【THE YELLOW MONKEY インタビュー】
THE YELLOW MONKEY、
二度目のデビュー作『9999』完成
2016年に奇跡の再集結を果たしたTHE YELLOW MONKEYが19年振りのオリジナルアルバム『9999』(読み:フォーナイン)を完成させた。また4人で一緒にバンドをやりたいーーそんな吉井和哉(Vo)の想いから、21世紀に蘇った彼ら。本作には“今再びTHE YELLOW MONKEYを取り戻す”という大きな命題に向き合った4人の3年間の全てが詰まっている。
一時的なお祭りでバンドを
やりたかったわけじゃなかった
19年振りのアルバム、待ってました。再集結からは3年ですね。
菊地英二(以下、アニー)
最初に“もう1回バンドをやりましょう”っていうところから考えると、2013年まで遡りますからね。初めてスタジオに入ったのは2015年8月だったし。結構かかりましたね(笑)。
廣瀬洋一(以下、ヒーセ)
最初にリハをした時、どの曲をやるか一切決めてなくて。100曲以上もあるから準備のしようがなかったんですよ。で、とりあえずスタジオに集まったんだけど、その日だけで40曲ぐらいやったんだよね。
吉井和哉(以下、吉井)
このメンバーが大好きだから、集まったことの喜びはあったんですよ。でも、音を出したら喜べなかった。それが正直な話(笑)。
ヒーセ
それぞれのソロ活動で技術を培ってきたものがあるけど、4人で合わせた時はバラバラで。だから、一緒に話すと楽しい幼馴染の同級生が集まって、上手くないけど、とにかく“バンドをやろうよ!”みたいなところとすごく近かったんですよね。
吉井
それでも僕としては一時的なお祭りでバンドをやりたかったわけじゃなかったんです。ただ集まって同窓会みたいに懐かしいことをやるなら短期間でいいけど、僕はまたずっと一緒にバンドをやりたいわけですよ。それをどう続けていくかっていうのは、最初にぶち当たった壁でしたね。これはやっぱり相当甘くないぞ、と。
そんなバンドの心境とは裏腹に、日本中がTHE YELLOW MONKEY再集結に沸きましたよね。
吉井
あれは予想以上だった。“いやいやいやいや! そんなに盛り上がらないでくれっ!”って。
ヒーセ
解散してる間に、逆に活動してないがゆえの伝説感が出ちゃったんですよね。
アニー
“これは大変なことになる。気を引き締めないといけない”と思いましたね。
菊地英昭(以下、エマ)
再集結はしたけど、実際うちらがどういうバンドになっていくかはフィックスしてなかったし。
ヒーセ
でも、変に楽観的ではありました。ひとりでいる時は不安になることもあったけど、このメンバーといることで気持ちが落ち着いちゃうんですよね。
アルバムには再集結ソング「ALRIGHT」から収録されるわけですけど、この曲を最初の一曲に選んだのはどうしてだったんですか?
吉井
最初はもうちょっと別の曲だったんですよ。この曲のデモを聴いたスタッフが、こっちのほうがライヴ映えするんじゃないかって言ってくれて。急遽こっちでやったら、案の定すごく昔ながらの感じだったんですよね。
アニー
他にいくつも候補曲が出てたんだよね。兄貴(エマ)もヒーセも曲を書いてたし。最初の一曲で全部を見られるわけじゃないですか。そこは悩みましたね。何を求められてるのか…求められてることを100パーセントやればいいわけでもないけど、求められてるものを提示していかなくちゃいけない部分もあったし。その葛藤はあったかな。
エマ
でも、「ALRIGHT」をライヴでやったら、すごく盛り上がったんです。それは嬉しかったですね。昔の曲と同じぐらいワーッてなったので。
ヒーセ
「ALRIGHT」は誰にとっても新曲だったんですよね。そういう意味で、最初はたった1曲しか新曲がなかったけど、それを持ってツアーを回れたのは、のちのちTHE YELLOW MONKEYを取り戻すっていう作業をしていく上ですごく良かったと思う。
そこからは“THE YELLOW MONKEYを取り戻す”という作業と向き合いながら、「砂の塔」「ロザーナ」「天道虫」っていう曲たちを作っていったわけですね。
吉井
「砂の塔」を作る時は、結構ネタに困ってたんですよ。その時にドラマ(『砂の塔~知りすぎた隣人~』)のタイアップの話をいただいて。そのお題の中に、THE YELLOW MONKEYとの接点があったから詞を書けたんです。ちょうど菊地兄弟のお父さんが亡くなって、お葬式に行かせていただいた時に、八王子の夜に花火が上がったんですよね。
吉井
で、そのままスタジオに入って制作したんですよ。だから、菊地兄弟の地元に帰ったことで、バンドを組んだ時の気持ちが入ったんだよね。あのコード感には。
吉井
船山基紀さんっていう僕らが好きな往年の昭和歌謡の方にストリングスのアレンジをやっていただいて、まさに結成当時から憧れていた昭和歌謡と洋楽の融合がこんなにスペシャルなかたちで、再集結後にできたという喜びもありましたね。
ヒーセ
再集結後のひとつの答えだって思えるぐらい達成感もあったし。
アニー
振り返ったら、そうやって一曲一曲で達成させていったんですよ。
吉井
体の部分がひとつずつ戻っていったような感覚ですよね。