『XYZ TOUR』で描いた“醒めない夢”
 ツアーファイナル・Zepp Tokyo公演
をレポート

XYZ TOUR 2019 -DJ Style-

2019.4.5 Zepp Tokyo
クライマックスの連続となった<醒めない夢>の数々は、今宵この場に集った人々を深く甘く酔わせることになったようだ。
luzがオーガナイザーとなり、2015年からコンスタントに続いてきているシリーズライブが今年もまた『XYZ TOUR 2019 -DJ Style-』というかたちで全国各地にて行われたわけだが、遂にそのファイナルを迎える場所となったのは4月5日のZepp Tokyo。
DJ TIME
今年はここまでに2月14日のバレンタインデーに女性限定公演『XYZ TOUR 2019 -Valentine's Night Ladies Only-』があったり、3月24日には男性限定公演『XYZ TOUR 2019 -Mens Only Night-』も開催されてきた中、それらを含む計12本を締めくくるにふさわしいメンツとセットリストをもって、彼らは約2時間半にわたってのパフォーマンスを繰り広げてくれたのである。
『XYZ TOUR 2019 -DJ Style-』と銘打たれているだけあり、まずオープニングのタイミングでこの空間へと現れたのはステージ奥のド真ん中にテーブルを構えたDJ Kung-fu-jumperで、いきなりの鮮やかなプレイと「最高の1日にしようぜ!」という煽り文句で、一気に観衆のテンションを上げてみせることに。
XYZ TOUR 2019 -DJ STYLE- 「U.S.A.」

XYZ TOUR 2019 -DJ STYLE- 「U.S.A.」

そして、このあとにはun:c、あらき、KOOL、センラ、めいちゃん、luzの6人が登場して横一列に並んだかと思うと……始まったのは、あのハイパーヒットチューン「U.S.A」! ここでは歌も当然のことながら、通称いいねダンスと呼ばれているシュートダンスや、インベーダーフォーメーションも本家に迫る完成度で再現されることとなり、その秀逸さ対して場内から割れんばかりの「U.S.A」コールや、サビの大合唱が沸き起こったのは言うまでもない。ちなみに、luzがこの場面で登場したのは当ファイナル公演のみだったそうで、客席からは予想外のサプライズに対する驚嘆の声があがっていたことも付記しておこう。luzはこの日の為だけにダンスレッスンにも臨んだというが、彼のプロ意識はそのキレの良いダンスからも濃厚にうかがえた。
nqrse
「ちょっとー! こんな出づらい2番目ってある!?」
オープニングでのあまりの壮絶な盛り上がりぶりに、冗談半分でこうボヤきながらも笑顔を見せながら次に登壇してきたのはnqrseで、ここでの彼は季節外れだとはいえパーティチューンとしての強い存在感を持つ「Happy Halloween」で、さらにオーディエンスたちを楽しませてくれることになったのだから堪らない。
luz
以降、このライブを通してはなかば矢継ぎ早なかたちで、さまざまな楽曲たちが各シンガーによるソロ歌唱だけでなく、多彩な顔ぶれと組み合わせによって続々と歌われていくことになったのであるが、たとえばluzとun:cによって艶やかに表現された「クイーンオブハート」や、センラとluzでの組み合わせでのコケティシュな「キャットアイメイク」、センラとnqrseが絶妙なコラボレーションで聴かせた「Nectar」など、『XYZ TOUR』だからこそ実現する場面を目の当たりに出来たことは、この場へ実際に足を運んだ人たちにとってのこのうえなき恩恵だったことになるはず。
めいちゃん
KOOL

そのほかにも、あらきとめいちゃんが共にハジけた「カンケイナイトファンキー」、あらきとKOOLが祭りモードをより加速させた「ブリキノダンス」、その曲題よろしくKOOLとun:cが気骨と男気をみせた「脱法ロック」、エンターティナー精神を随所に感じさせてくれたun:cとSILVANAによる「エイリアンエイリアン(DIVERA REMIX)」、めいちゃんとセンラが肩を組みながら曲の途中でラインダンスもどきの微笑ましいステップをみせた「リコレクションエンドロウル」、めいちゃんとnqrseに加えてセンラが飛び入り参加することではっちゃけぶりに拍車がかかった「夜もすがら君想ふ」でも、各人のキャラと持ち味が最大限まで発揮されていたのではなかろうか。
​あらき
センラ
また、本編後半に向けては過激なほどにアッパーな曲調をものともせずあらきとnqrseが聴かせ切った「ハローディストピア」、テクニカルなボーカリゼイションを駆使しながらluzとSILVANAが伸びやかな歌を響かせた「ヒバナ」、ここぞとばかりにluzとKOOLがハードなライヴアクトで攻めに攻めた「REFLEXION」にくわえ、ラストではKOOL、un:c、あらき、めいちゃん、luz、nqrse、SILVANA、センラの総勢8人による「ロキ」と「Secret Answer」で盛大にブチ上がるまでに至り、言うなればクライマックス以上のメガクライマックスがその場を席巻したと言っていい。
その流れを受けたアンコール1曲目の「デリヘル呼んだら君が来た」では、恒例の“チェンジ”コールが参加アーティスト全員と観客全員によって無邪気かつ奔放に発されたほか、フルキャストが揃ったMCのくだりでは2回客席に来訪していたピコ(今回のツアーでは他の公演に出演していた)を、nqrseが目ざとく見つけてイジる一幕も。

SILVANA
あらき、KOOL
一方で、来たる6月から8月にかけては『luz 4th TOUR -FANATIC-』を目前に控えている立場でもありつつ、XYZのリーダーとしての務めをここまで果たしてきたluzは至って真面目なトーンでファンへの感謝をこのとき真摯に述べてみせたのだが、これは未来へ向けての宣言としても聞くことが出来たのではないだろうか。
「2月から始まったこのツアーですが、ようやくこうしてファイナルまで来られました! 楽しかったです。そして、今回も各地でたくさんの方が観に来てくださいました。皆さん、本当にありがとうございます。僕とめいちゃんは全通でしたが、参加してくれた皆もおつかれさまでした! ほんと、XYZの良さっていうのがね。より確立していっているなということを僕は今回のツアーで感じました。(中略)今後もきっと、また新しい可能性が生まれているんじゃないかと思ってます。XYZは皆さんに支えられているんだな、ということを忘れずにこれからもやっていきたいです。今日は最高の夜をありがとうございました!!」(luz)
un:c
それでいて、このあとにはun:cがこう切り出したのもXYZツアーならではの展開であった、と言えるのかもしれない。
「よし、俺は今から正直な話をする! 以前から言ってきた「ライブはSEXだ」という話。正直、それに自分で飽き始めていたところが最近はちょっとありました。何か面白いこと、下ネタを言わなきゃいけないのかなという空気も感じていたところがあったというかね。(中略)でも、俺は今回のツアーであらためて気付いた! やっぱり「ライブはSEXだ」と!! では皆さん、僕がこれから「ライブは」と言ったら……わかってますね?そう、皆でひとつになりましょう。最後にみんなで気持ちよくなろう。せーの、「ライブは!!」」(un:c)
やや強制的ではあった気もするが、観客側フロアからの「SEX!!」という潔く威勢の良いレスポンスの見事さは実に痛快そのもの(笑)。
XYZ TOUR 2019 -DJ STYLE-

XYZ TOUR 2019 -DJ STYLE-

さらには、大ラス曲として作曲をまふまふが手掛けて歌詞をまふまふ、nqrse、luzで制作したという『XYZ TOUR』のテーマソング的な意味合いを持った「CocktaiL」が8人のボーカリストによって華やかに歌い上げられることで、『XYZ TOUR 2019 -DJ Style-』が見事な有終の美を飾ることとなったのは疑いようのない事実であろう。
このファイナルで頼もしい歌声たちを存分に聴かせてくれたあらき、un:c、KOOL、センラ、SILVANA、nqrse、めいちゃん、そして主宰者・luzだけでなく、今回のツアーにおいて各地公演に参加していたというピコ、kradness、しゅーず、Geroを含めた計12人のXYZが描き出した<醒めない夢>は、これからもきっと拡がり続けていくに違いない。そう確信出来た熱気に満ちた一夜は、こうして幕を降ろしたのだった。

文=杉江由紀 撮影=小松陽祐(ODD JOB)、加藤千絵(CAPS)

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