DJ HACKs Club Interview_ujita_b

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昭和~平成~令和とクラブを見てきた
レジェンドDJ 宇治田みのる にインタ
ビュー

日本のナイトクラブシーンで活躍するキーパーソンにフォーカスするインタビュー企画「DJ HACKs NIGHTCLUB INTERVIEW」。DJやパフォーマーをはじめとする表で活躍してる出役の人から裏方として活躍しているプロデューサーや演出家まで、ナイトクラブ (以下:クラブ) に大きく貢献している人が今何を考え、何に取り組んでいるのかを掘り下げて聞いていきます。

今回は、昭和~平成~令和と3つの時代でクラブを見てきたレジェンドDJで、サーファー、芸能タレントとして幅広く活動されてきた宇治田みのる (Minoru Ujita)さんにインタビューしてみました。
僕の中で宇治田みのるさんは、週刊誌に載っちゃうくらい影響力のある唯一無二の存在であるレジェンドDJ、というイメージなのですが、DJなんだけどDJの枠を飛び越えて、サーファーでもあり、芸能タレントでもある。現在は全国のクラブやイベントにDJ出演したり、北海道・札幌のクラブ「KING XMHU」をプロデュースされたりと、幅広い活動をされています。Wikipediaで調べるとテレビ・ラジオ・映画など華々しい経歴が載ってますのでこちらもチェックしてみるとおもしろいかもしれません。
そんな幅広く活動されている宇治田みのるさんが見る「今のクラブシーンってどうなの?」、「これからのクラブシーンはどうなっていく?」というところを中心に伺っていきたいと思います!
(前編・後編の2つに分けて公開予定)
昭和~平成~令和、クラブの歴史を知り尽くす現役DJにインタビュー
SHOTA「宇治田みのるさん、よろしくお願い致します!まずは読者の方に宇治田みのるさんがどういう方なのか知ってほしいと思いますので、自己紹介をお願いします!」
サーファーでもあり、芸能タレントでもあるDJ
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とんねるずの木梨憲武さんと共演する宇治田みのるさん
宇治田「僕は基本DJとして活動しているんだけど、当時テレビ業界にはトークができて、サーファーで、DJをやってる人がいなかったんですよね。それでたまたまテレビ番組出演のオファーをもらったのがきっかけで、芸能タレントとしても活動していました。最初に出たテレビ番組は生放送番組でした。片岡鶴太郎さんが司会を務めるバラエティ番組で、ひょっとしたらDJ HACKsの読者の皆さんはまだ生まれてないんじゃないかってくらい昔だね。この番組で週に1回「スクラッチ天気予報」っていうコーナーがあって、スタジオに組まれたDJブースでビートを流して、それに合わせてスクラッチすると片岡鶴太郎さんがラッパーみたいな感じで天気を予報するっていう内容で…(笑)」
SHOTA「すごくユニークな発想のコーナーですね(笑)」
宇治田「その当時はDJが今の時代ほど世間的に市民権を得られてなくて、“DJやっている人は遊び人でロクでもないやつ”みたいなイメージだったんだよね。しかも僕がテレビに出始めた頃、DJには楽屋も用意されなくて、そういう扱いに悔しい思いもたくさんしてきました。だからなんとかDJが市民権を得られるように、世間の人たちに認めてもらえるようにならないかなと思って頑張ってきたんです。それから頑張りが実って、ちゃんとレギュラーとしてテレビ番組に出るようになったのは、まさかの朝の報道番組だったんです。」
SHOTA「え、DJが朝の報道番組に出る時代があったんですか!?」
宇治田「朝の報道番組でレギュラーを持ったのは過去には私しかいないと思います(笑) TBSで『あなたにオンタイム』っていう朝番組があって(後のオンタイム)、秋沢淳子アナウンサーや、後にイチロー選手の奥様になる福島弓子アナウンサーと共演させて頂きました。お父さんお母さんと子供の関係が気薄になって家族間の会話が少なくなっているという問題がありますよね。この番組を観ているお父さんやお母さんたちに、今の若い人たちが何をしているのか、子どもたちが何に興味を持っているのか、カルチャーや音楽やファションなどを伝えることで親子の会話を増やすきっかけになれればな、という思いで10分間のコーナーを担当していました。木曜日はテレビ東京のニュース番組「NEWSモーニングJAM」で、松木安太郎さんと三井ゆりさんと私のスリーMCでレギュラーをやらせて頂き、NEWSはもちろんのこと、ヒップホップとか、トランスとか、ストリートカルチャーとか、当時流行っていた音楽の話をしてました。そんなことをしているうちに業界の人から目をつけてもらって、ドラマにも出るようになったんです。テレビドラマ『若者のすべて』にSMAPの木村拓哉さんや鈴木杏樹さんといった超有名俳優さんたちが並ぶ中に自分の名前もあって、スタジオには他の俳優さんたちと同じ広さの楽屋が僕に用意されていて、叙々苑の最高級の幕の内弁当まで用意されていて…(笑) 「DJもここまで来たぜ!!」って、楽屋でガッツポーズをしたのを覚えています(笑) それからTOKIOの長瀬智也さんが主演を務めた『白線流し』や、日テレの深夜ドラマでは遠野凪子さんと兄弟の役で主演も務めさせていただきました。そしてサーフィンの番組、とんねるずの番組の企画など色々な番組に出演してきました。」
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宇治田みのるさんがテレビ番組『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』にて、サーフィンをテーマとしたコーナー『サーフノリダーズ』に出演していた頃。
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minoruujitaさん(@djminoru.u)がシェアした投稿 – 2018年 6月月27日午前12時25分PDT


サーフィン中心のテレビ企画がゴールデンタイムで流れるのは初めてだったそうです。
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テレビ朝日の所ジョージさんが司会を務めるバラエティ番組「所さんのこれアリなんじゃないの!?」 に出演時の宇治田みのるさん↓
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当時17歳の安室奈美恵さんにDJを教えたことも!?
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ナインティナインの岡村隆史さんがまさかの!?
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DJを始めたきっかけは閉店するクラブで偶然見た感動のエピソード
SHOTA「宇治田みのるさんがDJを始めたきっかけって何だったんですか?」
宇治田「小さい頃に両親が離婚して母が1人で水商売で働いて育ててくれたので、夜なんかはテレビやラジオを流して寂しさを紛らわしてたんです。小学4年生の時、テレビをつけたらドン・コーネリアスという人がMCをしているアメリカの人気音楽番組「ソウル・トレイン」をたまたま見たんですが、スタジオで音楽が流れててみんなで踊ってて、ゲストアーティストがライブをして、みんな楽しそうにしてたんですよね。その時「なんだこれ!」って衝撃を受けてから洋楽に目覚めていきました。
宇治田「その数年後、僕が中学3年生の時に映画「サタデーナイトフィーバー」が公開されて世界中が大ディスコブームになりました。僕も銀座のみゆき座まで観に行ったんですが、オープニングでBee Geesの『Stayin’ Alive』が流れ、主演のジョン・トラボルタがスクリーンに映し出された瞬間、会場のお客さんが総立ちになって歓声をあげたんです。それくらいここ日本でもディスコは盛り上がっていたんですね。映画を観た後、すぐに僕は母に相談しました。「ディスコに行ってみたい」って。中学3年生ですから当然ディスコには入れませんが、水商売をしていた母親の知り合いにディスコの店長さんがいたので、“母親同伴で20時までなら”という条件つきで母と地元・吉祥寺のディスコに行きました。」
SHOTA「すごくラッキーなケースですね!EDMアーティストのHardwell (ハードウェル) も親同伴で10代の頃からクラブでDJしていたって話は有名ですよね。」
宇治田「そのディスコでは音楽が途切れることなく流れていました。曲と曲が繋がっていたんです。誰がどうやってこの音楽を繋げて流しているんだろうと思い店内を見回すと、小さな部屋の中で何やら機材をいじってレコードをかけている人がいて… その時に初めてDJという存在を知ったんです。その数年後、高校3年生の時に六本木に『レオパードキャット』というサーファー界隈の人たちがたくさん集まる人気ディスコがあって、そこに先輩に連れて行ってもらったのがDJを志すきっかけとなりました。その日は『レオパードキャット』が閉店してしまう最後の営業日で、その時DJが最後に流した曲がAverage White Band の『Let’s Go Round Again』だったんです。」
宇治田「この曲をDJがかけたのには曲のタイトルからして“もう一回みんなで踊ろうよ!”みたいな意味が込められている気がして… けどその店はもうその日で閉店するわけだから今後みんなで踊ることはできないじゃないですか。お客さんもその意味をわかっていたのか、曲に合わせてお決まりのステップを踏み、男性も女性も泣きながら踊っていたのが衝撃的で。この店にはひょっとしたらお金持ちの人がいるかもしれないし、貧しい人がいるかもしれない。去年父親を亡くした人がいるかもしれないし、昨日彼氏と別れたばかりの人がいるかもしれない。幸せな人もそうじゃない人も。たとえ人種や生まれ育った環境がバラバラでも、エントランス代を払ってクラブの中に入ればそんなこと関係なしで、みんなの気持ちが1つになる空間を作るDJってスゴイなって思って。それで“よし!DJになろう!”って決めました。」
以前はクラブにたくさんの芸能人が遊びに来てた
SHOTA「僕は昔のクラブを知らない世代なんですが、以前クラブは芸能タレントやモデルの人たちが普通に遊びに行く場所だったという話をよく先輩から聞きます。実際どのくらい豪華だったんですか?」
宇治田「そうですね、今のSNSってものが昔はなかった時代なので普通に芸能人がクラブにいましたね。スマホで写真を撮られることもないし、今誰が何をしてるかなんてわからなかったから、割と何でもアリでしたね(笑) 僕が経営していたクラブでは僕のDJ中に横で人気アイドルがマイクを持ってMCしてたり、サッカー選手が遊びに来てたり、大御所俳優が奥の方で飲んでたり… みたいなことが日常的にありました。僕の30歳の誕生日パーティーは東京・芝浦にあったGOLDってクラブでやってもらったんですが、誕生日なのにチッケトぴあとかで前売り券が売られていたりして(笑) お客さんも3000人くらい来てくれて、ステージには飯島愛ちゃん、Bro.KORNさん、木村拓哉くん、江口洋介くん、島崎和歌子ちゃん、勝俣州和くん、赤坂泰彦さん、ZOOのみんな、SEXY MATESやギリギリガールズなどのセクシーアイドルグループからお笑い芸人、有名AV女優まで(苦笑) みんなステージに上がってもSNSで拡散されない良い時代でした。そういう人たちがクラブの“ゲスト”だったんです。今のクラブにもゲスト制度っていうのがありますよね?当時ゲストというのは芸能人のためにあるものであって、一般の人はエントランス代を払って来るのが当たり前でした。今では一般の人でもゲストで入ることもあるみたいですが…。」
現代のクラブの課題「人が集まるなら何でもアリ!?」
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minoruujitaさん(@djminoru.u)がシェアした投稿 – 2019年 4月月28日午前5時34分PDT


SHOTA「僕もDJなのでゲスト制度に関してはいろいろ思うことがありますが、良いところもあり、悪いところもあるのでなかなか難しいテーマですよね。」
宇治田「音楽が好きでクラブを作る、という経営者が減ってきたのがおそらく分岐点ですね。ディスコブームをきっかけに、ついこの前まで別の商売をやってた経営者たちが「クラブを出したら儲かりそうだ」って理由でクラブを経営するようになって、クラブを商業的に経営する人たちが増えてきたんです。それからクラブのクオリティよりも、“人をとにかく入れよう”という考え方を優先するようになって。当然安いほうが人が集まるので、ゲスト制度のハードルを下げるようになってしまいました。クラブに何百人、何千人を動員したっていうのも大事だけど、もっと大事なのはどれだけ質の高い空間を提供できているかだと思うんですよね。」
SHOTA「今夜どこのクラブに遊びに行こうかなって決めるときに、“とりあえず人がいっぱい集まってるところに行くっしょ”みたいな理由でクラブを選ぶ人が今は一番多いんじゃないですかね。だからクラブは他店よりも人をいっぱい入れなきゃといって躍起になる。DJの友達は安く入れるようにしたり。当然のことっちゃ同然のことなんですけど、そこでエントランスの敷居を下げていると集まる人の質、イベントの質も下がってしまう。クラブにおしゃれな人、きれいな人、かっこいい人が以前より減っているのはそういうところも影響しているのかもしれないですね。」
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minoruujitaさん(@djminoru.u)がシェアした投稿 – 2019年 2月月14日午前2時36分PST


↑雑誌のインタビューに答える宇治田みのるさん
宇治田「もちろん昔もインビテーション (招待券) を配ったりすることはありましたよ。でもむやみに配るんじゃなくて、新しいお店がオープンする時だったり、会員の特典だったり、特別な理由がある時だけでした。本来は正規の入場料金を払うのが当たり前のところをゲスト制度で安く入れるようになって、やがて安く入るのが当たり前になったら今度はそれだけじゃ物足りなくなって、気づけば女性無料になったりさらにはフリードリンクみたいなサービスがついて、じゃあ次はどんなサービスをすればいいんだ… っていう。そういうお店はクラブシーンの未来を考えてなくて、ただ自分たちの首を締めてるだけだと思うんです。クラブにお金を払いたがらない人たちも、ラーメン屋さんではちゃんとラーメン代を払ってるはずですよ。ディズニーランド行くに正規の入場料を払っていますよ。じゃあなんでクラブにはちゃんとしたお金を払わないんですか、って。」
SHOTA「全国のクラブに関わる方はもちろんですが、これはクラブに遊びに行く人たちにもこのテーマで一度考えてもらったらおもしろいことになりそうですね。当たり前になってしまうのってこわいことです。」
宇治田「これに関してはもちろん賛否両論あるだろうけど、せっかく良いDJが出るならエントランス代を払ってでも来てもらうべきだし、どこのお店もそうやって良いもの作っていきましょうよ。もちろん日本中にたくさんのクラブがあって、色んな営業形態があるから仕方ないけど、せめてクラブを経営するものとしてのプライドは持ってほしいものです。」
まとめ
いかがでしたでしょうか。宇治田みのるさんのインスタグラムを見ていると有名芸能人との写真がいっぱいあって、今後こんなに影響力あるDJがまた生まれることは果たしてあるのかなと…心配になるくらいすごくてうらやましいんですが、クラブシーンに関しての問題提起もか・な・り、鋭いです。前編では触りの部分くらいでしたが、後編ではたくさんクラブについて語っていただくのでぜひ次回もお楽しみに!

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