「Q.E.D.」でUVERworldが証明完了したものは、何か――?

「Q.E.D.」でUVERworldが証明完了したものは、何か――?

「Q.E.D.」でUVERworldが証明完了し
たものは、何か――?

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「今の俺たちを見て、輝いてるなあ、羨ましい、と思ったら、これも思い出せ。俺たちも昔、あなたたちと同じ場所にいた。――証明完了、Q.E.D」
UVERworldのライブ――、『Q.E.D』前のMCでボーカルのTAKUYA∞は言う。
毎年アリーナツアーを敢行し、その動員数は年を追うごとに増え、ときにはカリスマライブバンドとまで呼ばれるようになったUVERworld。
成功を手にしているようにみえる彼らが言うのです。
ライブに来ている人たちと同じ場所に、俺たちもいたことがあるのだと――。
夢を追う姿を見せ続けながら、叶えたい夢を追え、希望はあると歌った、UVERworldの『Q.E.D』。
サビの歌詞を追っていくと夢を現実にしてきたUVERworldの姿が見えてくるのです。

かつて立っていた場所は、あなたたちと同じ場所
『Q.E.D』は、2017年にリリースされた9枚目のアルバム「TYCOON」に収められています。
1曲目のインスト『TYCOON』からたっぷりと曲間をとって始まる『Q.E.D』。
きらきらとした電子音と同時に歌が始まるのです。
『Q.E.D』の核となる言葉が並び、何度も繰り返されるフレーズです。
――例えば。
プロの野球選手になりたい人にとって、テレビの画面越しに見る春や夏の高校野球や東京ドームで見るプロ野球の試合は眩しく映るでしょう。
漫画家を志す人にとっては、雑誌で連載を持ち、コミックスが売れている漫画家が輝いて見えるでしょう。
そして、思うのです。
「いつかは自分もああなりたい」と。
UVERworldの歌詞を手掛けているボーカルのTAKUYA∞は10代のころに地元のライブハウスで見たTickのライブで真剣に音楽を志すことを決めたと語っています。
また、デビュー後に見たMr.BIGのライブでは自分たちはまだまだ、負けたと感じたことを話していました。
TickもMr.BIGのステージも遠く、きらきらしていたであろうことを想起させる歌詞です。
自分で描いた道を進んだ、その先で――
言葉が変化している2度目のフレーズです。
憧れの場所に立つためにどうすればよいのか、想像する――、誰かの敷いたレールに乗るのではなくて、自分で道を作る。
それが無謀だと言われようが叶えてみせる。
実際のところ、UVERworldの活動で「無謀だ」と言われたことが推し量れる歌詞です。
自分たちがカッコいいと感じた音楽を演るスタイルをインディーズのころから貫いていたUVERworld。
ジャンルを決めづらいスタイルでのメジャーデビューは難しいと考えられていた時代です。
それでも、カッコいいと感じる音楽を追い続けました。
そして、メジャーデビュー5年目での東京ドーム公演も男子限定ライブ(男祭り)も、無謀だという声が一部ではあがっていたのでしょう。
男祭りに関してはライブチケットが完売にはならない状況もありました。
それでも男祭りを続け、遂には埼玉スーパーアリーナでの男祭りを成功させるまでになったのです。
まさに「自分の道を描き、無謀な夢を叶えた」彼らが言うのです。
――俺はお前と同じ場所に立っていた、と。
夢を叶えた、でも夢はまだある
3度目のフレーズでは、UVERworldの現在の姿や気持ちが垣間見えます。
夢に向かって突き進むとき、そんなの無理じゃないの? 忠告する人は必ずあらわれます。
「普通はこうだよ」
「それは前例がないよ」
個々の常識と価値観からはずれようとするものに対して、人は何かを言いがちです。
失敗をすれば取り返しがつかない、だから安全策を行くほうが無難だと。
それを否定することも肯定することも難しいです。
ときには取り返せないことがあります。
でも、失敗しても起き上がれるチャンスもあるのです。
3度目の歌詞に出てくる「つまらない大人」とは、常識にとらわれ、世間の目を気にする人を指しています。
メジャーデビューから十数年――。
20代だったUVERworldのメンバーは30代となりました。
2度のドーム公演、毎年のアリーナツアー、音楽フェスへの参加と活動の場は広がるばかりです。
幾つもの思い描いた夢を現実にしてきました。
そして、きっぱりと言葉にするのです。
「つまらない大人になったつもりはない、まだまだ無謀な夢を叶えてやる。ここには希望が、まだあるんだ」
ここで初めて現れる、希望、という単語にはっとさせられます。
まだ希望は存在していて、お前にもある――、ここでの「お前」とはリスナーです。
希望はまだ、ある
最後のサビ、4度目の繰り返しで、UVERworld自身を鼓舞するような言葉が並びます。
音楽しかないという気持ちでバンドを続けてきた彼ら。
幾つもの夢を叶えてなお、夢があると言っています。俺達にもまだ希望がある、と――。

音楽を志す人にとって、UVERworldが立つステージは輝いて見えるでしょう。
いつかはあのステージに立ちたいと願う。
それは、10代のTAKUYA∞と同じ姿なのです。
だから、TAKUYA∞は言います。
「俺たちはあなたたちと同じ場所にいた」と。
「Q.E.D.」が指し示すもの

Q.E.D.は『証明終わり』という意味があります。
数学の証明問題の答えの末尾に置かれる単語でもあります。
『Q.E.D.』のサビの歌詞の変化を追っていくと、UVERworldの過去・今、そして未来を追うことができるのです。
ライブの観客と同じ場所にいたTAKUYA∞が、UVERworldが音楽だけに突き進み、描いた理想を無謀と言われつつも現実にしてきた――。
UVERworldの現在の姿が証明完了だと、身を持って示しているのです。
さらに、ここで止まるつもりはない。
UVERworldにはまだ夢があり、希望がある、と語ります。
夢を持ち、ひたすらに、がむしゃらに叶えたいという人にとって、TAKUYA∞の本気の言葉やUVERworldの本気のライブは、強い力となりえるのです。

『Q.E.D.』は最後にこのような言葉で締めくくられます。
これからも理想の場所を目指す彼らが、各々の理想像へ向かおうと誘います。
希望はまだ、あるのです。
UVERworldにも。
わたしたちにも。

TEXT mimori

アーティスト

UtaTen

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