jealkb、ライブならではの展開にジュ
アラー熱狂。THE冠とのコラボ曲披露
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2019年4月8日新宿LOFT。jealkbは、それを証明してくれた実に“ライブらしいライブ”を魅せてくれた。通常ライブとは、SHOWとしてより完成度の高いものを観客に魅せるためにセットリストなる曲順表が用意されているものであり、彼らのこの日のライブにもそれは用意されていた。この日のセットリストのテーマは【過去・現在・未来】。そのテーマの通り、過去曲から現段階での最新曲、そして未来を示す未発表曲が並べられていた。
一聴して分かるさすがのメロディラインと、haderuによって描かれるまるで職業作家が手掛けた様な巧みな作詞世界が乗った楽曲は、“お遊びバンドではない”ことを証明するものだ。2016年から正式メンバーとなったsapotoの参加により、バンドとしての音もより厚みを増し、本物のロックバンドへと変化した彼らの最新のサウンドがここに確立した。彼らはそこを期に本格的に音で勝負出来るロックバンドへと大きく進化を遂げたと言ってもいいだろう。
1曲1曲に違った振り付けが用いられ、jealkbらしさで完結させて盛り上げられていくその手法も結成当初から何も変わっていない。曲に合わせて一緒に踊れることで、オーディエンスは自らもライブに参加しているような感覚になるのだ。それが彼らの狙い。まさしく、jealkbのライブは、客席に大勢のダンサーがいるような感覚とでもいおうか。オーディエンスの存在が一番のライブ演出になっているのではないかと思う。
“前の2人(haderuとhideki)がとことんふざけてても、サウンドはとにかく硬派でおふざけなし”と言うスタイルをjealkbの個性としたいとhaderuは言う。
この日も、そんなhaderuの想いは、そのままライブとしてそこに描かれていたと感じた。そして、この日のhaderuは違った。いつもの彼とほんの少し。“2019年にワンマンライブは2本しかしない”と決めていたこともあり、ライブに向き合う上で、普段とは違う思いが、彼に強烈な何かを与えてしまっていたのだろう。
しかし。さすがだったのはこの失敗からの立て直しだ。haderuは歌い続けながら、“なんかあったのか? 何もないよな!? どうした? 盛り上がれ!”と、その大きな失敗にオーディエンスを巻き込み、その失敗を即座に武器に変えたのである。さすがの機転である。
予定調和な人生などつまらない。
さらに素晴らしかったのがその先の判断である。メインコンポーザーとして、バンドのリーダーとして楽曲を引っ張るelsaはその流れを受け、セットリストにはなかった「歪ミイズム」を投入し、1曲増やすことで、そのミスからMCまでの距離を伸ばし、見事に流れを整えたのである。これも重ねて来たバンドの歴史のなせる技である。
デジタルロックにクラップという組み合わせが実に心地良かった「UEGEMIGISSA」と、オーディエンスの腰から大きく振りかぶったヘッドバンギングでステージまでの視覚が開けた「Liberty」からの流れで挟み込まれたMCでは、“忘れた何かを思い出させる。そしてここから何かを出発させる。そんな気持ちでここに立っています! ジュアラー(彼らのファンの名称)も、同じ覚悟でこれからのjealkbを応援して下さい! いろんな歴史のある中で、いろいろと変化してきました。あー、jealkbそっちの方向に行くのか、とか、あー変わっちゃうんだ、とか、いろいろと思うところはあると思います。でも、そんな音の変化だけを見るんじゃなく、バンド自体を愛して欲しいと思ってます”と、この日のライブの核心に触れた。
そして彼らは、最新音源のミニアルバム『Mix Up Sonic』の中から、同期が引っ張る流行りの速めなテンポ感が魅力の「才僕」や「PARIPO」へと繋げ、振り幅の広がった現在のjealkbの最新の音楽性を提示したのだった。
音源ではもちろんのこと、改めてライブで聴く時代を先取りした最新形の彼らのサウンド感は、もはや、ヴィジュアル系という括りで表現する音楽性ではないことを証明していた。
jealkbは2月4日の夜、生配信を行い、2019年を勝負の年とすることを公言した。
その内容は、昨年の12月4日にマイナビBLITZ赤坂で行われたライブのエンディングで送ったメッセージについて語られたものだった。当日のライブは最高の景色の中、最高の盛り上がりで終わったのだが、ソールドアウトという目的の達成には至らず、悔し涙を流したという。
彼らが2005年の結成以来目標としている場所は日本武道館だ。その目標はいまだ変わることはなく、日々そこに向けて必死に音を届けているのだが、その壁はなかなか高く、いまだ達成はしてはいない。3年前、バンドを続けていく上で、ACT2と銘打ち、新たな想いで日本武道館を目指そうと決意したのだという。
そんな中で彼らが話し合って決めたこと。それは、“2019年はワンマンライブを2回しかしない”ということだった。これは、ハングリー精神の表示なのだという。
2005年の4月6日新宿LOFT。GBのワンマンライブのオープニングアクトを務めたのが彼らが初めてjealkbとしてステージに立った日。彼らはそこでの経験で、“バンドって楽しい! ライブって楽しい! お客さんの前で演奏するって楽しい!”という感覚を初めて知ったのだという。その初期衝動を思い出し、日本武道館までしっかりとjealkbの音を響かせて行こう! と、今回、その初期衝動を味わった新宿LOFTにて、4月8日のワンマンライブを行ったのである。
2019年に届けられる2本のワンマンライブのもう1本のライブとして発表されたのが、10月11日。場所は渋谷チェルシーホテルであると言う。この場所は、彼らが初めてワンマンライブを行った場所だ。4月8日の新宿LOFT。10月11日渋谷チェルシーホテル。彼らはこの2本に、彼らは“jealkbの覚悟”を詰め込んだのである。
がしかし! 「誓い」を届けるはずだった本編ラストの1曲前に置かれていた「暴レ神」でフロアを大いに盛り上げると、そのままの勢いでステージからはけて行ったのである。
あ、盛り上げて終わるラストを選んだのかな。そう思っていた矢先、メンバーがステージにぞろぞろと戻って来た。ナント。盛り上がっていい気持ちになってしまい、この日のライブの最後にどうしても届けたいと申し出た、大切に届けたかった「誓い」を届け忘れたのだと言う。なんという大きなミスだろうか(笑)。痛恨のミス、本日2回目である。
“いや、ごめん(笑)。『始め良ければ 終わり良し。 終わり良ければ 全て良し』って言うけど、始めも終わりも間違えるって言うこの失態(笑)!”とオーディエンスを笑いの渦に巻き込み、どうしても届けたかった「誓い」を大切に歌い届けたのだった。
しかし。今こうして振り返って書いていると、この勢いこそがライブなのではないかとすら思えてくる。予定調和に綺麗に整ったライブは、彼らjealkbには似合わない。アドリブで生まれてくるMCも、その時の熱量そのものを感じる体温も、全てがjealkbの魅力だと感じるのだ。そんなどこまでも生身なライブを通して、彼らの想いは、しっかりとジュアラー達に届いていたに違いない。
<jealkb VS THE冠 SPLIT TOUR〜Mirror Match〜>のツアーの序曲とも言えたアンコールは、この先に待つjealkbのサウンドのさらなる成長と進化を感じさせるものだった。
予定調和な人生などつまらない。ライブらしいライブを貫き、何処にも存在しないjealkbにしか出来ないエンタテインメントなロックを追求して欲しい。そして。いつか、目標とする日本武道館のステージに立って欲しい。自分たちを信じ、一生懸命にやり続けることで、必ず夢は叶うのだということを、どうか証明して欲しい。
取材・文◎武市尚子
4/25(木) 西川口 Hearts
5/6(月祝) 心斎橋 VARON
5/7(火) 神戸 太陽と虎
5/31(金) 名古屋 RAD HALL
6/14(金) 東京 キネマ倶楽部
※全公演18:30開場/19:00開演
チケット前売り:4000円+1ドリンク
会場限定コラボCDを発売
収録曲
Tr1「螺旋」jealkb制作楽曲
Tr2「傷だらけのジュリア」THE冠制作楽曲
価格 ¥1,000
※2曲ともコラボ曲となります
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