古田新太がひたすら愚痴り倒す!? (
終始爆笑)  劇団☆新感線39興行『
けむりの軍団』インタビュー

頭がキレる軍配士・古田新太とズル賢い謎の浪人・池田成志がバディとなって珍道中? 劇団☆新感線経験者の“準劇団員”と劇団員たちが敵味方入り乱れての大騒動を繰り広げる!!
劇団☆新感線ファンはもちろん、すべての演劇ファン必見の舞台「2019年 劇団☆新感線 39興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎《亞》alternative 『けむりの軍団』」が7月15日(月)から東京・赤坂ACTシアターを皮切りに、福岡、大阪にて上演される。
本作で主役を務めるのは看板役者・古田新太。本作に出演することについてたっぷり話を聴いてきた。
ーーまずは、「この作品に出演を」と言われた時の話から……。
何せ劇団員ですから「お前、この舞台に出てもらうからね」「はい」で終了ですよ。そして「脚本は倉持ね」と聴いた時に「チッ」と思いましたね(笑)。
ーーその舌打ちの理由は?
前回倉持が書いてくれた『乱鶯』(みだれうぐいす)がしんどかったから。「また倉持か~」と思ったんです。倉持作品は台詞が多いし、戦いが多い……もうそんなに喋りたくもないし戦いたくもないんですよ。それで前回倉持に「お前、ふざけんなよ」って言ったら「僕が観たい古田さんを書いたんです」って言ってまして。そう言うのなら頑張るか~みたいな展開になりまして。今回は脚本を書き出す前に倉持だと聞いていたので「お前、分かってんだろうな」って言っておきました(笑)。でも前本(仮台本)が届いたのを見たら……案の定多くて長かったです(笑)。
ーーでは、今の段階で古田さんができる事と言えば「前本のココとココを削れないかな~、」という作業くらい?
ええ。そうやって行きたいですね。でも、ウチのいのうえ(ひでのり)が愚かしい人なので、「(この前本の状態で)一回芝居を作らせてくれ」って言うんですよ。でも一回作ったらそこから削りにくいでしょ! ってオイラは毎回言っているんだけど(笑)。だから4時間とか5時間になるような芝居を作っちゃう。長い作品なんて誰も幸せにならないのに(笑)。
今回は(早乙女)太一や(須賀)健太みたいな動くのが好きな人たちがいっぱいいるので、そういう人たちだけを戦わせておけばいい。オイラは「行け~」って言っているだけでいいから。​
古田新太
ーーでも聴くところによると、いのうえさんは古田さんと太一さんとのチャンバラを観たがっている、という噂が……(笑)
はぁ~(深いため息)って書いておいてください(笑)。この前、某TV局の廊下で太一に偶然会って「よろしくお願いします!」ってすごく張り切って挨拶されて(笑)。「こっちは張り切ってないからね」みたいなやり取りをしてました(笑)。
ーーさて、今回古田さんが演じる主人公の浪人・真中十兵衛(まなかじゅうべえ)役ですが、どのように役作りをしていこうとしていますか?
前回ほど役を決めてはいかないです。今回は現場でみんなと絡んでちょっと軽く振り回されてみたいなと。どうせ池田成志が裏切るわけですから。
ーーその池田さんとのバディものになるときいて今からワクワクが止まりませんが! 倉持さんも今回は「古田さんと池田さんのバディものを書きたい」とおっしゃっていたそうですし。
成志さんがケガしない事だけを祈っています(笑)。もう成志さんとは共演回数が2桁いったんじゃないかな? 池田成志は池田成志です。オイラは一緒にやっていて成志さんが困ることをやるのが大好きなんです。今回はオイラがツッコミに回るのかなあ。
最近はお互いの事を否定し合う仲になってきました。それより前は仲が良くて「一緒に面白い事をやろうぜ!」みたいな関係だったんですが……ここ4、5年で、方向性の違いというものがわかりまして(笑)。
古田新太
ーー何をバンドの解散理由みたいなことを(笑)。
でもいちばんやりやすい先輩ですよ。「やめろ」「やめておけ」しか言わない関係ね。
ーー先ほどお名前が出ました早乙女太一さん、須賀健太さんなどとの共演も注目ですね。
どうせあいつらめいいっぱい暴れまくるんだろうから、アクションクラブとアンサンブルの皆、ヨロシク! ってことにしておいて。オイラはなるべく省エネでいきたいなあ。……省エネしてないのにそういわれることもあるんだけど。もう53歳ですよ! 昨日も松下奈緒ちゃんに「古田さんは凄い! 走ったり踊ったり本当にすごい」って褒められてしまったし。(ドラマで)女装させておいて足が速いっていう設定ってどうなんだ! ヒールだぞこっちは(笑)! どこのプロデューサーも「古田ならきっとやるだろう」って思っているんだろうから、そういう雰囲気を一つひとつ駆逐していかないとね(笑)。
ーー先ほどから愚痴まじりのトークになっていますが(笑)、それはさておき今回の舞台で楽しみにしている事は何ですか?
太一と刀を合わせるのは楽しみです。太一は結構な数の舞台に出てもらってますが、今回直接やりあうのが初めてなんです。玄人が観てもすごいと思いますよ。説得力のあるチャンバラを見せたいですね。清野菜名ちゃんも出てるし、せっかくだから動いて欲しい。健太も初めてですからガッツリ絡みたいですね。
チャンバラやアクションをやる事は楽しいですけど、新感線は分量が問題なんですよ! ってもう愚痴しか言ってないよね(笑)。
基本的にオイラは短いお芝居が好きなんです。アンチ新感線というか(笑)。2時間半であのクオリティを出せればいいんですよ。バイキング料理で食いきれないものまで皿に乗っけちゃった! ではなく、懐石料理で「もう結構です」ってくらいの分量がいい。それなのに揚げ物に揚げ物に焼きそば……全部茶色いじゃねえか! みたいな舞台は嫌だと。
古田新太
ーーアンチ新感線(笑)的トーク全開ですが、それでも新感線にこだわりたいと思うのはどういったところから?
昔は新感線みたいな芝居は新感線しかやってなかったけれど、今は他の座組みでも新感線みたいな芝居をやるようになった。でも音楽ものとそうでないものを両方やれるのはうちの劇団だけだから。35年やってますが、音楽と芝居の融合は今も完成形を目指しているところ。2時間半でお腹いっぱいがまだできてなくて、物量に頼っていますが(笑)、いつか完成形を目指したいですね。そんな想いはあるんですが、身体は衰えていく。スキルはあるのに体力が追い付かないこのジレンマが。テクニックはあるんだけれど、飛べなくなったりもしているので、急がないとならないんですけどね。太一や健太、菜名ちゃんのような若い世代の力を借りて、ね。​
ーー今回「39興行」という冠が付いていまして、前作の『偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)』でもキャストの方々に伺ったんですが、古田さんがこの35年を振り返って「サンキュー」と伝えたい相手は誰ですか?
久本っちゃん(久本雅美)と鴻上尚史さんかなあ。この二人がオイラの事をオールナイトニッポン(ANN)のDJ役に推してくれて、それがきっかけで東京に出てこれたから。ちょうど谷間の時期でとんねるずさんの後が出てこない、ウッチャンナンチャンとかダウンタウンが出てきた頃くらいのタイミングだったんです。大槻ケンヂさんやデーモン小暮さんもANNをやっていて、ビートたけしさんが辞めるんだけど誰かいないか、って時に久本ちゃんと鴻上さんが「大阪に古田というやつがいるんだけど」とデモテープを送ってくれたのがきっかけだったんです。それもあって鴻上さんの事は悪く言えないんだな(笑)。あの当時はコンプライアンスなんて何もなかった時代だったから、もうぐちゃぐちゃな事ばかりやっていましたね。今はできないけれど、演劇の世界はまだコンプライアンスなんてものをどこかにやっておけちゃうから思いっきりこっちでやり続けていきたいですね。​
ーー最後に楽しみにしているお客様に向けてメッセージをお願いします。
『けむりの軍団』と聴いて、「ネタものかな?」と思って観に来た人をがっかりさせない程度に愉快なお芝居にしたいなと思っています。実はこの作品タイトル、当初はもっと難しい漢字を使ったものだったんですよ。でも「“煙”を平仮名にして、“軍団”を付けたら大体頭悪い方向になるからそれでいこうっていのうえさんが(笑)。“軍団”が頭悪いイメージって「猿」か「たけし」を思い浮かべるからでしょそれ(大笑)!
ーー稽古はまだこれから、という時期ですが、古田さんから見て今回の見どころは?
早乙女太一でしょう(真顔)。オイラではないです。太一のかっちょいいところを全面に出して。オイラと成志さんと(高田)聖子が3人でおもしろなところをやって、若い3人がかっちょいいところを担ってくれればうまいこと行くと思います(笑)。​
古田新太
取材・文=こむらさき 撮影=中田智章

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