Perfume、ワールドツアー最終日
ロサンゼルス公演のレポートが到着
2月23日の上海から始まった『Perfume WORLD TOUR 4th 「FUTURE POP」』が、4月19日(ロサンジェルス現地時間)、ダウンタウンにあるACE THEATERでファイナルを迎えた。Perfumeが本格的に海外ツアーに取り組み出したのは2012年。初回はアジアのみだったが、その後2年ごとに開催地を増やし、2016年以来2年半ぶりとなる今回は、アジア、北米9都市を巡った。
Perfumeの世界進出は、デビュー以来のパートナーであるサウンドプロデューサー・中田ヤスタカとメンバー3人、彼女たちの画期的なダンスを創る振付、演出のMIKIKO、それを最先端技術とアイディアとで支える真鍋大度(ライゾマティクス)など、チームが一丸となって長年追いかけてきた夢。メンバー全員が30歳を迎えての今回、その夢はまた新たな物語となった。
特筆すべきは、Perfumeの海外ツアーが、アルバムを携えての日本ツアーの延長戦上にあるという点。昨年リリースの『Future Pop』が、iTunesエレクトロ部門において世界20ヶ国で1位となる今、海外ファンは、そこをこそ楽しみにしている。日本との会場の違いを考慮した微妙な調整はあるが、けっして特別な海外仕様ではない。同じメッセージを全世界に届けるというその臨み方が、ワールド・ツアーと謳うに相応しい所以なのだ。
重厚なゴシック調のACE THEATERは、1927年に建てられた歴史的劇場。その約2,000席が、ボーダレスが当たり前のファンで埋め尽くされていく。なんとオープニング・アクトは、Perfumeファンを豪語し、本人たちとも親交の深いOK Goのティム・ノードウィンドのユニットX-X.T。Perfume愛あふれるそのステージにも煽られて、待ちきれない観客から熱い拍手が湧き起こった。
暗転と同時にPerfumeの歴史を辿る近未来的なザッピング映像。観客は歓声を上げてその年月とシンクロする。始まったのは、アルバムの冒頭と同じ「Start-Up」、そして「Future Pop」。光の世界からの救世主のごとき3人に、誰もが憧れの目でしばし釘づけとなる。“キャー!”、“ウォー!”と悲鳴が響いたのは「エレクトロ・ワールド」。この曲のYouTubeからファン歴を重ねてきた人も多い。これで一気に観客を虜にした3人は、笑顔で次々とテクノロジーとの融合表現を繰り出した。
動くシアー・スクリーンとのフォーメーションで不思議な影絵モンスターを登場させた「FUSION」、スタンドに設置したスマートフォンに向かい、リアルタイムで顔のアップを映し出した「Tiny Baby」。などなど、頭からノンストップで披露した。ダンスが完璧だからこそ成立するクールなショーなのだが、そんな解説が無粋なほどだたもうハッピーが止まらなくなった。ステージは送り手と聴き手が何かをシェアする場。表現のための表現には陥らない。そんなイズムが息づいている気がした。
そのイズムは英語のMCにも。会話の上達はこの1ヶ月北米各地を回ってきた賜物だが、素敵なのはそれが“台詞”ではなく、心で話す言葉であるところ。“Yeah!”と観客に叫ばせるための会場の“グループ分け”も、日本でやるときのまんまだ。この日は“ロスでリフレッシュした”というあ~ちゃんのエピソードにちなみ、客席左が“リ”で右が“フレッシュ”。“リ”→“Yeah!”、“フレッシュ”→“Yeah!”というコール&レスポンスに沸く様子を海外で見るのはシュールだが、Perfumeではこれがデフォルト。クスッとするネタさえこうしてほのぼのとシェアできるのは、彼女たちのコミュニケーション力が、“術”ではなく“心”だからだろう。
「TOKYO GIRL」からの後半は、前半のアプローチと対照的に、本物の光を集めて3人の生身のダンスの美しさを際立たせる場面が続いた。海外人気抜群の「Pick Me Up」では“Yes!”と歓喜の声が飛び交う。カンフーを取り入れたカッコいいPerfumeの代名詞「FLASH」では、一瞬たりとも緊張感を途切れさせない魂の舞いに、みんな息を飲んで見入った。
“夢のような忘れられない夜です”とかしゆか。“また戻ってこれるように頑張ります”とのっち。あ~ちゃんは全身全霊で“Perfume loves you! We believe our future is bright”と言い、最後は「無限未来」。その歌声と今日ステージで展開されていた光のドラマが頭の中で突然リンクし、ああ、Perfumeはこの美しい未来へのメッセージを世界に届けに来たんだなと、とてつもない感動に打たれた。彼女たちの今の姿は、YouTubeで伝播したあのキュートなアンドロイドからの変容ではない。そもそも彼女たちに温かい人間くささがあったからこそ、それが声から、表情から、ダンスから光の速度で伝わり、真にユニバーサルな魅力を放つポップ・アイコンとなったのだ。まさにそれを物語る素晴らしいツアー・ファイナルだった。
ちなみにこの2日後の21日、Perfumeは2週に渡る週末の3日間、同じアーティスト、同じタイムテーブルで繰り広げられる世界最大級の野外フェス、『コーチェラ』に出演。第1週目の4月14日に初出演した直後に配信されたアメリカ音楽誌『Rolling Stone』の“Coachella 2019:The 16 Best Things We Saw”と題した記事では、全コーチェラ出演アーティストの中からパフォーマンス・ベスト16に選出されるなど、大きな注目を浴びた。
text by 藤井美保
【セットリスト】
1.Start-Up
2.Future Pop
3.エレクトロ・ワールド
4.If you wanna
5.FUSION
6.Tiny Baby
7.Let Me Know
8.Butterfly
9.シークレットシークレット
10.TOKYO GIRL
11.Pick Me Up
12.FAKE IT
13.FLASH
14.チョコレイト・ディスコ
<ENCORE>
15.Magic of Love
16.無限未来
Perfumeの世界進出は、デビュー以来のパートナーであるサウンドプロデューサー・中田ヤスタカとメンバー3人、彼女たちの画期的なダンスを創る振付、演出のMIKIKO、それを最先端技術とアイディアとで支える真鍋大度(ライゾマティクス)など、チームが一丸となって長年追いかけてきた夢。メンバー全員が30歳を迎えての今回、その夢はまた新たな物語となった。
特筆すべきは、Perfumeの海外ツアーが、アルバムを携えての日本ツアーの延長戦上にあるという点。昨年リリースの『Future Pop』が、iTunesエレクトロ部門において世界20ヶ国で1位となる今、海外ファンは、そこをこそ楽しみにしている。日本との会場の違いを考慮した微妙な調整はあるが、けっして特別な海外仕様ではない。同じメッセージを全世界に届けるというその臨み方が、ワールド・ツアーと謳うに相応しい所以なのだ。
重厚なゴシック調のACE THEATERは、1927年に建てられた歴史的劇場。その約2,000席が、ボーダレスが当たり前のファンで埋め尽くされていく。なんとオープニング・アクトは、Perfumeファンを豪語し、本人たちとも親交の深いOK Goのティム・ノードウィンドのユニットX-X.T。Perfume愛あふれるそのステージにも煽られて、待ちきれない観客から熱い拍手が湧き起こった。
暗転と同時にPerfumeの歴史を辿る近未来的なザッピング映像。観客は歓声を上げてその年月とシンクロする。始まったのは、アルバムの冒頭と同じ「Start-Up」、そして「Future Pop」。光の世界からの救世主のごとき3人に、誰もが憧れの目でしばし釘づけとなる。“キャー!”、“ウォー!”と悲鳴が響いたのは「エレクトロ・ワールド」。この曲のYouTubeからファン歴を重ねてきた人も多い。これで一気に観客を虜にした3人は、笑顔で次々とテクノロジーとの融合表現を繰り出した。
動くシアー・スクリーンとのフォーメーションで不思議な影絵モンスターを登場させた「FUSION」、スタンドに設置したスマートフォンに向かい、リアルタイムで顔のアップを映し出した「Tiny Baby」。などなど、頭からノンストップで披露した。ダンスが完璧だからこそ成立するクールなショーなのだが、そんな解説が無粋なほどだたもうハッピーが止まらなくなった。ステージは送り手と聴き手が何かをシェアする場。表現のための表現には陥らない。そんなイズムが息づいている気がした。
そのイズムは英語のMCにも。会話の上達はこの1ヶ月北米各地を回ってきた賜物だが、素敵なのはそれが“台詞”ではなく、心で話す言葉であるところ。“Yeah!”と観客に叫ばせるための会場の“グループ分け”も、日本でやるときのまんまだ。この日は“ロスでリフレッシュした”というあ~ちゃんのエピソードにちなみ、客席左が“リ”で右が“フレッシュ”。“リ”→“Yeah!”、“フレッシュ”→“Yeah!”というコール&レスポンスに沸く様子を海外で見るのはシュールだが、Perfumeではこれがデフォルト。クスッとするネタさえこうしてほのぼのとシェアできるのは、彼女たちのコミュニケーション力が、“術”ではなく“心”だからだろう。
「TOKYO GIRL」からの後半は、前半のアプローチと対照的に、本物の光を集めて3人の生身のダンスの美しさを際立たせる場面が続いた。海外人気抜群の「Pick Me Up」では“Yes!”と歓喜の声が飛び交う。カンフーを取り入れたカッコいいPerfumeの代名詞「FLASH」では、一瞬たりとも緊張感を途切れさせない魂の舞いに、みんな息を飲んで見入った。
“夢のような忘れられない夜です”とかしゆか。“また戻ってこれるように頑張ります”とのっち。あ~ちゃんは全身全霊で“Perfume loves you! We believe our future is bright”と言い、最後は「無限未来」。その歌声と今日ステージで展開されていた光のドラマが頭の中で突然リンクし、ああ、Perfumeはこの美しい未来へのメッセージを世界に届けに来たんだなと、とてつもない感動に打たれた。彼女たちの今の姿は、YouTubeで伝播したあのキュートなアンドロイドからの変容ではない。そもそも彼女たちに温かい人間くささがあったからこそ、それが声から、表情から、ダンスから光の速度で伝わり、真にユニバーサルな魅力を放つポップ・アイコンとなったのだ。まさにそれを物語る素晴らしいツアー・ファイナルだった。
ちなみにこの2日後の21日、Perfumeは2週に渡る週末の3日間、同じアーティスト、同じタイムテーブルで繰り広げられる世界最大級の野外フェス、『コーチェラ』に出演。第1週目の4月14日に初出演した直後に配信されたアメリカ音楽誌『Rolling Stone』の“Coachella 2019:The 16 Best Things We Saw”と題した記事では、全コーチェラ出演アーティストの中からパフォーマンス・ベスト16に選出されるなど、大きな注目を浴びた。
text by 藤井美保
【セットリスト】
1.Start-Up
2.Future Pop
3.エレクトロ・ワールド
4.If you wanna
5.FUSION
6.Tiny Baby
7.Let Me Know
8.Butterfly
9.シークレットシークレット
10.TOKYO GIRL
11.Pick Me Up
12.FAKE IT
13.FLASH
14.チョコレイト・ディスコ
<ENCORE>
15.Magic of Love
16.無限未来