力になるために1人1人自分を磨かなきゃいけなかったんじゃないですかね。真矢は“名字”っていう言い方をしたけど、俺がいつも言ってるのはLUNA SEAは“故郷”。それぐらい大事なんだけど、ファミリーって年中一緒にいるからハッピーなわけじゃないでしょ? 父親にムカつくこともあるだろうし、気が合わない肉親もいるだろうし、必ずしも安住の地ではない。そうなんだけど、ファミリーという事実は変えようがない。

──確かにそうですよね。

SUGIZO:だからこそ各々が一回、自分の道を究める必要があったんじゃないですかね。独立したアーティストとして1人1人がパワーアップして故郷に帰ってきたら、バンドという集合体はさらに強力になるっていうことをみんなが無意識に思っていた気がする。逆にいうと自分の故郷には甘えたくなかった。自分が育ったところを超えてやるぜっていう気持ちが全員にあったはずなので、結果的にはその期間がLUNA SEAをさらに大きくしたと思っています。
■俺にとってLUNA SEA以外
■ロックバンドはありえない──SUGIZO

──バンドにとって通らないとならない道だったんですね。

SUGIZO:だから、REBOOTの3年前の2007年 (東京ドームでの一夜限りの復活ライヴ<GOD BLESS YOU ~One Night Dejavu~>)、7年ぶりに音を出したときはホントに衝撃だったもんね。リハーサルに入って、1曲目に「Dejavu」を合わせた瞬間、全員が“これはすげえ”って感じたはず。言葉で確認し合ったわけじゃないよ。だけど、そのときから、今、こうなることは決まっていた気がしますね。俺にとってLUNA SEA以外、ロックバンドはありえないんですよ。ここが自分にとってロックバンドという形態で最高かつ唯一無二の場だと思える。たとえ新たに別のバンドを結成したとしても、X JAPANでギターを弾いていても、俺が自分たちで作り上げたものを体現する正真正銘のロックバンドはLUNA SEAしかない。もっと言えば、人生でそういうバンドは1つしかできないと思うんです。ジミー・ペイジにたとえたら、レッド・ツェッペリンよりザ・ファームのほうが好きな人は少ないでしょ?

真矢:そうだね。

SUGIZO:ポール・マッカートニーだったらウィングスよりやっぱりビートルズでしょ? 最も多感な成長期に結成して、成功した場合、それを超えるロックバンドを組むのは無理だと思うんですよ。それでも30代のときには過去を超えようとがんばる。結果はどうであろうと、それは自分のプラスになるし、スキルアップに繋がるんだけどね。そう思っているからロックバンドで表現する音楽として常にベストなことをやりたいし、今もロックバンドという形態でできることに挑戦しているし、夢を追っている。(真矢に向かって)どうですか?
真矢:そういうことでございます(笑)。俺は2000年から2007年にかけていろんな人たちとセッションをやったんだけど、結局「LUNA SEAっぽく叩いて」って言われるの。その時期はREBOOTのことなんか決まってないから、「俺は一生、これを背負っていかなきゃならないのかな?」って。そんな中で唯一、LUNA SEAっぽいことを求めなかったのが大黒摩季ちゃんなんだよね。

SUGIZO:うんうん。

真矢:今はLUNA SEAをやってるから、ほかでオレがLUNA SEAっぽいドラムを叩く必要がないわけですよ。だから摩季ちゃんのサポートだけは続けてる。

──その“LUNA SEAっぽいドラム”ってどういうものだと思います?

真矢:わからないんですよ(笑)。楽曲も違えば、歌う人も違うのに、求められるんだよね。

SUGIZO:俺が思うに、真矢が本気で叩けばLUNA SEAっぽくなっちゃうんじゃないの?

真矢:そういうことなんだよね、きっと。

──話を聞いていると、血のつながりがかなり濃そうですよね。

SUGIZO:じゃあ、血縁でできちゃったんだね(笑)。

真矢:わははは。原始時代みたいなものだね(笑)。

──そんなふうに生まれたLUNA SEAは、数多くの楽曲を生み出してリリースしてきたにも関わらず、さっき話に出たように、リハーサルの1曲目に今も必ず演奏するのが「Dejavu」。それだけ特別な曲ということですか?

真矢:ほぼ毎回リハは「Dejavu」からだよね。

SUGIZO:リハでいちばんチェックしやすい曲なんだよね。みんなの全部の音が入ってる曲だから。

真矢:合理的な部分も含めてでしょ?

SUGIZO:真矢が「速くて手が追いつかないからやめてくれよ!」って言いながら叩いてる(笑)。

真矢:そうそう! でも、その日の調子がわかる曲なんだよ。「今日はここがヤバイから、演奏方法はこうしよう」とか。だから変えたくないね。

SUGIZO:あの1曲にあらゆるドラムパターンが入ってくるじゃん。ハットもライドも入ってる。INORANも典型的な歪みとクリーンを使うからアンプ2台のチェックができるし、俺もリフとリードがあるから、その確認ができる。特にこの3人はいろんな音色を使うから、「Dejavu」だけであらゆるチェックができる。理に適っているんですよ。
──納得です。「Dejavu」の話が出たので、LUNA SEAの活動の軸となるライヴについても聞きたいんですが、初期から演奏しているナンバーを今もライヴのセットリストに盛り込んでいますよね。「TIME IS DEAD」もそうだし「MOON」「WISH」もそう。ここまで昔の曲を数多くライヴに盛り込むバンドは少ないんじゃないかと思うんです。

真矢:そうですかね?

SUGIZO:俺は逆だと思うんだよね。ストーンズだってそうだし。

──確かに海外のバンドはそうですね。

SUGIZO:ツェッペリンが再結成したら「胸いっぱいの愛を」(「Whole Lotta Love」)を絶対やるだろうしさ。

真矢:「Rock And Roll」もやるよね。

SUGIZO:U2だってそう。それは長くやってるバンドの宿命じゃないですかね。バンドじゃないけど、デヴィッド・ボウイだって「スペイス・オディティ」はやってたしね。だから、初期、中期、後期とかあまり関係なく、自分たちを象徴する代表曲をできるだけ盛り込んでいくっていうのがお客さんに対する礼儀だと思うんですよね。

──“あの曲が聴きたい!” “今日は聴けるかな?”って、楽しみにライヴに足を運ぶ人たちのためにも?

SUGIZO:我々は正直、飽きてますよ。「Dejavu」も「WISH」も何百回演奏したかわからない。

真矢:飽きてるけど礼儀でもあり、必要不可欠なんだよね。

SUGIZO:やったらやったで、すごく重要な場になる曲なんですよ。

真矢:面白かったのは去年12月にさいたまスーパーアリーナで懐かしい曲をいっぱい演奏したわけですよ。

──メジャー1stアルバム『IMAGE』と2ndアルバム『EDEN』の再現ライヴ(<LUNA SEA LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary- IMAGE or REAL>2018年12月22日(土)@さいたまスーパーアリーナ/<LUNA SEA LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary- SEARCH FOR MY EDEN>2018年12月23日(日)@さいたまスーパーアリーナ)ですね。

真矢:そう。久しぶりのやり慣れていない曲はものすごく神経研ぎ澄ませて叩くの。でも「TIME IS DEAD」みたいに考えなくても叩ける曲に限って間違えたり(笑)。「あれ? 何回だっけ?」って。

SUGIZO:真矢、あやうく曲が止まりそうになったよね。

真矢:あれはものすごくビビッた(笑)。

SUGIZO:うまくリカバリーしたけどね。

真矢:ホントにビックリだったよ。
■我々、ずっと根が小僧なんですよ──SUGIZO
■30年の結論はそういうこと(笑)──真矢

──ははは。そういうものなんですね。あの2日間のライヴで過去のLUNA SEAと最新アルバム『LUV』までが1本の線で繋がっているって改めて感じたんですよね。過去はネガティヴな表現の仕方をしている曲もあり、今の表現はもっと強くポジティヴになっているけれど、広い意味での愛を歌ってきたバンドだし、根幹は何も変わっていないんだなって。再現ライヴをやってみてどんなことを感じました?

真矢:メンバーもそうだし、スタッフもそうだし、LUNA SEAの核はホントに変わってないんですよ。ただ個々ののりしろが増えた感じ。以前は音の面でもSUGIZOと分かり合おうと思ったら、人間的にも近づかないとならなかったわけ。「このフレーズ、どう思う?」っていちいち相談したりとか。でも、今は原曲がSUGIZOだったら、“この曲を真矢が叩くなら?”って俺の発想で作ってくれる。それが異常にカッコいい。自分で言うのもおかしいけど、俺っぽいドラムが入ってるわけ。
SUGIZO:悪いけど、真矢っぽくミディドラム打ち込んだら世界一だと思うよ(笑)。その理由は簡単で、真矢のドラムで30年、ずっと音楽をやってるからなんだよ。俺の中のドラムパターンだったり、ドラムのカッコよさの基盤が真矢なの。だから、こう叩いたら気持ちいいだろうなっていうのがわかる。もっと言うとフィルのあとのスネア一発目は後ろだっていう。

真矢:おー、よくわかるね。

──さっきの“LUNA SEAっぽいドラム”の答えは、SUGIZOくんがLUNA SEAのデモで作る打ち込みの中にある(笑)。

SUGIZO:そうそう(笑)。

──核が変わっていないという真矢くんに対して、SUGIZOくんは?

SUGIZO:でも、みんなそうなんじゃない? “三つ子の魂百まで”ですよ。核は変わりようがない。

真矢:そりゃそうだよね。子供の頃、何かに夢中になったり、熱中してた頃とあんまり変わってないもんね。ただ着る服が変わっただけ。

SUGIZO:子供の頃から資質は変わってないと思うよ。真矢が物事に集中したらこうなるとか、どこで飽きやすいとかわかるし。俺もそう。音楽作っているときとプラモデル作ってたときと変わってない。追求度とか。

真矢:SUGIZOはプラモデルをめっちゃ精密に作るわけですよ。昔、SUGIZOの家にドラムセットのプラモデルがあったから、「欲しい」と言って貰ったんだけど、俺がその後を引き継いで汚く作っちゃったら、SUGIZOがめっちゃ怒って(笑)。

SUGIZO:そうそう、「大事にしてたのに!」って(笑)。途中で投げ出すし。

真矢:あのプラモデル、難しかったね(笑)。
SUGIZO:俺、小学校低学年の頃から、美術の時間に描いた絵が納得いかなかったら、放課後、暗くなるまで教室で描いてたからね。それと、今、スタジオで朝まで作業してるのとなんら変わらない。真矢もドラムセットの鬼だもんね。ずーっと納得するまでやってる。

真矢:新しい楽器をイジッたり使うときは、未だにワクワクするなー。

──真矢くんとSUGIZOくんは、似た者同士でもあるっていうことですね。

真矢:最近はドラムセットに座っただけで、スネアの位置がいつもと1ミリでも違っていたらわかるようになってきた。

SUGIZO:わかる。俺はギターテックのエフェクターの踏み替えが10ミリsec早いか遅いかで怒るもん。1ミリsecって1000分の1秒ぐらいの話だよ。

真矢:そうそう、そういうこと。わかるなー。

SUGIZO:だから我々、ずっと根が小僧なんですよ。好きなことに対する情熱って小僧だもんね。

真矢:そう! 30年の結論はそういうことですね(笑)。

取材・文◎山本弘子
撮影◎田中和子 (CAPS)


■ダブルAサイドシングル「宇宙の詩 ~Higher and Higher~ / 悲壮美」

2019年5月29日(水)発売

▲初回限定盤A


【初回限定盤A (CD)】UPCH-7493 ¥1,389+税
※安彦良和“機動戦士ガンダム THE ORIGIN”イラストジャケット仕様

▲初回限定盤B


【初回限定盤B (CD)】UPCH-7494 ¥1,389+税
※安彦良和“LUNA SEA”イラストジャケット仕様

▲通常盤


【通常盤 (CD)】UPCH-5961 ¥1,389+税

【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤A】D2CJ-6282 ¥7,000+税
CD:安彦良和“機動戦士ガンダム THE ORIGIN”イラストジャケットLPサイズ仕様
DVD:「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」Music Video”機動戦士ガンダム THE ORIGIN“Ver.
Tシャツ:安彦良和“機動戦士ガンダム THE ORIGIN”イラスト絵柄 ※フリーサイズ
https://store.universal-music.co.jp/product/d2cj6282/
【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤B】D2CJ-6283 ¥6,000+税
CD:安彦良和“LUNA SEA”イラストジャケットLPサイズ仕様
Tシャツ:安彦良和“LUNA SEA”イラスト絵柄 ※フリーサイズ
https://store.universal-music.co.jp/product/d2cj6283/

▲UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤A 付属Tシャツ


▲UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤B 付属Tシャツ


※Tシャツサイズ:着丈 72cm / 身幅 52cm / 肩幅 45cm / 袖丈 20cm
※予約期間:4月15日(月)18:00~ ※予定数に達し次第終了

▼CD収録曲 ※全形態共通
1. 宇宙の詩 ~Higher and Higher~ (そらのうた)
2. 悲壮美 (ひそうび)

【ライヴ会場限定特典】
<LUNA SEA The 30th Anniversary FREE LIVE -DEAR SLAVES-><LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days- 日本武道館2days>会場にて、対象商品をお買い上げの方に先着で“会場限定特典”をプレゼント。
・特典内容:「悲壮美」Music Video収録DVD
・対象商品:5/29発売 ダブルAサイド・ニューシングル「宇宙の詩 〜Higher and Higher〜/悲壮美」“初回限定盤A” “初回限定盤B” “通常盤” 各1,500円(税込)
※5/29(水)、5/31(金)および6/1(土)、対象商品お買い上げ1枚につき、先着で特典DVDを1枚プレゼントいたします
※特典DVD、商品ともに先着となります。両日とも無くなり次第終了となりますので予めご了承下さい
※CD/DVD販売ブースはグッズ販売時間と同時刻開始を予定しております

▼配信情報
LUNA SEA「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」ダウンロード&サブスクリプション配信中
https://umj.lnk.to/S92QZ 


■TVシリーズ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』

放送局:NHK総合テレビ
放送開始:4月29日〜 ※毎週月曜午前0:35〜(日曜深夜24:35~)
※関西地方は毎週月曜午前1:09〜
▼第一弾オープニングテーマ
「宇宙の詩 〜Higher and Higher〜」
▼第二弾オープニングテーマ
「悲壮美」
http://gundam-the-origin.net/

■<LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days->

2019年5月31日(金) 東京・日本武道館
OPEN17:30 / STAR18:30
2019年6月01日(土) 東京・日本武道館
OPEN16:00 / START17:00
▼チケット
全席指定 ¥9,800(税込)
2階後方立見 ¥9,800(税込・整理番号付)
※3歳以上有料 ※座席はステージ横、後方を含みます
一般発売日:2019年4月20日(土)
(問)キョードー東京 0570-550-799


■<LUNA SEA The 30th Anniversary FREE LIVE -DEAR SLAVES->

2019年5月29日(水) Zepp Tokyo
※SLAVE会員限定無料LIVE
https://www.lunasea-slave.jp


■WOWOW大特集『LUNA SEA結成30周年WOWOWスペシャル』

▼『生中継!LUNA SEA The 30th Anniversary SLAVE限定GIG』
5月29日(水)午後7:00~ (無料放送)
▼『生中継!LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days-』
6月01日(土)午後5:00~


■ライブ・ビューイング『LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days- LIVE VIEWING』

2019年6月1日(土) 17:00開演
会場:日本全国、台湾、韓国の映画館
※開場時間は映画館によって異なります。
※大阪府では16歳未満の方で保護者同伴でない場合は、終映が19:00を過ぎる可能性があるため、ご入場いただけません。予めご了承ください。
※台湾および韓国の情報:https://liveviewing.jp/lunasea2019-eng/
▼チケット
4,000円(全席指定/税込) ※LV限定グッズ付き
※3歳以上有料/3歳未満で座席が必要な場合は有料となります
【一般発売 (先着)】
5月18日(土)18:00~5月31日(金)10:00
https://eplus.jp/ls30th-lv/
(問)イープラス 0570-07-5050


■デビュー以降のオリジナルアルバム全8作品をアナログレコード化

2019年5月29日(水)全作品同時リリース
『IMAGE』
UPJH-9064/5 ¥4,630+税
※1992年作品 / 45回転 / 2枚組
『EDEN』
UPJH-9066/7 ¥4,630+税
※1993年作品 / 45回転 / 2枚組
『MOTHER』
UPJH-9068/9 ¥4,630+税
※1994年作品 / 45回転 / 2枚組
『STYLE』
UPJH-9070/1 ¥4,630+税
※1996年作品 / 33回転 / 2枚組
『SHINE』
UPJH-9072/3 ¥4,630+税
※1998年作品 / 33回転 / 2枚組
『LUNACY』
UPJH-9074/5 ¥4,630+税
※2000年作品 / 33回転 / 2枚組
『A WILL』
UPJH-9076/7 ¥4,630+税
※2013年作品 / 45回転 / 2枚組
『LUV』
UPJH-9078/9 ¥4,630+税
※2017年作品 / 33回転 / 2枚組

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