【ライブレポート】ザ・クロマニヨン
ズ「我々クロマニヨンズは、まだまだ
駆け出しです」

4月17日、大きな虹とビカビカ光るイカヅチが描かれた絵本を開くと、とぷんと中野サンプラザに飛んだ。そんな感じがする、ライブの始まり。
カミナリのようなライティングと荒ぶるティンパニの中、ザ・クロマニヨンズのメンバーが登場。アルバム『レインボーサンダー』の再生スイッチを押したかのごとく、「おやつ」「生きる」「人間ランド」と曲順通りにライブが進む。ヒロトが「よく“アルバムを引っさげたツアー”と言いますが、僕らのライブは本当にアルバムを引っさげます。ツアータイトルのアルバムを聴いてきてくれれば、ライブでやる曲の半分以上はわかります」と言っている通り、クロマニヨンズのライブは親切設計だ。ただアルバムと違うのは、目の前で生身の4人が演奏しているということ。どんな動きをして歌うのか、弾くのか、叩くのかがわかること。

ヒロトは大切そうにマイクを持ち、愛おしそうに歌う。愛おしいのは歌か、目の前にいるお客さんか、それともロックだろうか。マーシーのギターは、ヒロトの声に寄り添うように、たまに追い越すように、心地よく奏でられている。両脚を大きく開き、音もスタイルも重心がっしりのコビーのベース。カツジのパワフルかつ陽気なドラムは、クロマニヨンズの屋台骨だ。ふとステージ横の壁を見ると、マイクを持ったヒロトの影が大きく映し出されていた。まるで切り絵のようで、本人の声を聴きながらしばし眺める、贅沢な時間。
6曲目の「サンダーボルト」が終わると、「楽しんでいますか? アルバムのA面が終了しました」とヒロト。「他のアルバムからやらしてください」と、「グリセリン・クイーン」「どん底」「スピードとナイフ」を披露して、「おもしろかったね?」とご満悦だ。

「ある程度のキャリアを積んだバンドは、新しいアルバムから数曲やって、あとはかつての曲ばかりやります。しかし我々クロマニヨンズは、まだまだ駆け出しです。アルバムの曲も、シングルもカップリングもやりたい! これからも頑張っていくクロマニヨンズの姿を、しっかりと見ていてください」と、最新シングル「生きる」のカップリング曲「時のまにまに」から始まる怒濤の後半戦。「アルバムのB面、やらせてください」と、「恋のハイパーメタモルフォーゼ」「荒海の男」といった『レインボーサンダー』の後半曲を連打する。さらに「エルビス(仮)」や「雷雨決行」「ギリギリガガンガン」などのシングル曲でアクセルべた踏み、ラストは「GIGS(宇宙で一番スゲエ夜)」。不器用かつ大胆な投げキッスをしながら、ヒロトはステージを去っていった。ああ、楽しいなぁ。会場にいるみんな、誰も彼も楽しそうだ。

アンコールの声に応えて登場した4人は、『レインボーサンダー』のタオルを掲げている。「元号が変わりますが、あんま関係ない。俺たちだけでも、楽しんでいきましょう。そして、そんな仲間を増やしていきましょう」という開始の合図で、「オートバイと皮ジャンパーとカレー」「タリホー」「ナンバーワン野郎!」を演りきり、ザ・クロマニヨンズ『レインボーサンダー』ツアー東京FINALは幕を閉じた。最後にヒロトは言った、「ありがとう、楽しかった。またやらせてください」と。「こちらこそ」、そう思った。
取材・文◎篠崎 美緒
撮影◎柴田恵理

■<ザ・クロマニヨンズ ツアー レインボーサンダー 2018-2019>2019年4月17日(水)東京・中野サンプラザ公演 セットリスト

1. おやつ
2. 生きる
3. 人間ランド
4. ミシシッピ
5. ファズトーン
6. サンダーボルト
7. グリセリン・クイーン
8. どん底
9. スピードとナイフ
10. 時のまにまに
11. 恋のハイパーメタモルフォーゼ
12. 荒海の男
13. 東京フリーザー
14. モノレール
15. 三年寝た
16. ペテン師ロック
17. エルビス(仮)
18. 雷雨決行
19. ギリギリガガンガン
20. GIGS(宇宙で一番スゲエ夜)

En1. オートバイと皮ジャンパーとカレー
En2. タリホー
En3. ナンバーワン野郎!

LIVE DVD『ザ・クロマニヨンズツアーレ
インボーサンダー2018-2019』

2019年7月31日(水)発売
■初回生産限定盤DVD:BVBL-145~146 ¥4,630+税
※リストバンド&特製缶バッヂ2個付き
※デジパック仕様
■通常盤:BVBL-147 ¥4,000+税

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