【Fuki インタビュー】
全てが自分の思い描く
通りのものになった
“ヘヴィメタル・アニソンシンガー”のFukiの2ndソロアルバム『Million Scarlets』が完成した。TVアニメ『W'z《ウィズ》』のエンディングテーマ「神様はきっと」をはじめ、メタルからJ-POPまでバラエティーに富んだ楽曲が収録されていて、そのタイトルが意味するように千紫万紅の歌声が詰まっている。
歌声のキャラクターありきで
楽曲を書いてもらった
今作『Million Scarlets』は“ヘヴィメタル・アニソンシンガー”というキャッチフレーズ通りの作品になりましたね。前作のFuki Commune名義でのアルバム『Welcome!』もそうだったのですが、それ以上に自由度の高い作品になったというか。
大袈裟に振り幅を広げました(笑)。メタルはUnlucky Morpheus(以下、あんきも)でやっているので、ソロでやる意味はないと思っているんですけど、共同プロデューサーのMaoくんが書くメタルはカッコ良い曲もあるので、それはやろうと。特に“こういう歌声はあんきもでもやらせてもらえないだろう”というものを。なので、今回は曲調よりも“こういう歌声で歌える曲が欲しい”って歌声のキャラクターありきで、あれこれMaoくんと相談しました。例えば「Zinger♡Ringer♡Gang♡Love」は“かわいい声で歌ってみたい”とリクエストして書いてもらって。
そんなMaoくんの他、いろいろな作家さんに曲提供してもらっているのが今作の大きな特徴なのですが、Imperial Circus Dead DecadenceのShuheiさんや安保一生さんは分かるんですけど、たなかひろかずさんとTom-H@ckさんは以外な人選でした。
たなかさんとTom-H@ckさんに関しては個人的に親交のある方ではなかったので、レーベルからの提案だったんですよ。もちろんおふたりのことは存じ上げていたので、“書いていただけるのなら、ぜひお願いしたいです!”って実現しました。
そもそもいろいろな方に曲提供してもらった理由というのは?
単純にMaoくんの曲ばかり10曲揃えるよりは、バリエーションとして他の方に書いてもらう曲があってもいいんじゃないかと。あとは、たなかさんやTom-H@ckさんというアニソンの世界で有名な作家さんの曲が入ることで、“アニソンシンガー・Fuki”としての側面が引き締まるかなって。
作詞では絵恋ちゃんが参加しているのですが、こちらに関しては?
何年か前にあんきもで対バンしたことがあって、それで知り合ったアイドルの子なんですけど、あんきものメンバーが曲提供したり、バックバンドを務めたりしてたんです。私も絵恋ちゃんと仲良くなったし。絵恋ちゃんって面白い歌詞を書くんで、かわいい曲が欲しいということを言っていた時から、まだ曲もできていない段階で絵恋ちゃんに頼みたいと思ってたんです。で、実際に書いてもらったら、それがすごく良かったから、さらにもう1曲お願いして。私は基本的には自分で歌うものは自分で歌詞を書きたいタイプなんですけど、絵恋ちゃんが狙い通りの歌詞を書いてくれたので、すごくいい人選をしたと思っています。
絵恋ちゃんが2曲分の歌詞を書くというところで、Fukiさん自身は今作ではどんな歌詞を書こうと思っていました?
コンセプトアルバムというわけでもないので、その曲が一番引き立つものという、いつもと変わらないテーマのもと、曲ごとに書いていきました。でも、「君の居ない世界」と「Habitable Planet」は編曲がDual Alter Worldということもあって、共通した世界観になっています。
確かに、その2曲はSF的なストーリーになっていますよね。
SF好きなんで(笑)。どちらもMaoくんの曲なんですけど、編曲をDual Alter Worldがしたことで、ちょっとピコピコとした宇宙っぽい雰囲気のある曲になったんですよ。Dual Alter World ってBLOOD STAIN CHILDのRYUさんのユニットなんで、BLOOD STAIN CHILDっぽい電子音が入ったサウンドが特徴的だったから、“これは宇宙だな”って思って歌詞を書いていきました。
あと、死生観みたいなものも感じたのですが。
SF好きってことと同様に、寿命の差がある者同士の恋愛が好きなんですよ。
バンパイアと人間みたいな?
まさにそうです! バンパイアと人間の恋愛というのは、あんきもでもよくテーマにしていますね。人が死ぬ歌詞は嫌い…犬が死ぬ映画くらい嫌いなんですけど(笑)、寿命の差がある者同士の恋愛に心が引かれるんです。命と引き換えに何かをするとかってメタルの歌詞に多いじゃないですか(笑)。大袈裟なテーマが好きなんで、そういう部分が滲み出たんだと思います。
「君の居ない世界」はまさに!
「君の居ない世界」の主人公はロボットなので、人間たちを宇宙に逃がす代わりに、自分ひとりが地球に残って敵と戦うっていう。何かと引き換えに何かを得るというのは、歌詞としてもドラマチックにしやすいんで、非常に書きがちなテーマですね(笑)。