「ルパンは結果格好良い、みたいな美
学。そこにはすごく憧れる」宮野真守
インタビュー 劇場アニメ『LUPIN T
HE IIIRD 峰不二子の嘘』

5月31日より劇場公開されるオリジナル劇場アニメ『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』に峰不二子の敵役ビンカムとして出演する宮野真守。本作は小池健監督が描くハードで危険なルパンが展開される。その中で宮野真守がどのように演じるのか、そして『ルパン三世』という作品への想いなどを訊いてきた。
――まず最初に今回この作品の出演が決まった時の率直なご感想から伺えればと。
『ルパン三世』シリーズは、やはり誰もが知っている作品ですし、歴史があり、今の時代までずっと名作として愛されていますよね。僕も小さい頃、再放送のTVシリーズを観ていました。僕の身近な声優仲間たちもシリーズに参加するようになった時に話を聞いていて、もし自分も携われる機会が来たらいいなとずっと思っていました。なので、このような形で出演できたというのは、とても光栄なことです。
――演じられたビンカムというキャラクターについてお聞かせください。
ゲストキャラクターなので、どういう存在かのネタばらしはできないので、非常に難しいところではあるんですけど(笑)。 不二子が主体となっていく今回の物語の中で、刺客として、殺し屋として立ちはだかるという事はいちばん大きく言えるところです。ビンカムはミステリアスで人間離れしているので、彼が一体どういう存在なのかはキーポイントになってきます。彼が不二子に影響されていく様は非常に大事な流れになってくるので、楽しみにしていてほしいです。
――『ルパン三世』の中でどのキャラがお気に入りですか?
やっぱりルパンがいちばん好きですね。
――憧れる部分とかはあるんでしょうか?
一言でいうと、「結果格好良い」みたいな美学。そこにはすごく憧れますね。今回の「LUPIN THE IIIRD」シリーズも、格好良いんですよ。小池(健)監督の作る『ルパン』の世界観はハードボイルドの空気が色濃く出ている、渋い『ルパン』だということを、事前に監督からもご説明していただき、この作品が持つ世界観は、すごく本質を捉えていて面白いな、と思いました。そして、僕の演じるビンカムはこのシリーズの歴代敵役の中ではイケメンのほうです、とも言われました(笑)。
――監督からイケメンの役だよと、ある意味プレッシャーのような気もしますが。
それはなんて言うか、プレッシャーというよりも、どちらかというと場をなごませてくれたという感じのノリでしたね(笑)。
自然と自分を受け入れてくれた懐の深さ
――このシリーズに参加することが決まって、現場では共演者の方とはどんな感じでしたか。
決まった時に沢城(みゆき)さんからはいちばんに連絡が来ましたし、栗田(貫一)さんにもお会いできて、感激しました。現場は家族のようでしたね。自然に受け入れていただいた空気感と言いますか、懐の広さ深さみたいなものがこのシリーズにはあるのだなと思いました。
――沢城さんとは共演も多いですし、盟友という感じですもんね。
今回のサブタイトル「峰不二子の嘘」という言葉はとてもキーポイントになってくるんですが、不二子って本当はこういう人なのかもしれない、でもそれすらも嘘なのかも?と感じてもらえるような内容になっていて。その精神性については沢城さんとけっこう話をしました。雑談混じりの中で今回の不二子の想いみたいなところをよく話していましたね。
――その峰不二子とビンカムの対決というところが見どころのひとつだとは思います。ルパン一味の中では戦闘シーンが少ない印象の不二子と戦うというのはいかがでしたか。
「あれ? 不二子、強いじゃん!」とみなさん驚かれると思います(笑)。ビンカムはフィジカル的にもけっこう強くて、敵を爪で引き裂いたりするんです。そんなビンカムに対して、不二子がかなりの勢いで攻めてくるので、ああ不二子こんなに強いんだ、と感じるのではないでしょうか。
――今までのシリーズでも戦ってますが、かなり今回の不二子はアクションしてますね。
肉体派なアクションもあるので、楽しんでいただければと思います。
――そんなシーンもあるように、このシリーズはかなりハードボイルドな展開を見せています。宮野さんはさまざまな作品に参加されていますが、その中でも珍しいほどに硬質な作品と役柄という印象があります。参加されてみて、この作品のアニメ業界の中での立ち位置というのをどう思われますか。
僕はありがたいことに大先輩の方々と一緒にお芝居することができたり、人間心理の深い部分まで踏み込む作品をやらせて頂くこともあります。そうしたものを作り上げた時って、命のきらめきや生きる意味みたいなものが作品に充満するので、役者としては作品を通して存在している意味を知れる瞬間があることがすごく楽しいな、と思います。
――主演された劇団☆新感線の舞台『髑髏城の七人 season月』もまさに生きる意味を問うような作品でしたね。
まさに命をかけた作品ですからね、ハードな舞台だったので僕も全身全霊をかけて挑みました(笑)。
撮影:大塚正明
自分の芝居の可能性を広げていきたい
――声優さんだけでなく、舞台出演も増えている印象があります。そこでの経験が声優での表現にもフィードバックされている部分もあるんでしょうか?
もちろんすごくあります。簡単に言うと、すべての活動が影響し合っています。たとえで言ってしまうと、寝っ転がっている時の声を出す時でも、マイクの前では寝っ転がるわけにはいかないじゃないですか(笑)。でも実際に寝転がってみないと、こういう声になるんだって分からないし、寝転がる声を想像して作ろうとしてしまうと、お芝居という嘘ではなく、本当にただの嘘になってしまう気がするんです。
――なるほど、芝居としての嘘ではなく、ただの嘘になってしまう。
嘘はつきたくないので、僕は様々なアプローチに挑戦したいんです。それは役者として生きていくために必要な材料で、色々な経験を蓄えていかないと、イコール声優のお仕事にも向かっていけないんじゃないかなと思うんです。身体を使わないでやるお芝居としての可能性というものも広げていきたいなと思います。
――活動も広がって露出も増えているのはその一環、経験としての側面もある?
一環という言い方が正しいのかは分からないけど、僕はただ単にすべての仕事が好きです。テレビに出ることも、舞台に出ることも、声優として演じることも、イベントをやることも歌うことも。ジャンルレスにやらせていただいていることに僕自身、違和感がないから全部フィードバックできるんだと思います。歌の仕事を声の仕事にフィードバックすることも実はできるんです。歌を歌った時にこんな声が出た、という単純なテクニックも、声優の仕事の時、それが台詞に活きたりもする。だからすべてが相乗効果で自分自身が豊かになっていくのが楽しいですし、今後もそうありたいなと思います。
――今回もその意味でフィードバックができる仕事だったと。
できています、そして、面白かった! 本当にこの演じさせていただいたキャラクターの精神性が面白かったです。沢城さんとご一緒できたというのもまた非常に大きくて、彼女が表現する世界観というのが非常に深いので。たくさん雑談も話したと言いましたけど、話さなくても伝わってくるもの、伝えられるもの、というのが彼女とのお芝居にはあるので、それを間近で今回感じられたのもまた楽しかったことのひとつです。
――本作でいうとルパンと次元も出てきますが、どちらかというと軸にあるのはビンカムと不二子という作品の作りの中で、宮野さんと沢城さんとの絡みも濃厚でした。言葉にならないところで精神性が繋がっている表現といいますか。なんかとても演劇的に芝居されている印象を受けたんです。
そうですね、台本上では文字で表記されているものも、お芝居的に現場で沢城さんと実際に噛み合った時にどういうふうな表現になるかは全然分からない。だらかこそ、それを単純に楽しんでいたな、と思います。
――最後に改めて『ルパン三世』ファン、『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』を心待ちにしているファンへ一言いただければと思います。
僕自身がルパンシリーズに携われるということが本当に嬉しかったです。また、その中でとても象徴的な役をやらせていただいたので、非常に満足していますし嬉しかったです。その嬉しい気持ちをしっかりお芝居に込めて、ゲストではあるけれども、ビンカムの精神性にすごく深くダイブして演じたので、それを感じていただければいいなと思います。
撮影:大塚正明
インタビュー・文:加東岳史 撮影:大塚正明

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