アニメ、マンガ、たまごっち――日本
文化を映した海外MV
日本文化を映した海外のミュージックビ
デオ(MV)を紹介
本記事では、日本を題材にした海外のミュージックビデオ(MV)をご紹介することで、同じテーマに新しい切口から迫ってみたい。
MVという窓を通して、日本を覗いてみよう。
日本人ではないけれど…『侍の娘』
日本文化の授業なのだろうか。ロシアの学生たちが教室で習字を練習している。書いているのは「侍の娘」。そこへ日本人らしき少女が入ってくる。
しっかり掴んで 侍の娘 しっかり掴んで 端から端まで音が止む
海外の日本料理店でしばしば日本人以外の東洋人が働いているように、The SpleanのMVでも中国系ロシア人が日本人を演じているわけだ。
西洋人からすれば、彼女が実際に日本人であるかどうかは重要ではない。切れ長の目をもち、東洋風の顔立ちさえしていればよいのだ。
このMVでは、日本の伝統文化(習字)に対し、現代的でファッショナブルな少女が前面に押し出されており、日本文化の新しい側面を強調する作りになってはいる。しかし、昔から培われてきたイメージはやはり根強いらしい。
イカれたMV『アニメ、マンガ』
まずはご覧いただきたい。
歌っているのは、南アフリカ共和国のヒップホップ歌手Venim(ヴェニム)。MVには、いかにもGoogle翻訳という感じの怪しげな日本語字幕が付いている。しかし、そのことを悪びれる様子もなく、むしろ露悪的に、意図的にひけらかしている。
歌詞の内容も過激だ。『アニメ、マンガ』というタイトルこそポップなイメージを喚起するものの、実際の映像は、まるで夜中の歌舞伎町のように妖しくヒリヒリした空気に満ちている。日本の影の部分を歌っていると言えるかもしれない。
暗い『たまごっち』
「たまごっち」とは、1990年代に日本の中高生たちの一部で爆発的な人気を博した携帯型育成ゲームのことだ。4年前までTVアニメも放送されていたので、名前くらいなら聞いたことのある読者もいるだろう。
だがMV『たまごっち』を制作したのは日本ではない。驚くべきことに、ポーランドなのである。
俺らはたまごっち世代 イェー 妙な機械が目をスキャン イェー 飛行機のなかの悲しみ イェー (…) 飲め、食え、眠れ、たまごっちみたいにな
美しい『たまごっち』
こちらのMV『たまごっち』は映像が非常にスタイリッシュで、日本と思しきロケ地の景観も美しい。ダンスはキレがあり、振付もおもしろい。先鋭的な演出と伝統的な景観とがうまく融け合っている。
おそらく「たまごっち」というタイトルは、ポップカルチャーの象徴として用いられているのだろう。総じて完成度の高いMVと言える。
ちなみにこのMVは、昨2018年、60年以上の歴史があるカナダ撮影監督協会賞のミュージックビデオ部門の最終候補にノミネートされた。
以上、日本文化を題材にした4つの海外ミュージックビデオをご紹介してきた。
伝統文化、アニメ、マンガ、若者文化が、海外のクリエイターたちに影響を与えている様子が垣間見えたのではないだろうか。彼らの見つめた日本は、ステレオタイプのイメージと混じり合いながら、野心的で刺激的な表現の源泉となっているのである。
関連情報
The Splean Instagram
クリスティーナ・リー Instagram
ヴェニム ReverbNation
Taconafide Facebook
Ackee Tecumseh Instagram
カナダ撮影監督協会公式サイト
アニメ、マンガ、たまごっち――日本文化を映した海外MVはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。